『罪と罰』読書感想文の書き方の例文【大特集】

今回はロシア文学の最高傑作、ドフトエフスキーの『罪と罰』あらすじ読書感想文の書き方の例をご紹介いたします。

中学生、高校生から大学生、社会人の方が、1200字、1600字、2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書く際に、参考にしていただければと思います。大著ですので、いきなり読書から入るのはかなり大変です。そのため、概要を解説した動画もご紹介しております。

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~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「罪と罰」あらすじ
「罪と罰」読書感想文の切り口
読書感想文の書き方の例
読書感想文の構成例

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「罪と罰」あらすじ

まずは以下の動画で「あらすじ」を学んでみるべきです。

パート1

パート2

設定は19世紀のロシアの首都ペテルブルグ。主人公のラスコーリニコフは学費を払うことができなくなったために大学中退を余儀なくされた青年である。彼は薄暗い下宿部屋で悶々と日々を過ごすうちに次のような考えを抱くようになった。

それは「自分のように有能な人間が貧乏に苦しんでいるというのに、あの醜い金貸しの婆さんが儲けているのは間違っている。あの婆さんが金を持っていても何の意味もない。もし、自分に金があれば、世に出て社会のために働く。自分があの婆さんを殺して金を奪うことは社会のためなのだ」。

もともと、ラスコーリニコフは、極端な考え方の持ち主であり次のような考えを持っていた。それは「人類はナポレオンのような非凡人と、虱に等しい凡人の二つに分類される。選ばれた人間には、凡人の屍を踏み越えて進む権利がある。人類全体の幸福のためならば、殺人も正当化される」というものであった。そのため、金貸しの老婆を殺し、その財産を奪うことで、その思想を実践しようと考えたのだった。

現実に老婆を殺害したラスコーリニコフは、そのような思想と、殺してしまった後の感情との違いに苦しむことになった。老婆を殺す際、その場に居合わせた老婆の妹も殺し、金品を奪うことに成功するが、そこに達成感のようなものはなかった。それどころか「やってはいけなかったのではないか」「自分は一線を踏み越えてしまったのではないか」と良心の呵責に苦しみ、悪夢になさされる日々を送ることになってしまったのである。

また、裁判にかけられたラスコーリニコフに対し「物的証拠はないが、犯人に間違いない」と確信する予審判事ポルフィーリイにも追いつめられることになる。

窮地にたたされたラスコーリニコフは、純真な心を持つ娼婦ソーニャと出会う。彼女は家族を養うために、仕方なく自ら娼婦となった身の上の女である。ラスコーリニコフはソーニャの自己犠牲の精神と信仰深い彼女の心に胸を打たれ、彼女に自分の罪を告白する。そして、ソーニャのすすめに従って自首することを決意し、結果シベリアの流刑地へと送られる。

流刑地に送られたラスコーリニコフであったが、彼の心はもはや孤独ではなかった。その後、シベリアまで彼を追ってきたソーニャと再会することになる。再開した二人はかたく愛を誓うのであった。

「罪と罰」読書感想文の切り口

次の中田さんの動画では、登場人物やエピソードなどを 板書 にまとめながら解説していますので、感想文の切り口やネタもみつけやすいはずです。

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『罪と罰』読書感想文の書き方の例

『罪と罰』を読んで①

「人を殺してはいけない」これは、ほとんどの人間が分かっていることですが「正義のための人殺し」だという理由付けがあった場合どうなるでしょうか。実際「正義のため」という枕詞らしきものが付いた場合、どんなことでも許されてしまうような気がしてしまわないでしょうか。

この『罪と罰』という作品は、自分が考える「悪人」を殺した主人公が、さまざまな葛藤を繰り返し、最後に自首をするという話です。扱っているテーマの重さにしては、物語の内容は暗くは感じず、登場人物の名前以外は読み易いとさえ感じました。とはいえ、読み終わった後、とても考えさせられたのは事実です。古典的名作だということも理解できました。

主人公のラスコーリニコフは、戦争でたくさんの人の命を奪ったナポレオンが人々から称賛されるのかを深く考え、ナポレオンは殺人に伴って何百もの善行をしたのだと結論づけます。次に彼は、ならば自分も同じような事をしたとしても正しいと考え、町で貧乏人から金を吸い取っている高利貸しの老婆を殺害して、その金を善行に使おうと企てます。そして実際に殺します。

これを読んで私は、彼の感覚のどこがズレているのかと考えました。確かに彼がした事は、映画などでヒーローがすることと、まったく同じ事だとも思えました。しかし、私の気持ちとしては「喜べない」という事実があります。この本を最後まで読み、ラスコーリニコフのどこが間違っていたのかを考えてみると、二つの点に気づきました。

第一に、善を行うためであれ、する権利の無い事を行ったということです。自分の持っている権利を超えてまで人助けをすることはできないと思います。医師でない人は、どれだけ善意があっても、医療処置をすることができないようにです。彼は物事をどれだけ理解していたでしょうか。しかし彼はまるですべてを知っているかのようでした。ナポレオンやその他、血を流しながらも目的を達成しようとした偉人とよばれる人たちが、結局善を行った、と考えたのは彼でした。高利貸しが社会の害となっているので、殺す以外に道はないと考えたのも彼でした。そして、それを自分ができると考えたのも彼でした。

第二に、悪人以外の人も傷付けたということです。罪のない人を傷つける正義のための行動というものは、正義ではないと思います。彼は、現場に偶然居合わせた、高利貸しの妹も思わず殺してしまいました。また、彼が殺人を犯したということを知って、彼の家族や友人は、深く傷つきました。ここまで考えてみると、やはり映画のヒーローとラスコーリニコフの差は何なのだろうかという問題を考えてしまいます。そして、その差はそれほど無いのではないかと私は思います。

確かに、映画のヒーローは悪人だけをうまく殺せるかもしれません。それにしても、その悪人が死ぬとすべてが良い方向に行くと、どうして言えるのでしょうか。また、誰に権利を与えられて、そうしたことをするのでしょうか。もちろん、映画などの悪人はたいてい、死ななければならないほど悪いものに創り上げられています。

しかし、現実の世界では、そのような復讐が完全に公正なものとなることはまずありません。「考慮すべき何か」が欠けたりするのです。だからこそ、ラスコーリニコフは、その「考慮を欠いていた部分」に気づき自首を選んだのです。『罪と罰』はそのような「自分の偏った価値基準で犯してしまいがちな人間の過ち」を描いた作品なのだと感じました。

教育は外から与えられる情報と捉えることもできるでしょう。しかし、人間の行動を変えるものは、外から与えられた情報ではなく、心の内側から出てくる「内発的な情報」だと私は考えます。つまり「自分から気づく」ことだと考えているわけです。

「人を殺してはいけない」と、外からの教育を受けだたででは、抑えきれない感情に負け、罪を犯してしまう人もいるでしょう。しかし本書のように心に刺さる優れた作品を読み、感銘を受けることは、自分の内側から「気づく」「理解する」といった「内発的な情報」が得られます。本書は、私が今後、実社会で感情コントロールするために役に立つ「実用的な作品」だったといえる良書、まさに名作でした。

書きやすい感想文の構成の例(書き方の順序)

書きやすくまとめやすい標準的な読書感想文の構成例をご紹介いたします。

感想文は、自分の思いや考えを順序だてて「説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。「なぜこの本を選んだのかの説明」「なぜ、そこでそう感じたのかの説明」「この本を読んで自分の考えにどのような変化があったのかの説明」・・・このように各パートごとに理由やエピソードをまじえて「説明していくもの」と考えれば、それほど抵抗なく原稿が書けるはずです。

①なぜこの本を選んだのかの説明
 ⇒ 読書感想文の書き出し入賞21パターン 
②大まかな内容を手短かに説明
③特に気になった箇所やフレーズを紹介(1)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
④特に気になった箇所やフレーズを紹介(2)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑤特に気になった箇所やフレーズを紹介(3)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し考えを書く
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑦この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
 この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明
 

順序だてて説明すればよい
     

    読む前の説明→ 「この本を選んだ理由」「読む前の私」「本の概要」などの説明
    読書中の説明→ 読んでいる最中に「感じたこと」「思い出したこと」などの説明
    読書後の説明→ 「学んだこと」「反省したこと」「読んだ後の私」などの説明

 

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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