「モモ」読書感想文の例文【大特集】動画解説あり!

こちらでは、世界的な名作である、ミヒャエルエンデ作「モモ」を題材に、読書感想文を書く際に役立つ、この本のあらすじや、感想文の例文を紹介しています。

おもに、小学生(高学年生)から中学生高校生が、1200字1600字2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書くことを前提にした内容ですが、この本は人生経験を積んだ大人こそがそのメッセージ性に感銘する本だと思います。

作者のエンデは、日本とも縁が深く、奥様は多くのエンデの本の翻訳を手掛けた佐藤真理子さんです。


~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「モモ」あらすじ(動画あり)
読書感想文の書き方【例文】

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「モモ」あらすじ(動画あり)

主人公のモモは、イタリア・ローマを思わせる街の円形劇場の廃墟に住み着いた女の子です。モモに話を聞いてもらうと誰もが元気や自分らしさを取り戻せるという、不思議な魅力の持ち主です。

そのため、大人も子供もモモのことが大好きです。モモの周りには沢山の人が集まるようになり、街の人達には暖かな友情が生まれはじめます。

ところがある日「時間貯蓄銀行」から来たという灰色の男たちがこの街に現れます。彼らは言葉巧みに「時間を節約するため」と称し、街の人々からかけがえのない時間を奪いはじめます。

灰色の男たちは、「無駄な時間を、時間貯蓄銀行に預ければ命が倍になる」と騙し、人々から貴重な時間を奪い始めたのです。その結果、時間を切り詰めた街の人々は、生きることの豊かさを失っていきます。

街の人たちを助けるため、モモは亀のカシオペイアの導きによって「時間の国」を訪れます。そこで出会った賢者マイスター・ホラの助けを受け、モモは灰色の男たちとの戦いを開始します。

モモをターゲットとした時間泥棒の一人は、モモの「時間泥棒も愛されている」という言葉に衝撃をうけ、時間泥棒の秘密を話してしまう。組織は、その男を裏切り者として裁判にかけ反逆罪により死刑を宣告。彼は煙のように消される。最後にモモは盗まれた時間を解放する。

■動画で早わかり!
「モモ」のあらすじ動画はYouTubeにいくつかアップされていますが、こちらの動画は約10分に上手くまとめられています。

その後、中田さんの以下の解説動画①②を見れば、理解度も格段に上がるでしょう!

作者のエンデはこの作品のなかで「時間」についって次のように語っています。

時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。
なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。

「時間とは、生きるということ、そのもの」という部分に注目すべきです。灰色の男たちによって「時間」を奪われてしまうことは、「人生」そのものを奪われてしまうことになります。自分の時間を生きられなければ、ほんとうの意味で「生きている」とは言えないということをエンデはこの作品を通じ伝えたかったのだと思います。

・・・・モモが街の人から愛される理由や、この部分の理解を中心とした感想文をまとめてみましょう。
 

「モモ」読書感想文の書き方【例文】

以下に5作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「モモ」を読んで①(小学生むけ)

僕がまだ小さかったころに比べて、今とても時間がたつのが速く感じる。しかし、なぜそう感じるのかについてはこれまで一度も深く考えたことはなかった。

モモという本を読んでハッとした。灰色の男達が、自分が生きていくために、人々から時間を盗んでいくのだが、時間をぬすまれた町の人々と、自分が同じように見えたからだ。

時間を節約しなければいけない人々は毎日いそがしく働き、時間に追われている。まるで、勉強や習い事で時間が足りない私みたいに見える。今の僕は、友達と遊ぶ時間も大切にしている。けれど、大人になる過程で、どんどん忙しくなり、友達との時間を疎かにしたらどうなるのだろう。

町の人々のように、セカセカと働きまわり、互いにイライラ押しあったり、つきとばしあったりと、相手を思いやる気持ちを失ってしまったらどうしよう。僕だけではないのだろう。僕の父は、「ワーク・ライフ・バランス」が大切だという。

仕事とそれ以外の生活との調和をとることが大切という考えだ。難しい話だか、大人もみんな悩んでいるのだと感じた。一度できたルールを覆すのは勇気がいる。

物語の中で、不安と心細さを覆し、勇気と自信を持って灰色の男に立ちむかった女の子がいる。それがモモだ。モモは、円形劇場に住み、みんなが時間をうばわれる前は、近所の人々と友情を持って暮らしていた。

モモは相手の話を聞く才能を持ち、人々はモモが大切な存在だったし、子ども達もまた、モモのそばではすてきな遊びを考え出した。

二人の親友、ベッポとジジとも楽し暮らし、モモはベッボの返事を時間をかけて待っていたり、ジジと長い時間月を眺めたり、時間に追われないのびのびとした生活を送っていると感じた。数字を習っていないので年も分からず、きっと時計も読めないだろう。

だからこそ時間に囚われることがない。小さいころの私もそうだったかもしれない。こんなに愛されていたモモを見向きもできなくなるのだから、時間が奪われるのはぞっとする。

モモが灰色の男達をたおし、人々に時間がたっぷり戻り、ベッポの心にセカセカとした気分か消え、安堵と希望か胸いっぱいに広かった時は、私の中にも時間がもどってきたようなホッとした気分になった。

「人間は自分の時間をどうするかは、自分で決めなくてはならない。だから時間を盗まれないように守ることだって、自分でやらなくてはいけない。」この言葉は、作者から僕ら現代人への忠告だと感じた。

勉強する時間ももちろん大切だけど、友達との時間も忘れてはいけない。心に優しさと勇気を持ち、自分自身を見失わないこと。自分のための時間を大切にしなければならないと。それらをモモは僕に教えてくれた。
 

「モモ」を読んで②

モモはやせっぽっちで背が低く、くしゃくしゃの巻き毛で、自分の年齢も知らない。そんな浮浪児の「モモ」が世界的ベストセラーの主人公だと知り、モモの魅力とはいったいなにかと知りたくなり、この本を読むことにした。

この本は「富や地位や名声」を求めたために、時間泥棒の罠にはまり、盗まれてしまった人間の時間を、モモという不思議な女の子が取り返す物語です。そして、「富・地位・名声」を求めていく生き方は、本当に生きるということではないと教えてくれる内容だ。

今の生活が嫌で、不満ばかりを言っているフージーさん。いつか有名になり金持ちになりたいと思っていたジジ。このような考えの人には、時間泥棒が心の隙間に入り込んでしまい、貴重な自分らしい時間が奪われてしまう。そんな人達は「時間を節約するため」という尤もらしい誘い文句で近寄ってくる時間泥棒に貴重な時間を奪われてしまう。

時間を奪われた人間は、時間が切り詰められ、日ごとに生活が冷たくなり、ギスギスした生活をすることになるのである。生活とは人間の心の反映に他ならない。だから時間を切り詰めた状態では、心が冷たくなり、生活もやせ細ってしまう。また、心が冷たくなると、怒りっぽくもなり、他人との関係もこじれてしまう。

作者がジジを登場させた理由も、夢を描くことの大切さを意識させようと思ったからに違いない。私の暮らす現代は、効率を重視するあまり、人間らしさを見失いがちな時代である。そのような現代人にとって、この「モモ」という作品は人間らしさとはなにか、また、正しい価値観とは何かについて考えさせるきっかけをくれる本だと思う。

また、浮浪児のモモが世界的ベストセラーの主人公になった理由についても、本書を読み終えた後、私なりに理解できた。これはまた、モモの魅力とイコールでもある。それは「モモは聞き上手な子である」ということだ。もちろん、時間泥棒に立ち向かってゆく勇気や意思の強さも魅力の一つではあるが、街の人がモモと話をすると、すべての人がモモに魅了されるのは、モモが人の話を聞くとき、じっと瞳を見つめ、しっかりと話を聞く女の子だったからに他ならない。

モモはジジのようにお喋りな話上手では決してない。しかし、モモの周りにはいつも人が集まってくる。それは「人が聞き上手な相手を求めている」からに他ならない。これは「目の前の相手を尊重することの大切さ」を作者が伝えようとしているのだと感じ、コミュニケーションの基本を知ることになった。

私は本書を読み「自分らしい時間を大切にすること」そして「人の話をしっかり受け止めること」。この二つの大切さを学ぶことができた。特に私の場合、相手の話が長いと、途中で話をさえぎり、私の方から言葉を出してしまう癖があることを思い出し、とても反省させられた。

ありがとうモモ。そしてこの素敵な物語を書き残してくれた著者のミヒャエル・エンデに心から感謝したい。

「モモ」を読んで③

この物語では「時間泥棒」によって、本当の意味での「生きること」を見失った人間の様子が描かれていた。

時間泥棒は、巧みな弁舌で人々を騙して時間を奪い、その奪った時間で生きているという恐ろしい「灰色の男たち」として登場します。 街全体が「灰色の男たち」という病菌に侵され始めます。結果、人々は〝時間節約〟という言葉を掲げ、せかせかと働き出しました。

また、子供達はそういう大人から遊びを奪われ、施設での勉強を強制されるのです。不満は持っていても、自分が行動す べきことなど具体的に考えることも出来ず、そのレールの上をひた走りに走ります。「よい暮らし」のため、将来のため、と信じて。

急いで食べるだけで会話のない食堂、ただほうきを動かしながら先に進むだけできれいにしない「道路掃除夫」。人々は、「灰色の男たち」に時間を盗まれてしまったために、経済的には豊かでも、心の貧しい、冷たい生活を送ることになったのです

私は、この街の様子は私達の住む現代社会そのものだと思います。「暇がない」「時間がない」と言っては自分の生活も顧みず、ただがむしゃらに働く大人。いい学校、いい会社に入るためと、学校や 塾での勉強を強いられる子供。しかし、これでいいのでしょうか。これで本当に生きていると言えるのでしょうか。

街の変貌に気付いたのはモモでした。 モモは、人の話をじっと聞くことによって、その人に自分自身を取り戻させることが出来るという、不思議な能力を持つ浮浪児です。きっと、人々に生きるということの本当の意味を悟らせるために、この世に送られてきたのでしょう。

モモは、浮浪児という、現代社会の枠の中に入っていない、自然のままの人間であり、私はモモこそ人間本来の姿であると思います。だから、現代社会の人々が持ちがちな、つきることのない欲望には縁がありませんでした。

そういう人間であるモモは、人々から奪った時間によって生きている灰色の男たちにとって、最大の敵でした。なぜな ら、灰色の男たちが奪った時間というのは、「よい暮らしをしたい」という、人々の欲望であったからです。こうして、モモの逃亡と灰色の男たちの追跡が始まったのです。

モモが“時間の国”で見たもの、それは壮大な時間の源でした。散っては咲き、また散っては咲く時間の花、音楽のように音を奏でながら差し込む光の柱。 これで、モモは初めて、時間の美しさ、尊さを知るのです。

今までの私は、「早くこの授業が終わらないかなあ。」と思ったり、また、後に楽しみがあると、それを待ち遠しく思ったりの毎日でした。私は、時間はただ過ぎ 去って行くというだけで、特別気にとめることなどなかったのです。

しかし、今は静かに、そして重々しく進み行く時を見つめ、人間一人ひとりに与えられる時間の尊さを知りました。人々の持つ時間を灰色の男たちなどに奪われてはならないのです。モモも、強くそう思ったに違いありません。だからこそ、身の危険を冒してまでも、奪われた時間を取り戻 すことが出来たのだと思います。

盗まれた時間が戻った人々、それは人間本来の姿でした。せかせかした気分が消え、安堵と希望があふれてきたのです。 忘れていた人との交流の大切さ、心の温かさをとり戻したのです。

作者は、私に時間とは生活であり、人間の心にあることを教えてくれました。 また、作者は物語の中で、「人間が時間を節約すればするほど、生活はやせ細って無くなってしまう」と言っています。これは、自分の心も顧みず、ただ時間に追われている生活では、本当の生活とは言えない、ということなのでしょう。

現代社会における時間泥棒……それは人間の心の中に存在しているのではないでしょうか。「豊かな生活をしたい」「お金を儲けたい」という欲望こそが時間泥棒であると思うのです。

私は、「豊かな生活」を送るためには、 経済面ばかりでなく、心の豊かさが必要だと思います。だから、私達の現在の生活は、本当に生きていると言えないように思えるのです。

本当の意味での生きるということは、欲望を捨て、人々が信じ合って心の交流が開けた時のことを言うのではないでしょうか。そして、そう出来たときの生活をほんとうの時間と呼べるのです。

私がモモに教えられ、初めて気が付いたこと、それは人間が人間らしく生きることの素晴らしさでした。

「モモ」を読んで④
 

「モモ」を読んで⑤
 
 



 


「モモ」の読書をきっかけに、
  人生で大切な「時間」や「自分らしい生き方」について考えてみる

 

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。(気になる審査基準も掲載!)


読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

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