「カラフル」あらすじと読書感想文の例文【大特集】

こちらでは、森絵都さんの代表作『カラフル』を題材に読書感想文を書く人のために、この本のあらすじや、参考していただけそうな感想文の例文ご紹介しています。

おもに中学生高校生が、1200字1600字2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書く際に役立つことを目指し掲載しています。

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「カラフル」あらすじ
読書感想文の書き方【例文4作品】

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「カラフル」あらすじ

約7分で分かるあらすじ動画

『カラフル』は、罪を犯して死んだ魂が、再生と救済の機会を得る物語です。主人公の魂は特別な抽選に当たり、人生をやり直すチャンスを得ます。彼は一時的に、自殺をはかった中学生・小林真の体に宿り「ホームステイ」をし、真としての人生を歩み始めます。この「ホームステイ」とは、本来二度と与えられない機会で、魂が下界で他者の体を借りて修行し、再挑戦する過程を指します。

新たな人生の中で、主人公は厳しい家庭環境に直面します。仕事に没頭する父、不倫をしていた母、そして自己中心的な兄弟との関係に苦しむ中で、真は家族と向き合い、受験という挑戦にも立ち向かいます。

物語のクライマックスでは、衝撃的な真実が明らかになります。実は、「ぼく」自身が真であり、自らの命を奪ったことが彼の犯した罪だったのです。真の天使ガイドからの助言を受け、彼は自分自身と向き合い、人生を前向きに捉え直す決意をします。

『カラフル』は人間が持つ無限の可能性と、他者を理解しようとする姿勢の重要性を示します。主人公は他者の様々な面を見て、自分自身の多様な可能性を発見し、成長していきます。また、人間関係における誤解や偏見に対する洞察も重要な教訓として描かれています。

この物語は、人生の困難な時期を乗り越え、自己反省と自己受容を通じて自分自身の多面性を受け入れることの大切さを教えます。主人公の魂が過去の過ちを乗り越えて真の再生と成長を遂げる過程は、読者に深い共感と考察を促す。

『カラフル』は、人生のさまざまな色を受け入れ、自分自身の多様な「色」を理解する旅を描いた、心に響く物語です。

「カラフル」読書感想文の書き方【例文】

以下に4作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

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「カラフル」を読んで①

この作品は、前世で過ちを犯し命を落とした魂を持つ主人公が、新たな人生をスタートするための修業を受ける物語です。魂は一定期間、地上で他人の身体を借りて過ごし、前世での過ちを思い出すことで修業を完了し、新しい生を受けることができます。ある日、主人公は自殺したばかりの少年小林真の体に宿ります。
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

小林家は、自己中心的な父親、不倫を経験した母親という複雑な家庭環境にあり、主人公は徐々に家族との距離を置くようになります。しかし、ある日、彼は真の両親が抱える本当の姿と感情を知ることになります。彼はこの新たな発見を「単一の色だと思っていたものが、多様な色彩を秘めていた」と形容し、人間の多面性に気づきます。

この物語を読み進める中で、私自身も過去の体験を思い返しました。長年の友人との関係が些細なことから壊れてしまった経験があります。その時、私は彼女の多様な面を理解していたつもりでしたが、実際には彼女が持つ豊かな色合いを全て見ようとはしていませんでした。今振り返ると、彼女の個性は非常に鮮やかな色彩であったと感じます。しかし、その関係性は再び築くことはできません。

物語の中で主人公が感じた「世界の多彩さ」についての考察は、人間が持つ様々な可能性を象徴しています。私たち自身も、未発見の「色」、つまり可能性を探究し、このカラフルな世界をより深く楽しむことができるはずです。

この物語は、人間が持つ長所も短所も含めた多様性、そして見えない内面を理解することの大切さを教えてくれます。主人公が体験した小林真の生活、その中での変化や成長は、自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれました。人は一つの色に限定されず、さまざまな側面を持ち合わせていることを、この物語は巧みに描き出しています。

特に印象深かったのは、主人公が自殺した真自身の魂であったという、オチというか事実の発覚です。真が死を通して、人間関係の欠点や美点、家族や友情の大切さを実感するプロセスは、私たちにも多くのことを考えさせられるものでした。死と再生を通じて、真は自分自身を再発見し、新たな視点で周囲を見ることができるようになります。

この物語は、人間が抱える可能性の広がりを示しています。私たちは自分の知っていることが全てではなく、人の内面には知られざる多様性があるという教訓を与えてくれます。私自身、この物語から得た教訓は、今後の人生を歩む上での指針となります。時には見落としがちな大事なことを、物語は「色」というメタファーを通じて表現しています。

生きることの意味と可能性を探求するこの物語は、読者に対し、自身の人生をより豊かにするための洞察を提供します。私も忘れそうになった時、再びこの本を手に取ることで、自分自身の多彩な人生をより深く理解し、充実させていこうと思います。
 

「カラフル」を読んで②
 
この本を読んだことで、私は自分自身と向き合い、人生について深く考える機会を得ました。物語の中心人物「ぼく」は前世で何らかの過ちを犯し、死後、再び生を受けるチャンスを得る。彼は自殺した中学生・真の体に宿り、彼としての人生を歩み始めます。この「ホームステイ」は、通常二度と与えられない機会であり、魂が下界で他者の体を借り、修行する過程を指します。

真としての生活は容易なものではありませんでした。彼の家庭環境は厳しく、彼はさまざまな困難に直面します。これを読んで、もし自分が真の立場だったら、その苦しみをどう耐え抜いたかと想像すると、心が痛む思いでした。

しかし「ぼく」は現実から目を背けませんでした。彼は家族と向き合い、受験にも立ち向かいました。物語の終盤で真実が明らかになる場面は、特に印象深く残ります。実は「ぼく」自身が小林真であり、自らの命を奪った罪を犯していたのです。この事実に直面し、真は自信を失います。しかし、彼のガイド役を務める天使の言葉は心に響きました。「少し長めのホームステイと考えればいい」、という言葉は、私にも大きな安堵を与えました。

この本に出会ったのは、人生において大きな転換点でした。友人と離れ、孤独を感じ、コミュニケーションに苦しんだ時期でした。家でも情緒不安定になり、一人で部屋に閉じこもることが増え、生きる意味を見失いかけていました。しかし、この物語を通じて、私は自分の内面を見つめ直しました。

私は、これまでの後悔や悲しみに囚われ、自分の人生を見失っていました。しかし、生きるということは、苦しみだけではなく、楽しさや喜びも含む複雑なものだと気づかされました。立ち止まっていては、人生の豊かな側面を見逃してしまいます。そこで、自分自身に挑戦し、色とりどりの人生を歩む決意をしました。不器用であっても、自分なりに生きることの価値を見出し、充実した人生を送るために努力していこうと思います。

この本は、人間の持つ無限の可能性と、他者を理解しようとする姿勢の重要性を教えてくれました。私たちが知っていることがその人の全てではないという事実を、作家は「色」というメタフォーを用いて巧みに表現しています。人間関係における誤解や偏見に対する洞察は、日常生活においても重要な教訓です。

この物語から得た教訓は、今後の人生において大切な指針となるでしょう。日々の生活で忘れがちな、しかし重要なことを思い出させてくれるこの本に出会えたことに感謝しています。人生の困難な時期に再び迷うことがあれば、この本を開いて、自分の人生を豊かに彩るためのヒントを再発見することでしょう。
 

「カラフル」を読んで③
  
死んだはずの「ぼく」に天使は言った。「おめでとうございます、抽選に当たりました!」。これは生きている間に何らかの罪を犯してしまった「ぼく」が、下界にいき誰かの身体を借りて、前世で犯した悪事を思い出さなくてはいけない抽選会であった。

あなたなら「カラフル」と聞いて、どんなことを思い浮かべるか?絵の具や虹など、色とりどりのものを思い浮かべるでしょうか。また色彩ゆたかな南国の鳥を思い出すでしょうか?

私がこの本のタイトルを見たとき頭に浮かんだのは、カメレオンであった。カメレオンは周囲の景色に同調して体色を変える。これは自分に降りかかる危険から身を守るための進化の結果のカラフルとでもいえるだろう。

主人公の「ぼく」も、カメレオンのように保護色をまとって人生を再スタートする。彼は前世で家族に絶望し、受験という困難な壁にぶつかるなど、大変悩んだ結果、自らの命を絶つことを選択した。そんな彼が、「復活」し、かつ今度は前向きに生きていくためには、どうしても自分の身を守る何かが必要だったのだと私は思う。

私はこの主人公から、私たちがこの世界で生きていくための「コツ」のようなものを学んだ。物語の終盤、主人公は前世の記憶を取り戻す。

それは、赤の他人だと思っていたこの身体が本当は自分のものであることを意味する。しかも、苦痛に堪え兼ねて自殺をしてしまったことまで、鮮明に思い出す。つまり、冴えなくて地味ないじめられっ子だった彼と、ひょうひょうと自由な振る舞いを見せる主人公は、実は同一の魂を持つ者だったというのが本書のオチというかストーリーの中心だったのだ。

にもかかわらず、彼が自分であることを忘れていた主人公は、いかにも堂々とやりたいことをやり、言いたいことを言い、生前の彼にはいなかった親友をもち、好きな女の子と交流をし、家族と和解し、彼が自殺を図ったことを早まったことだと感じるほど、充実した数か月を過ごすことができた。

本当は同一人物であったのに!それこそ、物語の中で主人公本人もつぶやいていた「だってあれは他人事だったから」というスタンスが重要だったのだと思う。

私はこの物語を読むまで、自分のことをとても臆病者だと思っていた。「ぼく」のように、人に嫌われることを怖れ、言いたいことをはっきり言えなかったり、少しの失敗を極度に悔やんだり、今までの自分はまさに生前の彼のようだった。だからこそ、この物語の主人公が他人事として彼の人生を過ごす態度を大変魅力的に感じた。しかもそれが、元々は私のような臆病者の行動であったことを知ると、私は勇気をもらった。

もし私が主人公と同じ立場で、記憶を全てなくし、自分を他人だと思って人生を再スタートするとしたら、私も主人公と同じことを思い、同じ行動をとるだろう。前世の自分を早く知りたくて、かつ他人を助けてあげたいからだ。だから主人公もそんな行動をとったのだと私は考える。

最初に、この本を読むとき、なぜ「カラフル」という題名なのだろうと疑問に思った。しかし、読んでみて、私はこう考えた。「ぼく」のように、平凡な日常に慣れると、些細なことでも大きなストレスになる。例えば、朝寝坊していつもと違う電車に乗るとか、家に忘れ物をして学校から家に戻るとか、どうでもいいことですら気になる。彼にとってふりかかったささいなことも、彼にとっては受け入れがたいものだったとしても無理はないと思う。人によって受け入れ方はさまざまだ。

だからこそ、「ぼく」の視点でみた彼の日常は、変わりばえしない、「モノクロ」な毎日などではなく、すごく「カラフル」に見えたのだ。自分の世界を「モノクロ」にするか「カラフル」にするかは、自分次第であると感じた。しかし、人間はこうしたことをすぐに忘れてしまうものだ。極彩色だと気づいた日常も、慣れてしまえばまた「モノクロ」に戻ってしまう。だからこそ、「カラフル」であることを忘れてしまうのだと思う。

この本から学んだ最も重要な教訓は、自分を客観的に見つめ、行動することの大切さである。人生が上手くいかないと、周囲が見えなくなることがある。彼も自殺に追い詰められたが、新たな生を受けることで、彼がどんな人生を歩んできたのかを理解し、周りの人々とのつながりを再認識し、再び生きることを決意した。中高生は皆、内に秘めた悩みを抱えている。だからこそ、自己評価を客観的に見つめ、この「カラフル」な世界で新たにスタートしようとする姿勢に感銘を受けた。

「カラフル」を読んで④

日常生活は、理不尽なこと、不平等なこと。そしてつらいこと悲しいことであふれています。そのように思えるようなことが度重なると、物事を悪い方へと考えてしまうのが私の悪い部分で、そこから溜まったストレスを、ふとした時に家族にぶつけてしまうことも少なくありません。
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

頭ではいけないことだとわかっていても、「自分のせいではない」と言い訳をして自分を正当化してしまうのが今までの私のほとんどでした。

この物語は、一度罪を犯して死んだ主人公の魂が天使の抽選当たるところから始まります。抽選に当たった主人公は、世の輪のサイクルに戻れるよう、別の人間の身体を借りて人間世界で修業(生活)することになります。

主人公が借りたのは、自殺して空になった「小林真」の身体。その他「真」の家族、周りの人々、そして主人公の業をガイドする天使「ブラブラ」が主な登場人物です。

「他人の身体」という、一風変わった視点から広げられる、人の心理について考えさせられる物語でした。

「カラフル」という題名。それは、さまざまに変化する人間の感情を表しているのではないかと思います。に当たるとを取り戻し変化する人の感情を表現して

生前は、あまり人と話さず自分の世界を作っていたという「真」が、唯心を開いたのは絵を描いている時でした。

未完成だった「真」の青い絵つづきを描き始めた主人公は不思議と絵の世界に入り込んでいきます。

その場面がとても鮮やかで、読んでいた私も自然とその青々とした絵の中に吸い込まれるような感覚になりました。その「青」には、暗い心境だった「真」の明るい一面と、絵に対する情熱が描かれていたように感じました。

また、人は、本気で何かに打ちこんだ時に初めて本当の心を引き出されるのではないかと思いました。そして、受験生である「真」の身体になった主人公が、進路について悩む場面があります。

「好きなことをめざしてほしい」

「真」が家族にかけられた言葉。その時初めて主人公は家族の思いやりに触れます。「真」の自殺の原因には家族への憎しみも含まれていました。

そこから、自分の殻の中に閉じこもっていても、家族の思いを知ることはできないということを学び、また、それは同様に私にも言えることだと思いました。家族への態度や言葉を考え直さなければならないと思いました。そして、盤の主人公の言葉。

「ぼくはぼくを殺したんだ」

この部分を読んだ時、私は大きな衝撃を受けました。主人公の前世の罪は自分を殺したこと、つまり主人公は自殺した「真」の魂だったのです。

「真」として修業してきた主人公は、周りの人々との繋がりを感じていました。私は、主人公が自分の本心と向き合い、理解したからこそ、自分が「真」であることに気づいたのだと思います。

そんな主人公に比べて、自分の心に嘘をついてしまう自分は、以前の主人公と「真」と同じで身体と心が別々のまま生きているのではないかと思いました。

自分自身と向き合う心、人との関わり合い、そして物の見方によって一八〇度変わる人の心情今、生きているとういうことの大切さを同じ年代の主人公を通して、あふれる程に感じさせられた物語でした。

天使ブラブラがガイドを終え、あの世に戻るとき、主人公は本当の「真」として生きていくことに不安を感じます。

自分自身だと思うと周りからの見た目を気にしてしまうのは、私にもよくわかりました。

「下界でまた気もちがちぢこまりそうになったら、再挑戦の四ヶ月を思い出してください。自分で自分をしばらず、自由に動いていたあの感覚をそして、あなたをささえてくれた人たちのことを」

このブラブラの言葉に、今まで人と接する時に働いていた変な力が抜かれたような気がしました。

しかしそれは決して、自分を自分と思わずに生きるという意味ではありません。自分の心と人の間に壁を作らず、素直に感情を受け入れることが大切なのだと私は思いました。

これから先、上手くいかないことがたくさんあると思います。しかし、そんな時に自分を支えてくれる存在を忘れないように、自分の本当の気もちを見失わないように、生きていきたい、そう私に感じさせた素晴らしい物語でした。 
 


 


人の持つ才能や性質は本来カラフルなもの。
  一つの側面でのみ判断し悲観的になってはいないだろうか?

 
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読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

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