『こころ』あらすじ各章 上中下【動画】解説

こちらでは、夏目漱石の最高傑作である『こころ』の章ごと、つまり各章(上・中・下)の簡単な「あらすじ」「読書感想文の書き方の例」を紹介いたします。

夏目漱石と言えば、読書感想文に選ばれる書籍としては「こころ」が圧倒的に一番です。
とは言え、何と言っても100年以上前の作品(1914)ですから、現代の常識とはかけ離れている世相もあります。
そんな作品で読書感想文を書くためにお役にたてればと思います。

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「こころ」登場人物
「こころ」各章のあらすじ(ネタバレ)
感想文の書き方の例

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「こころ」登場人物

登場人物

大学生、海岸で出会った先生に傾倒し、大学に行くよりも先生に人生を教わりたいと教えを乞う
先生
私が先生と呼ぶ男性。自称思想家。親の遺産で生活し仕事はしていない。物憂げで人を避けているような雰囲気。
叔父に親の遺産を搾取されていたことから、親族とは絶縁している。Kとは大学の親友で共に親族もいない共通点がある。
奥さん(お嬢さん)
先生が学生の時の下宿先のお嬢さん。現在は先生の妻
未亡人
先生が大学生の時に下宿した先の主人。お嬢さんの母親
K
大学時代の先生の親友、僧侶の家の出身だったが、医者の家の養子となる。だが信仰が厚く勝手に哲学科に学部替えして生家・養父母からも絶縁されている。

先生の若かりし頃の出来事をアニメ化した作品(Kが大柄に描かれているのにビックリ)

後半の動画は原作にはない創作です・・


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「こころ」夏目漱石/あらすじ(ネタバレ)

こころは、上・中・下の3つの章にわかれています。

各章のあらずじは次の通りです。

上:先生と私
私は、鎌倉の海辺で先生と出会い、なぜか惹かれるものを感じて、交流がはじまります。
先生は、私に人生の教訓のようなことをときおり話してくれてそれに私は魅力を感じるのです。学校がはじまり、学生の私は東京へ戻りますが先生のことが、いつも気になります。

私は、先生が定期的に誰かのお墓参りをしていることを知ります。私は強く興味を持ちますが、先生は自分の過去については決して語ろうとはしません。

先生の奥さんから、先生が世間を嫌う生活をするようになった理由はわからないと言います。自分に悪いところがあるなら言って欲しいと言い募っても先生は俺が悪いの一点張り。ただ彼の大学時代の親友が変死してから、変わってしまったことを聞きます。

ある時、田舎の実家にいる父が大病を患ったという知らせが私に届きます。
一時帰郷することになった私に、先生は、家の財産の話は今のうちに付けておくこと、平素は善人であった人も、急に悪人に変わるのだということを言ってきます。

先生がそんな話をするのには、先生の過去が関係しているようで、先生の過去を過去を知りたい、真面目に先生から人生勉強したいと訴えます。
すると先生はその時が来たら、自分の過去を打ち明けると私に約束してくれたのでした。

 
中:両親と私
父の病気はいっこうに良くならず、なかなか東京へ戻ることができません。
父がどんどん、具合が悪くなるさなかある日、先生から分厚い手紙が届きます。

最初のほうに目を通すと内容は、先生の過去について書いてあるようです。しかし、父親がいよいよ危ない状況になり手紙を読み続けることはできません。

そんなときに手紙の最後のほうが目に入ります。
「この手紙があなたの手に落ちるころには、私はもうこの世にはいないでしょう。」

遺書めいた文章が私の目にはいります。父親の臨終に立ち会うことなく、手紙をにぎりしめ汽車に飛び乗ります。そして、汽車のなかで、先生の手紙を読み始めます。

 
下:先生と遺書

手紙は先生=私がワタシだったときに、さかのぼります。

ワタシは父親の死後、信頼する事業家の叔父に財産管理を任せていたが、大部分を叔父に奪われほかの親族にも裏切られ、故郷親族とは縁が切れました。
失意のうちに東京での学生生活に戻るため帰京後は、戦没軍人の未亡人とその娘である「お嬢さん」が暮らす家に下宿することとしました。

未亡人とその娘のお嬢さんは大変親切で優しく、叔父に騙され人を信じられなくなっていたワタシの心も2人のおかげで人に対する猜疑心もほぐれ、凍り付いた心が時ほぐれていくようでした。そしてワタシはお嬢さんに、いつしか恋心のような憧れをもつようになります。

その頃、先生は同郷の友人であり、同じく東京へ進学していた親友Kと再会します。
信仰心から親・親族の援助を断たれた親友のKは学費を稼ぐために多忙な生活に、徐々に心身を病んでいきました。kを心配し、この下宿に一緒に住むようワタシは取り計らいました。

頑なだったKはいつしかお嬢さんと距離が近づいているように感じ、ワタシはKへの嫉妬の気持ちがわくようになったのです。そしてある日、Kから、お嬢さんに好意があることを打ち明けられるのです。
宗教家であるKにとって、恋は道を妨げるものでした。

禁欲と恋心にゆれるKの相談に対し、先生は、いつか自身がkから言われた言葉でもある「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」という、厳しい返事を返します。kは「覚悟なないわけではない」と言います。

Kの告白の後、不安になった先生は未亡人に「お嬢さんをください」と頼み「宜(よ)ござんす、差し上げましょう」と承諾を得ました。未亡人はその申し出をうけ、その話をKに話してしまいKは自殺してしまいます。

Kの遺書には
「自分は薄志弱行(意思が弱く、行動力がない)で行く先の望みがないから自殺する」とだけ書かれていました。先生は、Kが好んで散歩していた雑司が谷にKの墓を作り、やがてお嬢さんと結婚します。しかし、妻となったお嬢さんと顔を合わせる度に、Kへの罪悪感に脅かされ自分を許せない。

妻に真実を話せば妻を傷つけるとわかっていたので、それもできず、人を欺く自分は最も憎むあの叔父と同類の行為であり、更に先生を絶望させました。妻のことを思い、死んだつもりで生きていこうと決心し隠居しながら過ごしてきたのです。

自殺のきっかけは明治天皇の崩御と、殉死した乃木大将に自分を重ね合わせ自殺を決心し、妻が出かけている間に懺悔として、死ぬことを決心したこと。その前に、自分の過去を、誰かに知ってほしいので手紙を書いたことが、綴られていました。

「私が死んだ後でも、妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、すべてを腹の中にしまっておいて下さい。」と最後に書かれていました。
 

感想文の書き方の例

長文になりすぎましたので、動画による「あらすじ」紹介と「読書感想文の例(4作品)」は以下のページに分けました・・・

『こころ』読書感想文の書き方と例【中学生・高校生~】

あらすじを読んだ後は、ぜひ実際に本も手に取りお読みください。読んでおくべき名作です。

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