「ある晴れた夏の朝」読書感想文の書き方の例文

2019年の課題図書対策!
「青少年読書感想文全国コンクール」中学生の部
「ある晴れた夏の朝」
(あらすじ&ポイント)(書き方の例)などをご紹介いたします。


「ある晴れた夏の朝」(偕成社)
著者:小手鞠るい・著
本体価格:1,400円
ページ数:206ページ
ISBN978-4-03-643200-4

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内容紹介
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?

出版社からのコメント
反戦をテーマにした児童文学は、ほぼその刊行国の視点で描かれる場合が通例だが、この作品は、日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれた物語である。メインテーマは原爆の是非だが、それぞれの登場人物のおかれた立場から、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及ぶ。
「先の日本で行われた戦争とは、なんだったのか」
日本の若い読者にとっては、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的にこのことについて考えることができるだろう。
日本人作家による、YAジャンルのあたらしい試みともいえる作品。

(「BOOK」データベースより)
出自のちがうアメリカの八人の高校生が、広島と長崎に落とされた原爆の是非について語り合う。日系アメリカ人のメイは、否定派の一人として演壇に立つことになった。アメリカ在住の著者が若い世代に問いかける、「戦争」の歴史と記憶。中学生から。

 


この本は、ものごとは「多角的な意見」を知ることが大切であると学ぶことができます。
立場の違いで、出来事は善にも悪にも解釈は変わるものであることが分かるため「自分を中心にした決めつけ」のような考え方が、いかに相手に通じないかを知ることができます。

原爆投下という最大級に重いテーマを題材に、人間の「判断」と「理由付け」の関係などを考える機会にできます。

     
    以下のような点を「論点」と捉えた感想文を書いてみるのはいかがでしょう?

    対立する相手に武力で解決を導こうとする人間の愚かさや不公平を生む結果になる点について

    出来事は「理由付け」によって善と悪の方向を「真逆」なものに変えてしまう性質であることを発見できた・・とう感想もよいでしょう。論理的に考えることの大切さを述べつつ「しかし、論理の方向性にバイアス(心理的偏り)が働く場合、論理は簡単にゆがめられてしまう性質である点を発見できた」・・など。

    ものごとは多角的かつ客観的に考えることが大切でるため、自国に加担してしまいがちな心理が働かない状態で思考するためには、どのようにすべきか自分のアイデアを解説する。

    判断をするためには判断材料が必要であり、国が国民に伝えている情報以上に、国が国民に伝えていない情報にこそ、正しい判断をするために必要な情報が隠されている・・という展開で感想を書くのもよいでしょう。

    敢えて知らされていない情報の中にこそ大切な「不都合な真実」が存在する。ゆえに対立する相手国が国民に公開している情報を入手することも大切なはず・・という展開で「表現の自由の保障の大切さ」を柱にした感想文を書くのもよいでしょう。

    21世紀になっても戦争がなくならない事実を踏まえての人間の本性について考察してみる。

    例えば、人間と動物を区別する点は何かという問いを掲げたうえで「以前は人間性とは愛情や理性の存在」だと思っていたが「敵と味方に分かれて武器を使い戦うこと」も人間以外にみられない「人間の本性ではないか?」といった、負の側面から人間性について語ってみるのもよいでしょう。

    核を抑止力という意味づけで保有する考え方について

    戦争の生物学的意義についての自身の意見

    人類の進歩と戦争の意義について、最近注目されるようになった「進化心理学」の捉え方から、生物には「遺伝子の拡散」を望む性質があることを述べ、その表れ方の1つが「戦争による侵略」であるという展開をし、そのような「倫理的には受け入れがたい性質の存在」を踏まえたうえで、戦争や核兵器をなくす方策を考えなければならないのが21世紀である・・という展開で感想を述べるのもよいでしょう。

    イラク戦争の際、アメリカは「大量破壊兵器の存在」をでっち上げ戦争をしました。また、真珠湾攻撃における奇襲も、ルーズベルトが大義名分を作るために、察知していたにも関わらず大勢の兵士を犠牲にしてまで攻撃させてしまったなど「意図的に大義名部をでっち上げて戦うアメリカ」に負けた日本が、なぜか現在大変良好な関係にいる不思議さを織り込み、自身の理由を展開しながら感想を書くのもよいでしょう。

    原爆を落とされた日本ではあるが、アメリカを恨んでいる人などほとんどいない事実を前提に、戦争と「大義」などをテーマに感想を書くのもよいでしょう。また「勝てば官軍」という格言を引き合いに出し、戦争に負けることの意義、勝つことの意義について検討してみるのもよいでしょう。

    AI時代を迎える今後を踏まえて、戦争や原爆の今後について自身の意見をかくのもよいでしょう。

    ・・・これらの中からいくつか組み合わせ「自分の考え」や「過去の思い出」などとからめて解説してみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題図書は「教育的成果」を期待してのものです。
そのため、教育機関からの読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関が与える課題図書に対する感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びを得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識しながら構成を考えてみるのがよいでしょう。

簡単な構成(書き方の順序)の例としては・・・

①3冊ある課題図書の中から、なぜこの本を選んだのか
②「この本は・・」で、どのような内容の本だったのかを簡単に紹介する
③特に気になった点を「理由」「過去の出来事」「実社会での類似の出来事」などと絡めて述べる
 (2~4か所ぐらい)
④「この本を読んで、私は・・・」発見や反省点、今後の自分の在り方など「学び」を述べる

 

読書感想文の「構成(書き方の順序)」「話の広げ方」「表現方法」などは下記のページを参照。

【最重要ページ】読書感想文で「高得点」を得るためのポイントはこちらのページに書かれています!ダウンロードできる「そのまま使えるテンプレート」「構成のサンプル」もありますので是非活用してください。

読書感想文の書き方のコツ図解
(テンプレート付き)

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読書感想文・用紙と字数のルール その他の詳細
     
    原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
    文字数については下記のとおりです。
    中学生の部:本文2000字以内 
    ※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
    ※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
    詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」

 
便利な文字数カウンター
 

「ある晴れた夏の朝」読書感想文の例文

改行のための空白部分は字数として数えますので、以下の感想文では、既定の2000字を超えてしまいますが、書き方の参考として活用してください。

「ある晴れた夏の朝」を読んで

この本のクライマックスには、次のような一文がある。

「一冊の本には人を動かす力があり、人を変える力もある」

私はこの本に出会い、この一文に何か私の人生に大きな影響を与える何かを感じた。
おそらくそれは「書き残す価値」や「伝え残すことの大切さ」について、それが私の人生のテーマなのではないかという、一種の「気づき」を得たのだ。

考えてみれば、遺伝以外の方法で、次の世代に情報を残せるのは人間だけである。人間は大脳の発達とともに言葉を得、さらに活字という大発明を成し遂げた。これはまさしく生物界で人間だけができる特権といえるものである。この偉大さに本書は気づかせてくれたのだ。

本書の内容は、アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートするというものである。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系とそのルーツはさまざまだ。

この手の作品の場合、一般に、ほぼその本を書いた著者のいる国の視点で描かれるものだが、この作品は、日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれた物語であるところに特徴がある。

私は、この設定に「著者の工夫」の巧みさを感じた。つまり、アメリカという人種のるつぼのような国を舞台にするれば、さまざまな国の立場から「多角的」かつ、それらの意見を通じ「客観的」にこの問題について捉えることができるからだ。

また、テーマの中心は原爆の是非だが、それぞれの登場人物のおかれた立場から、原爆投下に至るまでの真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、更には、アメリカマイノリティなどにも話が及んでいたところに「事実を点で捉えるのではなく流れでとらえること」の大切さに気づかされることとなった。本書を読む前と読んだ後では「先の戦争とはなんだったのか」についての捉え方が複雑になるはずである。

原爆投下が、結果的に戦争の終結を早めたという考え方は、日本人としては受け入れられない考え方であろうが、戦争が続いた場合に仮定される、悲しむことになる「人間の命の数」をトータルで捉えれば、アメリカ人の多数を占める「原爆投下の正当性」にも、真っ向から否定することはできなくなると思う。

ただ、まるで科学実験をする意味のために広島、長崎に原爆を投下した当時のアメリカの考え方は、到底承知できないことには変わりがない。

特に国家間の戦争にまつわる歴史認識は、双方の「思惑」つまりは「政治政策的方向づけ」の違いにより、国は国民に対し、政策を正当化するための「都合のよい情報」しか流さない点に問題があるのだと思う。これは物事は理由付けを変えることで良くも悪くも捉えることができる性質のものだからである。

そうであれば「後だしジャンケン」のように、歴史の理由付けはできてしまうわけであるから、客観視するためには「理由付け」や「意味づけ」に対して、さまざまな視点から考察する必要があり、また、伝えられている情報だけを判断材料にするのではなく、むしろ「意図的に伝えられていない情報」についていも「それはなぜなのか」という視点で考察することが必要になる。

これは、例えば、最近になり日本と韓国の関係が戦後最悪といえる状況にまで冷え込んでしまったが、これも互いの国民の認識している、相手国との歴史の認識や意義に違いがあるからに他ならない。日韓関係の悪化も「判断材料の偏り」が最大の原因なのだと私は思う。

本書を読んで私は、ものごとの論点に対しては「多角的な意見」や「意図的に伝えられていない情報」の存在を知ったうえで、自分の考えを導き出すことの大切さに気づくことになった。それは、本書が初めにも述べた通り、アメリカという多民族の国を舞台に、さまざまな立場からの意見を知ったうえで、一つの論点に対し自分の考えを導き出す「著者の工夫」にヒントを得たからである。

何かの判断をするためには、その前提として「判断材料の正しさ」が必要となるわけだが、その「思考の基礎」というべき判断材料としての「情報」に偏りがあったのでは、当然ながら正しい判断などできないはずである。

また、本書の感想文を書くにあたり、人間の判断について、とても的を射た名言を発見できたことも嬉しかった。その名言とは、コロンビア大学の元学長のハーバード・E・ホークスの次の言葉である。

「この世の悩みの大半は、判断の根拠となる知識が十分でないのに、あえて判断を下そうとしていることから生じる」

なんという素晴らしい言葉であろうか!読書の副次的な効果とでも言えるかもしれないが、この夏、私は冒頭で紹介した言葉とともに、自分の考え方の基礎になる2つの名言に出会えたことに感謝したい。そして、自分も本書の著者のように、価値ある文章を残せる人間になりたいと思うようになった。(1980文字)
 

  ・ものごとは多角的に考えることが大切
  ・判断をするためには判断材料が必要
  ・敢えて知らされていない情報のなかに大切な不都合な真実が存在する
  ・出来事は「理由付け」によって善悪の方向を変えてしまう

2019中学生用のその他の課題図書


「星の旅人:伊能忠敬と伝説の怪魚」(小峰書店)
著者:小前亮・著
本体価格:1,600円
ページ数:280ページ
ISBN978-4-338-08162-7

内容紹介
行方知れずの父を探すため、少年は伊能隊と共に旅をする。没後200年を迎えた伊能忠敬の足跡を少年の視点で描く歴史読み物。伊能忠敬の生い立ちや、時代背景、当時の風俗、測量技術の進化など、解説ページも充実。

内容(「BOOK」データベースより)
数をかぞえながら、一歩ずつ歩くことで、たどりつける場所がある。いかにして日本地図は誕生したのか!?伊能忠敬の足跡とその時代がよくわかる、充実の解説ページ付き!

『星の旅人:伊能忠敬と伝説の怪魚』読書感想文の書き方・考え方の例
 


「サイド・トラック:走るのニガテなぼくのランニング日記」(評論社)
著者:ダイアナ・ハーモン・アシャー・作 武富博子・訳
本体価格:1,600円
ページ数:352ページ
ISBN978-4-566-02459-5

内容紹介
ジョセフは中学一年生。ADD(注意欠陥障害)があり、集中しなくてはいけないときに気が散ってしまう。そんなジョセフが、陸上競技クラブに入ることになってしまい、クロスカントリーに挑戦する。大キライな運動。だけど、最後までやりぬくだけでいい、歩いてもいい、と監督に励まされ、なんとか続けるうちに……読後感さわやかな、楽しい物語。

内容(「BOOK」データベースより)
陸上競技をとおして“大切なもの”をえがく、ユーモアいっぱいの物語。

『サイド・トラック』読書感想文の書き方・考え方の例
「サイド・トラック」読書感想文の書き方の例(攻略法)

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