『最後のオオカミ』読書感想文の書き方の例文【3作品】
こちらでは、2018年の「青少年読書感想文全国コンクール」小学校中学年(3年・4年)用の課題図書
『最後のオオカミ』の「読書感想文の書き方の例」と「着眼のポイント」をご紹介いたします。
最後のオオカミ (文研ブックランド) 111ページ
マイケル・モーパーゴ/作 はらるい/訳 黒須高嶺/絵
商品番号 NEOBK-2179379
本体価格:1,296円 (税込)
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『最後のオオカミ』あらすじと着眼のポイント
『最後のオオカミ』感想文の書き方の例【3作品】
2018年「小学校中学年用」課題図書紹介
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『最後のオオカミ』あらすじと着眼のポイント
まず、押さえておくべきは、この物語は、テート・ブリテン美術館が同美術館所蔵の絵のどれか一点について話を書いてくれるよう依頼されて書いたフィクション(作り話)だということです。ハイ。
この本は、とあるアメリカ人がインターネットで知り合った遠い親戚と、三人で18世紀にスコットランドからアメリカに渡ってきた共通の先祖の足跡をたどる物語です。
三人は、祖先の残した回想録のような遺言書の存在を知るのだが、その遺言書には、どのような経緯でアメリカに渡てきたかが克明に記されていた。
そこには、スコットランドで最後のオオカミとされている一匹のオオカミが射殺され、そのオオカミが残した孤児のオオカミとともにこの地にやってきたというエピソードが書かれてた。
先祖は戦争の渦中の中、孤児という同じ境遇をもつそのオオカミとともに戦禍を免れるために、秘かに船でアメリカに渡ってきたという。
大人になったオオカミは、先祖と別れ野生化したが、後に家族を連れて先祖の前に現れたという記録から、スコットランドのオオカミの血はこの地で受け継がれていることも察することのできる内容だった。
先祖が開いたバーンサイド農場を見つけた三人は、最後にオオカミを見かけた小川に行くことにする。たどりついた農場には年老いた農夫がいたが先祖の名は知らず、オオカミも子供のころに聞いただけという。
そして先祖が最後にオオカミを見たと思われる場所で、先祖とその妻の墓を見つけた。三人は冥福を祈り墓を後にしたのだった・・・(といっても作り話ね)
この「あらすじ」だけなら、スンナリ内容が分かりそうに感じるかもしれませんが、『最後のオオカミ』はエピソードがたくさん盛り込まれ過ぎていて、何について感想を書けばよいのか迷う物語です。小学校3・4年生で、この内容から感想文を書くのは、かなり厳しいと思います・・・(+_+)
ですが、大きなテーマは「家族のつながり」です。
よって・・・
ご先祖様への感謝
自分のルーツを知ることの意義
世代を超えた視点を得ることの意義
伝え残すことの意義
戦争と家族
人間の怖さと優しさ
家族への感謝
今後のペットと人間との関係
死ぬ前に子孫に残したいこと
後悔しない生き方とは
自分の思う「人として意義のある行動や生き方」とは
・・など、自分の感じた「家族のあり方」や自分の思う「世代を超えた価値ある人生とは」などを最終的に伝えることを目的に、掲載されているエピソードなどを引き合いに出し掘り下げていくのがよいでしょう。
また、自分のルーツを知るきっかけとなった「インターネット」の意義や「今後の科学の発展と家族の関係」などの推論を語り、それらを踏まえ、今後の人生をどう生きるべきかを述べるのもよいでしょう。
例えば、歴史をたどる捉え方を「縦の繋がり」インターネットによって、同世代に生きる人たちとのつながりを「横のつながり」ととらえ、今後の人類と情報のあり方を考えるヒントとなった・・といった感想につなげるのもよいでしょう。
インターネットの使い方で、自分の先祖や遠縁の親戚と知り合える事をどう思うか
両親がいない孤児で12歳まで奴隷のように扱われた事をどう思ったか
12歳でおじさんの家を飛び出し、盗みをしながら一人で生きた事をどう思ったか
ショーン・ダンバーとメアリー夫婦との出会いと悲しい別れをどう思ったか
世間ではオオカミは凶暴な野生の犬で人肉も食うと信じられ、見つけしだい殺してきたことをどう思ったか
母オオカミのおかげで自分が助かったので、代わりに子オオカミを育てると決めたことをどう思ったか
マッキノン船長の誘いで船員として自由を求めアメリカに連れて行ってもらえることになった点
「オオカミであろうとなかろうとチャーリーは我々人間と同じ、神の創造物です」についての感想
「幸せでいられるところへ行きな」と足を押しやったのはなぜか
この手記を息子アランとその末裔に残そうと思った理由はなにか
『最後のオオカミ』感想文の書き方の例【3作品】
以下では、『最後のオオカミ』の感想文をご紹介いたします。
また、読書感想文の考え方や書き方を学んでいない方は、まず下記のページをお読みください。「ダウンロードできるテンプレート」も付いています。
『最後のオオカミ』感想文の書き方の例①
まずは、物語の内容から「自分が発見した一点」にスポットを当てた感想文の例です。たった1つの発見を広げるだけでも感想文が書けるという例です。
『最後のオオカミ』を読んで
この物語は、共通の先祖をもつ3人が、先祖の残した回想録のような遺言書の内容に心を打たれ、その足跡をたどるお話です。
私はこの本を読み、人間は「理由付け」の存在によって天使にも悪魔にもなれる存在なのだと感じました。理由付けがあれば、それこそ、この本に出てきたイギリス軍のように殺人でさえ平気でできるのだと感じたわけです。
戦争「だから」敵を殺してもいい。オオカミは人間の敵「だから」射殺する。親のいない子供を面倒を見ているの「だから」叩いて奴隷のようにあつかってもいい。嵐の原因はオオカミのようなあの犬のせい「だから」たたき出すべきだ・・・。このような悲惨な「だから」がこの本の中にはたくさん出てくるのです。
その反対に、ロビーを救って育ててくれた養父のショーンや、その妻メアリーさんは、熱心なクリスチャンだったため、孤児のロビーを育てることは、善いこと「だから」と考え、ロビーを愛情いっぱいに育ててくれたのだと思います。
また、孤児になったオオカミを助け、一緒にアメリカに渡ったロビーも、反乱軍の自分と嫌われ者のオオカミ、そして共に孤児であるという、おなじような境遇「だから」一緒に生活していこうと思ったのでしょう。
これらのエピソードを読み「理由付け」は人間の心から「不安」や「恐怖心」や「疑問に思う気持ち」を取り去る力があると感じました。なぜなら、普通の心理状態では、人を殺すなんて絶対にできないのに、今は戦争中「だから」という理由付けがあれば、それほど疑問に思わず、殺人を犯してしまうからです。
理由付けは自分の心に「正当性」や「正義感」などを芽生えさせ、行動に疑問を抱かないようにする力があるのだと思います。言い換えれば「理由付け」には「人を安心させる力」があるのだと思います。
また、先祖を探そうとした三人の行動も、実は同じような心理が隠されていたように思えました。彼らもまた「自らの存在の根拠」を探そうとして自分たちのルーツを探そうとしたからです。
つまり、自分が現在いるのは、先祖がいたからこそであり、それは、いわば「存在の理由付け」により「安心」を得るための行動に思えたのです。自分のルーツを知ることは「自分が存在することへの正当性」であり「生きてもよい理由」ともいえるでしょう。
私はこの111ページの本の中から、とても重要な教訓を学びました。それは、始めに述べた通り、人間は「理由付け」があれば、天使にも悪魔にもなれるということです。「理由付け」は人に「安心」と「自信」を与え、行動を促す効果があるということです。悪事に対し「都合のよい理由付け」を得た場合、それは「ためらいのない悪」を生むということです。
私にとってこの本は、以上のような生きていくうえで最大級の気づきを与えてくれた一冊となりました。小学生でこの本に出会えたこと、そしてこのような考え方に気づけたことに感謝したいと思います。(1196文字)
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『最後のオオカミ』感想文の書き方の例②
『最後のオオカミ』を読んで
アマゾンのこちらの長文のレビュー(書評)も参考になります。
製作中です・・完成しだい掲載いたします。
『最後のオオカミ』感想文の書き方の例③
『最後のオオカミ』を読んで
製作中です・・完成しだい掲載いたします。
2018年「小学校中学年用」課題図書紹介
『最後のオオカミ』のほか、次の3冊が課題図書です。