『ワンダー』あらすじと読書感想文の書き方の例
こちらでは、2016年の
「第62回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校高学年(5年・6年)用の課題図書である
『ワンダー』の「あらすじ」と「読書感想文の例」をご紹介いたします。
ワンダー
(ほるぷ出版)421ページ
著者:R・J・パラシオ・作 中井 はるの・訳
本体価格:1,500円
ISBN978-4-593-53495-1
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
『ワンダー』あらすじ&登場人物
『ワンダー』読書感想文の例
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『ワンダー』あらすじ&登場人物
「きっとふるえる― オーガストは普通の男の子。ただし顔以外は」オーガスト(オギー)は10歳の小さな男の子。生まれつき下顎顔面異骨症という障害があるオーガストは、人にこわがられたり、ぎょっとされたりすることが多かった。10歳ではじめて学校に通うことになったが、生徒たちはオーガストの顔を見て悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。一方で、オーガストの話を面白いと感じる同級生は少しずつ増えていった。そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる……。
【ねたばれ】
オギーは春の野外学習のキャンプで他の学校の2学年上のツッパリグループにからまれてしまいます。そこへオギーと友達のジャックをいじめていたグループの3人がオギーを助けてくれます。でもオギーも年上のツッパリたちに『ぼくたち、きみらより小さいんだぞ』とあとに引かなかったと学校中から仲間と受け入れられます。
オギーを最後まで意地悪く思っていたジュリアンは転校する事にしました。オギーは学年末の修了式で『もっとも偉大な人とは、自分自身の魅力で多くの心を動かす力を持っている』ヘンリー・ウォード・ビーチャー賞を受賞します。オギーはママに「学校に行かせてくれてありがとう」と言い、ママは「うちの家族に生まれてきてくれて…そのままのあなたに、ありがとう」といいます。
【登場人物】
オギー
誰もが一目見てギョッとする顔の障害を持つ男の子です。5年生まで学校に通った事がなく、顔の障害の手術を生まれてから27回してきた。でも勉強もできて、ユーモアのセンスもあり、家もお金持。皆を笑わそうとしてくれる優しいパパ、いつもオギーを最優先して大切にしてくれるママ、美人でオギーを心から愛してくれるお姉さん、オギーの顔なんて全く気にせずベロベロなめてくれる犬のデイジー。学校には最初行きたくなかったし、ジャックに裏切られてショックを受けたが仲直りしたり、サマーと言う女の子と仲良くなったりといじめはあるものの学校生活を過していく。
ヴィア(オリヴィア)
美人で頭も良くオギーに優しい高校生のお姉ちゃん。でも友人関係の悩みがあってもオギー最優先の両親でずっと我慢してものわかりよく、何でも自分できるように努力してきた。オギーを愛しているけど「私=奇形の子のお姉さん」とされる事が嫌だしそんな自分にも自己嫌悪もしてしまう。ヴィアの気持を唯一わかっているおばあちゃんは「ヴィアが一番」と言ってくれたのですが死んでしまいヴィアは今も悲しんでいる。
サマー
オギーに積極的に声をかけて友達になったキレイな女の子。オギーの顔にかかわらず「かわいそうだから」と思える優しい子。でも陸軍軍人だったお父さんは死んでしまっていない。
ジャック
オギーの友達。トゥッシュマン校長から「親切ないい子」だからとずる賢いジュリアンと良い子ぶりっ子のシャーロットと共にオギーの学校見学案内を頼まれる。実は5歳くらいの頃アイスクリーム屋の前でオギーに会ってり叫んでしまった事に罪悪感やかわいそうだと思える優しい子。オギーの魅力から友達になって楽しいと感じていたが、まわりにつられてオギーの悪口を言っていたのを聞かれ絶交状態に。ジュリアンの家は少し貧乏で勉強もあまり得意ではない。嫌いな理科でチーム分けがあり、ジャックが「無理して奇形児と仲良くしなくていい」とジュリアンに言われ彼の裕福さや言い草への嫌悪感も重なり殴ってしまう。それがきっかけでオギーとの友情は戻るがジュリアンとは戦争状態になる。
ジャスティン
オリヴィアの彼氏。物静かで長髪に小さな丸眼鏡でヴァイオリンを弾く。オギーの事は聞いていたのでオリヴィアの為にも受け入れようと冷静に対応する。オギーの家族にも温かく歓迎され、4歳の時に両親が離婚してまったく責任放棄されてきていたので自分の家族と比べてしまう。高校の劇の発表があり「弟のことを恥ずかしい」と思い両親に話せない事、自己嫌悪しながらも今まで苦労してきたオリヴィアの気持がわかり守ろうと誓う。 オリヴィアと仲たがいしているミランダは「この世界はオギーにやさしくなかった」とは言い、たしかにオギーは産まれてる時に悪いのに当たった運だと思うものの、いちずに愛してくれる両親、抱いた気持を申し訳なく感じる姉、他には友達を失った男の子、会えなくても写真を財布に入れて歩く女の子もいて、世界は結局差し引きすると公平になると気づく。そんなジャスティンも戦争中のジャックの為に密かに力になってあげる。
ミランダ
ヴィアの幼馴染み。高校に入って髪をピンクに染めたりして少し不良になる。ミランダが変わったことで友達付き合いをしなくなる。実は高校に入る前にお父さんが浮気して離婚。お母さんはミランダによそよそしくなり、一人になりたいお母さんに無理矢理サマーキャンプに行かせられ、その場で自分がオギーの姉であるようなウソをついた。なのであれこれ聞いてくるヴィアと話す気になれなかったのが本音。6歳の頃からオギーを知っていて弟だと思うほど愛していて宇宙飛行士のヘルメットもプレゼントしたり、ヴィアに内緒で電話したりする。でもヴィアを意識して同じ演劇の授業をとり、奇形の男の話『エレファント・マン』の劇を内緒で変更させたりした。劇初日お父さんは再婚相手が赤ちゃんが生まれそうだしお母さんも仕事、カッコいいけど思いやりのない彼氏も友達誰も来ないけどヴィアの家族全員が来ているのを知り、ウソをついてヴィアに主役を譲る。ヴィアとつきあいをやめて一番恋しかったのはヴィアの両親で世界中のどこより安心と思うことを情けなく思っていた。
『ワンダー』読書感想文の例文
小学校高学年(5年・6年)の課題図書で求められる文字数は、本文1200文字以内となっています。
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
次の感想文は、空白をカウントせず、本文の文字数だけで2518字ありますので、字数はオーバーしていますが参考にしてください。
『ワンダー』を読んで
オギーのような特別の子がいる生活だったら、私は誰の立場だろう?と真っ先にそう思いました。
この物語はオギーが主人公ですが、彼を取り囲む家族や友人たちもその人たちの立場からオギーへの気持ちやそれぞれ抱える問題や悩みも語られています。
オギーの顔は目が普通の人より3センチ下にあって鼻がすごく大きくて『どう想像してもそれよりひどい顔』です。たしかにかわいい子やかっこいい顔の子は得だし、モテてるし楽しそうだしなんか強気です。ブスって言われたら傷つくし言われなくても自分の顔で気に入らない所もあります。でも私の顔を見てギョッとされたり叫ばれるレベルではないので普通の顔なのだと思います。きっと人に驚かれたり怖がられたり気持悪がられたり、バイキンあつかいされたらすごく傷つきます。やはり守ってくれる家族がいないと生きるのが辛いし学校にも行きたくなかった気持もよくわかります。
でも私はオギーの周りの人は普通の顔でも守ってくれるお父さんが死んでしまっているサマーや、関心も持たれないヴィアやジャスティン、親に投げ出されてしまったミランダはオギーよりかわいそうな所もあるように思いました。なぜならオギーは家族はオギー中心に大切にしてくれるし、家もお金持ちで貧乏なジャックが買ってもらえないいろいろな物を持っているし、頭も良いし、おもしろい性格で顔以外はけっこう幸せだからです。友達になったジャックやサマーにも『オギーはイケてる』とおもしろがられているし、だんだん他の子もオギーのおもしろさを好きになっていきました。
ジャスティンは頭のいい人なので一人だけその事に気が付きます。『世界は結局差し引きすると公平になる』と。オギーのために少し悲しい思いをしている子がいる事にも気が付きます。そう考えるとものすごく不幸に見えるオギーはある意味、美人やかっこいいヴィア、サマー、ジャック、ジャスティン、ミランダよりも幸せな子だし、不幸だけど周りの人の気持は考えないんだなも思いました。オギーになるかその他の子になるかと聞かれたら、あまり幸せじゃないけどちゃんと人の気持ちがよくわかるジャスティンになりたいと思いました。
もうひとつ気になったのは、意地悪なジュリアンです。校長先生が学校案内の時になぜジュリアンを選んだのかわかりませんが、最初に『なんでそんな顔になったんだ?』と聞いたのは本当に意地悪な気持ちから聞いたのかな?と思ったのです。オギーも三人も緊張するのは仕方がないですが、その質問をした時にジャックもシャーロットもジュリアンに失礼とか意地悪とかだまってろとかキツく言います。たしかに初対面で聞いてはいけなかったのかもしれないけど、もしその時にオギーがちゃんと顔のことを説明していたら仲が悪くならなかったかもしれないと思ったからです。なぜならばオギーと仲良くなったジャックは『ずっとこの顔のままなの?整形手術とかは受けないの?』ともっとスゴイことを聞いて手術後の顔だと聞くと『おまえ医者を訴えろよ!』と二人で大笑いしています。話の内容はジュリアンよりヒドイと思うのですが友達になる前だと意地悪で友達だと笑い話になります。ジュリアンはズケズケ言ってしまったけどオギーに興味があったのはたしかだし、オギーも心を開いていたら友達になれていたのかもしれません。空気とかタイミングを読むのはとても難しいですが、初対面の誰かと仲良くなるというのはお互い空気を合わせていかないといけないので難しいと思いました。
オギーは春の野外学習のキャンプで他の学校の2学年上のツッパリグループにからまれてしまいます。偶然近くにいたそれまで戦争していたエイモス、マイルズ、ヘンリーに助けられた事がきっかけで意地悪なのはジュリアンだけになります。ツッパリと戦って逃げれたのは他の4人のおかげです。でも『ぼくたち、きみらより小さいんだぞ』とあとに引かなかったからオギーはスゴイ、勇気あると学校中の生徒がバイキン扱いしていたのに知りもしない運動部の花形選手もグータッチするようになりました。この件に関係ないジュリアンだけがいじわるそうにオギーを見るけど、少しこの気持もわかります。他の生徒だって今まではオギーに優しくないし、バイキン扱いしていたのにそれを反省している様子もなく仲間として受け入れるというのが、私がオギーに近づかない生徒の一人だったら恥ずかしくてできません。オギーも複雑じゃないのかな?と思いました。でもそういう感覚はやはりアメリカの本だからかな?とも思いました。
オギーは特別に不幸だけど、特別に幸せな子でもあります。障害のせいでなかなか周りに受け入れられないし、怖がられますし、友達には裏切られるようなショックも受けます。ですが普通の子でもオギーのように吐きそうになるほどショックな出来事の経験や不幸な所もあるし、当たり前だと思っている事も実はとても幸せな所だったりするそんな生活をするのかもしれません。でもオギーは絶対味方になってくれる家族と少数でもやさしい周りの人に受け入れられたから、少しずつ勇気が出て『自分自身の魅力で多くの心を動かす力を持っている』賞をもらえる事になったのです。それはオギーだけの力ではなかったと思います。オギーは大きな障害があるけど、やはりたくさんの人に支えられていると思うからです。人って優しくされたり愛されると自分も優しくなれるし、才能も出てくるような気がします。誰にでも親切にするのは大切なことだし、そうした方がいいのはもちろんです。そして初めて会う知らない人ってこわいと感じる事もあります。でも自分から誰かに好意を持ってこわがらずに話しかける事、そして仲良くなることは普通のことのようだけどとても大切なのだと思いました。物語だからオギーは実在しないけど、オギーには顔以外は恵まれていると気づいてほしいし、私自身も悩みより今もっているかもしれない幸せに感謝した方がもっと明るく楽しく暮らせるのではないかなと思いました。そして私はやはりジャスティンのように色んな事を冷静に見れて、普通の人の悲しさも理解できて優しくできる人になりたいと思いました。
(文字数2518)
「内閣総理大臣賞」受賞『ワンダー』読書感想文
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感想文をの宿題には、とても辛い思い出があります。でも完成したときはとても嬉しく思えたのも事実。みなさんも頑張ってください。m( _ _ )m