『白いイルカの浜辺』あらすじと読書感想文の書き方の例


こちらでは、2016年の

「第62回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生用の課題図書である
『白いイルカの浜辺』の「あらすじ」と「読書感想文の例」をご紹介いたします。


白いイルカの浜辺 
(評論社)294ページ
著者:ジル・ルイス ・作 さくま ゆみこ・訳
本体価格:1,600円
ISBN978-4-566-01394-0

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『白いイルカの浜辺』あらすじ

読みやすさ度(5点満点中 ☆☆)
主人公とその父はディスレクシアで、海洋生物学者の母は謎の失踪。家庭は困窮。主人公の友人となる少年は脳性麻痺、そこに母とはぐれ、魚網が引っ掛かって怪我をした白いイルカが打ち上げられ、おまけに地元は珊瑚礁を破壊する底引き網漁をしようとしている。

【ねたばれ】

主人公カラとその父の難読症という障害、母親の疾走、友達の脳性まひという障害、家族のきずな、イルカの保護、環境問題、地域権力者との対立などテーマが盛りだくさんで全体に重い内容です。16章からやっとイルカが登場し物語が展開しだします。
主人公カラも物語の初めから暴力的で自分勝手な性格で共感しにくいところがあります。ですがイルカが登場してから話が進展するので後半の方が読みやすいです。またザッと内容をつかむ分にはかなり飛ばし読みでも内容は理解できます。

さまざまな問題もカラと対立していた男子生徒2人をカラと脳性まひのフィリップ、そして白いイルカが救うことで、その父親が地元の海の環境破壊になる漁をしないと改心します。その父親が言った「真実はいつも目の前にあった」との言葉と母イルカが死んだ白いイルカも強く生きていることから、カラも母親が死んでいるだろう事と母親をリスペクト崇拝しすぎることを止め、等身大の母親として受け止めることにした。
父親も得意の船作りの職業訓練を受けれることになり、将来の見通しも立ちそうなのでおばさんの家の居候を終えてトレーラーハウスに引っ越すことに。
私もイルカも母親はいないけど一人ぼっちじゃない、広大な青い海がイルカを待っている…これははじまりにすぎない。

と、主人公カラはイルカと自分を重ね合わせて考えて終わり。

【登場人物】

カラ・ウッド
主人公、父親と同じ難読症(ディスレクシア)。母親が海洋系環境保護活動家でそのせいで同じ学校のジェイク、イーサンと険悪の中。カラも暴力的で自分勝手な性分もあり性格に難あり。父親の稼ぎが悪いため出産間際のペギーおばさん宅に親子で居候させてもらっている。母親を尊敬しているがいなくなって1年。母イルカの死んだ白いイルカと自分を重ね合わせている。モアナ号の操縦ができる

カラのお父さん ジム・ウッド
難読症の為、仕事に就けず失業中。カラとペヴ叔母さんの家に居候中。船の運転は得意だが、お母さんの借金があるのでカラの家の船「モアナ号」を売りに出している

カラのお母さん ケイ・ウッド
海洋生物学者でクジラとイルカを守る慈善団体で働いていた。テーマパーク用のイルカ捕獲を止めさせようと仲間とソロモン諸島に行き行方不明になって1年たった。イルカ保護活動費の借金を残した。

フィリクス・アンダーセン
小児麻痺の転校生。体は不自由だが、泳ぐ事もボートの運転もパソコン操作知識もあり、イルカ保護のための少々生意気だが優秀。泳ぐ事も出来るし、小型ヨットのセーリングでパラリンピックに出るのが目標。それでも「海に出れば、おれは自由なんだ」というので障害があることで自分にはできない事があるのも自覚している。

フィリクスはこの物語の中でキーワードになるような名言を残す

P81・3行目「だってさ、もしだれかがおれをからかって楽しいとすりゃ、そいつの方が問題を抱えてるってことだろ。たいしたことじゃないんだよ。」

P114・10行目「わかんないよ。でも、それがほんとに大事なことだとすると、おれなら、戦わずにあきらめたりしないね」

P229・6行目「海に出れば、ほかの人にできることは何でもできる。まるで船が自分の一部みたいな気がする。」…「海に出れば、おれは自由なんだ」

マット・アンダーセン(フィリクスの父親)
ロンドンでソフトウェアの会社経営をしているがフィリクスの為にカラの住む海沿いの町に引っ越してきた。良い人。モアナ号を買おうか検討する
サラ・アンダーセン…フィリクスの母。フィリクスの健康を考えロンドンから引越てきた。フィリクスの事を心配している。

デイジー
カラとお父さんが居候しているペヴ叔母さんの娘。カラにかわいがられている。小学生で明るく健やかな性格で食いしん坊で太っている。カフェでジェイクとイーサンにからかわれていたフィリクスを助けるが逆に「デブの要請に助けてもらわなくていい」と言われ傷つく

ペヴおばさん
お父さんの妹、妊娠中。厳しい事を言うがカラの事を心配、世話してくれる
トムおじさん…ペヴおばさんの旦那。タギー・エヴァンスに雇われている漁師。物静かだが割と聡明なのでペンルーナさんの事を「意外とまともかも」と

ジェイク・エヴァンス
カラと対立。カラと対立した時にケガを負わされる。兄のアーロンは海難事故で死んだのがカラの母親のせいと恨んでいる

イーサン
ジェイクの友達。一緒にカラをいじめている

タギー・エヴァンス
ジェイクの父で地元のトロール船底引き網漁の元締め。サンゴ礁を根こそぎさらいホタテをとるので海洋環境破壊になり保護派と対立している。長男のアーロンはトロール船に乗っていて大波にさらわれ死んだのはサンゴ礁に近い海岸沿いじゃなかったからだと重い、その原因がサンゴ礁の調査で十年底引き網漁を禁止させたカラの母親のせいだとして(エコにとりつかれたよそ者)と目の敵にしている

ペンルーナさん
鳥おばさん、魔女と言われる灰色の長い髪と黒いショールの怪しいおばさん。抽象的だが動物の言葉やカラのお母さんのメッセージなどを抽象的に霊視する。頭がおかしいといわれ施設に入っていた。本人も言われている事を自覚している。

カール
元海洋生物学の学生でボランティアで海洋生物の保護をしている。カラからの知らせで重傷の白いイルカを保護してくれる。イルカとサンゴ礁を守るためのプロジェクトで代表で壇上に立ってくれる
グレック…カール同様ボランティア、カール同様プロジェクトを手伝ってくれる。

サム
イルカの獣医

カーター先生
カラの生活指導の先生。ジェイクに聖書でケガさせた謝罪と壊した聖書の修理をするようにカラを諭そうとする。フィリクスにイルカ保護の事を聞き協力を申し出てくれる。

ベイカー先生
カラの難読症のケアの先生

クローイ
カラの友達、妹のローレンはデイジーの友達。父親はタギー・エヴァンスに雇われている漁師。イルカ保護を協力してくれる
エラ…カラの友達、イルカ保護を協力してくれる

この作品の感想のポイント!

障害、友情、家族の絆、環境問題と、ちょっと盛り込みすぎたせいで、母の失踪が消化しきれず終わったし、悪役(としか言い様のないキャラクター設定)親子はあっさり改心するし、白い魔女的なペンルーナさんも生かしきれていない。母とはぐれた白いイルカは主人公と同じ身の上で、だからこそ主人公の思い入れもひときわなわけだが、テーマがとっ散らかっていて、どんな感想を持てばよいのか迷う作品です。

という訳で、この作品に関しては感想を持つ人物・出来事などは「的をしぼる」のがオススメです。
今回の感想文例文についてはカラ・母親・ダギー・フィリクスに焦点を絞りました。
 

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『白いイルカの浜辺』読書感想文の書き方の例

中学生の課題図書で求められる文字数は、本文2000文字以内となっています。
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

次の感想文は、空白をカウントせず、本文の文字数だけで2400字ありますので、字数はオーバーしていますが参考にしてください。

便利な文字数カウンター
 

『白いイルカの浜辺』を読んで

主人公カラの生活は多くの問題や悩みを抱えています。母親の失踪、母親のせいでいじめに合う事、母親のせいで借金があり、父親も失業中のこと、カラと父親は難読症という障害があり、父親はそのせいで再就職が難しいことなどです。生活があまり上手くいかないせいか、カラはいじめてきたジェイクに大けがを負わせ、しかも謝罪も反省もしないと意地を張るカラ。からかわれたとは言え暴力的だったり、自己中心的なカラの性格には好意的には感じられませんでした。

そんなカラが誰に影響を受けたかというと海洋生物研究社の失踪中の母親です。カラの母親は1年前にイルカ保護活動の仲間と共に、旅行代としゃれた潜水具代の借金を残したまま失踪してしまいました。1年も見つからないのだから誰もがもう亡くなっていると諦めているのですが、カラだけは「いつかお母さんから連絡が来る」とかたくなに受け入れようとしません。

『イルカが天使の使いである』そして大好きな海の環境を守りたい純粋な思いは美しいのですが、カラの住む漁業の町は魚が取れづらくなってきていて、ジェイクの父親の網元ダギーはサンゴ礁を削りながらホタテをとる底引き網漁を推進したいという思惑があります。カラの母親がサンゴ礁の調査の為に底引き網漁を禁止していたので当然敵対し、ダギーから悪く聞かされているジェイクはカラ家族を悪く言うのです。

ですが私はカラもジェイクもどちらの意見にも気持はわかるものの、どちらも極端な考え方だと思い善悪を決める気持にはなれませんでした。
なぜならばカラとタギーは子供と大人であり、考え方も両極にいるようですが、実は似ていると思ったからです。それは両方ともカラの母親の影響だからです。

カラの母親はエコロジストなので物語の中では保護することのみ、地元の漁業で暮らす人の気持や生活のことまで考えていません。子供のカラにはもちろんそんなことは考えられませんが、カラのすべてはあくまで「お母さんが正義」で誰の言葉も現実もカラは受け入れません。

ダギーは長男のアーロンを遠洋の海で亡くしています。それはサンゴの保護のために近海で漁ができなかったからだと自然保護派のカラの母親を逆恨みしています。漁の仕事をしていながら『海全体を、そこに暮らす生き物ごとずたずたにしかねない』と思われるほど、底引き網漁に執着をもっています。カラの居候先のベヴおばさんには『イルカを救出しに行くことが、夫と子供をほおり出す理由になるのかい?』と怒りますが私もその通りと思います。カラの母親はカラ同様、全体の平和や違ったものの見方が出来ないと思えるからです。

私ならイルカもサンゴも守り、地元の漁師も儲ける方法を考えたいと思いました。なぜならばどんなに意見の合わない人でも他人でもやはりだれかの不幸の上に自分の幸福は成り立たないような気がするからです。

この物語を読んで一番共感し、すばらしいと思ったのは脳性麻痺のフィリクスです。フィリクスとカラも友達であっても両極にある考え方の人間です。フィリクスは体の障害とは関係なく、優秀で文武両党で時にハッとさせられるよなセリフを言います。だからこそジェイク達にバカにされても『(障害者の)俺を笑うそいつの方が問題を抱えてるだろ』『ほんとに大事なことだとすると、おれなら、戦わずにあきらめたりしない』『海に出れば、おれは自由なんだ』などです。もちろん障害のせいで出来ない事もたくさんあり、悔しい思いや悲しみも背負っています。

フィリクスはカラと白いイルカやサンゴを守るため困難に立ち向かいます。家庭環境のおかげか?情報にたけていて困った時の対処ができたり、すぐに行動も出来る積極性もあります。障害に閉じこもることなく社会に関心を持ち、知識を増やし、行動する勇気があるフィリクスは世の中には可能性がある事、現実的に夢をつかむために努力します。サンゴとイルカの保護活動を活発化しようと提案したフィリクスに対し『そんなのムダだよ』『私たちのイルカだ』と行動もせずに弱音や独占欲、不満や苛立ち、人との対立しかしないカラの方が不自由な人のように思えました。
もしフィリクスが大人で最初からこの問題と向き合っていたら、誰かが負けるのではなくより良い方法を感がるのではないかなと思いました。

そんなカラも嵐の日に出向するジェイクとイーサンをフィリクスと助けた事でダギーの気持を変えることができました。ダギーにしてみたら唯一残った息子のジェイクを亡くした悲しみ、その復讐のような底引き網漁でもそれをやり続けるジェイクの未来には何も残してやれない時がついたからです。ダギーは『真実はいつも目の前にあった…見ないようにしていたんだ』と言います。それはカラにも気づきを与えます。母親の死と必要以上に尊敬しすぎていた事、自分たちを置いて行った事、自分たちでも海を守れる事です。

白いイルカが母イルカが死んでしまっても仲間と立派に生きて行くように、母親がいなくても自分にもたくさんの仲間がいるとも気がつき、カラはやっとこれから人の言葉や気持を分かる人間になれる感じがしました。
悲しみは強いと怒りや憎しみに変わるような気がします。そして自分の中に閉じこもり、人の言葉を聞かない、聞こえない人間になるのだと思いました。でもフィリクスのように一生逃れられない悲しみがあっても、それを乗り越え、寄り添いながら幸せになる方法もあるのです。カラとフィリクスの違いは自分を立ち上がらせる勇気なのだと思いました。

私はこの物語から学んだことは大きな問題を解決するにはチャレンジする事、ありのまま現実を見ること、そうしたら一見関連のない問題でも根っこの部分ではつながっている他の問題も解決するのだと気づきました。もし私の人生になにか悲しい事が起きたとしても不自由な人にはなりたくない、勇気を持てるように生きたいと思いました。(2400文字)

アマゾンのレビュー(書評)も参考になります!
『白いイルカの浜辺』アマゾンレビュー

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読書感想文 課題図書2016一覧(ページ数つき)
 
感想文をの宿題には、とても辛い思い出があります。でも完成したときはとても嬉しく思えたのも事実。みなさんも頑張ってください。m( _ _ )m
 

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