『モンテ・クリスト伯』あらすじ・読書感想文の書き方8例


『モンテ・クリスト伯』日本では『巌窟王』の名称でも知られているアレクサンドル・デュマ・ペールによる小説です。
この物語は一言でいうと世界文学に残る壮大無比な復讐劇です。何度もドラマや映画化・アニメ化されている『モンテ・クリスト伯』ですから、読書感想文には最適な作品となります。
2018年のフジテレビ春ドラマ木曜劇場『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』として放送され、イケメン俳優が山ほど登場しますから見逃せません。

ドラマは現代日本での設定になりますが、大体の『モンテ・クリスト伯』のあらすじを知っていると読書感想文も書けちゃいます。

こちらでは
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『モンテ・クリスト伯』登場人物
『モンテ・クリスト伯』あらすじ(ネタバレ)読書感想文の書き方
『モンテ・クリスト伯』読書感想文の書き方8例

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『モンテ・クリスト伯』登場人物

 

 
【モンテ・クリスト伯爵と仲間】~~~~~~
モンテ・クリスト伯爵 / エドモン・ダンテス・・・柴門暖(さいもん だん)/ディーン・フジオカ
モレル商会の一等航海士。20歳前にして船長昇格と恋人メルセデスとの結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、策略にはめられ無実の罪でシャトー・ディフの土牢に14年獄中生活を強いられる。獄中で出会ったファリア神父から引きついだに莫大な財宝を手に仇敵への復讐を誓う。

ファリア神父
イタリアの神父。
古文書を解読でモンテクリスト島の財宝を突き止めるが政治犯と間違われ逮捕収監される。
看守たちから狂人と扱いされていたが、ダンテスと知り合い知識を与え財宝の在り処を託し息を引き取る。
 
エデ
ギリシアのジャニナ地方の太守アリ・パシャの娘。
軍人時代のフェルナンの裏切りによって父親を殺害され、奴隷の身分に貶められてしまう。
モンテ・クリスト伯爵に救出され庇護される。フェルナンを告発し失脚させる。
モンテ・クリスト伯爵を愛している。

ジョヴァンニ・ベルトゥッチオ
モンテ・クリスト伯爵の家令(皇族などの家の会計係)

ジャコポ・マンフレディ
シャトー・ディフを脱出し漂流したダンテスを救った、密輸船ジュヌ・アメリー号のコルシカ人船員。

ルイジ・ヴァンパ
イタリアの山賊。

【モルセール家】~~~~~~~~
フェルナン・モンデゴ / モルセール伯爵・・・南条幸男/大倉忠義
漁師。従妹のメルセデスの婚約者ダンテスを亡き者にしようとダングラールと共謀しダンテスを陥れた。
メルセデスと結婚し、一人息子アルベールをもうけ、要領良く出世し、貴族院議員の地位を手に入れる。

メルセデス・・・目黒すみれ/山本美月
ダンテスの婚約者。ダンテスが投獄された後間も無く従兄のフェルナンと結婚する。
結婚後もダンテスのことを忘れることは出来なかった。

アルベール
メルセデスとフェルナンの間に生まれた青年。
ダングラールの娘ユージェニーが許嫁だが、お互い結婚に乗り気ではない。

【ダングラール家】~~~~~~~
ダングラール・・・神楽清/新井浩文
モレル商会の会計士。ダンテスの出世を妬み、帳簿の不正を知られていたためフェルナンと共謀してダンテスを陥れる。
銀行家にのし上がり、貴族の未亡人と再婚して男爵の地位を得る。
娘ユージェニーをアンドレアと結婚させ結納金で再帰を図ろうとする。

エルミーヌ
ダングラール男爵夫人。
再婚前はヴィルフォールと愛人関係にあった。
金欲が強く男好きで評判の良くない女。

ユージェニー
ダングラールとエルミーヌの娘。
フェルナンの息子アルベールが許嫁だが、お互い結婚に乗り気ではない。
アンドレアと結婚が決まるが…。

【ヴィルフォール家】~~~~~~~
ジェラール・ド・ヴィルフォール・・・警察官・入間公平/高橋克典
マルセイユの検事代理。出世の為に無実のダンテスを投獄する。
その後は法曹界の頂点・検事総長に就く。

ノワルティエ
ヴィルフォールの父。
反王党のジロンド党員で、ナポレオンから彼に宛てられた手紙がすべての始まりになった。

エロイーズ
ヴィルフォールの後妻。
実子のエドゥワールを溺愛し、先妻の子ヴァランティーヌを疎んでいる。

ヴァランティーヌ
ヴィルフォールと先妻ルネ・ド・サン=メラン の娘。
父が決めた婚約者フランツがいるが、密かにマクシミリアンと恋愛関係にある。

エドゥワール
ヴィルフォールとエロイーズの息子。
母に溺愛され我儘で残虐な子供に育っている。

【モレル家】~~~~~~~
ピエール・モレル・・・社長・守尾英一朗
マルセイユの貿易会社モレル商会の経営者で、ダンテスの雇主。
投獄されたダンテスを救おうとしたが、反政府派と見なされて辛酸を嘗める。
以降、急激に会社の経営が傾き破産に追い込まれる。

マクシミリアン・・・守尾信一朗/高杉真宙
ピエールの息子で軍人。幼い頃、ダンテスが遊び相手になったことがある。
ヴァランティーヌと愛しあっている。

ジュリー
ピエールの娘でマクシミリアンの妹。

エマニュエル・エルボー
モレル商会の事務員。商会が破産の危機に瀕した時も最後まで残った一人。

コクレス
モレル商会に勤める隻眼の老人。商会が破産の危機に瀕した時も最後まで残った一人。

ペヌロン
沈没当時のファラオン号に乗っていた老水夫。

【その他】~~~~~~~
ベネデット / アンドレア・カヴァルカンティ・・・安堂完治/葉山奨之
ヴィルフォールとエルミーヌの間に生まれた不義の子供。
生後すぐ絞殺されて庭に埋められたが、ベルトゥッチオによって助け出されベネデットと名付けられる。
しかし非行に走り、殺人など悪事を重ねる。収監されていたところをモンテ・クリスト伯に探し出され「カヴァルカンティ家の嫡子」に扮して社交界に入りユージェニーと婚約する。

ガスパール・カドルッス
ダンテスの隣家に住んでいた仕立て屋。
お調子者の小悪党で、ダングラールの悪巧みを知りながら真実を言えなかった。
変装したダンテスに真相を語った代償でダイヤモンドを贈られたが欲が出て宝石商のジョアネスを殺害、投獄される。
獄中で会ったベネデットと脱獄後、彼の正体をネタに脅迫し逆に殺される。

ボヴィル
刑務検察官。ダンテスがいた監獄へ巡視に訪れ、ダンテスから無実を訴えられたが何もできなかった。
モレル商会の債権者でダングラール銀行の高額預金。両者の盛衰に振り回される。

【アルベールの友人】~~~~~~~
フランツ・デピネー・・・男爵、ヴァランティーヌの婚約者。
リュシアン・ドブレー・・・内務大臣秘書官。エルミーヌと組んで投機事業を行っている。
ボーシャン・・・反政府派の新聞記者。
ラウル・ド・シャトー=ルノー ・・・男爵。

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『モンテ・クリスト伯』あらすじ(ネタバレ)

 

物語の舞台は19世紀前半、革命後の激動するフランス。無実の罪で14年間孤島の牢獄に閉じ込められ、いいなずけと自らの未来を奪われた青年エドモン・ダンテスは、思わぬ幸運で脱獄、巨万の富を手に入れモンテ・クリスト伯爵と名乗ります。ダンテスは知力と財力を駆使し、自分をおとしいれた3人の男たちに完璧な復讐を遂げていきます。

≪謀略により逮捕される主人公ダンテス≫
19歳の船乗りエドモン・ダンテスはナポレオンがフランス帝国の皇帝位を逐われてエルバ島へ追放されていた頃、航海中に死んだ船長の遺言でエルバ島に立ち寄り、ナポレオンの側近のベルトラン大元帥から、パリのノワルティエという人物に宛てた手紙を託される。
航海から戻ったダンテスは、船主のモレル氏から新たな船長への昇格を約束され、恋人メルセデスとの結婚も決まっていた。
しかし帆船の会計士のダングラールはダンテスの出世を妬み、メルセデスが好きなフェルナンと共謀し、検事のもとにダンテスを政治犯として陥れる計画を企てる。
「ダンテスがナポレオン義弟ミュラからナポレオン宛ての手紙を委託されてエルバ島に届け、代わりにナポレオンから支持者に向けて送った秘密文書を預かった」という内容。
ダンテスは婚約披露のパーティーの最中に逮捕されてしまう。

≪収監、そして脱獄≫
ダンテスを取り調べたのは検事代理ヴィルフォールだった。
何も知らないダンテスは潔白を主張するが、ヴィルフォールが手紙を確認すると宛先ノワルティエとはヴィルフォールの父親であり、しかもナポレオンの復権準備を命じる指示書であった。
「身内に反王政支持者がバレたらヤバい」とヴィルフォールは、手紙を隠滅、宛先を知るダンテスの口封じのため、政治犯様の海上牢獄に生涯出所できないよう手配する。

それから14年、ダンテスは土牢の奥で無為の日々を過ごし餓死自殺を図るなどしていた。
ある日隣の独房に投獄されていたファリア神父が脱獄用の穴掘り先を間違えて、ダンテスの労の壁にぶち当たり2人は仲良くなる。
ダンテスの事情を聞いたファリア神父はダングラールとフェルナン、ヴィルフォールの悪事を推測したり、知識を与えてくれるのだが、神父は病に倒れてしまう。
死の間際、モンテ・クリスト島に莫大な財宝が隠されている事をダンテスに教え息を引き取る。死後、海に投げ捨てられる遺体の神父と入れ替わり脱獄に成功する。モンテ・クリスト島を買い取り、伯爵の称号を手に入れたダンテスは34歳、復讐の鬼になっていた。

≪伯爵になり復讐≫
モンテクリスト島の財宝を手に入れたダンテスは、収監される前から現在までの出来事を独自に調査し、ファリア神父の推理が正しく、ダングラール、フェルナン、ヴィルフォールらがそれぞれ財産や地位を手に入れ今や時の人となっていることを知る。

ダングラールは会計士から銀行オーナーで下院議員。男爵の称号も手に入れていた。
フェルナンは貴族院議員となりメルセデスを妻と死、息子1人アルベール設けていた。
ヴィルフォール検事代理は法曹界頂点である検事総長となっていた。

イタリアの貴族モンテ・クリスト伯爵を名乗るダンテスは、フェルナンの息子アルベールに近づく。
フェルナンは何も知らずモンテを厚遇するが、元恋人メルセデスはすぐモンテはダンテスだと気が付く。フェルナンは独立運動のリーダーを敵に売って財産を得る裏切り行為をばらされ追い込まれる。アルベールはモンテが父を追い込んだと決闘を申し込むが、メルセデスがすべて打ち明け、母子は家を出て行き、フェルナンは自殺する。

モンテは、貴族に成りすましている悪漢ベネデットをダングラールに引き合わせ、財産家だと思い込み自分の娘と婚約させてしまう。結婚式当日にベネデットは脱獄囚、殺人犯とわかり銀行を破綻させてしまい海外逃亡する。さらにベネデットはヴィルフォールとダングラール婦人の不義の子だとわかる。

ヴィルフォールは家庭内で毒殺事件が相次ぎ、それは先妻の子ではなく自分の息子に財産を相続させようとした妻の犯罪だと見抜いていたヴィルフォールは、自己保身のために妻に自殺を強要していた。ベネデッドの件が発覚して自らの地位が崩れ去り、妻は息子と無理心中すると、ついにヴィルフォールは発狂していしまう。

逃亡していたダングラールは、イタリアで山賊に捉えられ、恐怖と飢えの最中モンテが洗われ、自分はダンテスであると正体を明かし、フェルナンとヴィルフォールの顛末を聞かせた。
ダングラールは赦免されるが、心労で白髪になっていた。
復讐を終えたモンテ・クリスト=ダンテスは新しい航海へと旅立っていくのであった。
  

『モンテ・クリスト伯』読書感想文の書き方8例

『モンテ・クリスト伯』は復讐という形の冒険活劇とも言えるので、主人公のダンテス=モンテ・クリスト伯の緻密な復讐劇を見届けるのは、読者も大仕事を成し遂げたような充実感を得ることが出来ます。
読書感想文を書くにあたり、いろんな角度から感想を持つことができますが「被害者が報復という形での加害者になる(法的にセーフな感じで)」のは事実です。それについてどんな感想を持つか?賛否両論面白いのが『モンテ・クリスト伯』です。

『モンテ・クリスト伯』のおもしろい理由
・主人公の波乱に富んだ人生、サスペンス、トリック、多彩な変装など長編ながら飽きさせない
・後半の6・7巻あたりからの復讐劇が圧巻の一言。
・長いが読後の達成感がハンパない。途中で投げ出さなくて本当によかった。
・今どきの小説よりもとても読みごたえがある
『モンテ・クリスト伯』が難しい理由
・文章がまわりくどく、旧漢字・難読漢字が散見しなれるまで読みにくい(辞書必須)
・無駄エピソードが多い(読み飛ばしても差し支えない部分がちらほらある)
・主人公が中々復讐の念を読み手に見せながらはっきりと行動ことに違和感を感じる
・勧善懲悪を望む人には、最後がモヤモヤする

感想文の着眼点
『モンテ・クリスト伯』の多くの感想としては「面白かった」が主になりますが「回りくどい、長い」というのが苦手な人には読むのが辛いかもしれません。
ですが、結論としては主人公の成功は成し遂げられるわけですから、その達成感は読破したときに味わえ「若い時に読みたかった」と思える読んで得したと思える作品です。
下記の感想の着眼点で感想文を書くと、2000文字など長い感想文も書くことが出来そうです。

参照『モンテ・クリスト伯』amazonおすすめ感想
・主人公の復讐のやり方への疑問「…自分ならば」どうしたか?
 実際に、物語は複雑に構成されている。多種多様な人間関係が繰り広げられ、一見すると復讐とは関係なさそうな人間関係もあり、それが最終的に主人公の復讐へと収束していく。その事を過不足なく描き切った作者の手腕はやはり脱帽すべきものであろう。無実の罪で投獄させられた主人公の身を、自分の身と重ねればやはり生半可な復讐では物足りない事であろう。単に決闘やら暗殺やらで殺すことですら物足りなさを感じてしまうはずである。そのような死すら生ぬるい復讐を達成するためには、やはり「前準備」というものが必要なのだ。その前準備が冗長になってしまうこともある程度は仕方のないことだろう。読み手は気長にページをめくっていくしかないのかもしれない。
 ただ私が不満を感じた最大の要因は、達成感があまりないことである。復讐を果たす相手は4人いるわけなのだが、そのうち自殺をした一人については爽快感は相応に合った。だが他の三人については、特に検事なのだが、そこまで復讐してやったという感想を私は抱かなかった。いや実際おかれている境遇を鑑みれば十分すぎる程ではあったが、もう少し打ちのめされた部分を描いてもよかったのではないか、とも思っている。
主人公は様々な陰謀を企て、自分を陥れた人たちを罠にはめていく過程で、その哀れな末路をみて自分の復讐心満々の気持ちがだんだん、薄らいでいき、最終的には思いとどまるようになった…やはり人間は鬼にはなり切れないものなのだろうか?それとも「許し」の仏心が生まれたのだろうか?

・サスペンスドラマ好きなら寝食を忘れて読みふけるような本
十代の時に読んでおかなかったのが悔やまれつつ、大人になった今でも「まだこんな読書体験ができるのか」といった嬉しい発見がありました。
昨日までの貴族がギロチンにかけられたり、ナポレオンの百日天下など、振り子のように社会的立場が幾度も入れ替わる恐ろしい世の中で、世間知らずの若いただの一等航海士に過ぎない主人公もまた例に漏れず、社会の渦に巻き込まれて、幸福の絶頂から地獄へと叩き落とされます。
復讐の方法があまりにも緻密で手が込んでおり、今のどんなサスペンスや小説でも絶対にこの作品を越えることはできないと思われます。基本的に復讐の対象は3人にそれぞれ全く違うアプローチで同時進行に復讐を進めていく様子は読んでいて寒気がするほどです。
牢獄から脱出するまでのストーリーも、その後の復讐劇も全てがスリリングであっという間にラストまで運ばれてしまいます。デュマは読者心理を知り尽くしていると思われる節があり、期待感のあおり方が絶妙。

・人は「復讐」で幸福は得られないのか?
幸せの絶頂から奈落の底へ…
人生というものは、時に神を恨みたくなるほど不条理で過酷な一面を持ち合わせている。
けれど、奈落の底から見る人生は、幸せの頂に立つ人生よりも真理を得てして存在するのかもしれない。
未来の幸せを約束された主人公ダンテスは美しい許嫁のメルセデスとの結婚を目前にしていた。船主のモレルからの信頼と約束された出世。彼の前には輝く未来しかなかった。だが悲劇はダンテスの見えぬところで着々とその足音を忍ばせていた。彼を囲む人間の裏切りや妬み、そこに運命という一綱をも背を向けられ孤島に十四年もの間、投獄されることになったのだ。投獄されすべての希望を失っていくダンテスの胸の内が描かれている。
「…それはあの当時おれが幸福だったからのことなのだ。命を取りもどすということが、すなわち幸福を取りもどすことにほかならなかったからなのだ。すなわち死は、自分の求めたものでなく、また自分のえらんだものでもなかったからだ。…だが、今日はまったく問題がちがう。おれに命を惜しいと思わせるようなものは、すべてなくなっている。死は、子供を寝かしつける乳母のようにほほえみかけてくれている。そしていまでは、おれはわれから望んで死のうと思っている。」 (「モンテ・ウリスト拍【一】」p294)
作者であるアレクサンドル・デュマの素晴らしいところは希望の頂から奈落の底へ落とされた者の心理描写をあたかも自分が主人公ダンテスであるかのように詳細に描けるところにある。
自分を陥れた何者かに激しく憤り、運命を呪い、精神錯乱に陥りそうになる。神に慈悲を求め、無気力となり、生が価値あるものに思えなくなる。
ダンテスにとって闇の中にある希望の光とは何か?そこから彼を奮い立たせ、生の息吹を与えるのは何か?彼を無情にも不幸へ陥れた者たちの心理描写と共に注目していきたい。
人を不幸に陥れるということは、同時に果てぬことのない良心の呵責と命尽きるまで癒えることのない恐怖を抱えて生きることなのだと理解できる。同時に、人を愛し希望を与えることはたとえ命尽きようとも、永遠に生が満たされ、悦びを失わず、闇のなかにおける光の羅針盤となることを教えてくれる。

・苦しみの中からつかみ取れるものがあると言う事
才能を開花させようと望むならこの本の中に答えはある。フェリス司祭と主人公が牢獄のなかでの会話が、いまの日本の学生からリストラ対象のすべての会社勤めの人に希望を与えるであろう。そのメッセージを与えるであろう会話とは「人智のなかにかくれているふしぎな鉱脈を掘るためには、不幸というものが必要なのだ。火薬を爆発させるには圧力がいる。監獄生活というやつは、ほうぼうに散らばっていたわしの才能を一つの点に集めてくれた………。」日本が戦後最大級のピンチにたつ今こそ読んでほしい

・復讐の快感とその哀れ
聖人でない限り、誰にでも、殺してやりたいぐらい憎い奴が1人か2人はいるだろう。仕返しをしたくとも、いろいろなことを考慮すると躊躇せざるを得ず、実行には至らない。その点、クリスト伯は、用意周到に準備を進め、執拗に復讐を実行していく。そして、着々と目的を遂げていく過程は、まるでPDCA(plan、do、check、act)の模範例のようだ。
この著作に対する評論は昔から現在に至るまで数多存在している。しかし、誰が何と言おうと、一番正しい読み方は、小難しい理窟は抜きにして「復讐の快感に酔い痴れる」ことだと確信している。この書を読まずに一生を終えてしまう人がいるならば、何ともったいないことだろう。
無実の罪で監獄に放り込まれるまでは、気のいい単純なだけの船乗りだったのが、獄中で生涯の師となる神父にめぐりあい、学問と教養を植え付けられ、しかも一生かかっても使い切れないダイヤはじめお宝を授けられる。こんないい思いをしたのなら、「復讐」なんかする必要ないじゃん、と子供のころは夢中で読みつつも思っていた。ところが今読み返すと、復讐に燃えるダンテスの哀れが胸をうつ。ダンテスが本当に欲しかったのは、漁村の婚約者メルセデスや自分の家族との平凡でおだやかな生活。それが脱獄囚となってしまえば、洞窟いっぱいにお宝を持っていようとも、孤島の宮殿に住んでいようとも、名をやつしてパリの社交界に出入りしようとも、二度とかなわない。愛妾を抱えてはいても家庭はもてないし、ふつうの市民生活なんて営めない。一生、日陰者なのだ。

・人の心の善悪と移り変わり
この小説には、実に様々な登場人物が現れる。無垢で無知だったエドモン、憎悪に満ちて復讐に生きるモンテクリスト伯(後のエドモン)、エドモンなしで一人生きることができなかったメルセデス、嫉妬と金銭欲に狂うダングラール、自らの権力と名声を必死で守ろうとするヴィルフォール、愛に盲目になり、いいようにコントロールされるフェルナン・・・。一人一人が人間の現実をありありと描いている。その登場人物の性格は、実は自分や自分の周りにいる人たちの現実であり、読んでいて自らを振り返らずにはいられなくなる。人間の心を深く捉えたデュマに感嘆である。
そして何といってもモンテクリスト伯の人柄が強烈に魅力的なのだ。
想像を絶する圧倒的な財力に泰然自若とした態度、落ち着いた容貌、気品ある優雅な物腰に巧みな話術で、周囲を魅惑する伯爵。
彼は他人と接するときは必ず見えない壁を築き、決してその中には踏み込ませない。それが、伯爵を神秘のベールで包み込み、より一層彼の魅力を際立たせるのです。 しかも、彼は復讐を心に誓いながらも、その性は「善」であり、彼の魂はお人好しなのです。悪魔の周到さと頭脳で復讐を遂行しながらも、彼は時折自問します。果たして自分にここまでする権利があったのか。憎い仇であったはずが「やりすぎたか」と反省しさえします。
 彼は人前では常に「モンテクリスト伯」の仮面をかぶり、それを外すことはないのですが、唯一マクシミリアンやその妹夫妻と接するときだけはたまにマスクの影から人間の姿が見え隠れするのが、とても可愛らしかったです。終盤での可愛いマクシミリアンを案じるあまりもはや仮面をつけることすらできなかった伯爵は、それまでとは違った魅力で満ちていました。

・モンテ・クリスト伯は復讐をやりとげたかのか?未完なのか?
この本はとにかく面白い。純真で人を疑うことを知らない主人公ダンテスが冤罪で牢獄に入る物語。そう、物語はそれから、始まる。これは読まないと面白さが分からないから、なんともいえないんですが、偉大な作品には必ず偉大な魂が込められていることが感じられる。
人の醜さ、憎しみ、嫉妬。それらにはまり込んだ人間は底なしに醜くなり、蹴落とすことしか考えられない。これは壮絶な復讐劇でもあるけれど、偉大な魂しか伝えられない純真で誠実で美しい心が表されてる。
汚い醜い人間には絶対に負けない。偉大な精神を築きあげてどれだけ、躍起になって人を傷つけようとしてもびくともしない偉大な人間になれという
メッセージがこめられてる。何故モンテ・クリスト伯は復讐できたか?だが最後の一人を許したのはなぜか?それを読み解くのが読者に投げかけれらた課題ではないだろうか?

・モンテ・クリスト伯の最大の復讐とは
ダンテス=モンテ・クリスト伯は3人への復讐に「自分で手を下さない、3人の過去の罪や悪事を明るみにする、3人の守りたいものを崩壊させていく(出世、金銭欲など)」など自分を陥れた3人の基本にある単純な貪欲さ傲慢さを刺激し復讐を成し遂げました。
ただし最後に追い詰めたダングラールは、命までは奪うことなくダンテスは旅立ってしまいます。
その推測できる理由はいくつかある。
・家族、金、地位全て失ってからの再起する人生のほうがダングラールには地獄だから
・最後に芽生えた仏心、慈悲の心
ダンテスは3人がそれぞれ勝手に破滅に向かうようなシナリオを書いただけとも言え、最も利口なやり方の復讐を選んだ。
読む人にとっては、最後の最後で情をほどこすダンテスにすっきりしないとの意見もあるが、自分は逆に「生かさず殺さずの生殺しの状態」のもっとも残酷な復讐ではないか?と思えるのです。
自殺したフェルナン。発狂したヴィルフォール。心労で白髪となりながらも正気を保ち、自殺もできないダングラールはおそらく残りの人生を浮かび上がる事もなく、恐怖の記憶で余生を過ごすこととなるのでしょう。
人間の幸不幸は最低限の衣食住が保障されるなら、究極的にはその人間が持つ想念が決めるのではないか?と思う。人を陥れて成功を手に入れたダングラールは失ったものと味わった恐怖は想念として終生渦巻き続けるのではないだろうか?
人の人生に、もっとも恐怖を苦しみを与えるのは自分自身であるのならば、ダンテスが最後の一人を見逃す形にしたのは、死ぬよりもつらい苦しみを与えたかったからか?ダンテス自身の心の逃げ道を残したからか?は作者のデュマの心ひとつなのだ。

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