「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」読書感想文の書き方【例文つき】

2022年の課題図書対策!

こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生の部
『江戸のジャーナリスト葛飾北斎』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」
 千野境子 (著)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」内容
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」あらすじ(内容)

世界に誇る超有名人、浮世絵師・葛飾北斎とはどんな人物か。『富獄三十六景』がパスポートに、ビッグ・ウエーブこと『神奈川沖浪裏』が千円札に登場など、今も人気の北斎。

この本は、情報の限られた江戸時代に、広く日本の外へも関心を向け情報収集し、90歳まで絵筆を執った超人北斎の、真の姿をあぶりだしたノンフィクションの内容です。 

葛飾北斎の人生や人物像がわかる動画

「この本を読んで、私は葛飾北斎に興味を持ったため、北斎のについて、いろいろ調べてみました。すると・・」というように、この動画の内容を感想文の中で紹介してみるのもよいでしょう。そして「私はこの本を読み、読書はいろいろなことを探究するキッカケになるものだと発見することができました。」というような結論に繋げるのもよいでしょう。

「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」着眼点の例


 
以下のような着眼点切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。

課題図書3冊の中から、なぜこの本を選んだのかを説明する書き出しもよいでしょう。
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

世界に誇る「日本の絵師」として有名な葛飾北斎ですが、実は「ジャーナリスト」的な存在だったという着想がユニークな本書です。そのため「人物評価は捉え方によって異なる」という学びも得られる本書ですが、その点に注目し、似たような事例に挙げ、感想文にまとめるのもよいでしょう。

本書を読んで、北斎の人生から学んだ「教訓」や「ことわざ」を紹介する感想文も検討してみましょう。

例)「好きこそ物の上手なれ」・・僕はこの『江戸のジャーナリスト葛飾北斎』を読み、北斎の人生こそ、このことわざ通りの人生だったと感じた。このことわざは「好きだからこそ上達するとか、何事も好きであってこそ上手になる。いまは未熟であっても、本当に好きならば上達する望みがある」という内容だが、北斎は生まれながらの絵の天才ではなかったことを知り、北斎こそ「好き」を極め、歴史上の偉大な画家になった人だと分かったのだ・・・など。

例)北斎の人生はまざに「好きこそ物の上手なれ」ということわざを体現し、後世の人間に「価値あるもの」を伝え残すための人生だっといえるのではないでしょうか・・・など。

「情報を伝え残すことの価値」を発見できた喜びを伝える。

ジャーナリストとは、いわば「情報を伝え残す役割の人」です。そのため、本書をよみ「情報を伝え残す価値」が分かったとする感想文を書くのは、本の執筆意図に適った感想文になります。

例)私は北斎の人生から「情報を伝え残すことの価値」に気づかされることとなったのだが、それはとても大きな収穫だった。北斎が絵を通じ、ジャーナリストのように「価値あるもの」を伝え残したように、これからは私も「価値あるもの」を、SNSなどを通じ、積極的に伝え残すようにしたいと思うようになった。私にこのような「意識改革のきっかけ」を与えてくれた本書には、最大限の敬意と感謝の気持ちをささげたい・・・など。

例)我々人間は、起きている間は、常に何かを「思っている」ものだが、その思いは「書き残し発表すること」をしなければ社会的に意味のあるものにはならない。私は本書を通じ、北斎の人生を知ることができたのだが、それ以上に「情報を知ることの価値」や「情報を伝え残すことの価値」に気づけたことの方に嬉しさを感じた。私にとって、この二つの発見が得られたことは、とても大きな収穫だった・・・など。

北斎を支えた娘の存在意義や価値などについて感じたこと考えたこと

北斎には、有能な画家でもある、娘の「応為」がいました。また北斎の絵を海外に紹介した「シーボルト」の存在も見逃せません。彼らの役割や人生で大切な補佐役にスポットを当てた感想文もよいでしょう。また、それを発展させ、自分に才能がない場合「尊敬する人物のサポートに徹する人生の価値」などについて考えさせられたことを中心に感想文を書くのもよいでしょう。

この本のタイトルについて触れるのもよいでしょう。「もし私がこの本に別のタイトルを付けたなら・・」「もし私がこの本にサブタイトルをつけるなら・・」など。

「この本を読む前、私はおそらく○○○○○○といった内容が書かれていると予想した。しかし、実際に読んでみると」というように、読む前の予想と実際の内容との違いを解説する内容を乾燥に述べてみるのもよいでしょう。

「私の父はよく・・」や「本を読み終え、本の内容を父に話すと、父は・・」というように、家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、感想文をユニークな展開にできたり、本の内容を超えた個性的な展開にすることができます。

例)本を読み終え、本の内容を父に話すと、父は「海外で北斎の絵が発表された際の人気は、今の日本のアニメが世界中でヒットしているのと似たようなものだったんじゃないかな」という話を聞かせてくれました。そうだとすると、当時のヨーロッパの人も、おそらく・・・など。

例)私の父はよく「本の価値はその本の内容自体より、むしろ何かを調べるためのキッカケを得られることにある」と言っているのだが、この本は私に、日本文化を探究するキッカケをくれることとなった。その意味で本書は、父の基準でいうところの「価値のある良書」という位置づけになったのだ。確かにこの本を読んで以降、私は、さまざな日本文化や日本の歴史に興味を抱くようになり・・・など。

北斎は、江戸時代に90歳まで生き、亡くなる間際も「あと5年生かしてくれたなら、真の絵師になれるのに」という言葉を残して、世を去ったと言われています。描いた絵は約3万点。この創作意欲や情熱について感想文で述べるのもよいでしょう。また、北斎の絵に対する情熱は、実は「伝え残すことへの情熱」だったのではいか?という別の視点の発見を述べるのもよいでしょう。

「対句」を利用し「文才」を感じさせる感想文を考えてみましょう。

例)北斎は、小さな借家で、世界史に残るような大きな仕事を成したのだ。(この場合「小さな借家」と「大きな仕事」が対句)

例)「絵筆をうばわれることは、命をうばわれるにも等しい」といった北斎であるが、北斎の絵に対する探究は、まさに人生に対する探究そのものだったのではないか。(この場合「絵に対する探究」と「人生に対する探究」が対句)

「もし、この本に続編があるなら・・」という切り口で、どのような内容を書いてもらいたいかを述べる感想文も面白いでしょう。

「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の思い出」「主人公との共通点」などを紹介しつつ感想文にまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関主催の感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・・の意味だからです。
 
直接的な書き方の例としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れると出題意図に合致した感想文になります。
 

「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の書き方の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」を読んで①

※以下は、動画で紹介された感想文を横書きにしたものです。
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二0二四年、日本では新紙幣が発行されます。新千円札の裏面に、「富嶽三十六景」が記載されることをご存知ですか?江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎。彼は、亡くなった後に、自分の作品が紙幣に使われると予想していたでしょうか。

私は絵を描くことが好きです。小学生の時、社会の時間に江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の名前を聞いたことがありました。今年の読書感想文を書く時、北斎の絵を描く技術が学べると思って、この本を手に取りました。

ところが、この本は北斎の絵の技術について描かれている本ではありませんでした。「人間葛飾北斎」の考え方、絵に対する向き合い方、そして、生きる上で大事にしていたことが書かれていた本でした。私は、北斎はもともと絵を描く才能があって、何でも上手に描けるすごい人だと思っていました。

ですが、それは思い込みでした。北斎は、才能ではなく、努力、そして、絵を描くことが大好きな人でした。学校に行けず、字を書くこともできなかったので、貸本屋で働いて独学で字を覚えたそうです。また、流派に属しながらも、他の流派の良いところを積極的に受け入れようとしました。

何よりも、絵を描くことが大好きで、歳をとっても常に上達したいと思い、自分の画風に改良を重ねました。北斎は人生を楽しんだ人でした。江戸時代の平均寿命は、三十代から四十代とインターネットに書かれていました。なんと北斎は、そんな時代に九十歳まで生きたのです。絵を描くことに夢中になり、その結果当時の倍以上の生涯時間を手に入れたのではないでしょうか。

私も絵を描くことが好きです。よく、本の挿絵や、昔読んだ本の中から好きなポーズの絵を写しています。でも、誰かに習うことはしていません。「もし、絵のスクールに通ったとしても、教えてくれる人と差がありすぎると遠慮して質問ができないです。教えてもらったことを絵に取り入れられるかどうか、自信もないです。

また、教科書にのっている芸術的な絵を見ても、よくわからないことがあります。自分から苦手なことに挑戦しようとはなかなか思えません。一方、北斎は好奇心が旺盛で、多方向・多方面から作品の良さを取り入れようとしました。どんな作品からも学ぼうとする姿勢はすごいと思うし、私よりも北斎のほうが絵に対する興味関心が強いのだと思いました。

「絵のためだけに生きたいように生きた」「絵筆を奪われることは、命をうばわれるにも等しい」北斎を象徴する言葉が書かれていました。私はこの本を読んで、好奇心を持つことと、いろいろな見方をする大切さを学び、普段の生活に取り入れています。

中学生になった私は、新しいクラスで苦手な友達がいました。苦手というより…よく喋るので、かなりいやでした。でも、一年間同じクラスで過ごすのに、毎日こんな気持でいるのは嫌だと思って、その人の良い所に目を向けてみました。

すると、周りの友達を笑わせることができる、みんなの気分をよくしてくれることに気づいたのです。私にはない素敵な部分が見えました。北斎もたくさんの絵を見て、その良さを取り入れたのだと思います。

次に、語彙力の向上です。私はすぐに、「やばい!」と口に出してしまいます。お母さんから、「何がどうやばいのか、具体的に説明できるといいよ」と言われていました。北斎は、絵を見て自分の言葉を使ったから、自分の作品がよくなったのだと思い、友だちと話す時にも瞬時に自分の言葉で詳しく話すよう心がけています。

最後に、私はインターネットで「北斎漫画」を調べてみました。初めて見た時には、その数に圧倒されました。北斎は、こんなにも絵が好きで、たくさんの絵を描いて、そして後世に名を残す有名な浮世絵師になりました。北斎漫画はシーボルトを通じて海を渡り、世界の名だたる画家に影響を与えました。改めて、葛飾北斎の人としてのすごさを感じました。

絵が好きという好奇心が、多くの人を動かし世の中に影響を与える、まさに、「江戸のジャーナリスト」だと思いました。この本に出会えて本当の良かったです。私も、北斎が絵に出会って技術を向上させたように、夢中になれるものに出会って人生を楽しみたいと思います。「令和のジャーナリスト」と呼ばれるような生き方を目指していきます!
 

 
 


・「好きこそものの上手なれ」(ことわざ)
・伝え残すことの価値、知ることの大切さ

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2022年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載していますので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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