『千年の田んぼ』読書感想文の書き方の例文(テンプレート付)
こちらでは、2018課題図書 中学生用『千年の田んぼ』の読書感想文の書き方の例をご紹介いたします。また、始めの部分で、どのような本にも対応できる「感想文の書き方テンプレート」を解説付きで掲載いたしました。
千年の田んぼ:国境の島に、古代の謎を追いかけて (旬報社)
著者:石井里津子・著
192ページ
本体価格:1,500円
ISBN978-4-8451-1519-8
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~~
読書感想文の書き方テンプレート
(ダウンロードできます)
『千年の田んぼ』読書感想文の書き方の例
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読書感想文の書き方テンプレート
読書感想文の書き方の順序が分からない場合、次の順序で書き進めると、読みやすい感想文が書けます。
読書感想文の書き出し例文【8パターン】+α
②本の説明(あらすじや概略・本の周辺情報・全体的な印象など)
③作者が伝えたかったことの推論 ←「⑤まとめ」に入れてもよい
④印象に残った部分①
・印象に残った部分②
・印象に残った部分③
⑤まとめ(読んだ後の私の変化・改善・反省・誓い・感謝・副次的に得たことなど)
以上の構成で制作した、次の「読書感想文の書き方テンプレート」はプリントアウトできますのでご活用ください。
①この本を選んだ理由やキッカケ・読む前の私
②本の説明
(あらすじや概略・本の周辺情報・全体的な印象など)
③作者が伝えたかったことの推論 ←「⑤まとめ」に入れてもよい
④印象に残った部分①
(注目した点について多角的な視点で考察する)
・印象に残った部分②
(注目した点について多角的な視点で考察する)
・印象に残った部分③
(注目した点について多角的な視点で考察する)
⑤まとめ
(読んだ後の私の変化・改善点・反省・誓い・感謝・副次的に得たことなど)
※④の印象に残った部分は、2つから4つ程度に増やしたり減らしたりしてください。
※④の印象に残った部分では、本の中で特に注目した部分を取り上げ、感想を書くわけですが、その際、その注目した点について「多角的な視点で考察する」ことが高得点のカギになります。
多角的な考察の真逆は「独りよがりの考え」や「判断材料の乏しい中での判断」です。そのため、読書感想文で高得点をえるためには、自分が注目した点に対し、さまざまな角度から解説することが必要になるのです。
多角的な考察のできている感想文にするには?
人間が、多角的な考察をする際、頭の中では特徴的な「つなぎの語句」が使われます。そのため、文章の中にその特徴的な「つなぎの語句」を意識的に埋め込むことで、多角的な考察のできている感想文をつくることができるのです。
人間が「多角的な思考」をする際、思考の中で利用される「特徴的なつなぎの語句」とは、次のようなものです。
文章を「 。」で終わりにした場合に、この「つなぎの語句」を加えてみれば、文章が次につながるため文字数を増やす知恵としても利用ができます。
感想文を書く際、特に重要なのは「自分の経験談」や「実社会の類似の事例」を引き合いに出すことです。読書は本の中の知識を吸収するだけなら知識で終わってしまいますが、実社会の出来事と照らし合わせることで、応用のきく英知へと昇格できるものだからです。感想文の中に経験談や実社会での事例を引き合いにだすことは「実社会で応用のきく読書のできる人間であることをアピールする効果」があるのです。
最後の部分に「副次的に得たもの」を書くとは?
⑤の「まとめ」部分の中に入れてもよい内容として「副次的に得たもの」を掲げていますが、これは本の内容からの学びとは別に「読書を通じて偶然得ることのできた学び」などを書いてもよいということです。
特に「感動する本のストーリーの展開パターンを知ることができた」や、「この本のおかげで日本語のもつ言葉の美しさを再発見することができた」などは、感想文を書く際に付け加えても違和感のないものです。そのため文字数が不足している場合、文字数を増やすテクニックとしても重宝します。(^∇^)″
今回の読書を通じ「意味の分からない部分を父に尋ねたことが切っ掛けとなり、ふだんあまり会話をしていない父と話が弾んだ」というような経験をしたのであれば・・・
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今回の読書経験を通じ私は思わぬ知恵を得ることができた。それは普段会話の少ない父との話の切っ掛けを作る方法として、分からないことを質問するという方法が有効であることを発見できたことだ。これは本の内容から得た学びよりも実は大きかったかもしれない。
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というような内容までなら入れてもよいでしょう。基本は・・
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作者の文章表現の巧みさに感激を受けたことが切っ掛けで、私は文章の展開方法に人の心を動かす法則性のようなものがあるのではないかと思うようになり、調べてみると、やはり物語にはいくつかの王道のバターンがあることを発見できたことが大きな収穫だった。
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・・・というような読書がらみの「知的収穫」があったことを加えるということです。
読書感想文の課題を与える目的は、読書を通じ「生徒の成長」を期待するためです。そのため、本の内容以外の学びであっても「本を通じての学び」であれば、「読書の効能」の一部でありるため、そのようなる内容を伝える感想文はは歓迎されるものです。
ただし・・・
感想文の中心は当然ながら「本の内容に絡めたもの」にすべきであるため、もし加える場合は、付け加え程度の分量に抑えておくべきです。
「まとめ」の部分に「○○に感謝したい」を入れてもよい理由は?
「この本を世に送りだしてくれた著者に感謝したい」などの一文です。「感謝の心」は人間が成長過程の中で身に着けていく重要な「徳」の一つであり、生まれ持って備わっているものではないのです。
そのため、読者であるあなたが「感謝」の文字を感想文に埋め込むことは「成長した人間の証」を埋め込むことと同じなのです。「○○に感謝したい」という表現を使うことで損をすることはないことを覚えておくべきです。
※余談ですが「健康食品」の業界では、この「感謝」や「感謝です」などの文字をパンフレットに埋め込むことが、売り上げ向上に効果があることが証明されています。そのため、広告代理店は「意図的に」感謝の文字を埋め込むことをしています。広告業界の常識です。買わされないように注意してください!(^∇^)″
読書感想文の書き方のコツ【中学生・高校生】図解
『千年の田んぼ』読書感想文の書き方の例
では、上記の「感想文のテンプレート」にあてはめて『千年の田んぼ』の読書感想文を書いてみました。テンプレートの応用サンプルであることが分かるように、ブロック別に線を引いておきました。文字数は2019文字と、少しオーバーしていますが、参考にしてください。
また『千年の田んぼ』は、おそらく多くの人にとって、読みづらく面白くない本です。(~_~;)
そのような「つまらない本」「面白くない本」「期待外れの本」に対する読書感想文の書き方の特集ページも作ってありますので、ご参考にしてください。
『千年の田んぼ』を読んで(2019文字)
「世の中を進歩させるのは政治家ではなく科学者だ。」これは私の父が時々口にする言葉であるが、生活を直接的に進歩させるのは、偉そうな政治家ではなく地味な研究に長年精を出す科学者(研究者)なのだという考え方だ。
父のこの言葉を耳にして育った私は、いつのころからか同じように考えるようになった。自分が興味づけられテーマにしたものに対し、生涯をかけて取り組む名もなき研究者がいるからこそ、世の中は進歩するのである。私にとって研究者は、世の中にないものを生み出す「神のごとき存在」とも思えるのだ。
そのような考えを持つ私が、課題図書の一覧を見た時、真っ先に興味づけられたのが、日本の田んぼのルーツを研究してきた著者が書き記した、この本『千年の田んぼ』だった。
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内容は、棚田や農村文化を調査する著者によるドキュメンタリー作品であり、ため池や水を汲む民具など、様々な資料にあたったり、住民や専門家に聞き取りをしたり、また著者のオリジナルなフィールドワークも、社会科学の調査方法の例を初めて知った私には新鮮であった。
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おそらく著者はこの作品を通じ「この歴史の玉手箱ともいえる風景を我々は保存維持する取り組みをしなければならない」というメッセージを伝えたかったのだと思う。読み進めていくうえで、確かに伝え残すべき価値のある文化遺産であると考るようになったからだ。
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私が特に印象に残った部分は、研究者である著者が、八町八反の土地を地元の人が何故「三六町」と全然違う大きさで表したのかに対し、仮設を立てたた部分である。
千年前の畑の整備、条里の単位が一里で、一里が三六町の大きさ。つまり、条里の土地だよという事を伝える時、地元の人は三六町という呼び方をしたのではないか、という推論部分である。
近年、コロンブスがアメリカ大陸を発見するより遥か昔に、南米に当時の中国人が来ていたことが発見されたが、その根拠となったのは当時の中国で使われていた「長さの単位」で、遺跡として残っている家が建築されていたことが分かったからだという。
著者の場合、解決の手がかりを、田んぼの「面積の単位」に求めたのであるが、学者的な共通の視点を感じ、読みながら思わず「オー」っと感心させられてしまったのだ。
また、著者は、田んぼの形やため池の特徴、古文書、専門家に聞きにいくなど、「フィールドワーク」を行っているのであるが、なかなか研究の現場を知らない私にとって、その「足で仕事をしている」という事実は、とても新鮮だった。
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ことわざに「好きこそものの上手なれ」というものがあるが、著者はまさに自分の「好きなこと」に打ち込んだがために、社会から認められる研究者になれたのだと思う。
本の後半を読んでいる際、私はこの「思いの継続」に対して人間は、一種の「勘」が働くようになるのではないかと思うようになった。それは天の啓示にも似たヒラメキがやってくるイメージであるが、長年一つのことに関心を寄せる人間にのみ贈られる「神様からのギフト」のようなものが存在するのではないかと思わされたのである。
もし仮に、今の私が海に囲まれた見島に行かされ、国境の小島にある、15ヘクタールの水田の広がりを見た場合、何を思うだろうか。おそらく「へえ、こんなところに広い田んぼがあるんだなー」で終わりである。田んぼに何らの関心もない人間にとっては、その程度の思いしか浮かばないはずだ。
しかし、著者のように長年その分野に関心や疑問を抱いてきた人には、単なる田んぼも、脳に対する「迫りくる問いかけ」のような刺激として映るに違いない。そのような人には、自力のほか、天の助けのようなインスピレーションがやってくるように思えたのだ。「人間が粗削りをし、神様が仕上げをする」というシェイクスピアの言葉と同様の考え方を理解できるようになったのだ。
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本書を読み終え、今の私には著者のように生涯をかけて取り組めるテーマというものがまだ存在していないことに気づいた。もちろん私の年齢で一生付き合えるテーマを決めてしまうことの方が、むしろ勇み足であり危険であろう。
ただ、一つ思えるようになったことは、生涯をかけるだけのテーマを発見できた人間は「人生の充実度が高まる」だろうということである。「自分も納得でき、社会にも良い影響を与えられるテーマ」。これに出会えた人間は幸いである。
本書を通じ、日本の田んぼのルーツやその周辺知識を知ることができたが、むしろ私にとっての本書の価値は「自分にとっての生涯のテーマは何か」という問いを与えてくれた点にあったと思う。
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