読書感想文の書き方と構成【中学生・高校生】テンプレート付


こちらでは、学校では教えてくれない読書感想文の「構成の例(書き方の順序)」「書き方のコツ」「審査基準」などを紹介しています。

構成例については、コピペして利用可能な「構成例のテンプレート」も掲載しておりますのでご活用ください。

おもに、中学生高校生が、1200字、1600字、2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書くことを想定していますが、小学生の指導にあたる方や、大学生社会人の方にも、参考にしていただけるものと思います。

また、感想文の文字数が足らない場合の「話の広げ方」「文字数の増やし方」についてもお伝えいたします。

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~~目次~~~~~~~~~~~~~~~~
読書感想文の書き方【構成例】
標準的なテンプレート
穴埋め式テンプレートの制作例
メモ書き用のテンプレート
書き方の【コツ】と【審査基準】
文字数が足らない場合の対策

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読書感想文の書き方【構成例】(テンプレート付)

「構成」とは「何を」「どの順序で」述べるかです。順序は「つなげ方」といってもよいでしょう。 

「構成」=「何を」+「どの順序で」

「書きたいこと」や「使ってみたいフレーズ」は、一度すべて紙に書き出し、全体を外から眺められるようにします。「メモ書き」のすべてを上から見ることであとは「並べ方」だけ考えればよくなるからです。

読書感想文に苦手意識のある方は、感想文は順序だてて「説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。はじめにいくつかのパートを作り、それぞれのパートごとに説明していくスタイルで書いてみましょう。

次の展開は、ほとんどの本に応用が利く「標準的でまとめやすい構成例」です。

【シンプルな構成例①】
 
①なぜこの本を選んだのかの説明
 ⇒ 感想文の書き出し例(入賞21パターン)

②大まかな内容を手短かに説明
 この本は~

③特に気になった箇所やフレーズを紹介(1)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 この本を読み、私は特に・・・

④特に気になった箇所やフレーズを紹介(2)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 また、○○が○○した際のエピソードでは・・・

⑤特に気になった箇所やフレーズを紹介(3)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 さらに、○○が○○した場面で発した「○○○○」という言葉は・・・

⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像しその説明
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったか)
 おそらく著者は、この本を通じ・・・

⑦この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
 この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明
 私はこれまで・・・だった。しかし、この本を読んで・・・

  

この順序の場合、下記の図のように、本を選んでから読了後の意識の変化までを一連の流れとして説明するスタイルのため、読み手にも分かりやすい構成になるわけです。

時系列的に説明すれば読みやすい
 

読む前の説明→ 「この本を選んだ理由」「読む前の私」「本の概略」などの説明
読書中の説明→ 読んでいる最中に「感じたこと」「思い出したこと」などの説明
読書後の説明→ 「学んだこと」「反省したこと」「読んだ後の私」などの説明

 
※はじめの部分で「読む前の私」を紹介すると、最後の部分での「読んだ後の私」とを対比できるため、読書の効果を分かりやすく伝えることができます。

ただし「この本を選んだ理由」や「読む前の私」の部分は、書きたいことがたくさんある場合は省いても構いません。以下は、あらすじや本の概要から書き出す構成例になります。

【シンプルな構成例②】

この本は(あらすじや概要の説明)
 ⇒ 感想文の書き出し例(入賞21パターン)

私はこの本を読み、○○について生まれて初めて真剣に考えさせられることになった。

③最近のニュースでも・・・

④私も以前・・・

⑤これらは、この本の○○で書かれていた○○と同じように、○○に原因があるのだと思う。

⑥このテーマに対し、これまでの私は○○という考え方をもっていたのが・・・

⑦おそらく著者は、読者に○○の大切さを伝えようとこの本を・・・

⑧私は本書を読み、○○について・・・という、これまでの考え方を反省させられた。

これからは、○○について、○○という視点からも捉えるようにしたいと思う。

 

標準的な構成のテンプレート

以下は、感想文を大まかに「4ブロック」に分けた場合構成例です。太字で表したフレーズは、感想文の中に意識的に散りばめるべきフレーズの例です。 

こちらからダウンロードもできます。


「読書感想文の構成サンプル(PDF)」
ダウンロード

 

構成の例
     
    <読む前の自分の紹介・この本を選んだ理由のブロック>

    いつのころからか、私はニュース番組などで、○○が話題になると、いつも疑問に思うことがあった。それは、なぜ○○とは○○なのかということであった。

    そんな私であるため、感想文用の本を選ぶ際、真っ先に浮かんだのが、この○○について書かれた本を読んでみることだった。

    <本の概略の紹介ブロック>

    この本は、これこれこういう内容の本で、この分野の本として世界中で読み継がれているロングセラー本だといいます。

    <気になった部分とその点への自分の考えのブロック>

    主人公の・・・・は、ある日・・・・
    という事態に遭遇し、
    彼は・・・・ということになった。

    すると・・・

    その部分を読み私は・・・と感じた。
    なぜなら・・・だからだ。

    最近のニュースでも・・・
    という事件が報道されたが、内容として同じようなものだと思う。

    私も以前・・・と、主人公と同じような経験をした。その際、私は・・・となり、とても嫌な思いをした。

    もし・・・
    確かに・・・ならそうかもしれません。

    しかし、私が思うにそれは・・・ではないかと思う。
    つまり・・・だと考えるからだ。

    ———–

    また・・・の場面での主人公の何げない次の言葉にふれた際、思わずハッとさせられた。

    それは○○の場面で、○○にそっと投げかけた「○○」という言葉だ。

    私にとって、彼のこの言葉はこれからの人生の指針になる、まさに名言といえるものだった。

    例えば・・・
    多くの人はそのような状況の中では・・・と考えるに違いない。
    これまでの私も、そのように考える一人だったからだ。

    しかし、それは数ある考え方の一つに過ぎないのだと気づかされたのだ。

    <読んだ後の自分の変化・反省点・まとめのブロック>

    本書を読み、私は主人公のその場面での・・・・な判断に自分に不足していた・・・・を反省させられた。

    作者もきっと読者に、そのような○○の大切さを伝え得ようと、この本を世に送り込んだに違いない。

    ことわざに「・・・・・」というものがあるが、この言葉を残した先人も、失敗の中からこの言葉に気づいたのだと思う。

    もし本書に出会えていなかったら、私はこの分野についての以前からの疑問を疑問のまま持ち続けることになっていたと思う。そのため、この言葉を残した先人と同じような失敗を私もすることになっていたかもしれない。

    私は、今の年齢でこの本に出合えたことに感謝したい。
    この本は、そのように感じさせる教訓に満ちた作品であった。

 
太字で示したフレーズを感想文の中で意識的に使うことで、テーマに対して「多角的な考察」がされた論理性のある感想文にすることができます。以下は、感想文に論理性を加えるための「項目」とそれに対応したフレーズの例になります。

感想文は 小論文と異なり、高度な論理性を追求されるものではありません。しかし・・・

①自身の文章に説得力が乏しいと感じた場合
②文字数が少ない場合

このような場合、以下にまとめた「項目(要素)」が、多く欠けている可能性があります。そのため、それぞれの項目が自身の感想文に存在しているか「確認用」として利用していただければと思います。

※仮に以下の項目のすべてを使い文章を作ろうとすれば、それだけで2000文字程度の原稿なら完成してしまうはずです。(^o^)ノシ

読書感想文≪虎の巻≫
チェック項目とそのフレーズ例
※必ずしもすべての項目を使用する必要はありません。

読者の私・・・私は現在/近頃の私は/いつのころからか私は/
        私には以前から疑問に思うことがあった。それは
選んだ理由・・そのため私は○○について書かれたこの本を/
        そのような理由から私はこの『○○』を題材に
著者・・・・・著者は/作者の○○は/○○である著者は
あらすじ・・・この本は/この物語は/本の内容は/主人公の○○は
注目点・・・・私が特に気になった部分は/この本の中で私が特に
感情変化・・・私はこの部分を読み/この言葉に触れ/とても共感した
        違和感を/不思議な思いが/感動せずには/驚愕した
理由・・・・・なぜなら/それは/理由としては/
知識・・・・・○○にはさまざまな考え方がある/○○については
定説・・・・・一般に/通常/普通なら
問題提起・・・果たして/○○だろうか/○○でよいのだろうか
受容と反論・・確かに…しかし~
順説・・・・・よって/したがって/だから/そのため/それゆえ
逆説・・・・・しかし/だが/ところが/にもかかわらず
事例・・・・・例えば/以前/具体例としては/最近のニュースでも
経験談・・・・私も以前/過去に私も/生活の中で私も/私もこれまでに
想起・・・・・考えてみれば/そういえば/いわれてみれば
飛躍・・・・・どういうわけか私には○○のように思えてならなかった
自分と比較・・私なら/自分だったら/もし自分なら
補強・・・・・また/さらに/そればかりか/だとすると
補足・・・・・ただ/ただし/注意点としては
言い換え・・・つまり/要するに/言い換えれば/表現を変えれば
仮説・・・・・もし/もしも/仮に
比喩・・・・・まるで○○のように/あたかも
対比・・・・・これに対し/一方/逆に
類比・・・・・○○と同じく/これは○○と同じように
視野拡大・・・これは○○に限らず/この考えは○○全体にも言える
出版意図・・・おそらく著者は/この本は読者に対し○○の問題を
権威付け・・・ことわざに/格言に/○○の言葉に/○○によれば
発見・・・・・発見した/気づかされた/知ることができた
変化成長・・・これまでの自分は/今まで私は/この本を読み私は
反省・・・・・反省させられた/猛省した/改めたい
誓い・・・・・これからは私も主人公の○○のように/私もこらからは
提案・・・・・この点を改善するため私は/具体的な行動としては
感謝・・・・・この本に感謝したい/著者に感謝せずにはいられない

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感想文を書くに際しては「意見文」にならないように注意する必要があります。「本の内容に則しているかどうか」を審査では問われるからです。例えば戦争の本を読んだ場合・・・

「こんなにたくさんの人が亡くなったと知って驚きました。もう戦争はしてはいけないと思います。」では、意見文であって、青少年読書感想文全国コンクールでは評価されません。

「こんな風に空襲で家族と離れ離れになってしまった主人公は、本当に辛かったのだと思う。自分だったらあのときに、あんなに強くふるまえなかったかもしれない。家族について、人間の強さについて考えさせらた。」のように内容に即した(内容を絡めた)感想文にすることが大切です。(参考元
 

穴埋め式テンプレートの制作例

上手な感想文から「型だけ」いただいてしまえ!

あなたが「上手い!」と思った感想文を「穴埋め式の型(テンプレート)」にしてしまう裏ワザの紹介です。以下のサンプルはどのジャンルの本にも使える読書感想文の「ひな型」の制作例です。ご活用ください。

(画像をクリックすると別枠で拡大されます)

型の作り方

①「お手本」にする感想文をいくつかのパートに分ける

「固有名詞」「その本特有の内容部分」を白抜きにし「空欄状態」にする。

③これを「ひな型」として自分が読んだ本の内容と照らし合わせながら「穴埋め」&不自然な箇所を「修正」「アレンジ」する。

 
・・人間には「文章に空欄があると穴埋めしたくなる心理」があります。そのため、何もないところから文章を書き出すより、このような「穴埋め式の型」を用意した方が、はるかにスムーズに文章が書けるのです。

※いくつかのお手本を用意し、上手なパートを「組み合わせて使う作戦」も考えてみましょう。
※はじめに、いくつかのパートに分けるのは、その部分に書く内容を明確にするためと、いくつかのお手本を組み合わせて使う際、同じパートの部分を探しやすくするためです。
※最後に、原型が分からなくなるほどアレンジすることをお忘れなく。(笑)

ぜひ、どのような本にも対応できる「万能の型」や、応用自在な「組み合わせて使う型」を研究してみましょう! そしてあなた独自の「必勝の型」の発見につなげてください。
 

※「お手本」は、こちらの「過去の入賞作品一覧」から探すとよいでしょう!
読書感想文の入賞作品集(過去の入賞作品まとめ一覧)
 
 

メモ書き用テンプレート

以下は先ほど紹介した、標準的で読みやすい構成にのっとった「メモ書き用」のテンプレートです。7ブロックに分けています。

ブロックごと書きたいことをドンドンメモしましょう。それらのメモをもとに最後に文章化すれば構成の整った感想文が完成します。


「メモ書き」テンプレート(PDF)
ダウンロード

読書感想文用「メモ書き」テンプレート

 
①この本を選んだ理由やキッカケ・読む前の私
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
 
 
 
②本の説明
(本のあらすじ・概略・著者・周辺情報など)
 
 
 
 
 
③特に気になった箇所やフレーズ(1)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 
 
 
 
 
④特に気になった箇所やフレーズ(2)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 
 
 
 
 
⑤特に気になった箇所やフレーズ(3)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
 
 
 
 
 
⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像しそれを説明
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったか)
 
 
 
 
 
⑦この本を読んだ後の変化・発見や反省など「本からの学び」を説明
 ※副次的に得たことなどの説明も可
 
 
 
 
 

 
※「特に気になった箇所やフレーズ」の部分は、2つから4つ程度に増やしたり減らしたりしてください。
「副次的に得たこと」とは、本の内容からの学びとは別に「読書を通じて偶然得ることのできた学び」などです。

例えば・・

————————————
この本のおかげで日本語のもつ言葉の美しさを再発見することができた・・
————————————
————————————
作者の文章表現の巧みさに感激を受けたことが切っ掛けで、私は文章の展開方法に人の心を動かす法則性のようなものがあるのではないかと思うようになった。そこで調べてみると、やはり物語にはいくつかの王道のバターンがあることを発見でき、それが私にとってはとても大きな収穫だった。
————————————

・・・などですが、このような「読書がらみの知的収穫」は、感想文を書く際に付け加えても違和感のないものです。

ただし、感想文の中心は当然ながら「本の内容に即したもの」にすべきですから、利用する場合は「付け加え程度の分量」に抑えておくべきです。
 

読書感想文の書き方【コツ】と【審査基準】


 
一つ、覚えておくべきは、感想文には必ずしも「正直な感想を書く必要はない」ということです。

Σ(゚Д゚;) エッ!そうなの?
 

多くの場合、先生に喜ばれそうな「嘘」を書かなければ、高い評価は得られません。。。(><)

でも安心してください。もしあなたが多少の「嘘」を書いたとしても、先生方は超能力者ではありませんので「あなたが本当にそう思ったかどうか」を知ることはできません。(笑)

ある程度の嘘(演出)は「あり」なんです。。。
 

重要なのは「読書感想文を書かせる目的」に沿った感想文を書くことです。

青少年読書感想文全国コンクールにおける審査基準(2008.4.1)

○ 応募規定にあっているか
○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
○ 広い視野から作品を評価しているか
○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
○ 著者の論旨を的確にとらえているか
○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
○ 自分のことばで表現しているか
○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
○ 読書によって得た自己の変革がみられるか

(注意)上記の基準は、あくまで青少年読書感想文全国コンクールでの審査基準です。

コンクール主催 全国学校図書協議会理事長 森田盛行氏の言葉
「読書感想文を書く目的は、本を読んで、自分で何かを思ったり、考えたりする、そしてその思いを言葉で形にすることです」

 
以下では、読書感想文で高得点を取るために欠かせない3つのポイントをご紹介いたします。

ポイント①「学び」があったことを感じさせる感想文にする
ポイント②「自分の体験談」や「実社会の事例」をからめて書く
ポイント③「表現力の成長」を感じさせる

 

以下でこの3つのポイントを詳しく解説いたします・・

ポイント① 「学び」があったことを感じさせる感想文にする

学校の課題としての読書感想文は「教育機関からの課題」ということで、そこには教育的な成果を目的にしています。

つまり、読書感想文を書くにあたり最重要に意識すべきはどのような学びが得れれたかを伝える感想文を書くことなのです。つまり・・

「感想文を書きなさい」=「どのような学びを得られたかを書きなさい」

 
なのです。ここを押さえれば、感想文を書くにあたり、理想的な方向も分かるはずです。

学びとは成長であり、成長とは発見(気づき)です。「新しい考え方の発見」や、生きて行く上で「これまで以上に重視すべきことへの気づき」を得ることです。「考え方の幅を広げること」または「多角的な見方ができるようになること」といってもよいでしょう。

それらを「この本が教えてくれた」ということが伝わる感想文を書くことです。

まとめれば、教育機関からの課題としての読書感想文には・・

・新しい考え方の発見があったこと
・これまで以上に重視すべきことの気づきが得られたこと
・考え方の幅が広がったこと
・さまざまな立場からの多角的な見方ができるようになったこと

 
・・これを伝えるための感想文を書くことです。

【最重要】言い換えれば、下の図に示すように「こんな私が」→「読書によって」→「こんな学びを得られました」ということが伝わる感想文にすることです。

ただ、どうしても「学ぶ点がなかった」と感じる本もあります。概していえば、課題図書の多くは「つまらない本」「面白くない本」です。(^∇^)″

もし、あなたの読んだ本が、そのような「つまらない本」だった場合、どのように感想文を書けばいいかは以下の特集ページを参考にしてください。

読書感想文の書き方【つまらない本・面白くない本】編
 

ポイント② 「自分の体験談」や「実社会の事例」をからめて書く

感想を書く際は「本の内容」「自分の体験談」「実社会の事例や課題」感想にからめて書くことがポイントになります。


 
「実社会の事例や課題」を絡めることは「社会とのつながりを意識している人間(成長した人間)」であることを伝えるためでもあります。社会性の発達それこそが教育の重要な目的の一つであるため、社会を意識した内容にするこが高評価のポイントになるのです。 

また、感想文の中に経験談や実社会での事例を引き合いにだすことは「実社会で応用のきく読書のできる人間であることをアピールする効果」もあります。


 

人間的成長とは、「意識できる対象」や「考慮できる対象」「心配してあげられる対象」を徐々に広げていく過程です。

自分本位の考え方→ 相手のことも考慮→ 周囲のことも考慮→ 社会全体のことも考慮→ 世代を超えた将来の社会のことも考慮→ 生物界全体のことも考慮・・・

といったように、心の深いところで、さまざまな「意識できる対象」や「考慮できる対象」「心配してあげられる対象」を広げていく過程が「人間的成長」です。

大人になるにつれ、政治に関心を示すようになるのも、自分を超えた「社会の仕組み」に関心が出てきた成長の表れです。「自分目線」の価値基準から「全体をより広く外から眺める価値基準」へと広がっていく過程が人間的成長です。

スポーツに例えれば「人生は個人戦ではなく団体戦だった!」と悟っていく過程が「人間的成長」です。

cf.「俺はコートに入ったら「俺」ではなく「俺たち」と考えるようにしている。」
   マジック・ジョンソン (バスケットボール)

※大谷翔平選手が、WBCの試合で日本が優勝した際、コメントで優勝の喜びだけでなく、予選で負けたチームのことや野球界全体のことについてもコメントしたことが大絶賛されましたが、これも「自分のことを超えたより広い視野でのコメントだったから」です。「心配してあげられる対象」を広げましょう。( 心配とは「心を配る」と書く点にも注目しましょう。)
 

ポイント③「表現力の成長」を感じさせる

さらに、高得点の要件として「表現の上手さ」が要求されます。思いを言葉で形にする際に求められる「表現の上手さ」とは「言葉の選択」や「文章の構成」の上手さです。
 

文章による表現力
     
    言葉の選択
    ・文章の構成

 
例えば「母親が認めてくれなかった様子」を表す場合も、単純な表現をすれば・・・

「母は認めてくれなかった」となりますが、場合によっては「母は首を縦には振ってくれなかった」というような表現もできるはずです。

このような、多彩な表現を使える人間になったことを感想文から感じ取れる「やや背伸びをした表現を散りばめておくこと」が高得点に繋がります。

「面白かった」を伝えるにも、例えば「夜が更けるのも忘れ、知らないうちに朝方まで一気に読み進めてしまった」というような表現もできるでしょう。

「感動した」を伝えるにも「主人公が○○するクライマックスといえる場面では、思わず次のページを開いたとたん涙があふれかえっている自分がいた」・・のような具体的な描写を交えた表現をするなどが表現力の成長を感じ取れる文章となります。

感想文の読み手に「その時の情景が伝わる表現を用いる」といってもいいでしょう。

「面白かった」→「夜が更けるのも忘れ、朝方まで一気に読み進んでいた」

「感動した」→「涙があふれかえっている自分がいた」

「認めてくれなかった」→「首を縦には振ってくれなかった」・・など

 

 

「表現力の成長」を感じさせるテックニックの例

「書き出し」でインパクトを与える

「書き出し部分の書き方」が分からず苦労している人が多いのですが、実は感想文を書くコツはその「書き出しをスムーズに書けるようにすること」にあります。書き出し部分をスムーズに書けるように、まずは書き出しのバリエーションを知りましょう。書き出しが決まれば、それ以降の構成はそれほど難しいものではありません。応用しやすい書き出しの例は、こちらにまとめあります。

読書感想文の書き出し例【中学生・高校生】入賞21パターン
    (大人気のページです)
 

感想文に、次のような内容を埋め込むと文章に重みや説得力を増すことができます。

「ことわざ」や「名言」「格言」を挿入する

人類の知的遺産といえる「ことわざ」や「名言」「格言」を活用すことは「教養人であること」を間接的に印象付けられるため文章の説得力を高める効果があります。

例)「百聞は一見に如かず」のことわざではないが、本やインターネットからの知識だけでは想像の域を超えられないものだと思う。実際に経験することこそが応用の効く真の学びになることを、著者はこの本を通じて読者に伝えようとしたのだと思う。

例)サッカーの神様ペレの言葉に「ボールが丸いことを理解しろ」という名言があるが、主人公がビジネスで大成功を収めた理由も、やはり同じようにお客様である人間の性質を誰よりも理解しようと努めた経営者だったからだと思う。

例)「失敗は成功の母」という格言があるが、この伝記の主人公は、正にこの格言の正しさを伝えるために生きたような人間だった。主人公の・・

 

「対句」を利用する

例) この夏、僕は小さな勉強部屋の中で、大きな感動を得ることになった。
   ⇒「小さな勉強部屋」と「大きな感動」が対句。
   類)主人公が、小さな肩を震わせながら、大きな誓いを立てた瞬間だった。

例) 数年前、崖っぷちに立たされていた主人公が、今ではステージの上に立っているのだ。
   ⇒「崖っぷちに立たたされていた」と「ステージの上に立ってる」が対句。

例) 生きていれば聞けたかもしれない言葉があった。
   「結婚しよう」
  生きていれば伝えられたかもしれない言葉があった。
   「ずっとそばにいて下さい」

   ⇒「生きていれば聞けたかもしれない言葉」と「生きていれば伝えられたかもしれない言葉」が対句。

 
「穴埋め式テンプレートの制作例」の「セリフ2」のところでも対句が活用されています。
 

最後の部分で「感謝」を伝える

「この本に出合えたことに感謝したい」
「この本を世に送りだしてくれた著者に感謝したい」

・・などの一文を入れることにより、感謝の心のある成長した人間であることを印象付けることができます。

「感謝の心」は人間が成長過程の中で身に着けていく重要な「徳」の一つであり、生まれもって備わっている能力ではないのです。そのため、読者であるあなたが感想文の中に「感謝」の文字を埋め込むことは「成長した人間の証」を埋め込むことと同じなのです。(必ず入れなければならないものではありません)
 

文字数が足らない場合の対策

読書感想文の課題の多くは800字以内、1200字以内、2000字以内など「文字数の指定」がされます。

そのため文章を書き慣れていない人にとっては、書くことが思いつかず「文字数が足りない」という状態に陥りがちです。

文字数が足りない場合は「例えば」や「もし」「なぜなら」を入れられるところはないかを考えてみましょう

「例えば」や「もし」で事例をあげ「理由づけ」を書くことで文字数は増やせます。

文章を「。」で終わりにした場合、その後に次の「つなぎの語句」を入れてみましょう・・

「例えば」
「もし」
「なぜなら」
「確かに」
「だとすると」
「ところが」
「しかし」
「さらに」
「そればかりか」
「それだけではありません」
「裏を返せば」
「別の言い方をすれば」
「つまり」
「要するに」
「また」

さらに・・

「一般的には」
「実際は」
「少数意見の中には」
「はたしてそれは本当でしょうか」
「これまでは」
「これまでの私は」
「私も以前」
「昔は」
「以前の日本では」
「最近のニュースでも」
「海外では」
「感情的な意見ではそうなるかもしれませんが」
「以前の私はそう信じて疑いませんでした。しかし」
「ことわざに」
「○○の名言に」
「心理学者の○○によれば」
「最近の脳科学の研究によれば」・・など

これらの「つなぎの語句」を加えることで、そのテーマを多角的・論理的・客観的に考察することになるため、結果さまざまな情報や考え方を盛り込むことになり、おのずと文字数は増えるのです。
 

文字数を増やすために検討すべき「切り口」の例

以下、文字数を増やすために、さまざまなジャンルの本に使える「万能の切り口」の例を紹介いたします。「万能の切り口」や「テーマごとの切り口」また「それらに対応する例文」をたくさん知ることが感想文を簡単に書くコツの一つでもあります。

「この本の内容を○○に話してみると・・」を加える

例えば「この本の内容を父に話してみると・・」という展開で、家族の反応や助言を感想文の中で紹介し、それについての自分の考えを述べる展開にすれば、文字数を増やせるばかりか「自分の知力を超えた意外性のある展開」や「高度な内容の感想」にすることができます。

また、家族の言葉は「私の父はよく○○は○○だと言っているのですが・・」のような使い方もできます。実際は感想文を書く「あなた」がそのように考えている内容であっても、家族の言葉とすることで、評価する側としても「名言」のように「邪険にできない言葉」にできるというわけです。(笑)

さらに「家族の言葉」は、次のような利用の仕方もできます。

例)私の父はよく「本の価値は本の内容以上に、何かのきっかけを与えてくれるところにある」と言っているのだが、私はこの本に刺激され、確かにその仕事の内容を詳しく調べるきっかけになった。そのため本書は父の基準でいう「価値の高い本」だったといえるだろう。(121字)

 
※「本の価値は本の内容以上に、何かのきっかけを与えてくれるところにある」という言葉を利用すれば、まったく関係ない方向に(やや長文で)話を脱線させたとしても、後半で「本書はそのような発見のきっかけを私に与えてくれた価値ある本だった」とできるため、このフレーズは「話の脱線をフォローするために」意図的に使うこともできるのです。
 

「タイトル」について考察する

「なぜ、この本のタイトルは○○ではなく、○○なのか? おそらく著者は・・・」
「もし、私がこの本にタイトルをつけるのであれば『○○○○○○』としたでしょう。なぜなら・・・」
「もし、私がこの本にサブタイトルを加えるのであれば、○○○○○○の一文を使ったでしょう。なぜなら・・・」

本のタイトルは考え抜かれて付けられるものです。タイトルは本の売れ行きに影響する重要な要素であるため、本を出す際、出版社ではタイトルを決める為だけの「タイトル会議」が開かれるほどです。

そのため「なぜこの本はこのタイトルなのか?」「なぜこの本のタイトルは○○ではなく、あえて○○としたのか?」「原著のタイトルは○○なのに、日本語版のタイトルを○○としたのはなぜか?」というような問いかけをし、自分なりの意見を発表するだけの価値のある部分です。タイトルについて考察する作戦は、すべての本に使える作戦です
 

「登場人物の設定」に注目し考えを述べる

「この物語の主人公の母親は介護職員という設定だが、著者がそのような設定にしたのは、おそらく・・・」・・など。

登場人物の設定などに対して「著者がなぜそのような設定にしたのかを推論し考えを述べる」切り口は、どのような物語にも使える感想文の書き方一つです。

物語の中に「病気の登場人物」や「高齢者」を登場させている場合、著者は「健康でいられる時間の尊さ」や「時間の大切さ」「人生には限りがあること」を間接的に伝えるために、そのような設定にしている場合もあるわけです。

物語の場合、登場人物の設定のほか「場所の設定」「時代設定」についても「なぜそのように設定したのか」を考察してみましょう。
 

「もし、この本に続きがあるなら・・」を加える

「もし、この本に続きがあるなら、私なら・・・」で、勝手なストーリーを展開する作戦もよいでしょう。(笑) 個性的であり感想文としても面白いものになります。

応用例としては物語の場合「もし、私が編集者なら、この部分について、きっと著者にストーリーを変えるように指示を出したでしょう。私なら・・・」など。
 

「この本を読んだ翌朝、わたしは次のような夢を見た。それは・・・」を加える

そして、夢の中の空想話を延々と書く。(^∇^)″

その後「おそらく、このような夢を見た理由は・・・」で、心理分析や、その本の与えた影響を推論し解説する。「私にとって夢にまで見るほど影響された本だった」ということにするわけです・・・(笑)
 

比較しながら解説することで文章の量は増やせる

例えば、そのテーマに対して「以前の私」と「今の私」の考え方を比較させながら解説するスタイルにすれば、そのテーマについて2倍の文章を書き出すことができます。

そのほかにも「この本と以前読んだ本」「現代と昔」「日本と海外」など、比較に使うことのできる対象はいろいろあります。比較させながら解説する技を使ってみましょう。

・「この本」と「以前読んだ本」で比較
・「以前の私」と「今の私」で比較
・「現代」と「昔」で比較
・「日本」と「海外」で比較
・「登場人物」と「自分」で比較・・など

入賞作品の中にも、以前読んだ「別の本」と対比させながら書いた作品も多く存在します。一つの感想文の中で複数の本を取り上げてよいのか?と不安に思う人もいるかもしれませんがOKなのです。これは課題図書の感想文の場合も同じです。また「芥川龍之介全集を読んで」といった、一人の著者の複数の作品が掲載されている本や全集を読んで、著者が生涯に渡り伝えたかったことを推論した感想文でも入賞した作品が複数存在します。
 

内容に対する、読む前の予想と実際とのギャップを述べる

これも「比較」を用いた感想文の例になりますが、「私はこの『○○○○』を手にしたとき、おそらく○○○○○○といった内容が書かれている本だと予想した。しかし・・・」という比較は、どの本にも使える話の広げ方です。
 

「この本のメッセージを●●で表すなら」・・を加える

・もし、この本のテーマを漢字二文字で表すなら、それは「執念」ではないかと思う。なぜから・・
・この伝記の主人公の人生からの学びを格言調にまとめるなら、私なら「出すぎた釘は打たれない」という言葉を残すだろう。なぜなら・・
・著者がこの本で伝えようとしたメッセージを一言で表すなら、おそらくそれは「自分の道は自分で照らせ」だったのではないか。なぜから・・
・私がこの本の印象を「色」に例えるなら、それは間違いなく「青」だ。それも「快晴の空の青」だ。なぜから・・

また、本から学んだことを、いくつかの「キーワード」にして「列挙」することで感想文は書きやすくなります。なぜ、そのようなキーワードを思いついたかを一つ一つ説明していくスタイルにできるからです。

例)私がこの本から学んだことをキーワードにまとめるなら、それは「言葉の力」「心がけの大切さ」「継続させることの尊さ」の3つです。なぜ私がこのキーワードを感じ取ったかを説明すれば・・・など。

 
「人生で学ぶべき大テーマ」としては・・・①時間の大切さ、②心がけの大切さ、③言葉の大切さ、④知ることの大切さ、⑤考えることの大切さ、⑥行動することの大切さ、⑦習慣の大切さ、⑧健康の大切さ、⑨命の大切さ、⑩愛情の大切さ、⑪感謝の気持ちの大切さ、⑫社会を意識することの大切さ、⑬科学することの大切さ、⑭伝え残すことの大切さ、⑮環境への配慮の大切さ、⑯読書の大切さ・・・などが感想文を書く上で、使いやすい大テーマだといえます。

人生で学ぶべき大テーマについては「たとえ話」や「名言」「格言」なども含め、一度自分の考えをまとめてみましょう。「生き方」や「自分の憲法」のようなものを考える大チャンスです。

そして、まとめておいた中から2~4つを使い「この部分を読み、私は次のようなことを思った。それは・・・」と初めて思いついたことにして紹介すれば、どのようなジャンルの本でも感想文が埋まります。
 

この本で学んだ「教訓」を題材にした話に内容をズラす

学んだ教訓を考え、その教訓と同じ「格言」「名言」「ことわざ」などを紹介し、その言葉をお題にした話に内容をズラす作戦です。そして「本書がきっかけとなり、私はこの言葉の意味を深く理解できるようになった」と、まとめれば感想文らしくなります。ところどころに本の内容を絡めるのがポイントになります。
 

今の自分にできる「具体的」で「現実的」なアクションを考え紹介する

その本によって気づいた「課題」を解決するために、今の自分にできる「現実的」で「具体的」なアクションを考え、感想文の中で発表することは、単なる感想や反省で終える感想文以上に、読者にとってその本の影響力が強かったことを印象付けるものです。よって、文字数が増えるばかりか、感想文をレベルアップさせることにもなります。「解決策の提案」や「具体的なアクションの発表」には「より高度な思索」が伴いますので感想以上の価値があるのです。
 

「情報を伝え残すことの価値」を発見できた喜びを伝える

本は情報でできていますので、その本を読み、初めて「学ぶことの大切さ」「情報を伝え残すことの大切さ」を発見できた(ということにする)ネタは、どのジャンルの本の感想文にも挿入できるネタです。

例1)私は本書から、著者が本来的にこの作品によって伝えようとしていたであろう、現代社会の○○の問題点や、○○を大切にすべきとの内容以上に「情報を伝え残すことの価値」を発見できたことが大きな収穫であった。それは、人が何らかの「判断」をするためには「判断材料」が必要だが、その判断材料を自己の経験だけに頼っていては材料が少なすぎると痛感させられたからだ。それに伴い、個人の経験を補ってくれるものが「本」であり、ゆえに「読書」が大切なのだと本書は私に気づかせてくれた。そのため、これからは判断材料の分母を増やす意味での読書をもっと多くしなければならないと考えさせられた。また読書により情報を大量にインプットするほか、SNSなどを通じ、みずからも情報を積極的に伝え残すようにすべきだとも思うようになった。私にこのような「意識変革のきっかけ」を与えてくれた本書の著者には、最大限の敬意と感謝の気持ちをささげたい。(398字)

 
※この場合、その本によって「著者が本来的に伝えようとしていた内容」もしっかり理解できていることを示すために「著者が本来的にこの作品によって伝えようとしていたであろう、○○や、○○の大切さという内容以上に・・」というような「前置き」を記しておきましょう。

例2)以前テレビ番組の中で「日本に来た外国人が驚く日本人の特徴」がテーマに掲げられていたのだが、その一つに、多くの日本人が、バッグの中に手帳を入れて持ち歩く習慣のあることが挙げられていた。日本では、自然災害が多いせいか、遺伝子的にも心配症の人が多く、他国の人に比べ、予定や思いついたことを書き記すための手帳やメモ帳を持ち歩く習慣のある人が多いそうだ。私もそのタイプの一人であるが、確かに手帳を忘れた日は、一日中不安に駆られるものだ。この日本人の性格特性が、日本人が得意とする「生活の改善」や「技術の進歩」の基礎にあることを指摘する研究者もいるほどだ。我々人間は、起きている間は、常に何かを「思っている」ものだが、その思いは「活字として書き残し発表すること」をしなければ社会全体の情報資源にはならないものだ。私は本書を通じ、著者の主張する○○する際の心構えや、○○に必要な知恵などをたくさん知ることができたのだが、その点以上に、むしろ「先人達の残した情報を知ることの価値」や「有意義な情報を伝え残すことの価値」に気づけたことの方に嬉しさを感じてしまった。私にとって、この二つの発見が得られたことは、とても費用対効果の高い読書経験だったといえる。(518字)

 
※その後「これからは今まで以上に読書の量を増やすようにしたい。」「自分もこの本のような価値ある情報をSNSなどを通じ配信するようにしたい。」・・など、自分のすべき「具体的なアクションの発表」につなげれば、感想文のまとめ方としてスムーズです。
 

「言葉には人を(人生を)変える力がある、という発見が得られた」・・を加える

物語の中には必ず「登場人物が何らかの言葉によって感情が変化したり、人生の方向が変わった様子」が描かれています。そのため、どこかのエピソードを取り上げ「言葉には人を変える力があることを偶然発見できた(ということにする)ネタ」は、どの物語の感想文にも挿入できるネタになるのです。

※言葉には「他人からの言葉」のほか、自分で思いついた「発見の言葉」や「つぶやきの言葉」があります。

例)主人公と○○との、この些細な会話の部分を読んだ際、私は偶然「言葉には人を変える力がある」という大きな発見を得た。また、それと同時に恐怖も感じることになった。主人公が○○から発せられた、この何気ない一言が原因で、転落の一途をたどったように、自分が過去に放った軽率な言葉が、実は誰かの人生を大きく変えてしまっていたのではないかと。あるいは過去に自分に向けられた言葉の中にも、本来なら私の人生のターニングポイントになるはずの「重大なアドバイス」があったのではないかと。「言葉には人を変える力がある」・・おお、なんと重く、それでいてその重さを意識しにくい事実であろうか。もし私が、この年のこの時期にこの本に出合えていなかったなら、さらに私は何年もこの重く尊い事実に気づくことができなかったかもしれない。これからの私は自分が発する言葉に、また自分が耳にする言葉にもっと注意深くしなければならないと反省させられた。(401字)

 
※登場人物ではなく、読んだあなた自身が本の中の言葉によって影響を受けた(ということにして)、それゆえ「言葉には人を変える力があると気づかされた」という展開にするのもよいでしょう。
 

「過去は変えられないが未来は変えられる、という発見が得られた」・・を加える

これも、どのジャンルの本の感想文にも挿入できる内容です。「心がけ」や「努力」によって「自分の未来はいくらでも変えられる!」という発見をこの本を読んだお陰で得られた(ということにする)内容は、感想文の主催者からしても嬉しい内容だからです。(笑)

例)人間は過去を変えることはできない。しかし「心がけ」と「努力を続けること」によって「未来はいくらでも変えられる」という事実を、私は本書を読み再認識することができた。さらに、未来の特定の時期から現在を眺めれば、現在は過去になる。そうであるなら「過去はこれから作れる」という大発見をすることもできたのだ。つまり、未来の特定の時期までに成功したいのであれば、それまでに「そうなるに値する過去」を「これから作ればいい」という大発見もできたのだ。「その時期にそうなるに値する過去をこれから作ればいい!」・・・なんという希望に満ちた発見だろう。私は本書を読み、これからの人生を変える「鍵」のような言葉を手に入れることができたのだ。これからは「そうなるに値する過去をこれから作る」という意識で日々の生活を真剣に生きたいと思う。そのような意識改革のきっかけをくれた、私にとっての記念碑的な読書経験であった。(394字)

 

「情報とのつき合い方」について発見したことを発表する

フェイク情報のはびこる時代では、以下のような「気づき」も必要です。読書によって「心が動かされた」と感じた際は、次のように「自己防衛の発想」をすることも大切です。(←ホント大切)。「情報とのつき合い方の発見ネタ」は、おもに小説などの物語本で使いやすい切り口です。

例)私は、この物語を読み、とても感動したのだが、ふと物語と音楽の共通点を発見してしまった。私は趣味で音楽をよく聴くのだが、物語も音楽も共に「特定の感情を作るための創作物」といってよいものだろう。効果的に感情を作り出すためには、順序だて(並べ方・構成)が重要という点も共通している。物語は「知識の提供順序」、音楽は「音の配列」である。そのため物語や音楽は、しばしば悪徳宗教団体などが「マインドコントロール」のために悪用したりもする。私はこの作品を読み、これからは、物語や音楽に触れて「感動した」という場合も、純粋に「感動した」と喜ぶだけでなく「感動させられた」という捉え方もしなければならないと痛感させられたのだ。作品という「作り話」や「曲」によって意図的に「心をコントロールされた状態」だからだ。本書に私は確かに感動した。しかしそれは、作品によって著者に「感動させられた」という状態でもあるのだ。これからは、作品によって「心をコントロールされない自分」を作るトレーニングを兼ねた読書をするようにしたい、そのような考えを与えてくれた読書経験であった。(472字)

 

内容以外にも注目する

例えば、本を書いた時の「著者の年齢」に注目する。もし、かなり若い年齢でその本を書いていたのであれば、その年齢でこの本を書き上げた著者の凄さに驚かされたことを、自分の精神年齢と対比させて感想にまとめるなど。

また「かなり昔に書かれた本」なら・・・「この本を読み、いつの時代も人間の感情は同じであることに改めて気づかさえた」「この本を読み、歳の離れた大人や老人も、同じような悩みや感情を経験してきた人なのだと改めて思えるようになった。」・・・というように「世代の違う人間への見方が変わった点」を感想に書くことができます。
 
外国の本の場合「心の共通点」の発見があったことを述べる。例えば、戦争関連の本であれば「世界中でベストセラーになっているこの本を読み、日本人である私も同じように感動できたことに不思議な喜びを感じずにはいられなかった。そして、どの国の人間にも同じ感情があるのであれば、私は世界から必ず戦争はなくすことができるものだと確信した。」・・というような展開にすれば感想文らしくなります。(笑)
 

読書感想文を書くための本の「読み方」についてはこちら
読書感想文 本の読み方のコツ(中学生・高校生・社会人)
 


読書感想文で意識すべきは・・・
 「学びを伝える」
 「体験談や社会をからめる」
 「多角的考察」
 「表現の工夫」

2023年の「読書感想文対策」には
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【追記】過去の入賞作品の紹介ページを作りました!書き方の参考用にご活用ください。

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