「窓ぎわのトットちゃん」読書感想文の例文(中学生・高校生)【入賞5作品】
アニメ化決定!という情報を得て、感想文の題材に利用する人も多いかと思い、こちらでは「窓ぎわのトットちゃん」を題材に読書感想文を書く人のために、この本のあらすじや、参考にしていただけそうな着眼点(切り口)の例や感想文の例をご紹介しています。
このページでは、おもに中学生や高校生が、1200字、1600字、2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書く際にて、参考にしていただけそうな考え方や書き方を紹介しています。
※小学生向けの「短めの感想文」の書き方と例文は以下のページに用意しましたので、そちらを参考にしてください。
⇒「窓ぎわのトットちゃん」読書感想文の例文【3作品】(小学生むけ)
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⇒ 朗読版「窓ぎわのトットちゃん」
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「窓ぎわのトットちゃん」について
「窓ぎわのトットちゃん」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【7作品】
書きやすい読書感想文の構成の例
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「窓ぎわのトットちゃん」について・・・
40年の時を経て、アニメ化決定!
本書は日本におけるベストセラーランキング1位の「超」ベストセラーにしてロングセラー。かつ海外でも大人気のベストセラー。(中国でも1000万部突破!)。
そして、2023年、本作のアニメ化も決定され、更なる売れ行きが期待できる「超話題作」です。「窓ぎわのトットちゃん」は、黒柳徹子さん自身の幼少期の体験を基にした感動的な物語です。物語は昭和時代の日本を舞台に、個性的で自由な心を持つ少女トットちゃんの成長を描いていた作品です。
黒柳徹子の伝説的自伝『窓ぎわのトットちゃん』40年の時を経てアニメ映画として初映像化(写真 全3枚)https://t.co/qn2X8iKsiy
#黒柳徹子 #八鍬新之介 #映画 #窓ぎわのトットちゃん @tottochan_movie
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) March 19, 2023
「窓ぎわのトットちゃん」あらすじ
物語の始まりは、トットちゃんが通っていた伝統的な学校での出来事から始まります。彼女はその学校で、規則に縛られた教育に馴染めず、結果として退学になってしまいます。しかし、その後トットちゃんは、トモエ学園という革新的な教育方針を採用した学校に入学します。そこでは、先生たちが生徒たちの個性を大切にし、自由な発想を奨励していました。
トモエ学園で過ごすうちに、トットちゃんは自分の才能を開花させ、周囲の友達や先生たちと素晴らしい経験を重ねていきます。彼女は様々な出来事を通じて、友情や愛情、喜びや悲しみ、そして人とのつながりの大切さを学んでいきます。
一例として、縁日でヒヨコを買ったエピソードでは、生命の尊さや死と向き合う悲しみを経験します。また、「一番悪い洋服」のエピソードでは、母親の愛情を感じながら、ユーモアのある言い訳を作り上げていきます。
トットちゃんが成長する中で、特に印象的なのは、校長先生との関係です。校長先生は彼女の心の支えとなり、彼女が自分の道を見つける手助けをします。彼女が過ちを犯した時でも、校長先生は優しく叱り、そして彼女が素晴らしい子であることを褒め称えます。
物語の終わりには、戦争が始まり、トモエ学園は閉鎖されてしまいます。しかし、トットちゃんはそこで得た自由な心と経験を胸に、戦争や困難な状況に立ち向かっていきます。
全体を通して、本作は個性を大切にし、自由な心で生きることの大切さを伝える感動的な物語です。
また、現代の教育や社会にも通じる普遍的なテーマを持っており、多くの人々に愛され続けています。トットちゃんの成長を通じて、読者は人間関係や情操教育の重要性、そして互いに理解し合うことの素晴らしさを学ぶことができます。この物語は、子どもから大人まで、幅広い世代に感動を与える名作となっています。
以下のような着眼点を参考に自身の考え方を述べてみるのはいかがでしょうか?
数ある本の中から、この本を選んだ理由は?
人の個性と教育のありかたについて感じたこと。
トットちゃんは「トモエ学園」の校長先生との出会いによって人生が変わったといってもよいでしょう。その点について考えたこと。
もし寛大なお母さんや、小林校長のような人に出会わなかったのなら、トットちゃんはどのような人になっていたかを想像した感想文もよいでしょう。受け入れてくれる人の価値について思ったこと。
「自分がもしトットちゃんのような立場だったら」と想像し、トットちゃんと自分の対応の違いを述べてみるのもよいでしょう。
他人と違うことの価値について。
この物語を読んで学んだことを一言で表した「格言」や「名言」「ことわざ」を紹介し、それについて改めて考えさせられたことを紹介する感想文もよいでしょう。
cf.「二人の人間がいていつも意見が同じなら、そのうち一人はいらなくてもいい人間である」(違うことの価値を表した格言)
「世の中がすべて自分と同じ考えの人間ばかりだったら世の中はどうなるか?」(自分と違う考えや価値観の人がいてくれるから、世の中はうまく回っているのだと理解させられる問いかけ型の名言)
「短所は短い長所である」(一見短所であると考え直そうとしがちな部分も捉え方を変え「活かそう」とすれば長所になるという格言)
周囲にすこし変わったお友達がいるのであれば、その彼・彼女との接し方について考えさせられたこと感じたこと。
「トモエ学園」は戦争で焼けてしまいましたが、その点についてどう感じたか?
著者の黒柳さんは、この本をどのような気持ちで本にしたでしょうか?
もしこの本にサブタイトルをつけるなら自分ならどのようなサブタイトルをつけるかを理由とともに紹介する感想文もよいでしょう。
この本と似た内容の本を紹介し、両者を対比する感想文もよいでしょう。別の本の内容を絡め対比させた感想文でも入賞作品は多く存在します。
この本を読む前と読んだ後との変化について。反省・改善点・今後の誓いなど。
この本を通じて「読書の大切さ」や「読書の価値」、あるいは「本を書き残す価値」について気づいた、という内容の感想を含めるのもよいでしょう。
この本を書き残してくれた著者への感謝。
・・・これら中からいくつかを取り上げ「自分の考え」や「過去の思い出」などとからめて話を広げてみましょう。
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。
「窓ぎわのトットちゃん」読書感想文の例【7作品】
以下に 入賞作品5作品を含め、計7作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。
「窓ぎわのトットちゃん」を読んで①
久しぶりに本当に感銘を受けた本でした。昭和の大ベストセラーということでしたが、令和の現代に生きる僕が読んでも、話の一つ一つが自分の幼かった頃経験してきたことのようにも思えたのです。
「すきなものから始めなさい。」・・・そう言う授業をしている学校ってあるのだろうか?何もかも自由でのびのびとしていて、自主性が育まれていくのはこういう授形態からくるものなのでしょうか。けれども、この学校にもきちんとした校則がありました。
それは自分より弱い人を押しのけることや乱暴するのは恥ずかしいということ、ちらかっていたら勝手に掃除すると、人の迷惑になることはしないということなどです。そうした教育方針を徹底するなかでみんな心やさしく豊かな創造力をもった子供として育って行くのです。
この話のなかで特に好きな所が二カ所ありました。そのひとつは、「一生のお願い」です。縁日で買ってもらったヒヨコの話です。自分の欲しいものは、何としても手に入れたいし、いいだしたらきかなかった幼い頃のことが思い出されて、なつかしさがこみあげてきました。大工さんが作った特別製の箱の中で黄色いヒヨコはかわいく、トットちゃんは一日中ヒヨコを見てくらすのです。
でも、四日目に一羽が、五日目にもう一羽が動かなくなってしまいました。手でさすっても、呼んでもピイとも言わないヒヨコのいなくなった箱の中で黄色い羽が落ちているのを見つけた時、縁日でトットちゃんを見つめて大きな口をあけて鳴いていた時の姿を思い出して泣くのです。これがトットちゃんにとって人生の最初に味わった「死」と「別れ」と言う事実だったのです。
僕はここのところを読んでいるときトットちゃんの心情にひかれて涙をこぼしてしっていました。僕も幼いころ、同じような経験をしました。でも僕の願いが通らなかったわけは、母が子供のころ味わった悲しい思い出のためです。母が縁日で買ってもらったヒヨコは、もう次の日には元気をなくしていねむりをはじめたのです。
母は電球を入れて暖めたり、エサを口に入れたりしました。そのとき、祖母が言ったそうです。「親どりがいれば死なせはしないのにねえ。」と。それか母は鶏の飼っている家をさがし、死にかけたヒヨコを持って行ったのですが、その鶏はよそのヒヨコのめんどうは見てくれなかったのです。その時、母は泣きながら大きくなるまでもう何も飼わないでおこうと思ったそうです。
もうひとつは「一番悪い洋服」というところが好きです。毎日服をやぶってきたトットちゃんが、「さっきさ、道を歩いていたらよその子がみんなで私の背中にナイフを投げたからこんなにやぶけたの。」とママにいいわけをするところです。あまりのユーモアのあるいい方に笑ってしまいました。そして、そのあと、この豊かな発想と表現のすばらしさに深く感動しました。
でもトットちゃんのママは「あらそう、大変だったわね。」というだけです。このママの子供を信じ、子供の豊かな心を育てようとする言葉や姿に、親のありかたの理想や目標を見た気がしました。僕は「おおおおお・・」と敬服せずにはいられませんでした。
また、校長先生も心の優しい、心の広い、本当に子供の好きなお人だとつくづく思いました。トットちゃんの話を四時間も聞いてくれたことはもちろん、校長先生のひとこと――「君は本当はいい子なんだよ。」という言葉は、著者の生涯をはげましつづけたことばではないかと思います。
あの時のトモエ学園の先生も僕達が学んできた先生も、教育者という方々はみんなトモエ学園のような教育を理想にしているのではないでしょうか。でも今は画一的な教え方しかできないのです。ゆとり教育の弊害から教科書も難しくなった気がする今日です。学力をつけなければ進学はできません。そうしたなかで先生方も悩んでおられるのではないでしょうか。
僕にはそう思えてなりませんし、そういう目でもう一度自分の学校の中をみつめてみたいと思います。こんなに多くのことを語りながら童話のように美しく、悲しく、また楽しく書いている著者のすばらしさがよくわかりました。
今日、差別をなくすためのLGBDの考え方や情操教育の大切さが盛んにいわれるようになっています。また、情報弱者にならないために学ぶことの大切さも語られていますが、この本を読むことはどんな偉い人の教育論や情操論を聞くよりも、遥かに得るものが大きいのではないでしょうか。大人にも子供達にも「生きる上で大切なもの」を教えてくれる気がします。今年の夏、僕はトットちゃんと語り合いました。トットちゃんこそ僕にとっての最大の教育者でした。(文字数1891)
「窓ぎわのトットちゃん」を読んで②
物語の主人公であるトットちゃんは、長年テレビ業界で活躍している黒柳徹子さんが自身の幼少期の経験を綴った作品です。
トットちゃんは、現代の言葉で表現すれば、学習障害である「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」を持つ子供と言えるでしょう。彼女は面倒がられる問題児とされる一方で、独特の思考力を持っていました。
例えば、彼女は授業中に突然席を立ち、近くを通るチンドン屋さんに話しかけたり、何度も机の引き出しを開け閉めして先生に注意されると、今度は机の上にあるものを繰り返し整理し始めるといった行動がありました。
読者としては、「ああ、困った子だ」と思いつつも、トットちゃんが注意される先生の気持ちが分からず、無邪気な表情で困惑する様子を想像することができました。先生方に手を焼かれ、学校を退学させられた時、トットちゃんの母親は娘に真実を伝えず、「新しい学校に行ってみよう」と優しく誘導しました。
そんな時は、お母さんはトットちゃんに集団生活の規則の大切さや、それを守らないことが他人にどのような迷惑をかけるかを教えるべきだったと、読者である私は感じました。
親として子供を自由に育てたい気持ちは理解できますが、すべての親子がトットちゃん母娘のように考えると、集団の調和や規律が保てないと考えられるからです。
新しい学校であるトモエ学園に転校したトットちゃんは、個性的な学校の雰囲気にすぐに馴染み、楽しんで過ごしていました。校長先生に「好きなことを話してみなさい」と言われた彼女は、なんと4時間もしゃべり続けたのです。
わずか6、7歳の少女が、校長先生を相手に4時間も話し続けるエピソードに驚く一方で、校長先生の忍耐力にも感嘆しました。また、一人の子供の気持ちや性格を理解しようとして、半日を費やす校長先生は「暇人なのか?」と感じました。
しかし、読み進めるうちに、その小林校長が非凡な人物であることに気づきました。トモエ学園の授業は時間割通りに進行せず、好きな教科を自由に学ぶことができました。教室の中では、作文を書く子供がいる一方で、隣の席では物理に興味を持つ子供が実験を行っているといった光景が広がっていました。
恵まれた環境と献身的な先生方のもとで、子供たちは自分たちがやるべきことを、順序は異なってもその日のうちにきちんとこなしていました。この点において、小林校長の偉大さがあらわれていたと感じました。
子供たちは自由な気持ちで学習を楽しみながらも、厳しい規則に対しても楽しく受け入れ、守っていました。まさに、小林校長の経営の魔法にかかっていると言えるでしょう。
また、学園のお弁当の時間も独特でした。校長先生がみんなに大きな声で、「海のものと山のもの、持って来たかい?」と尋ねるのです。この時、私は山海珍味という言葉を思い出しました。
偏りのない栄養素を摂取することが、心身の健康に重要であることを、理屈や理論ではなく、お弁当という子供たちにとって楽しい時間を通じて教える発想は、並々ならぬものだと感じました。
現代の親子には想像もつかないような親子の絆を、お弁当を通して実践していました。親の愛情が詰まったお弁当を楽しく食べる子供たちに、問題児は生まれるはずがないと思いました。
子供に夢と期待を持つ親の気持ちは、昔も今も変わらないと思います。しかし、現代では、年に一度の遠足のお弁当にすら、多くの生徒が市販の色鮮やかな弁当を当然のように持参しています。
子供のために働いている親が時間を惜しむ気持ちも一理あるかもしれませんが、市販の弁当には親の愛情は詰まっていないはずです。
遠足の度に、友達の美味しそうな弁当と母の手作りの弁当を比較し、ちょっぴり劣っていると感じたこともありますが、今は、母と一緒に作るお弁当に親の愛情を感じ、大切にしたいと思っています。
この本を読んでから、テレビで見かける黒柳徹子さんを以前とは違う目で見るようになりました。黒柳さんは、現代の子供や親に、真の教育のあり方やしつけを、『窓ぎわのトットちゃん』という自叙伝を通じて伝えたかったのだと思います。
また本書を読み、私自身、自分のいやな性格に対し、もっと小林校長のように寛大になるべきではないかと考えられるようになりました。自分自身の性格に対しても、否定するだけではなく「その性格を利用できないか」という視点で自分自身を見つめることも大切だと分かったからです。(1804文字)
入賞作品の紹介
入賞作品①②(2・8ページに掲載されています)
(PDF形式で開きます)
入賞作品③④⑤(4・6・8ページに掲載されています)
(PDF形式で開きます)
書きやすい感想文の構成の例(書き方の順序)
書きやすくまとめやすい標準的な読書感想文の構成例をご紹介いたします。
感想文は「順序だてて説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。
①なぜこの本を選んだのかの説明
⇒ 読書感想文の書き出し入賞21パターン
②大まかな内容を手短かに説明
③気になった箇所を紹介(1)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
④気になった箇所を紹介(2)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑤気になった箇所を紹介(3)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し考えを書く
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑦この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明
読む前の説明→ 「この本を選んだ理由」「読む前の私」「本の概要」などの説明
読書中の説明→ 読んでいる最中に「感じたこと」「思い出したこと」などの説明
読書後の説明→ 「学んだこと」「反省したこと」「読んだ後の私」などの説明
・出会いが人をつくる
・接し方で人は変わる
・他人と違うことこそがその人の存在価値である