「モナ・リザの左目」読書感想文の例文【大特集】
こちらでは「モナ・リザの左目」の読書感想文を書く人のために、この本のあらすじ(概要)や、参考していただけそうな着眼点(切り口)の例や感想文の例をご紹介しています。
おもに中学生や高校生が、1200字、1600字、2000字(原稿用紙3枚、4枚、5枚)の読書感想文を書く際に、参考にしていただけそうな考え方や書き方を紹介しています。
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「モナ・リザの左目」あらすじ(概要)
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の書き方【例文】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「モナ・リザの左目」あらすじ(概要)
最近の日本の学校教育では、小学校から高校に至るまで「探究する心」が重視されるようになり、指導要領の中でも明文化されるようになりました。「探究学習」や「総合的な探究の時間」が設けられているのがその現れです。
そのため、読書感想文の課題図書としても、近年「探究する人」を題材とした下記の様な「学者の伝記」や「研究職に関連した本」が選ばれることが多くなりました。
「建築家になりたい君へ」隈研吾
「牧野富太郎~日本植物学の父」清水洋美 里見和彦
「科学者になりたい君へ」佐藤勝彦
「化石のよぶ声がきこえる」ヘレイン・ベッカー
そのような時代において、本書は 読書感想文の題材として最適な本 であるといえます。
本書を読むことで、何かを探究する際の着眼や発想に「美術家の視点」を加えることができるようになるでしょう。
また、美術家の着想や発想が、専門外の医学の分野で注目されるに至った事実を学べる本書は「専門を変え異分野に身を転じて活動する際の参考書」という位置づけで読むこともできます。
さらに、本書には、著者の発見のバックヤードとしての「美術分野の知識」が随所に散りばめられているため、どこかで誰かに話したい「美術分野の雑学や教養」を知りたい人にも格好の一冊といえます。
著者の花山水清氏は、大学で美術を教える美術家だったが、二十五年前、知り合いの高齢者の体を見て、脊柱起立筋の腰の部分が左側だけ固く盛り上がっていることに気づく。
体の形が左右で多少異なるのは珍しいことではないが、そのような筋肉の異様なシコリが他の人でも同じように左側だけにあることに驚く。
著者はこの驚きをきっかけに、以後25年以上にわたりその分野を探求。本書の中では、美術家ならではの考察の仕方や着眼点が、たくさんの資料とともに紹介されている。
歴史上の身体の非対称性については、ギリシャ文明の彫刻からコペルニクスの頭蓋骨、モナ・リザの瞳孔、縄文時代の人骨から鑑真和上の像など、あらゆるものを調査。
その調査は国内にとどまらず、ナスカ、イカ、インカの各時代の頭蓋骨の形状を調べに、はるばるペルーにまで足を運ぶ。
人間の顔や体が左右がぴったり対象ではないことは、大昔から分かっていたが、それだけではなく、脊髄が左にしかずれない事実や、発見した「アシンメトリ現象」がさまざまな体調不良と密接に関係していることを指摘。
さらにアシンメトリ現象は、滅びゆく種の前兆として多いことにも言及。それらの発見は今日、医師のチームを動かし科学的な検証をスタートさせるまでに至った。
「モナ・リザの左目」着眼点の例
以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。
数ある本の中から、なぜこの本を選んだのか?
⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
著者は25年以上前のある「驚き」がキッカケで、美術の分野から医学の分野に興味の方向が転じ、さまざまな発見や仮説を導きました。その点に注目し、人生における「驚き」の影響力について、自身の考えを述べるのも良いでしょう。
「人生100年時代」と呼ばれるようになった今日の社会において、人生の途中で環境を変え、異分野に身を転じようと思う人も多くなるはずです。そのような時代において、著者が大学で教鞭をとるほどのキャリアを捨てて、まったくの異分野に身を転じた点に焦点を当て、その点についての自身の思いを述べる感想文も良いでしょう。
美術家であった著者が医学という異分野の専門家からも注目されるに至った理由はどのようなところにあるのか?本書を読み専門家でない人間がその分野で注目されるための努力や条件とはどのようなものか?本書の中から導き出した自身の考えを述べる感想文もよいでしょう。
日本には「オタク文化」が存在しますが、一般的な「オタク」と著者との違いはどのような点でしょうか?その点についての考えを述べる感想文もよいでしょう。社会性の存在や科学的進歩につながるか否かの違いではないか・・など。
著者が異分野で認められるようになるためには長年の努力がありましたが、長期にわたる探究を続けてこれた理由はどのようなものだったでしょうか?その点に注目し、自身の考えを述べる感想文も良いでしょう。
本書には「美術の力が医学では特技になる」という著者の言葉が出てきますが、これは言葉を変えれば「それまでに養った専門知識や専門技術は異分野においては希少価値として武器になる」という意味でもあります。この点に注目し、異分野に身を転じる際の考え方について思ったことを語る感想文も良いでしょう。
中年以降に医学を学び始めた著者ですが、元美術家としての視点が、さまざまな現代医学の矛盾を感じはじめた様子が本文で語られています。「知力とは疑うこと」という言葉もある通り「常識を疑う視点」は、むしろ異分野でキャリアを積んだ専門外の人間の方が長けているのかもしれません。そこで、本文中で語られている著者の現代医療に対する「疑い方」について注目し、参考になった「疑い方の例」を取り上げ、自身の「思考法の広がり」として紹介すのもよいでしょう。
発見のためには常識に流されない仮説や探究が必要であることが本書によって理解できます。その点に注目し、世の中の情報に流されないマインドの大切を発見した・・・という展開に繋げる感想文も良いでしょう。
「私の父はよく・・」や「本の内容を父に話すと、父は・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族や他人の言葉を紹介する形にし、そこから話を広げる展開なら、本の内容を超えた意外性のある感想文に発展させることができます。
社会を直接進歩させるのは、注目されることの多い政治ではなく、名もなき研究者やエンジニアといった「発見する人」や「生み出す人」「極める人」です。政治は予算の配分や政策の立案を担当する分野です。そこで、本書を読み自分も研究者やエンジニアになりたいと思うようになった・・という展開で感想文をまとめるのも良いでしょう。本書が自身の進路の決定に影響を及ぼすほどの影響力があったことが伝わる感想文になります。
タイトルに注目してみましょう。なぜ著者はこのタイトルにしたのかについて考察し考えを述べるのもよいでしょう。また、もし自分がこの本に「サブタイトル」をつけるなら、どのようなサブタイトルをつけるか考え、理由とともにその考えを述べるのもよいでしょう。
この本を読んで、知識や経験などを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたとする感想は どの本にも使える感想文の広げ方 の一例です。そして「自分も大人になったら発見や経験を本に書き残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
※どんな本にも使える「感想文の広げ方」については、下記のリンク先にまとめてあります。
⇒「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」
・・・これらの中からいくつかを取り上げ、関連する「自身の思い出」や「最近の時事問題」などをからめて感想文をまとめてみましょう。
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
「モナ・リザの左目」読書感想文の書き方【例文】
以下に読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。
「モナ・リザの左目」を読んで①
私は、子供のころから物語の本を読むのがとても苦手で、それが原因で読書全体を敬遠していた。そのような私だったが、一昨年の課題図書の一冊であった、植物学者の牧野富太郎の伝記に出会い、物語以外の本なら比較的抵抗なく読めることに気づくことができた。
そのため、今回の読書感想文の題材としても、研究者関連の本を読もうと思い、選んだのが美術家の花山水清氏の書いた『モナ・リザの左目』という本だ。
著者の花山氏は、大学で美術を教える美術家だったが、人体の非対称性の存在に注目し、以後25年以上にわたりその分野を探求した結果、規則性のある「アシンメトリ現象」を発見するに至った人物だ。
人間の顔や体が左右がぴったり対象ではないことは、大昔から分かっていたことであったが、それだけではなく、脊髄が左にしかずれないなど、非対称性の表れ方の発見に加え、アシンメトリ現象がさまざまな体調不良と密接に関係していることを指摘するまでに至り、それらの発見が医師のチームによる科学的な検証をスタートさせるまでに影響を与えたのだ。
著者は、これまでに読んだ何冊かの伝記の登場人物とは違い、本来の専門分野から異分野の研究に進んだという点が、私にとって新鮮だった。つまり、本書は、美術の専門家が越境し「異分野での貢献に繋げた人物伝」という印象を受ける内容だったのだ。
私は本書を読み、これまでに読んだ研究者の本では得られなかった5つの発見をした。それは「驚きは行動のもと」「培った専門知識は異分野では武器になる」「価値ある研究には協力者が現れる」「発見を書き残すことの価値」「探求したいテーマに出会えた人生のすばらしさ」の5つである。
著者は二十五年前、知り合いの高齢者の体を見て、脊柱起立筋の腰の部分が左側だけ固く盛り上がっていることに気づいた。体の形が左右で多少異なるのは珍しいことではないが、そのような筋肉の異様なしこりが他の人でも同じように左側だけにあることを発見し驚愕したのだ。著者はこの驚きをきっかけに、その後の生涯をこの分野の研究にささげることになったわけである。
プラトンの言葉に「驚きは知ることの始まりである」というものがあるが、驚きにはまた、この著者のように「人を行動に駆り立てる力」や「人生を方向付ける力」があるということだ。
著者は、歴史上の身体の非対称性については、ギリシャ文明時代の彫刻からコペルニクスの頭蓋骨、日本における縄文時代の人骨から鑑真和上の像など、現存するさまざまなものを調査したわけだが、私が驚いたのは、ナスカ、イカ、インカの各時代の頭蓋骨の形状を調べに、ペルーまで足を運んたというエピソードだ。著者が二十五年前に感じた「驚き」には、そのように人間を地球の裏側にまで探究に向かわせる力があるということだ。
美術家である著者は、若いころに身に着けた手の感覚が、医師では分かりにくい身体の異常の発見に役立っているという。つまり、鍛えた専門的な能力が異分野で活かされたということだ。この点に関し、本書の中で「美術の力が医学では特技になる」と表しているのが印象的だった。これは、言い換えれば「異分野に移った場合、それまでに養った専門知識や専門技術は希少価値として武器になる」という教訓のように私には思えたのだ。
本来、専門家でない人間の話は軽んじられるはずだ。しかし、二十五年の探究は膨大なデータの集積を生む。そのため、著者の研究は、医師のチームによる科学的検証が始まるまでに至ったのだ。これはつまり「価値ある研究には協力者が現れる」という、一種のプラスの摂理が働き出すという事例ではなかろうか。また、専門外の分野に興味がわいた場合「専門外であることに躊躇するな」というメッセージのように思えてならなかった。
また、本書を書き残したように、せっかくの研究も記録として書き残さなくては、本人の個人的な知識で終わってしまうものだ。しかし「書き残す」「伝え残す」ことをした場合、それは個人的な知識を越えた「社会的な価値」に昇華するものだ。遺伝以外の方法で、後世にデータを残せる生き物は人間だけである。つまり「書き残すことは人間にしかできない叡智」なのだ。
本書を読み私は「探求したいテーマを発見した人の人生はすばらしい」と思えるようになったのだが、それは、著者のように、社会性のあるテーマにおいての探究や発見には社会的進歩が伴うからだと考える。つまり社会的に価値のあるものと向き合う人生は、言い換えれば「個人の歓びを越えた社会的価値と向き合う人生」であるため、生活の充実感が格段に違うはずだからだ。
総括すれば、私は本書から、著者が本来的にこの作品によって伝えようとしていたであろう、身体に発生する「アシンメトリ現象」や、その要因についての仮説などの内容以上に「知ることの価値」や「伝え残すことの意義」を発見できたことが一番大きな収穫であった。それは、人が何らかの「判断」をするためには「判断材料」が必要だが、その判断材料を自己の経験だけに頼っていては材料が少なすぎると分かったためだ。
本書で語られた内容は、著者が二十五年の長きにわたる探究の結晶なのだが、私はその二十五年の知識を「読書」により、僅か3時間で知ることができたのだ。なんとありがたいことか。私は本書がキッカケとなり、これからは判断材料の分母を増やすためにも、読書をもっと増やそうと決意した。
また読書によりたくさんの知識を獲得するだけでなく、SNSなどを通じ、みずからも情報を積極的に伝え残すようにすべきだと思うようにもなった。私にこのような「意識変革のきっかけ」を与えてくれた本書の著者には、最大限の敬意と感謝の気持ちをささげたい。(2330文字)
「モナ・リザの左目」を読んで②
興味のある本はとりあえず購入してしまう私ですので、書店で表紙のモナ・リザと目が合い、思わず購入したのが、この『モナ・リザの左目』という本でした。
数か月読まずに机の上に積み上げた状態でしたが、ようやく読み始めたところ、これまで読まなかったことを後悔するほど面白く、一気に読み終えることができました。
骨太の研究書であり、300ページを超す本でありながら、著者の力強い文章によって途中でなかだるみすることなく、感動とともに、一気に読み進めることができたのです。
そして、読み終わってすぐに、あまりの衝撃のために、今のうちに読書感想文として書き残そうと思い立たせ、こうして私を原稿用紙に向き合わせるに至らせた作品です。
医学にも美術にも無縁の高校生の私を、即座に原稿用紙に向き合わせた本書の魅力は、いったいどこにあったのでしょうか。本書の内容は、元々は武蔵野美術大学で指導をされていた根っからの美術家である著者が、あるとき発見した人体の左右非対称性のなぞを解明すべく、異分野である医学の分野に突き進んでいった歩みを、読者が追体験できるような構成でつづられたものでした。
おそらくその構成が内容を引き立たせ、私に「感動」という感情変化を与えたのだと思います。スーパーマリオゲームの話に始まり、美術史、医学、考察、未来予測、チェックリスト・・・。そのような巧みな構成による文章は、随所で知的好奇心が燃え上がるものだったのです。
また彼のこの研究にかける熱意や行動、疑問の発生や着眼、推論・・・これらは読者である私にも追体験させられ、まるで冒険本を読んでいるようで、読書の楽しみを十二分に堪能させてもらうことになりました。しかも、それらは創作された物語ではなく、著者の半生の経験を語った現実の出来事だという点が感動や感激に繋がったのだと思います。
美術家という医学からは縁遠い分野に身を置いていた著者が、美術家としての経験を武器に、一心不乱に「体の不自然さ」と対峙した半生が、ついには医師のチームを動かすまでの影響力をもつまでに至ったという内容は、人生の途中で異なる分野に転身しようと志ず人間に「業界の垣根を越えた行動」を肯定的な方向へと推し進めてくれるものです。
実は私の父は、私が生まれる少し前まで、エンジニアとして仕事をしてきた人間です。ところが四十代になってから法律家を志し、難しい資格試験に合格し、現在にいたりました。職を変えようとした際、ものすごい葛藤があったことを、私は最近になって父から聞かされました。
そのため、本書を読み進めるうちに、父の当時の葛藤と、本書の内容とが重なり、深く感動させられてしまったのです。つまり、私にとって本書は異分野の業界に切り込んでいった父に対する「応援歌」のように思えてならなかったのです。
また、父と同じような歩み方をしてきた著者には、私の側からもその研究が、医学分野における有益なデータとして、広く社会に役立ててもらいたいと、著者を応援せずにはいられなくなりました。さらに、著者が発見した人体の「アシンメトリ現象」という身体の不思議なメカニズムを、ぜひ科学番組などで紹介して欲しいとも思いました。
本書がキッカケとなり、私は読了後、医療関係者のさまざまなブログを探し出すことになりました。そして、さまざまな研究者のメッセージにも出会うこともできました。このようなアクションに私を駆り立てた本書は、私に「健康管理の大切さ」に目覚めさせてくれた、記念碑的一冊ともなりました。
異分野へのチャレンジ精神、探究を継続させる立派さ、実用書としての健康へのアドバイス・・・。さまざまな学びを私に与えてくれた本書は、まさに「読まずに死ねるか!」という言葉がぴったりな一冊でした。(1540文字)
「モナ・リザの左目」を読んで③
以下、完成次第、追加掲載いたします。
探究するテーマをみつけた人生はすばらしい
読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。