「オランウータンに会いたい」読書感想文の書き方【例文3作品】

2021年の課題図書対策!

こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『オランウータンに会いたい』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。

「オランウータンに会いたい」
発売日:2020年03月31日頃
著者/編集:久世濃子
出版社:あかね書房
ページ数:180p
価格:1,430円(税込)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「オランウータンに会いたい」あらすじ(概要)
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文3作品】
他の課題図書&過去の入賞作品

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Sponsored Link

「オランウータンに会いたい」あらすじ(概要)

内容紹介:インドネシアに生息するオランウータン。熱帯雨林保護のシンボルになっているものの、野生での行動はほとんど明らかになっていません。20年近くオランウータンを追い続ける著者は、時には20メートルを超す巨木に登り、時には夢中で追いかけてジャングルで迷子に。

オランウータンの思慮深い目に魅せられた著者が、霊長類研究からわかった未来を作る知恵を、魅力的なフィールドワークを通じて伝えます。ボルネオ島の深い森の中、高い木の上で孤独にくらすオランウータン。

森の中で彼らに出会う方法とは?意外と厳しい食生活、命がけの樹上移動、いじめもケンカもない平和な社会、そして「俺は強い」と思うと変身するオス!さあ、一緒にオランウータンの不思議な生活をのぞいてみましょう!

以下、本文の中から、感想文に使えそうなネタを抜き出してみました。

著者のこと
野生動物の研究がしたい!・・高校の生物の先生との出会いで大学で小魚・甲殻類・淡水動物の研究をし、大学院進学にあたり東京工業大学・幸島先生から「動物の研究者希望は『芸能人になりたい』というのと同じ運と実力が必要。金にもならないし、ほめてももらえない」と言われましたが「それでも研究したいバカは人類の宝」と「役にも立たない」と正直で力いっぱい励ましてくれる先生なので、その大学院を受験し研究を始めました。

生息地:マレーシア、インドネシア。現在ボルネオ島とスマトラ島のみの生息で、国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅の恐れのある野生生物リスト(レッド・リスト)」にレッド・リスト手前の「近絶滅種」に入っています。その理由は熱帯雨林が減少しているからです。

新しく見つかったタパヌリオランウータン
・スマトラ島の南部で見つかった新種のタバヌリオランウータン
・遺伝的に最も古い種で「世界で最も絶滅危機のある大型類人猿とされています。現在は800頭しかおらず密猟やダム開発で深刻な状況です。

ジャングルにひそむ危険。ボルネオ島には危険な生物がたくさんいます。
・毒蛇:ひざくらいの高さの枝の上でどぐろをまいて寝ています。不用意に枝などつかんだりせず、肌を露出しない対策をします。もし噛まれたらヘビの種類別の血清の種類がわかるように、ヘビをつかまえて殺してもっていかなければいけません。
・吸血ヒル:常に獲物を狙ってたくさんいます
・ダニ:伝染病がうつることがあります
・アリ:ヒアリ「火アリ=ファイヤーアント」と呼ばれ焼けるような痛みです。軍隊ありや小指半分くらいの大きさのモリオアリなどかまれると大変で、いつも折りたたみイスを持ち歩きます。
・ハチ:花が多い季節にはオランウータンも刺されます
・植物:触れるかぶれたり、するどいトゲのある植物もあり、常に長袖を着ます。かぶれると腕がパンパンに腫れあがります。

ヒトの生活はニホンザルよりオランウータンに近い。

オラウータンも「大人や年上の個体のマネをしながら生きる術を学ぶ」のです。

人間だけにあると思われた「文化」が近年動物にもあると言う研究者もいます。文化が生まれるのは「イノーベーター=発明者」が必要です。密猟者に母親を殺された孤児のオランウータンを観察すると、少数の「発明好き」の個体がいるのがわかります。川を泳ぐ、ボートに乗る、マッチで火をつける、石鹸で洗濯するなど野生では見られない行動を人間をお手本に身につけていきます。

オランウータンはお手本をそのまま真似るのではなく「目的」「方法」を理解して「必要ない、理解できない」行動は真似ません。

オランウータンは見る経験を積んでいないと、子育てできない。独り立ちした若者が、母子の後を付いて行くのは子育て経験の大事な勉強です。

動物園のオランウータン
母親を殺され捕まったオラウータンが多いので子育てがわからず育児放棄もある。飼育員が代わりに育ててもほかのオランウータンを知らないまま育つのでその子も育児放棄するようになります。そのため飼育員が子育てを手助けして子育てを覚えます。
最近では育児放棄する場合、子育て経験のあるメスに「養子」に出す試みや人に育てられたメスを他の母子がいる動物園に「留学」させます。

メスが一生に産む子供の数は6頭ですが、15歳までの生存率94%と驚異的な生存率です。その秘密は「大きな体で、樹上で、単独生活」のライフスタイルが天敵にあいにくい、病気が他の個体に感染しにくい事です。1匹を手厚く育てる「少産少死社会」は現代のヒトに似ています。

リハビリテーションセンターの問題
・森林伐採でオランウータンの赤ちゃんや子供が保護されることが増えましたが、成長に時間がかかるため「リハビリテーションセンター(野生復帰センター)」が作られました。
・オランウータンの孤児の自立をめざし、観光客の入場料を費用に充てた方法が非難を浴びています。
・集団生活のセンターのオランウータンに発生した感染症を野生の世界に蔓延させる危惧。
・運営費用の使い方が「保護より金儲けに見世物にしている」
・観光客の接触が病気や餌付けで自立を阻害している
・保護した個体の4分の1は死亡する
・自立し赤ちゃんを産んでも抵抗力が弱く半分以上3歳未満で死んでしまう

オランウータンは大きな動物なので一頭つかまえればたくさんの肉が手に入るため現在でもイノシシなどの狩猟の際、見つけるとついでに食用として殺されることがある

オランウータンと森を守るためにわたしたちができること
・日本人はパーム油を使い、違法伐採され作られた紙が流通しています。
・ですがパーム油は現地の重要な産業ですが、農園では違法な児童労働や危険な薬品の使用、給与未払い、先住民からの土地の強奪など問題があります。
・ヨーロッパから20年ほど前からのパーム油批判で世界的食品企業と自然保護団体により。ルールを守ったパーム油に「RSPO認証」制度を始めました。ですが日本では「認証パーム油製品」も探すのが難しい状況です。

オランウータンの為にできる事
・買い物をするときその製品が何を使い作られているか、考えてみる
・売っている商品の中にどんな認証制度があるか調べて、友達に伝える
・野生生物や地球環境に優しい商品を探す

あとがき
・オランウータン調査は難しいですが、森の豊かさ美しさも感じ取っていただきたい
・「自然人類学」研究者として「生物、動物、霊長類としてのヒト」という視点に興味をもってもらいたいです。
 

「オランウータンに会いたい」着眼点の例

     
    以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。

    数ある本の中から、なぜこの本を選んだのか?

    ※書き出しとしては「この本を選んだ理由」や「本のあらすじ(や概要)の紹介」から入るスタイルが書きやすい定番の方法です。書き出しについては「入賞しやすい21パターン」が存在します。
    読書感想文の書き出し例【中学生・高校生】入賞21パターン
        (大人気のページです)

    著者の久世濃子さんは、大学院進学にあたり東京工業大学・幸島先生から「動物の研究者希望は『芸能人になりたい』というのと同じ運と実力が必要。金にもならないし、ほめてももらえない」と言われましたが「それでも研究したいバカは人類の宝」「役にも立たない」と正直で力いっぱい励ましてくれた・・・とありますが、そのようなアドバイスをしてくれた幸島先生について思うこと。

    ※「人生と出会い」「恩師・恩人」「言葉の力」などについて感じたことを小学生の言葉で。

    著者が、霊長類研究からわかった未来を作る知恵とは・・・

    「おそらく著者の久世さんは・・・」で、読者に何を伝えようとこの本を書いたのかを推論し考えを述べてみましょう。

    研究者という職業について感じたこと。ほかの職業と何が違うか。ジャングルは危険でいっぱいであるにもかかわらず、そのような職業を選んだ久世濃子さんについて思うこと。

    「あとがきに、生物、動物、霊長類としてのヒトに興味をもってもらいたいです、との著者からのメッセージがあったため、私はまず人間と他の霊長類の違いを調べてみました。すると・・」という切り口で、自分の調べた人間と他の霊長類の違いを述べるのもよいでしょう。

    ※「調べてみるとチンパンジーと人間の遺伝子上の違いは2%以下だと分かり、ほんの少しの違いが大差になるのかと驚きました。そのため私は、これまでより、ほんの少しでもいいから毎日頑張る自分になろうと思った」という感想もよいでしょう。

    「この本の内容をお父さんに話してみると・・・」のように、家族の反応と、その反応に対する考えを感想文の中で紹介するのもよいでしょう。

    ※「人間とオランウータンの違いについて、自分の考えをお父さんに話してみると、お父さんは・・・」のようにれば、お父さんからの高度な意見を感想文の中に盛り込むこともできます。

    「オランウータンは大きな動物なので一頭つかまえればたくさんの肉が手に入るため現在でも食用として殺されることがある」という内容を読み、私は大変なショックを受けました。そこで現在の世界の食文化を調べてみると・・・という展開にし、「本書がきっかけになり私は偶然、今世紀の人類がかかえる食に関する重大な課題を発見することとなりました。それは、本書で著者が伝えようとしていた本来的なメッセージ以上に、私にとっては大きな学びとなりました」という内容の感想文もよいでしょう。

    ※パンダが少なくなった一番の理由は人間によって食べられてしまったからである。
    ※食用としての犬肉の消費量は中国で年間2000万頭、ベトナムで500万頭、韓国で200万頭。

    ※日本ではいたるところで「マグロの解体ショー」が実演され人気の「ショー」になっている。
    ※人間が人間を食べる風習を「カリバリズム」という。
    ※今後の人口増加に対処すべく「昆虫食」への関心が高まっている。
    ※世界中で家畜を殺さないで済む「代用食品」の研究が活発になっている。
    ※アメリカやヨーロッパを中心に、可能な限り動物性の食事をしない、身につけない、傷つけないといった生き方を求める「ビーガン」という生活スタイルが広まっている。

    この本を読んで、自然や動物との接し方について考え方が変わったことを、これまではこうだったが、これからは・・と「具体例を挙げて紹介」してみましょう。

    ※命をテーマにした本の場合・・・20世紀のテーマは「人類の平等」、21世紀のテーマは「生物の平等(哺乳類の平等→脊椎動物の平等→動物全体の平等→生物全体の平等)」というふうに、近い仲間から遠い仲間へと徐々に「考慮すべき対象を広げること」が人類の目指すべき進歩の方向ではないか?・・・といった考察を述べるスタイルは、命にまつわるどの本にも使える感想文の切り口です。

    人間的成長も、「考慮できる対象」「意識できる対象」を徐々に広げていく過程です。自分本位→相手のことも考慮→周囲のことも考慮→社会全体も考慮→世代を超えた将来の社会も考慮→生物全体も考慮・・・といったような広がりの過程が「人間的成長」です。大人になるにつれ政治に関心を示すようになるのも自分を超えた「社会の仕組み」に関心が出てきた成長の表れです。

    「オラウータンも『大人や年上の個体のマネをしながら生きる術を学ぶ』のです。」・・この文を読み「たとえ遺伝子が残っていても、それだけでは動物は成長できないという衝撃的な事実に気づかされ環境保護の価値の意味を再認識した」という感想もよいでしょう。

    ※絶滅危惧種の動物の遺伝子を残したとしても「生育に必要な環境」や「学習させてもらう成長した個体」が存在しない場合、成長できない生き物も多い。

    ※リハビリテーションセンターで保護した個体の4分の1は死亡する。また自立し赤ちゃんを産んでも抵抗力が弱く半分以上3歳未満で死んでしまという。

    ※人間も、たとえ優秀な遺伝子をもっていても教育や環境なしでは立派になれない。

    人間による自然破壊は、オランウータンの住む場所だけに限ったことではありません。「本書を読み自然破壊の進み具合をいろいろ調べてみました。すると・・・」という展開で、自分が調べた別の課題を紹介してみるのもよいでしょう。

    この本が切っ掛けとなり、社会や自然、生態系といったこれまでの自分が意識することのなかった「自分以外の何かを守ることの価値」に気づくことができた。・・・といった内容の感想もいでしょう。

    人間の繁栄と自然保護を考えた時、今の自分にできることや、政策上のアイデアについて発表する感想文もよいでしょう。

    伝え残すことの価値、学ぶことの価値

    本の中で、人類の歴史は700~800万年前のアフリカで、チンパンジーとゴリラの共通祖先と分かれた時から始まると書かれています。言い換えれば「人類には700万年の歴史がある」ということです。ということは、最近発見された「何か新しいこと」であれば、700万年間だれも気づかなかったか、あるいは気がついたとしても文化として定着しなかった内容ということになります。

    つまりそれは「人間は他人から教育されなかった場合、何かに気づくためには700万年かかる」ということを意味しています。

    そのように考えれば、生活の中で何か気づいたことや、発見したアイデアなどを「伝え残すことの価値」がいかに高いものであるかが分かるはずです。同じく「教えてもらえることの価値」「学べる環境のあることの価値」にもありがたさを感じずにはいられないはずです。このような点を小学生の言葉で感想文に書いてみるのもよいでしょう。

    貴重な研究を続けてくれ、またその内容を本にして「伝え残してくれた著者」に対する感謝。

    ・・・これらの中からいくつかを取り上げ「過去の思い出」や「最近の身近な出来事」などと感想を絡めてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

Sponsored Link

「オランウータンに会いたい」読書感想文の例文【3作品】

以下に3作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。

便利な文字数カウンター

「オランウータンに会いたい」を読んで①

いつのころからだろうか、僕は動物図鑑をはじめ、動物に関する本をたくさん読んできました。小学校に入る前は、読むというより、ライオンや象、チーターやキリンといったアフリカに多く住む動物の図鑑や絵本を見て喜んでいたという感じでしたが、昨年あたりから急に人間の祖先である猿やゴリラといった霊長類に関心が移っていました。

そんな僕が、読書感想文の課題図書を見せられた時、迷わず選んだのは当然ながらこの『オランウータンに会いたい』でした。

この本を読むまで、僕はオランウータンは、アフリカか南米のジャングルに住んでいる動物だとばかり思っていました。ところがこの本を読んで、オランウータンは日本に近いマレーシアとインドネシアに住む動物だと知り、「あれ、けっこう日本に近いところに住んでいるじゃないか!」と、まずはその点でいきなり驚かされました。

オランウータンは、僕が思うところではチンパンジーやボノボ以上に、人間に見た目が近い猿のように思えます。おそらく著者の久世濃子さんがオランウータンの研究を始めたのも、そのようなオランウータンの人間臭さに魅力を感じたからではないかと思いました。

僕がこの本を読んで、一番感激した点は、オランウータンの生態や、この本で著者が伝えようとしていた動物保護の必要性といった、本来的な本の内容ではありませんでした。では、僕が一番感激した点はどこだったかというと、実は、著者の久世濃子さんの存在そのものについてでした。

特に、久世さんが大学院を受験する際、先生に相談したところ、先生から「動物の研究者希望は『芸能人になりたい』というのと同じ運と実力が必要。金にもならないし、褒めてももらえない。それでも研究したいバカは人類の宝」と励まされ、その大学院を受験し研究を始めたというエピソードにはグッとくるものがありました。

僕はこの部分を読み「ホントこういう変わった人がいてくれて良かった」と思ったのです。なぜなら、世の中の進歩の多くは、名も知れない研究者の努力によってなされることが多いことを知っているからです。

僕は以前、ノーベル賞を一番多く受賞している民族はユダヤ人だということを知り、ユダヤ人について調べたのですが、その優秀なユダヤ人が大切にしている考え方に「学者を最も尊敬する」という価値基準があったのです。

理由としてはいろいろな分野ごとに研究を重ねる学者がいればこそ、新しい知恵の発見に結び付くためだからだといいます。ユダヤ人にとって、権力者や金持ち以上に学者を高い位置に置く価値基準がユダヤ人を優秀な民族にしているのです。

そのため、久世濃子さんが、芸能人になるのと同じぐらい難しく、お金にもならず、それでいて褒めてももらえない「自然人類学」という仕事を選んだ点に、僕は「偉い!」と感じずにはいられなかったのです。

大学院受験の際、先生には「褒めてももらえない職業だ」ということを聞かされた久世さんでしたが、僕は僭越ながら久世さんに「研究を続けてくださりどうもありがとうございます。本を書いてくださったことにも感謝しています。」と言って褒めたいと思いました。
 

「オランウータンに会いたい」を読んで②

この本は、著者が長年オランウータンの研究をしている中でのエピソードや森の様子、オランウータンの生態や保護活動にまつわる課題などが語られていたのですが、読書感想文を書くにあたり、私が特に驚いた2箇所について感想を述べたいと思います。

まずは、オランウータンが現在でも食用として狩猟されてることがある事実についてです。オランウータンが少なくなった理由が人間による自然破壊によるところが大きいというのは、本を読む前から、おそらくそういう内容が書いてあるだろうと想像できたため驚くことはありませんでしたが、21世紀の現在でも食用として霊長類であるオランウータンを食べる人がいるという内容には衝撃を受けたのです。

この事実を知ったことが切っ掛けで、私は現在の世界の食文化をネットで調べてみました。つまり、この事実を知らされたことが、私を「調べる」という行動に駆り立てたのです。

すると、日本人の私には信じがたい世界の食文化の現実が次々に発見できました。例えば、パンダが少なくなった一番大きな理由は「人間に食べられてしまったから」という歴史や、中国における犬肉の消費量は現在、年間2000万頭、ベトナムでは500万頭、韓国では200万頭であるというような驚きの事実のオンパレードだったのですが、犬好きの私にとって、犬食にいたっては、驚きを越え「やめてー!」と絶叫したくなるほどの衝撃を受けました。

父は私によく「本の価値は本の内容以上に切っ掛けを与えてくれることだ」と言っているのですが、私はこの本に触発され、確かにその内容について詳しいことを調べる結果となりました。そのため父の基準でいうところの「本の価値」として、本書は優れている本だったといえます。

本書で驚かされたもう一箇所の部分は、オランウータンは子育てを学習しなければ、上手に子育てができないという内容です。一見「なるほど」のつぶやき一つで終わってしまいそうな内容ですが、私は次のような理由で大きな衝撃を受けたのです。それは「動物の遺伝子を残したとしても、育てる環境が整っていなければその個体は大人になれない」という事実に気づいたからです。

この部分を読むまで、私はてっきり遺伝子さえ残せれば、あらゆる動物は未来に残せるものだと思っていました。ところが、一つの個体が成長するためには、生育に必要な環境や、子育てを学習するための成長した別の個体がいなければならない現実を知らされたわけです。

つまりこれは「一度自然がなくなってしまった場合、自然を復活させることは不可能になることもある」という意味であり、改めて「自然保護の重要性」に気づかされたのです。

「現代人の食文化への課題」と「自然保護を必要とする深い意味」について発見できた今回の読書体験は、私にとって大変有意義なものになりました。
 

「オランウータンに会いたい」を読んで③

この本は、オランウータンの研究をしている著者が、長年の研究を小学生向けに分かりやすく紹介した本です。僕はこの本を読み、オランウータンの研究を通じて、人間という一つの霊長類の特殊性について考えるきっかけになりました。

この本を読んだ後、僕は、人間の特殊性を30時間ぐらい考えました。そして最終的に人間が他の動物と決定的に違う点は「文字を発明したことによって、後世にさまざまな情報を伝え残せる唯一の生き物だ」という結論にいたりました。

また、著者の久世さんがオランウータンの生態や自然保護の重要性を伝えることができたのも、本というメディアを利用できたからにほかなりません。このような行動こそが人間らしい行動の表れなのだといえます。

人類史は700万年~800万年ぐらいあるということもこの本で語られていましたが、最近発見された事柄であれば、700万年~800万年ぐらいかけて、人類がようやく発見できた内容となるわけです。私はこの本によってオランウータンの生態や自然保護の重要性なども、一瞬で知ることができたわけですが、このようなことはほかの動物にはまったくできないムリなことです。そのように考えると、あらゆる情報が、これまでより「ありがたい存在」に思えてきます。

読書感想文の課題は、読書の習慣を身に着けさせることが一つの目的のだと思いますが、そこまでして、なぜ読書の習慣を身に着けさせようとしているのかの意図も分かったようなきがします。

それは、人間は他人から教えてもらわずに、自分で考えようとすると、800万年かかってしまうということであり、個人が一生の中で気づくことは現実的には「無理」となります。つまり読書の習慣を身に着け、あらゆるテーマについて学ぶことは、800万年の時間を節約することに等しいわけです。

僕はこの本を読み「学ぶことの価値」や「学べる環境のあることの価値」、また「伝え残すことの価値」や「伝え残すことの人間らしさ」に気づくことができました。そのため、これからは、これまでよりたくさんの本を読むようにしたいと思いました。

また、学ぶだけでなくSNSなどを通じ、自分が「価値あり」と感じたことや、発見したことなどは、世の中に積極的に配信することが「人間らしい価値ある行動」なのだと思うようになりました。
 


 

21世紀の人類の課題は「生物全体を考慮した考え」をもつこと
 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2021年の小学校高学年(5、6年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

関連記事と広告

 
サブコンテンツ