『舞姫』 読書感想文の書き方【例文5作】
『舞姫』森鴎外
なぜか高校の教科書によく登場する『舞姫』ですが・・
ネット上では、よく・・
なんでこんな クズ男 の話が教科書に載ってんの?
・・なんてご意見を、よくみかけます。
なぜなら・・
「舞姫」は、妊娠させた異国の女性を棄てて狂気に追い込み、自分だけ将来の約束された日本に帰ってしまうという、内容的には「クズ男」の物語だからなんです。
海外からの留学生も「どうしてこのような男の話が日本では名作あつかいなの?」という疑問がよく出るといいます。
それが、なぜか日本では、長年高校の教科書に載り、とりあげ続けられているのか?
・・とここまで聞いたら、あなたは興味を惹かれずにはいられなくなったのではないでしょうか?
(^∇^)″
こちらでは、その『舞姫』の「あらすじ」と「読書感想文の書き方の例」をご紹介していきたいと思います。
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
よく分かる『舞姫』森鴎外の「あらすじ」
読まずに読書感想文を書くための秘策!
感想文の切り口(着眼点)の例
『舞姫』読書感想文の書き方【例文5作】
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よく分かる『舞姫』森鴎外の「あらすじ」


ある日、留学先で知り合った彼女(舞姫=ダンサー)が妊娠をする。彼女は子供が出来た事を大喜びしていたのだが、主人公は、彼女の妊娠を機に、現実的に考え始めるようになり、帰国のチャンスと重なった事もあり、彼女を取るか、日本での安定した生活を取るかでここでも大きく葛藤する。
結局、彼女は捨てられ、その精神的ショックでおかしくなり、元には戻らなかった。にも関わらず、主人公は、自身の体裁と安定した生活を得ることを良しとし、彼女を置いて日本へ戻ってしまう・・・
同時期の夏目漱石ほど、森鴎外の小説が読まれていない一つの理由は、その文体にあります。
漱石の小説が読まれているのは、今では当たり前になっている口語体の文章で書いた作家だったからです。これに対し、鴎外は、当時の主流であった文語体。原著のままでは、現代人にとっては読みにくいの極み。しかし、原文をスラスラ読める人間が読むと、その軽快な文章の並べ方は、確かにたぐい稀な「名作」であり素晴らしい作品なのです。
また『舞姫』というタイトルは秀逸であり、クズ男の話にもかかわらず「格調高き文学作品では?」と一見、騙されてしまうのは、私だけではないはず・・
短編の『舞姫』ではありますが、原著は当時の文語体のため、そのまま読む場合、途中で挫折するか、通常の厚さの本を一冊読むよりも苦労するはずです・・(-_\)
そのため、当然ながら、現代語訳版の「舞姫」もありますので、原文の方は、チャレンジ精神のある方のみ読めばよいと思います。
森鴎外の文学の特徴である「美しい日本語のリズム」を味わいたい方は、読むのではなく、朗読を聞くのが良いでしょう。現代人の多くが読破できずに挫折することが分かると思います・・(><)
YouTubeに原文の朗読版がありましたので、ご紹介します。
読まずに読書感想文を書くための秘策!
以下の動画を活用すれば「読まずに読書感想文」が書けます!? (^∇^)″
読書がどうにもこうにも苦手な方は「読む」ことをこちらで代用して「感想を書く」ことに専念するとよいでしょう。
『舞姫』の要点が11分で分かるラジオドラマ
感想文の切り口(着眼点)の例
成績は優秀な主人公だったが、世間的に良しとする価値観を重んずるがあまり、本来的に人として大切な心を歪めてしまった点に注目し「心のバランスの大切さ」世間の価値観に流されない「確固とした自己の価値基準を持つことの大切さ」についてを軸に感想を述べる。
客観的に見れば、外国のダンサーと恋仲になり、妊娠させ、別れ話で気を狂わせたあげく、自分は世間体やキャリアを気にして、とっとと日本に帰ってしまった「クズ男」の話であるにも関わらず、日本では「名作」と称されている点の不思議さや腹立たしさを主張する。
理由づけとしては「それだけ昔の日本人は世間体と自我との間で葛藤をしていた民族だったのではないか?よって当時の読者の共感を呼び、名作あつかいに・・」というオチにして、主人公の判断を許せない「現代に生きる自分」の考えと対比させつつ意見を書く。
作品の中で、作者の鴎外が訴えたかった事を推論し、鴎外が学ばせたかった「本来的に人間として大切な事は○○ということなのではないか?」と「鴎外の執筆の意図」の推理を中心に感想を述べる。
作者の鴎外自身も、幼いころから神童と呼ばれていたほどの秀才だったことと、主人公の優秀なところの共通点にスポットをあて「この作品は鴎外が葛藤している日常を投映させた作品だったのではないだろうかと思う。主人公に自身の弱さを投影させることで、鴎外は一種の「カミングアウト的な解放感」を得ていたのではないか」・・という流れにし、人間の弱さや葛藤についてを柱とした感想文にする。
「この作品を通じて自分なりの“読書の意義”を発見することができた」という内容を中心に感想文を書く。(この感想の書き方にした場合、作品の内容にはそれほど触れなくてもある程度文字数が稼げます)
【例えば】~~~~~~~~~~~~~~~
「自分は、主人公のように優秀な成績を残してきた人間ではないが、文学作品を読むことは、少しのあいだだけではあるが、主人公の身分を拝借することができるものだ。そのため、読書の最中は、身分や生い立ちの違う立場の自分として、作品のストーリーを感じ取ることができる。今回『舞姫』の中の主人公の下した、要所要所での判断は、決して自分では、そうはしないであろう誤った判断が多かったのだが、作品を通じ「思考のバリエーション」が増え、また「主人公の身分や立場で」さまざまな出来事に対処す空想上の経験ができた。
私がこの作品を通じて学べたものは、一作品としての物語からの学びだけではなく「読書全般の意義や目的」を学べたことが大きかったように思う。つまり、読書は、あり得ない場面設定の中に身を置く(空想する)ことで、日常生活ではできない「思考の訓練」に役立つことや「別の人間の考え方=思考のバリエーション」を知る意味のあることを発見できたのだ。
これまで、読書は知識を得るためというイメージが強かったのだが、普段の自分なら考えない、登場人物の考えや感じたかを知る事で「思考の幅」つまり「思考のバリエーション」を知ることができるわけであり、単純な知識を得るだけではなく、自分にない「思考のプロセス」を知れることが読書の意義や目的の一つなのだと発見できたのだ。読書はまさに「知力の財産を得ること」だと、私としては大きな発見がえられたわけである。(607文字)
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・・という展開にすれば「とても良い読書経験だったね!」と採点者からも高評価をえられます。(^∇^)″
この書き方を1つ覚えておくだけで、いろいろな本の感想文にそのまま使えます。
『舞姫』読書感想文の書き方【例文5作】
『舞姫』読書感想文の書き方【その1】
『舞姫』読書感想文の書き方【その2】
『舞姫』読書感想文の書き方【その3】
『舞姫』読書感想文の書き方【その4】
『舞姫』読書感想文:優秀作品
標準的な読書感想文の構成(書き方の順序)の例
最後に、標準的な読書感想文の構成例をご紹介いたします。
①なぜこの本を選んだのか
②大まかな内容を手短かに説明
③特に気になった箇所やフレーズを抜き出す(1)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて紹介
④特に気になった箇所やフレーズを抜き出す(2)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて紹介
⑤特に気になった箇所やフレーズを抜き出す(3)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて紹介
⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し考えを書く
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑦この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を書く
実は「批判しやすい本」は意外に感想文が書きやすい
①なぜ、こんな本が??(あらすじ&批判)
②自分なりのさまざまな推論
③結論・・人間の価値観は時代によって変わるものである
これは自分の価値観は絶対的なものではないという例でもある
他人との付き合いにおいては相手の考えを知り尊重する必要があることに気づかされた。・・など。