「海を見た日」読書感想文の書き方【例文つき】

2022年の課題図書対策!

こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生の部
『海を見た日』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

「海を見た日」
M・G・ヘネシー (著), 杉田七重 (翻訳)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「海を見た日」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「海を見た日」あらすじ

この本はアメリカで里親制度を利用して生きる家族の話です。登場する子供達は、親が亡くなった子や特別な理由があって一緒に住めなくなった子で、人種も異なります。 
 

この物語のおもな登場人物は・・養母と4人の子ども


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・養母「ミセス・K」は夫に先立たれ、悲しんでいるばかりで、あまり子供の世話をしません。
・その代わりに、もうすぐ高校生になる女の子の「ナヴェイア」が家事をやります。
・スパイ妄想にひたり現実逃避ぎみの男の子の「ヴィク」は、自分が凄腕のスパイで今は仮の姿だと思い込んでいます。
・スペイン語ならわかるが英語が話せない小さい女の子の「マーラ」はみんなとあまり会話をしません。
・そして新しく来た男の子の「クエンティン」はアスペルガー症候群で思い込みが激しく、感情の起伏も激しい。
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全員が自分の事で目いっぱいなのです。ある日、ヴィクとクエンティンが冒険を計画します。クエンティンのお母さんが入院している病院へ会いに行くミッションです。病院までは遠い道のりで、バスや電車を乗り継がなければいけない距離です。

朝早くにミセス・Kにバレないように出かけますが、マーラに気付かれてしまい、パジャマ姿のマーラも一緒に連れて行くことになります。

途中までは順調に進めたのですが、途中で道に迷ってしまい、トラブルも起きて困っている所に3人がいなくなったことに気付いたナヴェイアが連れ戻しに追いかけてきました。

そこでヴィクが説得をして全員で病院まで目指します。

4人は商店街のようなところで、マーラをポニーに乗せて楽しみ、みんなで観覧車に乗ってジョークを言い合って心から笑って楽しみます。(そこが皆の心が通じ合った瞬間に思える場面です)

今までの人生でこんなにも遊んだことは無いし、今後も遊べるチャンスは無いとヴィクやナヴェイアは感じていた。

様々なトラブルがあったが、なんとか病院に辿り着きクエンティンの母を探します。

しかし、クエンティンの母は既に亡くなっていた。クエンティンは母親がこの世にはいないことを理解して「もっといいところに行った」と納得します。

母との別れの儀式のように、母親との思い出の目覚まし時計を、砂で作った城のてっぺんに置き、波が海に連れさるのを見届けるラストシーン・・。

この冒険を経て、人種の違う家族五人は本当の家族のように分かり合って行く。ただし、作者が伝えたいことはこの物語のようにハッピーエンドで終わらない現実があるということ。アメリカでは里親になる家族に対して親のいない子供の方が多い現実があるのです。

子どもを受け入れる家庭は裕福な家庭なのかといえば、全くそのようなことは無く、逆に生活が大変な家庭です。なぜ、生活が大変なのに子供を受け入れるのかと言うと、子供を受け入れると国から助成金が貰えるので、そのお金をあてに里親いなるケースが多いおです。そのため、あまり子どもの世話を積極的いしない里親も多いのです。 
 
 

「海を見た日」着眼点の例


 
以下のような着眼点切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。

本書により著者が伝えようとしたメッセージは何かを想像しそれに沿った感想文を書く。

書籍の紹介文によれば本書のメッセージは次の通り。「どんな家族も、最初から家族なわけではありません。本物の家族になるには、その成員がみな、自分以外のメンバーの心の痛みをわかって、助け合うことが必要なのです。そういう家族が集うのが本物の家庭であり、子どもにとってはそここそが、安心できる自分の居場所となる」・・よって、そのような内容が理解できたことが感じ取れる感想文が望ましいとなります。

本文に、ソーシャルワーカーの「ミズ・ジュディ」が出てきますが、ジュディは、孤児院育ちの主人公を描いた『あしながおじさん』のジュディを連想させるものがあります。また、本文のセリフの中に、やはり孤児を題材にした『長靴下のピッピ』の中のセリフと同じ内容のものがあります。それらの点に気づいたという感想文もよいでしょう。つまり「過去の孤児を題材とした作品」に対する著者のリスペクト(尊敬)が感じられる作品だった・・・。意識的にそうしたのではないかと感じた・・・など。

さまざまな立場の子供たちが登場していますが、誰の目線で一番多く物語が語られていたかに注目してみましょう。そして、①ヴィク、②ナヴェィア、③クエンティンの順であり、成長度合いははっきり分かったものの英語が話せないマーラ目線のものは直接的にはなかったことを発見した・・などの感想文もよいでしょう。また、養母のミセス・Kの育てる側としての葛藤なども、少し広げて書いてもらいたかった・・などの感想もよいでしょう。「著者にはぜひ続編を出していただき、その点も盛り込んでもらいたいたい」・・といった展開もよいでしょう。

場面の展開を、それぞれの子供たちの視点から描かれていますが、この構成について感じたことや「ここはこうした方が良かったのではないか」という意見を「理由付きで」発表する感想文もよいでしょう。

ナヴェィアはしっかり者のヤングケアラーといった立ち位置で描かれていますが、ナヴェィアは本当は他の子供たちのことなど面倒は見たくないという気持ちがありました。「自分のために面倒をみるんだ」という将来の自分のための「決意」からの行動ではありましたが、その点について感じたことを述べるのもよいでしょう。

アスペルガーのクエンティンは、触れられることや大きな音に敏感で、それらを嫌う性質があります。また、ヴィクは空想の中に逃避する傾向がありますが、最後の方で空想の中にいることを自分でも分かっていたことが語られています。かれらの性質や心の方向について思ったこと、考えたこと、感じたことを述べる感想文もよいでしょう。

里親とは施設から一時的に預かって、18歳までという期限付きで育てられ、巣立っていく制度における預かる人のことだと書かれていますが、この制度について感じたこと。

そもそも里親制度を利用しなくて済むのであれば、それが一番よいのではないか・・という視点で、可愛そうな子供たちを増やさないための考え方について、自分の意見を述べるのも良いでしょう。

「もし自分が里親制度を利用して育てられる子どもだったら・・」という視点から、思いついたことを述べる感想文も良いでしょう。「人格形成にどのような違いが生じたか」「生活するうえでどのような悩みの違いや考え方の違いが生じたか」の推論をのべてみましょう。

クエンティンの母親を探す冒険の旅を初めにサポートしたのはヴィクでしたが、普段は空想にふけるヴィクが兄弟を思う気持ちから、具体的なアクションを起こし行動に移したわけです。この点に注目し感想を広げるのもよいでしょう。

人の「会いたい気持ち」がよくわかる動画

探し当てたクエンティンの母親はすでに亡くなっていましたが、クエンティンは母親がこの世にはいないことを理解して「もっといいところに行った」と納得します。この点に触れ、クエンティンがこのような判断をしたのは「自分の暮す世の中を住みにくい世界だと感じていたからではないか?」・・という視点で感想を広げるのも良いでしょう。

みんなで海を見るラストシーンについて感想を述べてみましょう。

母との別れの儀式のように、母親との思い出の目覚まし時計を、砂で作った城のてっぺんに置き、波が海に連れさるのを見届けるラストシーン。これは何を暗に示しているのかを考え、自分の感じた内容を感想文で発表してみましょう。

タイトルの「海を見た日」とは何を物語っているのか自身の考えを語ってみましょう。「冒険の旅を通じ、4人の子供が家族になれた日を意味するのではないか?」・・など。

同様に、この本のタイトルに込められた著者の思いを紹介するのもよいでしょう。また「もし私がこの本にタイトルを付けたなら・・」「もし私がこの本にサブタイトルをつけるなら・・」というようにタイトルに関して考えを述べるのもよいでしょう。(タイトルに触れるのは感想文の定番の切り口です)

「この本を読む前、私はおそらく○○○○○○といった内容が書かれていると予想した。しかし、実際に読んでみると」というように、読む前の予想と実際の内容との違いを解説する内容を乾燥に述べてみるのもよいでしょう。

「本を読んで内容を母に話すと、母は・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、本の内容を超えた高度な感想文に発展させることができます。

例)本を読んで内容を母に話すと、母は「家族とはなにか?家族らしさとはなにか?温かい家族とそうでない家族があるがその”違いを生む違い”とはなにか?そういうのを感想文のテーマにしてみたらどう?」という高度な意見をもらうことができました。この問いは私にとって、とても難しい問いでしたが、自分なりにその考えを・・・

子どもを受け入れる家庭は裕福な家庭なのかといえば、全くそのようなことは無く、逆に生活が大変な家庭です。なぜ、生活が大変なのに子供を受け入れるのかと言うと、子供を受け入れると国から助成金が貰えるので、そのお金をあてに里親いなるケースが多いおです。そのため、あまり子どもの世話を積極的いしない里親も多いという現実の社会問題を知ったことを中心に感想文を広げるのもよいでしょう。

「もし、この本に続きがあるなら、私ならきっと・・」という切り口で、どのような展開になっていったか、また、なって欲しいかなどを発表する感想文も面白いでしょう。

「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。

例)物事の判断には、判断の基礎になる「判断材料」が必要になります。その判断材料を自身の経験だけに頼っていては、判断材料の分母に偏りが生じたり、情報自体が不足します。それを補ってくれるのが本であり読書なのだと、本書を読み理解することができました。これからは判断材料の分母を増やすためにも、これまでより読書の量を増やそうと思いました・・など。

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の思い出」「最近の出来事」などを絡めた感想文にまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関主催の感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・・の意味だからです。
 
直接的な書き方の例としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れると出題意図に合致した感想文になります。
 

「海を見た日」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の書き方の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

「海を見た日」を読んで①

※以下は、動画で紹介された感想文を横書きにしたものです。
——————-

「メアリー、今日のおやつはなんだ?」
僕はメイドのメアリーに、いつものように聞くと「おぼっちゃま、今日はこの大皿いっぱいにチョコボールを入れてみました。わしづかみでお召し上がりくださいね」と、メアリーは優しく微笑みながら言った。

もちろん現実の話しではなくて、僕の想像の話しです。もし、自分が違う家庭に生まれたとしたら、大金持ちの家でプールもあって、召使いがいるような家庭が望ましいと想像してしまいます。

この本はアメリカの里親制度の話しです。登場する子供達は親が亡くなっていない子や、特別な理由があって-緒に住めなくなっている子が、里親制度を利用して血の繋がりの無い家庭で生活をする物語です。

では、その家庭は僕が理想とする裕福な家庭なのかと読み進めると、全くそのようなことは無く、逆に生活が大変な家庭なのです。どうして、生活が大変なのに子供を受け入れるのかと言うと、子供を受け入れると国から助成金が貰えるので、そのお金を自分の生活費にして、受け入れた子供の世話をあまりしない里親がいるそうです。

生活費だけ使われて、世話をしてもらえない子供は貧乏な生活をしなければなりません。自分が稼いだお金ではないけど、「お金を返せ」と言ってやりたい気分です。

この物語で養母ミセス・Kは夫に先立たれ悲しんでいるばかりで、あまり子供の世話をしません。その代わりに、もうすぐ高校生になる女の子のナヴェイアが家事をやります。

スパイ妄想にひたる男の子のヴィクは自分が凄腕のスパイで今は仮の姿と思い込んでいます。スペイン語ならわかるが英語が話せない小さい女の子のマーラはみんなとあまり会話をしません。

そして新しく来た男の子のクエンティンはアスペルガー症候群で思い込みが激しく、感情の起伏も激しいです。

全員が自分の事で目いっぱいなのです。ある日、ヴィクとクエンティンが冒険を計画します。クエンティンのお母さんが入院している病院へ会いに行くミッションです。病院までは遠い道のりで、バスや電車を乗り継がなければいけない距離です。

朝早くにミセス・Kにバレないように出かけますが、マーラに気付かれてしまい、パジャマ姿のマーラも一緒に連れて行くことになります。途中までは順調に進めたのですが、途中で道に迷ってしまい、トラブルも起きて困っている所に3人がいなくなったことに気付いたナヴェイアが連れ戻しに追いかけてきました。

そこでヴィクが説得をして全員で病院まで目指します。スマホさえ持っていれば迷わずに行けるのにと感じましたが、養母が買ってくれるとは思えません。4人は商店街のようなところで、マーラをポニーに乗せて楽しみ、みんなで観覧車に乗ってジョークを言い合って心から笑って楽しみます。そこが皆の心が通じ合った瞬間に思えて感動的でした。

それと、今までの人生でこんなにも遊んだことは無いし、今後も遊べるチャンスは無いとヴィクやナヴェイアが感じていたことに驚きました。僕もお出かけはいつも行くわけではないけど、どこか行きたいと親に伝えれば近場であれば、なんとか連れて行ってもらえるから、僕にとっての日常が彼らにとっては難しいことの現実が悲しくもなりました。

様々なトラブルがあったが、なんとか病院に辿り着きクエンティンの母を探します。しかし、既に亡くなっていることが分かるのです。クエンティンは母親がこの世にはいないことを理解して「もっといいところに行ったと、納得します。クエンティンの感情がまた壊れてしまうのではないかと感じましたが、寂しいですが安心しました。

この冒険を経て、人種の違う家族五人が本当の家族のように分かり合って行くことが、気持ちよく最後まで読めました。ただし、作者が伝えたいことはこの物語のようにハッピーエンドで終わらない現実があるということでした。アメリカでは里親になる家族に対して親のいない子供の方が多いのです。

辛い思いをしている子供先進国のアメリカでもいることに驚きを隠せません。それを考えると、僕は幸せなのだと思います。日本に生まれた時点で運がよかったのかもしれないです。

学校に行って友達とジョークを言い合えることが当たり前で、時々起こる休校に狂喜乱舞する人生も捨てたものでは無いと改めて感じることが出来ました。心残りと言えばメイドのメアリーがいないことです。

その代わりに「勉強をしたか?」と、あらゆる手段を用いて聞いてくる親がいます。これが将来感謝する親の行為とは信じがたいが、家族の存在に感謝しょうと感じました。勉強はさておき優しい人になります。
 

「海を見た日」を読んで②
 
以下、完成しだい追加掲載いたします。

 
 

  
 


・家族とはなにか?
・家族らしさとはなにか?
・温かい家族とそうでない家族の「違いを生む違い」とはなにか?

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2022年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

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2017課題図書

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また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載していますので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

 

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