「牧野富太郎」読書感想文の書き方【例文あり】

2021年の課題図書対策!

こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部
『牧野富太郎【日本植物学の父】』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、中学生2000字で読書感想文を書くための参考用です。

「牧野富太郎【日本植物学の父】」
発売日:2020年07月28日頃
著者/編集:清水洋美, 里見和彦
レーベル:はじめて読む 科学者の伝記
出版社:汐文社
発行形態:全集・双書
ページ数:176p
価格:1,760円(税込)
内容紹介:子どもたちに身近なテーマですぐれた研究を行った科学者を紹介する児童書伝記シリーズ。「日本植物学の父」と言われる牧野富太郎の研究にかける情熱と生き方、支えたまわりの人物などを紹介します。
植物のつくりや分類のしくみなど、科学的資料も満載です。

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「牧野富太郎【日本植物学の父】」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「牧野富太郎【日本植物学の父】」あらすじ

牧野富太郎は「日本植物学の父」と呼ばれる人です。植物採集に行くときは蝶ネクタイに丸眼鏡のきちんとした格好で行くのは「植物への尊敬のキモチ」のあらわれ。

植物が好きすぎて「わたしは草木の精かもしれん」と言い出すほどの「植物愛」と「絵を書く才能」は武器になり、小学2年で中退しながらも東大に出入りします。

日本全国の野山を歩いて40万点の標本を分類し、1500種類の植物に名前を付け『牧野日本植物図鑑』を作りました。でもその研究のために家業を潰し、妻子は借金に追われる貧乏暮らしをしましたが、それでも「この学問だけははなさかった」のです。

1950年(昭和25年)にはノーベル賞の湯川秀樹や日本画家の横山大観、谷崎潤一郎とならび、国の文化功労者に選ばれます。さて、そんな富太郎の94年の人生とは・・・
 

「牧野富太郎【日本植物学の父】」着眼点の例

     
    以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。

    課題図書の中から、なぜこの本を選んだのか。

    ※書き出しとしては「この本を選んだ理由」や「本のあらすじ(や概要)の紹介」から入るスタイルが書きやすい定番の方法です。書き出しについては「入賞しやすい21パターン」が存在します。
    読書感想文の書き出し例【中学生・高校生】入賞21パターン
        (大人気のページです)

    牧野富太郎は、稀にみる偉大な業績を上げた研究者でしたが、富太郎の人生を知り、研究者として大勢するために必要と感じた能力はどのようなものでしょうか?

    偉大な業績を上げた富太郎でしたが、彼の業績は彼を支えた周囲の人たちの協力なしにはあり得ないものでした。その点に注目し感想を述べてみるのも良いでしょう。

    職業としての研究者に魅力を感じたのであれば、その点を紹介し、今の自分に足りない点や、これから学ぶ必要のある要素を検討してみるのも良いでしょう。

    当初学歴のない富太郎でしたが、東大の研究室に出入りしていたという記述について考えさせられたこと。

    自分の好きな学者・研究者を引き合いに出し、富太郎と比較しながら共通点や相違点を語る感想文もよいでしょう。

    日本には「オタク文化」がありますが、単なるオタクと、富太郎との違いはどのような点だと思うか?

    富太郎は、植物学を極めるため、土佐から上京した富太郎でしたが、当時地方から上京することは、海外にでるほどの決断でした。「成功者で地元で一生を終えた人はいない」という格言がありますが、この言葉を引用し、成功と移動との関係について感じたこと。

    富太郎は、20歳で作った以下の約束を生涯やり通しましたが、このうに「自分のルールを決める価値」や「自分のルールを決めるタイプの人間」について感じたことを紹介する感想文もよいでしょう。また、以下の項目の中から、何か感じたことを書いてみるのも良いでしょう。

    1.忍耐を要す(何をするにも耐え忍んで続ける)  
    2.精密を要す(いい加減に済ませず、細かいところまできちんとする)
    3.草木の博覧を要す(沢山の植物を観察しなければいけない)
    4.書籍の博覧を要す(できる限り沢山の書籍を読み、研究に生かす)
    5.植学に関係する学科はみな学ぶを要す(物理や化学、動物学など関係分野も学ぶ) 
    6.洋書を講ずるを要す(西洋の進んだ学問を身に着けること)
    7.当に画図を引くを学ぶべし(研究発表に役立つような絵や図の技術を学ぶこと) 
    8.宜しく師を要すべし(年齢や立場の上下にこだわらず、教えを乞うて学ぶこと) 
    9.吝財者は植学者たるを得ず(植物の研究に必要な資金をおしんではいけない)
    10.践渉の労をいとうなかれ(ほうぼうの山野に足を運ぶことを嫌がってはいけない)
    11.植物園を有するを要す(植物を植えて観察するために施設を持つこと)
    12.ひろく交を同志に結ぶべし(知識を与え合う仲間を持つこと)
    13.邇言を察するを要す
     (専門家でなくても様々な人のチョットした言葉を記録誌研究に生かす)
    14.書を家とせずして、友とすべし
     (書物に書かれていることを鵜呑みにせず誤りがある時は正し、本と友のような関りを持つこと)
    15.造物主あるを信ずるなかれ
     (真理を追求するさまたげになるので、万物を想像した者の存在を信じてはいけない)

    「この本の内容を父に教えると、父は・・・」のように、家族とあなたとの会話の内容を紹介し、話を広げるのもよいでしょう。

    科学者・研究者などの存在価値について思ったこと。他の職業との違いについて思うこと。

    学生でも学者でもない富太郎の本を大学や出版社は出版してくれないため、「自費でやる」と自ら印刷所で夜間に印刷技術を学んだ富太郎でしたが、このエピソードを引き合いに出し「出版の価値」「伝え残す価値」について感じたこと。

    植物採集に行くときは蝶ネクタイに丸眼鏡のきちんとした格好で行くのは「植物への尊敬のキモチ」のあらわれでしたが、そのような姿勢について感じたこと。

    この本を読んで、自分に不足していると感じた点はどのような点だったか。その点を改善するために、今の自分にできる「現実的」で「具体的」なアクションを考え、感想文の中で紹介するのもよいでしょう。

    ・・・これらの中からいくつかを取り上げ「過去の思い出」や「最近の出来事」などと感想を絡めてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

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「牧野富太郎【日本植物学の父】」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の例をご紹介いたします。「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「牧野富太郎【日本植物学の父】」を読んで①

「植物学界のさかなクン」・・・私がこの本を読んで、牧野富太郎について感じた率直な感想はこのようなものでした。

牧野富太郎は、江戸時代の終わりごろ土佐に生まれた日本における植物学の父と呼ばれる人物ですが、その94年の人生をまとめたのが本書の内容です。

私は本書を読み、富太郎の人生の中から「好きを極める人生の価値」や「単なるオタクとの違い」「人間の役割」などについての発見や考えさせられるものを得ました。

私が富太郎の人生を「植物学界のさかなクン」と称したのは、魚類学者でタレントの「さかなクン」のように、好きなものの研究に生涯をささげている学者という点に共通点を見たからです。

富太郎は、学者としてのレベルも「超」がつくほど立派であり、1950年(昭和25年)にはノーベル賞の湯川秀樹や日本画家の横山大観、谷崎潤一郎とならび、国の文化功労者に選ばれたほどの功績をあげた人物です。

この「好きを極めた94年の人生」の物語を知り、私は、さかなクンや富太郎のような研究肌の人間の価値や立派さについて考えさせられました。

世間には、いわゆる「オタク」というタイプの人間が存在しますが、オタクと彼らの決定的な違いは「社会に対する貢献度」だと思いました。オタクは個人的な欲求が社会に還元される発見などに直接関係ない「趣味」の領域ですが、さかなクンや富太郎の人生は「学術的貢献」につながっているという点で、オタクとは明らかに違うのだと思います。

さかなクンもかつて、日本国内で絶滅したと思われていたクニマスが、70年ぶりに発見された際の功労者でもあります。

別の学者さんが、魚についての分からない点がある場合、さかなクンに尋ねるというケースも多々あるとのことで、そのような学術的貢献性が認められ、さかなクンは現在、東京海洋大学客員准教授として授業をもつまでの先生になられたわけです。

また、「好き」を極めたい人間は驚くような行動に出ることも、本書を通じて知ることができました。それは、富太郎が、当時まだ学歴もないのに、東京大学に出入りし、植物について研究をさせてもらっていたという部分に触れた際、私なら東大の先生のところに潜り込んで、いろいろ学ぼうなどという発想はどう考えても出ないからです。

言い換えれば「好きで好きでしょうがない人間」には、一種の「鈍感力」が働くのでしょう。メンタルブロックがはずれたされた心の状態ともいえるのでしょうが、富太郎にとっては、世間体や常識などは「どうでもいいこと」に思えるのでしょう。このようなプラスに生かせる「鈍感力」も残念ながら私にはありません。

研究のテーマに社会性がある場合、さまざまな「協力者」や「援助者」が出てくる点にも、本書を読んで感心させられた点です。それは富太郎の植物を愛する気持ちが純粋なものだと周囲の人も分かっていたからにほかなりません。

奥さんや娘さんも、協力的であり、また、研究予算が捻出できない時期には、なぜか不思議と財閥の方や力のある人たちが援助の手を差し伸べてくれていたからです。富太郎の人生には事業を助けるための「不思議な力」が作用していたように思えます。

しかし、私がこの本の中で、最も注目した点は、そんな富太郎自身ではなく、むしろ富太郎を陰で支えた家族や、周囲の人たちの方でした。それは、富太郎のような純粋な気持ちで社会性のある研究対象に尽力している人間に対し「援助する」「サポートする」「バックアップに回る」という行為に、新鮮な価値を感じたからです。もし富太郎にそのようにサポートする人間が存在していなかったなら、富太郎の偉大な功績も存在していなかったと分かるからです。

私がこの感想文を書く少し前、オリンピックのバレーボールの試合を見ていたのですが、バレーボールのプレイと富太郎の人生に共通点を感じることができました。

バレーボールで、一番の花形選手といえば、アタッカーです。しかし、得点につながる強烈なアタックの前には、必ずといっていいほどセッターによる絶妙なトスがあるものです。セッターはアタッカーほど目立ちませんが、セッターの存在なしにはチームも勝てないのです。それと同じように、富太郎の功績を陰ながら支えてきた「目立たない周囲の人達の価値」の方に注目したのです。

富太郎や、さかなクンは、稀に見る「好奇心の人」です。これは一種の才能のようなものであり、努力で身に着くものではなく、内側から湧き出るタイプの性質に違いないでしょう。つまり、だれでもそのような人には、たとえ努力をしてもなれない分けであり、自分にそのような才能がないのであれば「サポートに回る」「協力する」「援助に回る」という役回りを通じ貢献する人生も素晴らしいのではないかと感じたのです。

とび抜けた才能の持ち主がいたなら、そのような人に協力することで「成功の際に一緒に喜べる役回り」になるのも良い人生ではないかと思えたのです。それはバレーボールの試合に勝った際、チームの全員が喜びを分かち合えることと同じようなものだと思います。本書は私に「人生には様々な役回りがある」と気づかせてくれた一冊でした。
 

「牧野富太郎【日本植物学の父】」読書感想文②

入賞作品「牧野富太郎」読書感想文
 
 

「読書メーター」のレビューも参考になります。
読書メーター「牧野富太郎【日本植物学の父】」レビュー
 
  


 

社会性のある「好き」を極める人生の価値
 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2021年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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