「月と珊瑚」読書感想文の書き方【例文】
2020年の課題図書対策!
こちらでは「第66回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『月と珊瑚』の「感想文の書き方の例文」をご紹介いたします。
※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。
『月と珊瑚』
上條さなえ(著)
出版社: 講談社 (2019/7/11)
178ページ
本体1,400円(税別)
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「月と珊瑚」について
「月と珊瑚」あらすじ
「月と珊瑚」読書感想文の例【2作品】
書きやすい読書感想文の構成の例
用紙・字数のルール その他
2020年課題図書(小学校高学年)全4冊紹介
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「月と珊瑚」について・・・
内容紹介
「わたしは、六ねんせいになったので、べんきょうをがんばります。」
ひらがなだらけの作文を、クラスメートに「あなた、ほんとに六年生?」ってばかにされた。私は、「勉強をしよう」って、本当にそう思った。まず、どうすればいい。そうだ、漢字を書けるようにしよう。日記だ。日記を書こう。これはちかいだ――。勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた少女・珊瑚のクラスに転校してきたのは、まるで『ベルサイユのばら』のオスカルのような、男の子か女の子かわからない月(るな)という子でした。
珊瑚の日記に描かれるのは、エイサーを舞う姿がかっこよかったり、ひいおばあちゃんが辺野古に座りこみに行ったり、耳をつんざくような戦闘機の轟音で機体の種類を当ててしまったり、その逆に轟音が聞こえると耳をふさいで動けなくなってしまったりする同級生たちの姿です。
珊瑚の「月と仲良くなりたいな」と思う日常を描いた、たどたどしい日記からは、沖縄の子どもたちが、いま、目にし、感じていることのすべてが浮かび上がってきます。
子どもの貧困、学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題……。沖縄に移住した作者があたためてきたテーマが、いま花開きます。新たな児童文学の可能性がここにあります。内容(「BOOK」データベースより)
沖縄生まれの少女、珊瑚の日記からは、『ベルサイユのばら』のオスカルのような転校生へのあこがれや、沖縄の文化を伝えつづける祖母との生活、軍用機の轟音におびえる同級生の姿や、自分と友だちの将来の夢…そんな日常があふれてきます。沖縄の「今」を、少女たちは生きています。
詳しい「あらすじ」おすすめサイト
【月と珊瑚】あらすじ・ネタバレ読書感想文の書き方と例文
「月と珊瑚」読書感想文の例文【2作品】
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。
以下に3作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直して文字数の調整を行ってください。
「月と珊瑚」を読んで①
「ルリバーは、ちょっと性格がゆがんでしまっているのではないか」これが私がこの本を読み終り、ポツンとつぶやいた正直な感想です。
この本を読む前、私は子ども向けに心理学の基本を紹介した本を読んでいました。その心理学の本には、ものの考え方には「原因論」と「目的論」という考え方があると書かれていました。
原因論とは、過去の原因に注目する捉え方であり、目的論とは、これからどうなりたいかという目的に注目してものごとを考える捉え方です。原因論は、過去に目を向けるものであり、目的論は、未来に目を向ける捉え方といってもよいと書かれていました。
この考え方を「月と珊瑚」の登場人物であるルリバーの人生観と照らし合わせれば、ルリバーは原因論の立場でものごとを考えている人のように思えました。
つまり、過去に起きた悲惨な戦争経験があまりにも記憶に残ってしまい、生活のなかでのさまざまな考えを、この過去に起きた戦争経験と絡めて考えているように思えたからです。
一番ショックを感じたのは、珊瑚の名前の由来を説明したところでした。生まれてきた赤ちゃんに「沖縄は戦後、血と涙とサンゴショウの上にできた島といっていいくらい悲惨な戦争を経験したから『さんご』はピッタリだと思ったんや」と、とても重苦しく不吉な理由で「珊瑚」とつけたということを語っていた部分です。
もし、私が珊瑚の立場だったら、自分の名前の由来が、そのような意味でつけられたのなら、相当「暗く思い気分」になると思ったからです。戦争関連の本を、これまでにも何冊か読んできましたが、この本ほど、著者のメッセージがどのようなものだったのか理解しにくい本は初めてでした。伝えたい内容が理解できない程度が大きく、その点がある意味「新鮮だった」と捉えることもできる作品だったともいえます。
この本の珊瑚は、軽い学習障害を抱えている女の子として書かれていますが、おそらくその理由の一つは、家族であるルリバーのこのような原因論的な後ろ向きな捉え方で育てられた珊瑚ゆえに、精神発達にマイナスの影響が生じたのだと私は感じました。
そのような考え方で、著者がこの本で伝えたかったメッセージを考えてみれば、私には「後ろ向きの過去に目を向けるのではなく、これからどうなりたいのかに焦点をさだめ、なりたい自分になるためには、どうすればいいのかを考えよ」という目的論で生きることを肯定するメッセージが込められた本だったように思えます。
また、心理学の本の中で、原因追求型の考え方をする場合、間違った原因を、正しい原因だと決めつけてしまう危険性があるとも書かれていました。ルリバーの行動を見ていると、確かに「決めつけ」のような考え方がありました。それは、珊瑚の成績が悪いため、歌手になるしかないといった、妙な決めつけです。
おそらく著者は、過去の不幸や不運に目を向けるのではなく、未来に目を向けて強く生きていける人間になって欲しいというメッセージを込めて、反面教師的にルリバーを登場させたのではないでしょうか。私はそのようにこの本の内容を解釈しました。
「月と珊瑚」を読んで②
私は最近のテレビ番組などで、中国が沖縄を狙っているという話題をよく耳にするようになりました。まさかと思っていたのだが、現在、香港の人々と中国共産党が力で従わせようとしているニュースを頻繁に見るようになるにつれ、私の中で、地理的に中国に近い沖縄も、中国に奪われかねないという危機感を感じるようになっていたのです。
私にとって沖縄は、好きなタレントさんを多く生んだ憧れの南の島という存在だったので、このところの不安を掻き立てるニュースを見るたびに、沖縄のことが心配になっていたのです。そのため、読書感想文を書くにあたり、課題図書の中に沖縄をテーマにした本があると知り、この『月と珊瑚』を読むことにしました。
この本の内容はといえば、沖縄の辛い戦争経験を持つお婆さんや、勉強が苦手な女の子、そして転校生などが沖縄という環境の中で精いっぱい生きている様子が描かれていました。沖縄には第二次世界大戦中の悲惨な歴史や、その後のアメリカの軍事基地が存在するなど、本土に住む私達とは、そのような環境の違いから、考え方や価値観にも少し違いがあることが伝わってきました。
特に私が「おやっ」と思ったのは、ルリバーというお婆さんが、第二次世界大戦の悲惨な経験が原因で、現在においても悲観的な考え方をしている点です。しかし、この本はフィクションであるため、私は思わず「本当に多くのルリバー世代の沖縄の人は同じような悲観的な考え方をしているのか」という疑問がわきました。
戦争の辛い思い出を子供や孫に伝え残すことは、大切なことだと分かります。しかし、その辛い体験を世代を超えて伝える場合、私なら同情や哀れみや、恨みを記憶させるためのものにしてはならないと思うのです。辛い経験を伝えることで、次の世代の若者に良い方向へと進んでもらうためのメッセージのようなものが存在しなければ、それは単に自分のための愚痴のようなものになってしまうと思うからです。
そのため、作者はどのような意図で、悲観的な考えのルリバーを登場させたのか、その点が私にはよくわかりませんでした。ルリバーが珊瑚に掛ける言葉は、とても棘のあるものでした。例えば珊瑚に対して「あんたは、ほかになにができるね。勉強嫌いのあんたはどうやって生きていくんや。」「こんな生活から抜け出したかったら歌手になる事や。あんたにはそれしか道がないんやで」という言葉をなげたりしています。
これでは、私には、沖縄の老人は戦争で性格が歪んでしまった人が多いのかというイメージさえ与えかねないものでした。実際はそのようなことはないのでしょうが、この作品を読んで、沖縄のイメージがプラスになることはないでしょう。おそらく著者は、同じ日本でも地域によって、歴史や文化もことなるため、さまざまな考え方で生きている人がいることを伝えたかったのだと思います。
そのため「自分の考え方がすべての人に当てはまるものではない」ということを考えさせられることになりました。もともと沖縄のことが心配でこの本を読み始めたわけですが、この本を読み、現に沖縄に住む人たちは、中国から狙われているというような事実をどのように感じているのかと、考えるようになったからです。
つまり、沖縄の人の中にも、中国の一部になった方がよい考えている人もいるのではないかと、まず一旦「私自身の考え方を疑うこと」が必要なのだと気づかされたからです。この本は私に「相手は自分と真逆の考えで生きている場合もある」という人付き合いでの注意点を教えてくれた本でした。
「月と珊瑚」を読んで③
以下、追加作品が完成次第、掲載いたします。
書きやすい感想文の構成の例(書き方の順序)
最後に、書きやすくまとめやすい標準的な読書感想文の構成例をご紹介いたします。感想文は構成を考え、順序だてて「説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。
「なぜこの本を選んだのかの説明」「なぜ、そう感じたのかの説明」「この本を読んで自分の考えにどのような変化があったのかの説明」・・・このように、各パートごとに理由やエピソードをまじえて「説明していくもの」と考えれば、それほど抵抗なく原稿が書けるはずです。
①なぜこの本を選んだのかの説明
②大まかな内容を手短かに説明
③特に気になった箇所やフレーズを紹介(1)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
④特に気になった箇所やフレーズを紹介(2)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑤著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し説明
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑥この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明
読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
66回の応募のルールについての詳細はこちらページで発表されます。
⇒ 「公募ガイド 青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
『月と珊瑚』
上條さなえ(著)
出版社: 講談社 (2019/7/11)
178ページ
本体1,400円(税別)
思いを伝えようとする場合
それが相手のためになるかを意識すべき
2020年課題図書(小学校 高学年)全4冊紹介
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読書感想文 課題図書2020(小学校 高学年)4冊