「水を縫う」読書感想文の書き方【例文あり】

2021年の課題図書対策!
こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」高等学校の部(高校生用)
寺地はるな『水を縫う』の「あらすじ」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。2000字で感想文を書くための参考になればと思います。

「水を縫う」
発売日:2020年05月26日頃
著者/編集:寺地 はるな
出版社:集英社
ページ数:248p
価格:1,760円(税込)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「水を縫う」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
「水を縫う」読書感想文の例文
他の課題図書&過去の入賞作品

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「水を縫う」あらすじ

普通、決めつけ、差別、違和感・・・それらに苦しむ姿を一つの家族を題材に描いた作品

物語の主役は大阪に暮らす祖母・母・姉・弟で構成された松岡家。手芸が好きな男子高校生の清澄のエピソードから始まり、各章ごとにそれぞれの人物の「心に違和感を抱えた生活」が綴られていく。

「男なのに」刺繍が好きな男子高校生の清澄(きよすみ)。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青(みお)。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その同居人の黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母の文枝――。

共通するものは、「普通ってなに?」となる経験。松岡家の面々はみな地味で堅実で、日々平穏に過ごしているしそれを願ってもいる。それでも、それぞれの胸の内にわずかに「普通」との相容れなさや、小さなやりきれなさを抱えている。普通の人とくくられてしまいがちな人の中にある、普通でなさ。

世の中、ラベルを貼ったりカテゴリ分けできるものばかりではない。性別や年齢、社会的立場によって定義され、押し付けられる「普通」の窮屈さを、誰もが何かしら味わったことがあるだろう。

また日常の中で意図せずして「普通」を押し付ける側に回ることもあるかもしれない。他者に「普通」を強いる側にいるかのように見える人もまた、過去のどこかで「普通」を強いられる側でもあったはずだ。そのような今日の社会における生き方、人との接し方に一石を投じる作品

著者インタビュー記事より

■いやな目に遭ったときに「いやだった」 と言える世界であってほしい

 家族の本音は一緒に住んでいてもわからないものだ。寺地はるなさんは、章ごとに語り手を代えて家族の物語を書いた。

「男の子はこういうもの、お母さんはこうするべき、というように、年齢、性別、立場によって課されるものは変わってきます。普通を押し付けられる息苦しさを書きたかったので、いろんな世代、性別の人が語るようにしました」

 高校生の清澄きよすみは手芸が好きな男の子だ。子供の頃から祖母に手ほどきを受けて楽しんでいるが、中学のクラスメートから「女の子になりたいの?」とからかわれたことがある。

 寺地さんの9才の息子も、「男の子なのにピンクのTシャツなんだね」と声をかけられたし、かわいい筆箱を持っていたら、5年生くらいの女の子に「これは女の子のだよ」とたしなめられた。

「その子は周りの大人の価値観によって、そういう感覚を持つに至っているわけです」
 清澄の母親のさつ子も「手芸なんかやめとき」と言う。学校でいじめられたら困るからだ。「普通の男の子」みたいにスポーツに打ち込んでくれた方が、本人はともかく母親が安心していられる。

「私も息子がいいようにさせようと思っていても、心配はしますね。へんな目立ち方するのかなあと。失敗しないように先回りして、『やめとき』と言いそうになることは何度もあります」

 幸い清澄は手芸をやめることなく姉のウェディングドレスを縫い始める。離婚した父親を巻き込み、寺地さんいわく「各自が形のないものを縫い合わせるようにして」家族の物語は結末へと進んでいく。

 寺地さんが登場人物に向けるまなざしはやさしい。祖母の文枝は、心ない言葉に傷ついた経験がある。74才にして水泳に挑戦し、過去の傷から自分を解放していく姿が印象的だ。寺地さん自身、ここを読むたびに泣いてしまうという。

「生きていれば、どうしたっていやな目に遭うわけで、そのとき『いやだった』と言える世界がいいと思うんですね。他人の傷を軽視するのは、いちばんやっちゃいけないことのような気がします」

 読み終えて本を閉じるとき、温かさがあふれ出してくる一冊だ。

(引用元:https://pdmagazine.jp

「水を縫う」着眼点の例

     
    以下のような着眼点を参考に感想文をまとめてみるとよいでしょう。

    「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」と偏見との関係について感じたこと、これからの社会の在り方について感じたこと。

    人間の性質は、さまざまな要素の束と捉えることができます。部分的に異なる点があったとしても、大多数の人間としての特性は共通することに考えを及ぼしましょう。その点を踏まえ、異なる特性のある他人との人付き合いについて思ったこと、感じたこと。

    世界中でLGBTやIMADRに代表される「差別をなくすための運動」が盛んに行われている今日と本書をからめた感想

    個性や多様性の価値について本書の中のエピソードと絡めて考えてみましょう。

    自己肯定感、メンタルブロックといった心理学的観点から本書を捉えてみるのも良いでしょう。

    「もし、世の中の人間のすべてが自分と同じ考え方や容姿だったら、世の中はどうなるか?」・・このような「もし」を想定し「違いのあることの価値」について述べてみるのも良いでしょう。

    cf.「二人の人間がいて、常に意見が同じであるなら、そのうち一人の人間はいなくてもよい人間である」(デール・カーネギー)

    周囲に「違和感」や「ありのままの自分でいることを否定されているような人」があなたに相談してきたなら、あなたはどのようなアドバイスをするでしょうか。

    個人的趣味嗜好と日本のオタク文化について絡めた感想文を書くのも良いでしょう。「オタク」とは、本来日本語における二人称であり、相手を気遣い否定せず「そっとしておいてあげる文化」がオタク文化です。

    本書で述べられている内容から感じた問題に対し、あなたが今できる努力とはどんなことでしょう。

    本のタイトルはなぜ「水を縫う」なのか?タイトルを考察した考えを述べてみるのもよいでしょう。

    ・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の考え」や「過去の思い出」などとからめて感想としてまとめればよいでしょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

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「水を縫う」読書感想文の例文

以下に感想文の例文をご紹介いたします。文字数はややオーバーしていますが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「水を縫う」を読んで①

本書を読み、私は普段何気なく使う「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」という言葉は、実は相当注意深く使わなければならない言葉だということが分かった。それは、これらの言葉を使う際の自分の「認識」について疑う必要があるということであり、また、他人を前に使う際は特に注意する必要があることも分かった。

著者の寺地はるなさんの過去の作品を見てみれば、『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』『夜が暗いとはかぎらない』『わたしの良い子』など、どれも捉えようによっては「普通」「あたりまえ」「正しさ」「良い悪い」といった判断基準を疑うような切り口のものが多い。つまり、私には著者は「あたりまえへの疑念」や「人の決めつけへの怒り」などを日々感じながら生活している方なのだと感じた。

この考え方は、現在の世界的な考え方のトレンドに非常に合致しているものだと思う。それは、世界中でLGBTやIMADRに代表される「差別をなくすための運動」が盛んに行われているからだ。

裏を返せば、本書が課題図書に選ばれた理由も、それらの国際的な動きに合致した作品だったからという背景もあるのだろう。

物語の中の登場人物は、「男なのに」刺繍が好きな男子高校生の清澄。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その同居人の黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母の文枝。このように様々な「個性」を有している人たちだった。

個性を重視する姿勢とは、人のもつ多様性を受け入れる姿勢と同義のようなものだと私は考える。異なった考えの持ち主や、異なった特性を持つ他者を否定するのではなく「受け入れる」あるいは、受け入れるとまではいかなくても「そっとしてあげる」といった心遣いを尊重する世の中が望ましいと考えるからだ。

作品の中では、誰にでも起こりそうな身近な問題を一つの家族のそれぞれが持つ悩みとして語られている。それらは、すべて、自分の個性と、社会が文化の中で形成したフレームやラベルのような「決めつけ」や「基準」に適合できない自分に苦しむ姿だと捉えることもできる。

なにより印象深かったフレーズは「『自分の時代はそうだったから』とあとの時代に押しつけることだけはするまいと、あの時誓った。」というセリフだった。それは「人間は自分が生きてきた時代を基準にしてしまいがちな生き物である」という戒めのようなものを感じたためである。

物語の中では「男らしさ」や「父親らしい父親像」であったり「女らしい女」「母親らしい母親」といった、それら社会が定めた価値基準に合致しない自分に苦悩する、それぞれの様子が描かれているのだが、私は特に、どこにでもいそうな問題を抱えた登場人物だからこそリアルに「今の社会で改善すべき課題」として受け入れることができた。

私は、これらは善悪や好き嫌い、敵と味方などと同じく、二元的な視点で物事を捉える考え方がもたらす弊害の一つだと感じた。これらの悪しき考え方を払しょくするためには、上位概念としての一元論的な視点でものごとを捉える必要があるはずだ。

この場合、どのような属性にある人間も、同じように「幸福を求めている」といった「共通の一元的価値」を有する「応援すべき同じ方向を向いたチームの一員なのだ」という考えを強く認識することが大事たと思うのだ。

また、いわゆる「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」から外れたタイプの人間のもつ「長所」に目を向けることが重要だと考える。例えば、物語の中で刺繍が好きな清澄も、私には何ら問題のない単にそのような趣味を持つ高校生と思えたのだが、職人気質を高校生の今から養っていると捉えれば、むしろ褒められる立場に見える。

本書は、全体を通して「心の違和感」をテーマにした作品だとも言える。人を行動に駆り立てる原動力は「好奇心」と「違和感」である。場合によっては、憧れや理想からくる「好奇心」以上に、その環境から離れたいと感じる居ずらさやコンプレックスといった「違和感」が行動の原動力になることも多いからだ。

そのため、世の中一般の「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」から外れた特性を持つ人の場合、その部分を「活かせないか」と捉えるべきであり、そのような特性を持つ人を「活かせる世の中」にシフトする必要があると強く感じた。

昔の能力開発機関の指導の中心は「いかに能力を高めるか」だったが、現在の指導法は「いかにメンタルブロックを外すか」に重点が置かれているのだという。メンタルブロック、つまり「心のバリアからの解放」を先んじて行わなければ、教育が定着せず無意味になるからだそうだが、私もこの考えには同感である。

希少性のある人材は、違和感ではなく長所という認識で暮らせる世の中にすべきだ。「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」から外れたその特性は「希少価値」と捉えるべきなのだ。生活の中での多少のマイナスは、今後AIの力によって多くが補えるはずでもある。

だから「普通」「あたりまえ」「○○らしさ」から外れた自分に悩んでいる人は、それを希少価値であると捉え、希望とともにその能力の使い道を考えるべきだと思うのだ。

とはいうものの、現に、「今」苦しんでいる人にとっては、そのような未来の話ではなく「今の自分」の心の状態を何とかして欲しいと願っていることも分かる。その場合、上記のような私の考えは気休めにしかならないであろう。では「否定しない」「受け入れる」「そっとしておいてあげる」「希少価値として捉える」以外に「今」私に何ができるであろうか。

私は本書を読み、そのような社会問題の存在を「広く伝えることの価値」を発見できた。作品を読み、一層そのような考え方を強く持つようになった自分が現にここにいるからである。つまり、著者の寺地はるなさんのように、この情報を広め、意識づけることの価値に気づいたからだ。

そのため、私はSNSなどを通じ、このような問題や改善案など「社会のあるべき姿」を機会があるごとに発信していこうと思う。それは非力ではあるが「今の私にできる」「具体的で」「現実的な」行動だと思えたからである。(2535文字)
 

「水を縫う」を読んで②
 

以下、完成次第、掲載いたします。


  
 


 

  人は要素の束である。
   異なる部分より同じ部分の方がはるかに多い。
     珍しい要素は希少性であり価値なのだ。

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2021年の高等学校用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると「高校生用」の課題図書の解説ページが開きます。


 

過去の課題図書と過去の入賞作品

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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