「かべのむこうになにがある?」読書感想文の例文
2019年の課題図書対策!(書き方の例)
「青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5,6年生)
『かべのむこうになにがある?』
今回は、この本の読書感想文の例をご紹介いたします。
「かべのむこうになにがある?」(BL出版)
著者:ブリッタ・テッケントラップ・作 風木一人・訳
本体価格:1,600円
ページ数:32ページ
ISBN978-4-7764-0816-1
大きな赤いかべがありました。いつからなのか、どうしてなのかだれもしりません。ちいさいねずみはおもいました。「かべのむこうになにがあるんだろう?」ねずみはかべのむこうが 知りたくて鳥にたずねると…。
ねこやきつねやくまは、「かべはあたしたちを守ってくれるのよ。外にはこわいものがいっぱいあるから」とか、「むずかしいことを考えるのはやめろよ。そうすりゃハッピーになれる」とか、いろいろなことを言います。
くたびれたライオンは「かべのむこうになんて、なにもない。闇だ。はてしない闇だ」とまで言います。
でもある日、飛んできた空色の鳥といっしょに、壁をとびこえたねずみは……。
もしかしたら「かべ」があることにさえ気づかずに暮らしているかもしれない私たち。
「かべのむこう」を知りたいと願う、ねずみの勇気と、希望を感じる結末が、心に小さな火を点します。
大人でも子どもでも、手元に置いておいて、ときどき読み返したい絵本です。
■「かべのむこうになにがある?」AI読み聞かせ
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校高学年の部(5,6年生)本文1,200字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
「かべのむこうになにがある?」読書感想文の例
大人が書いたので、小学生では使わない漢字も含まれています。平仮名に変更した場合、1200文字をオーバーしてしまいますが、書き方の参考としてご活用ください。
■「かべのむこうになにがある?」を読んで
この夏、僕は課題図書の4冊をすべて読んでみた。そして、感想文を書くために選んだのがこの「かべのむこうになにがある?」である。4冊の中でこの本はほかの本と違い、文字数も少なく、もう少し低学年生向けの本のように思えたのだが、文字数の少ない本だけに、感想文を書くにあたっては想像力が要求される本だと考えたのだ。つまり、絵本のような本を読み、1200字もの感想を僕が書けるか挑戦してみようと思ったのだ。
この本の内容は、赤い壁に囲まれた街に住むネズミが、壁の外の世界に何があるかという疑問をいだき、鳥に乗って壁の外の世界を覗きにいったという内容である。
外を見る前に、ほかの動物に壁の外について尋ねると、外には興味がなかったり、行ってもいないのに怖いところだと決めつけていたり、考えることを無駄だといわれたりで、ネズミのように壁の外に行ってみたいと思う動物はいなかった。
ネズミが壁の外にでると、そこは、たくさんの色であふれた夢のような世界だった、という現実を知ることになる。
この現実を知ったネズミに対し、鳥がかけた言葉が、この本で著者が伝えたかったメッセージではないかと思った。鳥はネズミに次のような言葉をかけたのだ。
「怖いと思うから怖いものが見えるんだ」「勇気があれば本当のものが見える。生きていればたくさんの壁に出会うものさ。でもそのほとんどは幻だ。本当のものを見る勇気があれば、壁は消える。全ぶ消えた後には、きっとすばらしい世界があるはずだよ」
とくに僕が注目したのは、この本の著者がドイツ人だという点である。東西ドイツが併合する前、東西ドイツを分けていた象徴としてベルリンの壁が存在していたことは、ニュースなどでよく聞いていたからである。
しかも、この壁の色も、共産主義を象徴する「赤」であったことが、どうも共産主義から資本主義に移行することの正しさを比喩的に表現しているように思えたのだ。
そのような視点で読んでみると、壁を越えた際のネズミがつぶやいた言葉に考えさせられるものがある。ネズミは壁を超えた後「壁の外は、暗くて怖い世界だと思ってた。だってみんなそう言ってたもの」とつぶやいた。
僕には、これがちょうど、北朝鮮が国民に対し、資本主義の国を悪い思想の国だと教え込んでいる現状とかぶっているように思えたのだ。また、ネズミが外の様子に次のような印象をもった点も興味深かった。
「そこはたくさんの色であふれる夢のような世界でした」
これも、北朝鮮を脱北して韓国に亡命した人の感想とそっくりではないか。
僕はこの本を読み、人間の思い込みの危険性、さらにそれが集団的思い込みに至った場合、社会全体から「疑う」という知力を奪うほど危険なものになるのではないかということを思いつかせてくれた。僕はこの本に出てくるネズミのように「常識に疑問を持ち自分で確かめる人間でありたい」そう感じさせる一冊であった。(1197文字)
参考になるサイトの紹介
『かべのむこうになにがある?』読書感想文の書き方・考え方の例
読書感想文の「構成」や「話の広げ方」「表現方法」などは下記のページに書かれています。
読書感想文の書き方のコツ図解
(テンプレート付き)
2019年 小学校「高学年」用(その他の課題図書)
「ぼくとニケ」(講談社)
著者:片川優子・著
本体価格:1,400円
ページ数:226ページ
ISBN978-4-06-513512-9
内容紹介
内容(「BOOK」データベースより)
ある日、子猫がやってきた―。5年生で突然登校拒否になった幼なじみの仁菜が、薄汚れた子猫を拾い、ぼくの家へ連れてきた。自分の家で飼えない仁菜にかわって、ぼくと家族がお世話をすることになったのだけれど…。獣医師がえがく、子猫とぼくの大切な話。15歳のときに講談社児童文学新人賞佳作を受賞し作家デビューした獣医師が贈る、感動の物語。
『ぼくとニケ』読書感想文の書き方・考え方の例
「ぼくとニケ」読書感想文の書き方の例
「マンザナの風にのせて」(文研出版)
著者:ロイス・セパバーン・作 若林千鶴・訳 ひだかのり子・絵
本体価格:1,500円
ページ数:189ページ
ISBN978-4-580-82335-8
内容紹介
1942年、アメリカ。日系アメリカ人のマナミは、ワシントン州ベインブリッジ島で、家族と幸せに暮らしていた。いつものように学校へ通い、友達と遊ぶ日々は、ある日突然変わってしまった。家族で「強制立ち退き」しなければならなくなったのだという。愛犬トモとも別れて、住みなれた土地をはなれなければいけなくなった…。
「もうひとつの屋久島から:世界遺産の森が伝えたいこと」(フレーベル館)
著者:武田剛・著
本体価格:1,500円
ページ数:189ページ
ISBN978-4-577-04625-8
内容紹介
(「BOOK」データベースより)
1993年、日本で初めて世界遺産に登録された屋久島。この自然豊かな島のいたる所で、その11年前まで広大な原生林が伐採されていた事実があった!屋久島の過去・現在・未来にせまる、渾身のドキュメンタリー。