「おいで、アラスカ!」あらすじと読書感想文【例文あり】
2021年の課題図書対策!
こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『おいで、アラスカ!』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。
※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。
「おいで、アラスカ!」
発売日:2020年03月23日頃
著者/編集:アンナ・ウォルツ, 野坂悦子
出版社:フレーベル館
ページ数:260p
価格:1,540円(税込)
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「おいで、アラスカ!」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品
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「おいで、アラスカ!」あらすじ
家族のことで悩みがいっぱいの12歳の少女パーケルと、てんかんの発病のために一年留年した13歳の少年スフェンが主人公。
新学期に同じクラスになったこの二人の、出会って2週間の出来事を交互に語る形式で物語は展開する。
二人をつなぐのは「アラスカ」という名の一匹のゴールデンレトリバー。
新学期の一日目、弟の一人がアレルギーのため、やむなく手放した自分の犬が、意地悪なクラスメートのスフェンの介助犬になっていることを知り憤慨する。
スフェンはアラスカを可愛がる様子はないし、てんかんの発作も起こすからだ。スフェン自身も突然襲ってくるてんかんの発作にいらついている。介助犬は命を守ってくれていることを知っているが、仲良くできない。
そんなスフェンのもとから、アラスカを取り戻そうと、パーケルは夜中にスフェンの家に忍び込み、アラスカを誘拐しようと企てる。
バレない様、マスクを被りスフェンの家に忍び込んだパーケルだったが、アラスカには、パーケルだとすぐに見破られた。
「アラスカ」と犬にささやく侵入者に、スフェンは驚いたが特に身構える様子はなかった。
会話の中で、侵入者は、アラスカの元の飼い主だと知ったが、パーケルであることはこの時点では気づかれなかった。
スフェンは、自分はてんかん持ちで、生きることへの不安を抱えていることを侵入者に話した。侵入者も、父親が強盗に拳銃で撃たれるところを目撃したことを話す。話をしているうち、アラスカを誘拐せず金曜の夜また来ることになった。
スフェンはその強盗事件のことをネットで知り、アラスカに会いに来たマスクの女の子がパーケルだと分かった。
再びパーケルがスフェンの家に侵入した際、口論になり、アラスカがどちらの飼い主を選ぶか勝負することになった。当然、元の飼い主を選ぶと思っていたが、アラスカはスフェンを選んだ。スフェンとアラスカの信頼関係は、犬ではなく一人の人間だと思えるぐらい強くなっていく。
スフェンが、学校で大きな転換を起こした日、発作の様子を誰かが録画し、ネットのグループチャットに流した。
それを知った先生は、ネットで拡散させないよう動画を削除させたが、スフェンは学校をやめる決心をする。そのことは先生によってみんなに知らされた。
一方、パーケルは、家に入った強盗犯を探し尾行する。その際パーケルはスフェンを頼った。メールの位置情報を頼りに、スフェンは、発作の危険を顧みず止められていた自転車にのって、アラスカとパーケルのもとに駆け付ける。
しかし、犯人の尾行中に発作が起き、犯人逮捕は失敗に終わった。その際、発作の前に、アラスカが何かを伝えようとしたのをパーケルが気づいた。それはアラスカが数少ない転換の発作予知犬だったからだ。
パーケルは、スフェンが学校をやめなくても済む方法を思いつく。そして、クラスメートがスフェン宛てに次々にユニークで変な動画を送った。スフェンは「ボクに学校に戻ってほしい」気持が伝わり胸が熱くなった。
それをみたスフェンは、勇気を出してパーケルに電話をする。パーケルはスフェンにアラスカを学校へ連れてくるべきだと説得する。
物語の最後は、パーケルとスフェンがアラスカを連れ学校の玄関ホールを一緒に歩く場面で終わる・・・
「おいで、アラスカ!」着眼点の例
以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。
なぜ、課題図書の中からこの本を選んだのか?
※書き出しとしては「この本を選んだ理由」や「本のあらすじ(や概要)の紹介」から入るスタイルが書きやすい定番の方法です。書き出しについては「入賞しやすい21パターン」が存在します。
読書感想文の書き出し例【中学生・高校生】入賞21パターン
(大人気のページです)
著者はこの本で何を伝えようとしていたのでしょうか?
人は「何かしらの悩み」を抱えて生きているものです。この物語は、スフェンとパーケルがお互いの悩みを物語の中で語る内容のため、読者は彼らの「悩みの存在」を知ることができます。しかし、実生活では人は他人に悩みを積極的に語ることはほとんどありません。その点に気づいたことを感想の中心にして「自分の考えるコミュニケーションのあり方の理想」につなげる感想文もよいでしょう。
この本では様々な「悩み」や「怒り」がこれでもかというぐらい紹介されています。パーケルの父は強盗に銃で撃たれPTSD。弟はADHDで不安定で、そのうち一人はアレルギー。強盗に対する怒り。愛犬を嫌いなスフェンに引き取られている事実。てんかんを理解されない苦しみ。留年して一学年下の生徒と同じクラス。いじめの悩み。動画投稿された恥・・・。「この本を読んで、不幸のバリエーションを知ることの価値に気づいた」という内容の感想文もよいでしょう。「不幸を多く知ることは、危機意識を高めることや、幸せのありがたさの発見につながると分かった」とまとめることもできます。
※読書の価値も「経験を補える点」にあります。本書の場合「不幸の疑似体験」ができる点に価値があるともいえます。この「不幸の疑似体験ができた」という点を感想の中で紹介するのもよいでしょう。
本書のタイトルは「おいで、アラスカ」となっていますが、主人公のパーケルやスフェンでないアラスカをなぜタイトルに起用したのかを考えてみるのも良いでしょう。また、もし自分だったらどのようなタイトルにしたかを、理由とともに紹介するのもよいでしょう。
パーケルがスフェンの家に忍び込んだ際、アラスカにどちらかを選ばせましたが、なぜアラスカはスフェンを選んだのでしょうか?
パーケルは世の中の犯罪者のほとんどが男だということを指摘していますがこの点に注目し、深掘りする感想文もよいでしょう。価値基準が固定化した場合、それは「偏見」や「差別」と紙一重の危険を生みます。また「決めつけ」は「思考停止の状態」ともいえるものです。
パーケルは、自分の父が強盗に襲われたため、強盗を憎んでいたはずですが、パーケルはスフェンの家に忍び込みアラスカを取り返そうとします。つまり、パーケルは自分が憎んでいる強盗と同じことをしているわけです。この矛盾を取り上げてみるのもよいでしょう。
てんかん発作の際の自分が撮影された動画がもとでスフェンは学校をやめることを決意しましたが、この点に注目し、ネット社会の今日、動画の危険性について考えさせられたことを身近なエピソードをまじえて紹介するのもよいでしょう。
それぞれの人間のもつ「短所」や「欠点」とは、それを補うために他人をつなぐ「穴」のようにも思えるのではないでしょうか?人は人と結びつくことにより、単独で活動するよりも偉大な成果をのこせるようになるものです。
※アラスカはスフェンの欠点を補うかけがえのない存在です。スフェンの「穴」はアラスカが埋めてくれているといえます。また、アラスカはパーケルとスフェンをつなぐ役割もしています。つまり、スフェンにてんかんという「穴」があるからこそ、アラスカやパーケルと「つながる」ことができるのです。
「短所は短い長所である」という言葉があります。目を背けるのではなく「向き合う姿勢」が大切だともいいます。・・・このような言葉を引き合いに出し、本文の内容と絡めて感想文のまとめに使うのも良いでしょう。
この本で学んだ「教訓」はなにか?またその教訓と同じ「格言」「名言」「ことわざ」を探し感想文の中で紹介するのもよいでしょう。
・・・これらの中からいくつかを取り上げ「過去の思い出」や「最近の出来事」などと感想を絡めてみましょう。
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。
「おいで、アラスカ!」読書感想文の例【例文】
以下に感想文の例をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。
「おいで、アラスカ!」を読んで①
この物語は、悩みを抱えた同じクラスに通う二人を主人公にした物語です。一人は、強盗に銃で撃たれたことでPTSDとなり、引き籠りになった父と、3人のADHDの弟を持つパーケル。もう一人は、てんかんの病気が原因で一年留年したスフェンです。
物語の内容は、ADHDの弟のアレルギーが原因で、やむなく飼い犬のアラスカを手放したパーケルでしたが、その犬のアラスカが、仲の悪いいじめっこのクラスメイトであるスフェンの介助犬になったことを知り、スフェンの家に忍び込みアラスカを盗み出そうとしたことがキッカケで、二人はお互いの悩みを分かりあい徐々に認め合う関係になっていくという内容です。
私はこの本を読んで、これまでより「他人に気を遣う」ことを意識しなければならないなと思うようになりました。この物語では、スフェンとパーケルがお互いの悩みを物語の中で語る内容のため、読者である私は彼らの「悩みの存在」を知ることができます。しかし、実生活では人は他人に悩みを積極的に語ることはほとんどありません。そのため実生活では「他人の抱えた不幸を察知し気遣う姿勢」が大切だと分かったのです。
具体的には、他人と接する際は「この人は言葉には出さないけど、パーケルやスフェンのように心に不安や悩みをかかえている人ではないか」という考えをもち付き合うようにしようと思うようになったのです。
また、スフェンのように、誰かをいじめるような攻撃的な人でも、その理由が、その人が抱えた悩みが原因である場合もあることも分かり、人間の複雑な心理について、もっと学ばなくてはならないと思うようになりました。
読み終えた後、母に本の内容を話したのですが、その際、母の口から出た人間の心理についての一言がとても印象的でした。スフェンの攻撃的な性格の裏に、悩みの存在があることを話したときの言葉だったのですが、母は次のような説明をしたのです。それは「人間が他人を攻撃したり何かに怒る場合、それはその人が何かを守ろうとしている表れなのだ」というものでした。
「攻撃や怒りは何かを守ろうとしている表れなのだ」という心理の説明に、私はハッとさせられたのです。なぜならこれまで自分が誰かに怒りを感じた時のことを思い出したのですが、そこには確かに、自分と価値観の違う相手の発言があったからです。つまり、自分と違うタイプの人や考えの違う人を受け入れられない「小さな自分」を象徴するリアクションが「怒り」や「攻撃」なのだと気づいたのです。
本書を読み終え、私は人付き合いについて大きな2つの学びをえることができました。それは「他人を気遣いながら接すること」、もう一つは「自分と価値観の違う人の意見も尊重すべき」というものですが、私としては一生心に刻み付けておくべき人間関係の基本を学べたように思え、大変価値ある読書経験だったと思いました。
「おいで、アラスカ!」を読んで②
この本は、初めは仲が悪かったクラスメイトのパーケルとスフェンが、お互いの悩みを語り合い、次第に成長し信頼関係を深めていくというお話ですが、この本では様々な「悩み」や「怒り」がこれでもかというぐらい紹介されています。
パーケルの父は強盗に銃で撃たれPTSD。三人の弟はADHDで不安定で、そのうち一人はアレルギー。強盗に対する怒り。愛犬を嫌いなスフェンに引き取られている事実。てんかんを理解されない苦しみ。留年して一学年下の生徒と同じクラス。いじめの悩み。動画投稿された恥・・・。
私は、この本を読み、不幸のバリエーションをたくさん知ることの価値に気づくことができました。つまり、物語を読むことで「不幸を疑似体験すること」は、心の訓練になると思えたのです。
また、当たり前のようで普段意識していない「平穏であることの幸せ」のありがたさにも感謝できるようになりました。幸い私は、パーケルやスフェンのような境遇ではなく、自分の思う「普通の生活」をしていますが、この「自分の思う普通」が実はどれだけ恵まれているものであるかを、本書を読み終え、意識できるようになったのです。
私には精神的にも肉体的にも健康な親や兄がいて、自分自身も病気の悩みもなく、ペットの猫とは相変わらず楽しく暮らしています。でも、家族の誰かがPTSDになったり、てんかんになったり、ペットの猫を嫌いな人の家に預けることになったりと、どれか1つでも自分の身に起こった場合、現在の生活はもろくも崩れるものだと気が付いたのです。
また、物語の中で、パーケルやスフェンは、私から見れば、危なっかしい行動ばかりしているように思えましたが、もし自分が同じような境遇にいたのなら、パーケルやスフェンと同じような行動をしているのかもしれないとも思えるようになりました。そうだとすると「一つの不幸は負の連鎖の始まりになる」と思え、幸福を維持することの大切さを意識できるようになったのです。
もし、パーケルのように、夜中に他人の家に忍び込むような境遇になったなら、捕まれば「犯罪者」です。てんかんの持病をもっているのに、止められている自転車で全力疾走するようなことになれば、死んでしまうかもしれません。このように考えれば「一つの不幸は負の連鎖の始まりになる」と思えたのです。
著者はおそらく、悩みを抱えた人の気持ちを分かってあげられる人間になって欲しいという願いを込めて、この本を書いたのだと思います。もちろん、そのことも伝わってくる素晴らしい内容でしたが、私にとってはこの「幸せを維持する努力を忘れないように」という教訓を学ぶことができた点にこそ価値がありました。「あたりまえ」を「あたりまえ」だと思わず「感謝の気持ち」と「継続させる努力」の大切さを学べた作品でした。
「おいで、アラスカ!」を読んで③
以下、完成次第、掲載いたします。
・短所とは短い長所である
・人は短所という「穴」があるから繋がりあえる
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
他の課題図書&過去の入賞作品
2021年の小学校高学年(5、6年生)用の課題図書は次の4冊です。
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過去の課題図書の紹介
過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。
また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。
読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)