『すうがくでせかいをみるの』読書感想文の書き方【例文つき】
2022年の課題図書対策!
こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「低学年」の部(1、2年生用)
『すうがくでせかいをみるの』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。
※おもに、小学生が800字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。
「すうがくでせかいをみるの」
ミゲル タンコ (著), 福本 友美子 (翻訳)
1,760円(税込)
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「すうがくでせかいをみるの」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品
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「すうがくでせかいをみるの」あらすじ
主人公は、赤い髪の女の子。家族のみんなは、それぞれ好きなことがあるのに、自分には好きなものがないと悩んでいる。
そのため、学校のクラブ活動に参加し、演劇、ダンス、料理、絵、テニス、空手となんにでも挑戦してみる。
絵の授業のとき、周りのみんなが、思い思いにキャンバスに動物の絵を描いているのに、自分はなぜか数式のような幾何学模様を描いている。そして先生の顔と向き合う場面はなんとも印象的。
そして、彼女は自分に必要なものは「数学」だと気づく。
そこから彼女は、世の中は数学的なもので満ち溢れていることを発見の喜びとともに経験していく。
街の木々、公園の遊具、湖に投げる石が作り出す同心円、そして、家でお菓子を分ける方法にまで数学が思いつく。
「すうがくはまいにちつかえる」という言葉とともに、紙飛行機が不思議な起動とともに飛んでいく。
小学校の低学年ほどの彼女ですが、本格的な数式が並べられ「あたまのなかは すうがくだらけ。みんなには ちんぷんかんぷんらしいけど。」という言葉がでるほどの彼女の数学は高度なもの。
本書は「多様性の価値」に気づかせようとする作者の願いが込められている作品ですが、主人公の発見したテーマが「数学」であるところがユニーク。
英語版のタイトルは「Could on me」であり仲間に加わるという意味合いであり、自分だけ好きなものがなかった主人公が、家族のみんなのように、好きなものがある状態になれた嬉しさが読み取れるタイトルです。
本書の最後には「だれにだって すきなことがあって、それぞれのやりかたで せかいをみている・・・ だから、すうがくで せかいをみるのも いいんじゃない?」という著者からのメッセージが隠されていると感じ取れる女の子の言葉が記されています。
「すうがくでせかいをみるの」着眼点の例

以下のような着眼点や切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。
「多様性の価値」「個性の価値」を尊重する社会のすばらしさ
お父さんは絵画、お母さんは昆虫研究(生物学)、お兄ちゃんは楽器といった風に、それぞれが好きなモノに熱中しています。そのため、当然家族はお互いを全肯定していて、まったく否定していません。
「多様性の価値」についての理解は「各々がやりたいことをやれる価値」への理解であり、また「個性を尊重する考え方」でもあります。
また、尊重とは「相手をむやみに否定しない」ことでもあり、ひいては自分と違うタイプの人間を「いじめない」考え方にもつながる大切な考え方です。
「この本を読んで、これからは変わったことをしている友達を見ても、そっとしておいてあげようと思うようになりました。」とつなげる感想文も多様性の価値への理解を示す感想文となります。
※よく「いじめの問題」と「命の大切さの理解」とを絡めて教育することがありますが、管理人の私は「いじめ問題」と「命の大切さ」とはかなり隔たりがあるものに思えてなりません。
いじめをなくすためには、命の大切さの理解以上に、本書のテーマである「さまざまな考えをする他人への理解」の方がよほど大切であり「自分と違うタイプを攻撃しない子供社会の形成」こそが重要だと思うからです。
本書の最後には「だれにだって すきなことがあって、それぞれのやりかたで せかいをみている・・・ だから、すうがくで せかいをみるのも いいんじゃない?」という著者からのメッセージが隠されていると感じ取れる女の子の言葉が記されています。
この部分を読んで「変わったテーマでも自分が好きと思った対象を極める姿勢は尊い」という著者からのメッセージを感じたことを、小学生の言葉で伝えるの感想文もよいでしょう。そして「自分にとっての数学はなにか?」に繋げ「これから自分なりのテーマをこれから発見してみたい」という展開で感想文をまとめてみるのもよいでしょう。
「好きなこと」が「喜ばれること」ならなおよい
「この本を読み、私も何か好きなものを探したいと思ったのですが、できれば主人公が数学という役に立つテーマを選んだように、私もその好きなものが世の中のために役に立つテーマだったら嬉しいなと思いました。」・・のように社会性を意識した選定基準を示す感想文もよいでしょう。
主人公が「数学」に出会うまでにした「積極的な行動」に注目する
本書は、主人公の女の子が自分が向き合える「数学」という人生テーマを発見し、嬉しい気持ちで生活できるようになった様子が描かれていますが「数学」に出会う前、学校のクラブ活動に参加し、演劇、ダンス、料理、絵、テニス、空手となんにでも挑戦してみたことが書かれています。
この点に注目し「私もこれからは、自分が好きになれる対象を発見できるように、いろいろなことに積極的に挑戦してみようと思いました」・・とつなげる感想文も良いでしょう。
子供に鳥や植物の名前を聞かれて答えられないこともあるはずですが、丸や三角、四角など図形なら見つけることができるはずです。このように「世界をいろいろな視点で捉えることができる楽しみ」を知れた点について、その感動を伝える感想文もよいでしょう。
本書の最後には「だれにだって すきなことがあって、それぞれのやりかたで せかいをみている・・・ だから、すうがくで せかいをみるのも いいんじゃない?」という著者からのメッセージが隠されていると感じ取れる女の子の言葉が記されています。この言葉を引用し、この言葉に対する考えを述べる感想文にしてみましょう。
「本を読んで内容をお父さんに話すと、お父さんは・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介することで、本の内容を超えた高度な感想文に発展させることができます。
例)この本の内容をお父さんに話してみると、お父さんは「もし世の中が自分と同じ考えの人ばっかりだったら、世の中どうなるか考えてみて」といいました。
そこで僕は、自分と同じ考えの人ばっかりだったらと考えてみました。すると世の中にあるたくさんの仕事のほとんどは僕がやりたくない仕事や、僕にはできない仕事ばかりだと気づきました。
そしてお父さんは「自分と違う考え方の人が大勢いてくれるから、世の中全体がうまく回っているんだよ」と教えてくれました。・・のようにつなげれば、お父さんとの対話を通じ「自分と違う考え方をしてくれる人がいることのありがたさに気づけたこと」を伝える高度な感想文にすることができます。
「好きなことがないことの価値に気づけたこと」を紹介してみる
本の内容を、お母さんに話してみると、お母さんは「でも好きなことを急いで無理やり探す必要もないのよ」と言ってくれました。そして「好きなことがない場合、主人公の女の子がいろいろチャレンジしたように、たくさんのことを経験できるチャンスだと思えば、好きなことのない時間にもちゃんと価値があるのよ」とも言ってくれました。私はお母さんのその話を聞けて、なんだかホッとしました。・・・のように、主人公が数学に出会う前、いろいろなことにチャレンジしたことを引き合いに出し「好きなことが見つかっていない場合の価値」について気づけたことを示す感想文も高度な感想文になります。
「もし、この本に続きがあるなら、私ならきっと・・」という切り口で、どのような続きになってほしいかなどを発表する感想文も面白いでしょう。
「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。
・・・これらの中からいくつかを取り上げ「過去の思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。
【研究】日本の「オタク文化」も、個人の趣味をお互いが認めあう文化です。そもそも「お宅」とは、日本語における「二人称」の1つであり「あなた様」「そちら様」「お宅様」といった使い方と同じように、「お宅」は「あなた」より、やや相手との距離をおき「遠慮がちに相手を呼ぶ際の二人称」です。
いわゆる「オタク」の人同士が相手を呼び合う際「お宅」が用いられていたため、そういう人たちを「オタク」と呼ぶようになったわけです。
オタク文化とは「あなたはあなた」「わたしはわたし」というように「相手の趣味を否定することなく認め合い、お互いをそっとしておく文化」です。
つまり「オタク文化」こそ、今日の「多様性を認めるべき」との世界的風潮の先駆けになったともいえる、日本が誇るべき文化なのです。
最近、オタクの方のSNSなどに、ディスる書き込みが散見されるようになりましたが、そのような振る舞いはオタク文化にはそぐわない悪しきものです。(プンプン)
・・・よって、本書は 本を買ってあげた親に対しては「もし子供がオタクになったとしても許してあげてくださいね」というメッセージが込められた本と捉えることもできます。(^∇^)″
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
つまり、教育機関主催の感想文は・・
・・・の意味だからです。
その点を分かりやすく直接的に書く表現としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れる方法があります。
また、小学生の場合「優しさ」「思いやり」「正直さ」「公平性」「努力」「勇気」・・といった人間にとって大切なことについて、その大切さを理解できた様子が読み取れる内容にするとよいでしょう。
「すうがくでせかいをみるの」読書感想文の例【例文】
以下に読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。
「すうがくでせかいをみるの」を読んで①
この本の主人公は、私と同じぐらいの歳の女の子です。
彼女の家族は、お父さんは絵が好きで、お母さんは昆虫の研究が好きで、お兄ちゃんは楽器が好きといったように、それぞれが好きなものを楽しんでいます。
でも、主人公の彼女は大好きなものがなく、悩んでいました。そこで彼女は、学校のクラブ活動に参加し、演劇、ダンス、料理、絵、テニス、空手となんにでも挑戦してみました。
そんな彼女でしたが、ある日、絵の授業のとき、周りのみんなが、思い思いに動物の絵を描いているのに、彼女は数学の式のような幾何学模様を描いていました。
先生もその絵をみて、彼女の顔を合わせ不思議そうな顔をしている様子が描かれていましたが、彼女はその時、自分に必要なものは「数学」だと気がつきました。
それからの彼女は、生活している中で出会う、いろいろなことを数学と照らし合わせてみるようになり、発見したことは自分のノートにまとめるようになりました。
私はこの本を読んで、主人公の彼女は偉いと思いました。
なぜなら、自分が好きになれることを探すために、いろいろなクラブ活動に参加して、なんにでも挑戦していたからです。
私の場合、何か疑問に思ったことや、こんなふうにしたいなと思うことがあっても、自分で探したり、彼女のように積極的にいろいろなことにチャレンジしたりすることは少ないからです。
自分の好きなことが数学だと気づいた後の彼女は、とても楽しそうにしていましたが、彼女がそのようになれたのも、自分から進んで、積極的に何にでもチャレンジしたためだと思います。
なので、私もこれからは、彼女を見習い、いろいろなことにチャレンジして、自分が本当に好きなことを見つけて楽しい生活を送れるようにしたいと思いました。
「すうがくでせかいをみるの」を読んで②
この本は、女の子の主人公が、いろいろなことをしてみた結果、自分が本当に好きなことが数学だと発見したお話です。
でも、僕は数字が苦手なため、算数もあまり得意ではなかったので、この主人公が数学が好きだと発見して喜んでいる様子に驚きました。
主人公の女の子は、数学に出会って以来、生活の中のいろいろなことを数学で考えるようになり、毎日が楽しくなりました。
この本を読んで、僕も主人公のように、自分が楽しめる何かを見つけたいなと思いました。
なぜなら、今の僕は、数学と出会う前の主人公と同じで、ゲーム以外、特に好きなことがないからです。
そのことをお母さんに話してみると、お母さんは「でも好きなことを急いで無理やり探す必要はないのよ」と言ってくれました。
そして「好きなことがない場合、主人公の女の子がいろいろなことにチャレンジしたように、たくさんのことを経験できるチャンスだと思えば、好きなことのない時間にもちゃんと価値があるのよ」とも言ってくれました。
僕は、お母さんのその話を聞けて、なんだかホッとしました。
それは、自分の好きなことに出会えることもいいことだし、好きなことが見つかっていない場合もチャンスがあるという、どちらでもオッケーという考え方を知れたからです。
僕は、読書感想文の宿題が出た時、なんとなくこの本を選んだのですが、この本がきっかけとなって、お母さんからとてもいい考え方を聞けて嬉しく思いました。
そのため、これからは、もっとたくさんの本を読んで、その内容をお父さんやお母さんに教えて、いろいろな考え方を聞くきっかけにしたいと思うようになりました。
主人公が数学に出会えたように、僕はたくさんの本を通じて、ゆっくりでいいから本当に自分が面白がることのできる何かに出会えたら嬉しいなと思いました。
テーマのある人生はすばらしい
テーマの無い人生もまたすばらしい
多様性を認める考えとはそのような考え
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
他の課題図書&過去の入賞作品
2022年の小学校低学年(1,2年生)用の課題図書は次の4冊です。
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過去の課題図書の紹介
過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。
また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)