「この世界からサイがいなくなってしまう」読書感想文の書き方【例文つき】

2022年の課題図書対策!

こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「中学年」の部(3、4年生用)
『この世界からサイがいなくなってしまう:アフリカでサイを守る人たち』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。

「この世界からサイがいなくなってしまう」
 味田村太郎 (著)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「この世界からサイがいなくなってしまう」あらすじ(内容)
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「この世界からサイがいなくなってしまう」あらすじ(内容)

サイと密猟者、そしてサイを守る人たちの、知られざる戦いがある。この本では、サイの子どもを保護する「サイの孤児院」や、科学技術による「復活プロジェクト」などの取り組みを紹介。南アフリカ共和国での取材を行った記者による、迫真のノンフィクション。第8回子どものための感動ノンフィクション大賞受賞作品。

【第一章】サイの歴史やユニークな生態について迫る。かつては日本にも野生のサイが存在していた?サイのフンの山には、オスとメスの恋のかけひきや、オス同士の縄張り争いなどが関連している!など。

【第二章】今アフリカでサイが絶滅に瀕していることを紹介する。レンジャーがサイを必死に守っているが、密猟者がサイの角を狙っている。アフリカで取材したレンジャーと密猟者との戦いには、緊張感がある。

【第三章】科学の力でサイを守ろうとする動きを取り上げている。キタシロサイは絶滅したが、iPS細胞により人工的にサイの受精卵を作ることで復活したことを紹介。また、獣医がサイの治療を続けた話を取り上げた。

【第四章】サイが狙われる理由にはアフリカの貧困問題が関わっており、根深い問題だと指摘している。そこで立ち上がった女性レンジャー「ブラックマンバ」の活動を取り上げ、隊員のコレットさんが子どもたちへの教育に取り組む姿を紹介した。
 

「この世界からサイがいなくなってしまう」着眼点の例


 
以下のような着眼点切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。

課題図書4冊の中から、なぜこの本を選んだのかを説明する書き出しもよいでしょう。
 ⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

「おわりに」の部分に、著者からの次のようなメッセージが書かれています。よって、このメッセージの内容に沿った感想文を書くことが望ましい感想文となります。

「世界でもっとも密猟されている動物」のセンザンコウという哺乳類も、食品や薬の原料として密猟され、2021年に新型コロナウィルスの感染源の一つとして疑われています。人が野生生物とむやみに接触することで、ウィルスが人にも感染するのです。新型コロナの感染拡大は、わたしたちに野生動物を保護することの大切さを改めて伝え、野生動物の命を守るということは、実は、わたしたちのくらしを守ることにもなるのです。21世紀の世界を生きていく皆さんには、人と野生動物がどうすればこの地球上でともに幸せにくらしていけるか、是非考えて欲しいと思います

この本を読む前と、読んだ後では考え方にどのような変化があったか。

本のサブタイトルは「アフリカでサイを守る人たち」ですが、この人たちの取り組みを知り感じたことや、先進国に住む日本人にできそうなことを考え、その方法を発表する感想文もよいでしょう。

例)子供の私には、この人たちを直接助けることはできません。しかし、私が大人になったのなら、○○○○することを通じて、この人たちと同じように、動物や自然を守るための活動を支援していきたいと思いました・・など。

サイの親が殺され、残された子供のサイも死んでしまったという内容が書かれていましたが「もし自分が子供のサイのたちばだったら・・」という切り口で、子供のサイの気持ちを感想文に書いてみるのもよいでしょう。

著者は、サイが狙われる理由に「アフリカの貧困問題」が関わっていることを指摘していますが、この点について感じたことや自分の考えた解決策を紹介する感想文もよいでしょう。

近年の動物の絶滅の原因の多くは人間の自然破壊によるものです。この本を読み、過去にどのような動物の絶滅があったかや、現在どのような環境問題があるのかを調べ、発見した内容を紹介する感想文もよいでしょう。

例)僕はこの本を読んだことがキッカケとなり、過去に人間の環境破壊によってどのような動物が絶滅してしまったか知らてべみました。その結果・・」など。

コラム欄で紹介されていた次の内容から感じたことを述べる感想文もよいでしょう。

サイの暮らしている地域の環境を調べると、サイが多く住んでいる地域の方が緑が多いことが分かりました。その理由は、サイがある特定の草を好んで食べるので、その草がじゃまで成長できなかったほかの植物が育つようになったからです。どんな生きものも、その場所の自然環境のバランスの中に意味を持って組み込まれて暮しているのです

「お父さんはよく・・」や「本を読んで内容をお父さんに話すと、お父さんは・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、本の内容を超えた高度な感想文に発展させることができます

例)本を読んで内容をお父さんに話すと、お父さんは「iPS細胞のことが出てきたけど、iPS細胞や遺伝子だけ残っていても、その動物が育つための “環境” が残っていないと、結局動物は大人になれずに死んでしまうんだよ」と僕に教えてくれました。僕はその話にとても衝撃を受けました。なぜなら、僕はてっきり遺伝子さえ残っていれば、動物は絶滅しても復活させることができると思っていたからです・・・など。

例)私はこの本を読み、お父さんにサイを助ける方法を尋ねてみました。するとお父さんは「サイが密猟者に殺される理由が、中国やベトナムでサイの角が癌に効くというような迷信が信じられているためだから、サイの角を買っている中国やベトナムの法律で、売り買いをした人に今よりキツイ罰則を与えるようにお願いすることが必要だと思う」という意見を聞かせてくれました・・・など。

サイの角を求める側への教育や対策が重要・・というアプローチで感想文を書くのもよいでしょう。

ボランティア団体主催ではじめて動物保護区で野生動物を見た感動から「自然と動物保護の仕事がしたい」と、女性ながら厳しい訓練を経て正式なレンジャーになったコレットさんの話がでてきましたが、コレットさんの取り組みやチャレンジ精神について感じたことを述べる感想文も良いでしょう。

「もし、この本に続きがあるなら・・」という切り口で、どのような内容を知りたいかなどを述べる感想文も面白いでしょう。

「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の思い出」「主人公との共通点」などを紹介しつつ感想文にまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関主催の感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・・の意味だからです。
 
直接的な書き方の例としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れると出題意図に合致した感想文になります。

また、小学生の場合「優しさ」「思いやり」「正直さ」「公平性」「努力」「勇気」・・といった人間にとって大切なことについて、その大切さを理解できた様子が読み取れる内容にするとよいでしょう。
 

「この世界からサイがいなくなってしまう」読書感想文の【例文】

以下に読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はオーバーしていますが、「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。

「この世界からサイがいなくなってしまう」を読んで①

先日テレビを見ていると、絶滅の危険にある動物の数は3,716種類もいることが紹介されていました。そのため僕は、読書感想文の宿題が出された際、迷わずこの『この世界からサイがいなくなってしまう』を読むことにしました。

この本の内容は、サイの生態や、日本にも大昔サイが住んでいたことなどの話から始まり、現在、アフリカで密猟者の手により乱獲されたために、サイが絶滅の危機にある事実や、その中で、勇敢なレンジャーがサイを必死に守っていることが書かれたものでした。

僕はこの本を読むまで、食べるわけでもなさそうなサイが、なぜ人間の手によって殺され、絶滅の危機にあるのか、よく分かりませんでした。そのため、この本を読み「サイの角」を狙って密猟がされていることを知り、衝撃を受けたのと同時に、怒りを感じてしまいました。

なぜなら、最もサイの数を減らした原因は、戦争の資金作りのためということでしたが、サイの角が狙われる理由が、ガンに効くという根拠のない理由や、お金のある人が「飾りとして」欲しがるという理由である点に、人間の身勝手さを感じてしまったからです。

そのようなことから、サイを保護するためのレンジャーが組織されたり、日本のノーベル賞受賞者の田中耕一教授のiPS細胞の技術を利用するなどして、サイを絶滅から救う取り組みがされているようですが、根本的な改善がされる前に、サイが絶滅してしまう確率の方が、圧倒的に高いと思い、やりきれない気持ちでいっぱいになりました。

本を読み終え、内容を僕のお父さんに話すと、お父さんは「iPS細胞のことが出てきたけど、iPS細胞や遺伝子だけ残しても、その動物が育つための “環境” が残っていないと、結局動物は大人になれずに死んでしまうんだよ」と教えてくれました。

僕はお父さんのその話に、またもや衝撃を受けてしまいました。なぜなら、僕はてっきり遺伝子さえ残しておけば、動物は絶滅しても人間の手で復活させることができると思っていたからです。お父さんはまた「動物は遺伝子のみにて絶滅を避けられるにあらず」という格言のような言葉をつくり、僕に披露してくれたのですが、この言葉はとても的確な言葉だと感心してしまいました。そしてこの言葉は、野生動物や自然を守ることの難しさを改めて僕に理解させてくれました。

また、著者の味田村太郎さんは、本の「おわりに」の部分で、人が野生生物とむやみに接触することで、ウィルスが人にも感染することについても指摘し「野生動物の命を守るということは、実は、わたしたちのくらしを守ることにもなるのです」という恐ろしささえ感じさせるメッセージを語っていました。

なぜ恐ろしさを感じたかといえば、はじめの部分で紹介したように、現在、絶滅の危険にある動物の数は3,716種類もいるわけですが、野生動物との付き合い方を間違えば、いずれ人間も、この絶滅の危険にある動物の一つに入ってしまうと考えさせられたからです。この本は僕にさまざまな驚きと発見を与えてくれた、大変価値のある一冊でした。
 

「この世界からサイがいなくなってしまう」を読んで②
 
以下、完成次第、追加掲載いたします。
 


 


・サイの絶滅をなくすためには多くの人にその事実を知らせることが大切
・サイの角を求める側への教育や対策が必要
・密猟者の多くは貧困が原因で密猟をしている
・貧困をなくすために先進国に住むわれわれができることを考える
・知ることの大切さ、伝えることの大切さ

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2022年の小学校低学年(3,4年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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