「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」読書感想文の書き方【例文つき】

2023年の課題図書対策!

こちらでは「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「中学年」の部(3、4年生用)
『秘密の大作戦!フードバンクどろぼうをつかまえろ!』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。


オンジャリQ・ラウフ 著 千葉茂樹 訳 スギヤマカナヨ 絵
あすなろ書房
1,540円 (税込み)
128ページ


 

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」あらすじ

【要点】
この作品は、食事を得るために「朝食クラブ」や「食べ物の銀行」に通っている貧困家庭の子供たちのくりだすエピソードを通じ、どんなに厳しい境遇でも、助け合いや愛情、信頼によって乗り切ることができることを教えてくれる物語です。

「朝食クラブ」や「食べ物の銀行」の普及は貧困の根本的な解決にはなりませんが、子供たちの「今」を救うことは当然必要です。本書は子供たちの未来のために、読者がまず「今」できることは何かを考えさせる一冊。

看護師の母親に育てられているネルソンとアシュリーはいつもおなかをすかしています。楽しみは、校長先生と教頭先生が運営している内緒の「朝食クラブ」で食事をすることと、タダで食料をもらえる「食べ物の銀行」に行くこと。

ネルソンはお腹が空いて怒っている妹アシュリーのために「食べ物がある “つもりゲーム” 」などをして空腹を我慢させる。また食べ物がない時は、残った食材でむりやり料理を作ったり、マズイ料理で豪華な料理を想像して食べる「ゲーム」をする。

フードバンクに行くために迎えに来たお母さんが、親友のハリエットとクリスに遊びに来るように誘った。するとアシュリーが「お菓子を持ってきて」と頼むので、彼らは「あまっているから」と小さなウソをついて持っていくと言ってくれる。2人は「朝食クラブ」の事も気づいてないフリをしてくれて、ネルソンは恥ずかしくてどうしていいかわからなくなる。

いつもよりフードバンクでもらえる食べ物が少なくなり、お母さんから「小さな勇者さん」と言われ「つらい月」になるのだとわかった。勇者になる「つらい月」は家族それぞれこっそり泣く。

どうやらフードバンクの食料が泥棒に盗まれているようなのだ。ハリエットとクリスが心配して助けようとするのを「あわれむな!」と言ってケンカになるが、ついにすべての事情を話す。2人は「張り込みで泥棒を捕まえる」ことを提案してくれるが、どうやって捕まえていいのかわからない。

そんな中、家賃滞納で大家から退去を求められて、ついにお母さんは大切な「おばあちゃんの指輪」を質屋に売って「ごちそう」を買ってきた・・・ネルソンはショックを受けて、大人になったら指輪を取り戻す、そしてどろぼうを必ず捕まえると決心する。

4人で1日中張り込み作戦をした日、ついに泥棒が現れた。スーパーで大格闘のすえ泥棒は捕まりフードバンクは守られたのだ。

そればかりか、この事件を聞いて、あこがれのサッカー選手が学校に来てくれた。そして僕ら4人を表彰し「国会ですべての子供がチャンスと食べ物を得られるよう訴えてほしい」と提案してくれた。ネルソンは「はい、やります!」と元気に返事をするのだった。

 

「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」着眼点の例


 
数ある本の中から、どうしてこの本を選んだのかを説明するところから書き出すのも良いでしょう。

イギリスが舞台の物語ですが、日本にもネルソンやアシュリーと同じような貧しい境遇の子供たちがたくさんいます。そして日本にも「子ども食堂」や「フードバンク」が存在します。この本によってそのような取り組みがあることのありがたさや、そのような支援をしてあげる必要性を感じ取れたことがわかる感想文を書いてみましょう。

【参考】2022のデータによれば、親などが貧困の状態にある家庭で育つ18歳未満の子の割合をしめす日本の子どもの貧困率は13.5%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」(その国の平均的所得の半分以下の所得しかない家庭の子どもの割合)を下回っています。
 
フートバンクや朝食クラブは確かにありがたい存在です。しかし、本質的にはそのような施設にいかなくてもよい生活ができることが一番です。その点に気づいたことや、そのような世の中にするためにはどうしたらよいかを考えた・・・という方向性の感想文もよいでしょう。

自分と比較して、ネルソンやアシュリーの生活を考えたとき、今の自分はどのように思えたか。そして考えさせられたことや、反省させられた点を述べてみましょう。本文中ではネルソンがお腹が空いて怒っているアシュリーのために「食べ物がある “つもりゲーム” 」や豪華な料理を想像して食べる「ゲーム」をする様子が描かれています。

物語の中では、フードバンクや朝食クラブに行っていることを友達には知られたくない心の心境が表現されていました。また、家賃滞納のためお母さんが大切な「おばあちゃんの指輪」を質屋に持っていき「ごちそう」を買ってきた話が書かれていました。これらの部分を読んだ際、どのような気持ちになったか「もし自分なら・・・」というように考え、思ったことを書いてみましょう

食べ物に困っている子供たちのためのフードバンクから食べ物を盗むどろぼうを捕まえるエピソードが書かれていますが、作者はなぜこの話の中にどろぼうを入れたのでしょうか。その点についての自分の考えを述べてみるのもよいでしょう。⇒協力して力を合わせれば難しいことでも可能になることをいいたかったのではないか・・など。

「この本の内容をお父さんに話すと、お父さんは・・・」というように、家族に本の内容を伝えた際のエピソードを加える感想文もよいでしょう。家族の意見を加えることで、意外性のある感想文に進展させることができます。

例)本の内容をお父さんに教えると、お父さんは「最近の課題図書はすごく現実的な問題が題材になってるんだなあ」と驚いていました。そして「周りの友達の中にもネルソンやアシュリーと同じように、食べ物に困っていることを知られないようにしながら友達と遊んでいるこもたくさんいるんだよ」といいました。僕はその話を聞いてとてもショックを受けました。なので、これからはそういう辛い思いをしている友達もいることを意識するようにしたいと思うようになりました。・・など。

例)本の内容をお父さんに教えると、お父さんは「これから食糧危機になるからこの本の話は他人事じゃないんだよ」と教えてくれました。・・・など。

例)本の内容をお父さんに教えると、お父さんは「どんなに美味しい食べ物でも、一瞬で残飯に変える “魔法の呪文” があるけどそれはなに?」と僕にクイズをだしました。僕はわからなかったので答えを尋ねると、お父さんは「それは “ごちそうさま” だよ」と教えてくれました。どんなに美味しい食べ物でも「ごちそうさま」を言った瞬間に、片付けられて残飯にかわってしまうからです。僕はその話を聞いて、これからは気安く「ごちそうさま」を言わないようにしようと思うようになりました。・・・など。

この本を読む前と、読んだ後では「食べ物の好き嫌い」に対しての考えにどのような変化があったかを語る感想文もよいでしょう。

日本では食事のとき「いただきます」や「ごちそうさまでした」をいいますが、この本を読んで「いただきます」や「ごちそうさまでした」をもっと心を込めて言うようにしたいと思うようになりました・・・という結び方の感想文もよいでしょう。

「食べ物の銀行」や「朝食クラブ」の普及は貧困の根本的な解決にはなりません。しかしまずは、そのような社会問題の存在を「知ること」が何より大切です。そして、子供たちの「今」を救うことは最優先の課題です。本書を読んで自分が「今」できることは何かを考え、そのアイデアを紹介する感想文もよいでしょう。本で学んだ「知識」から一歩進め「探求」や「提案」「アイデア」に進めた内容の感想文は優秀です。

「この本をきっかけにして、いろいろなことを本を読んでもっと勉強したいと思えるようになりました。」・・・という締めくくり方もよいでしょう。読書の習慣を身に着けるキッカケになったとする感想文は「教育的効果の表れを感じさせる感想文」です。

この本を読んで、世の中の課題や、自分が発見したことなどを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたことを発表する感想文も素晴らしい着眼です。そして「自分も大人になったら世の中の問題や様々な発見したことを本に残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
 

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
 

「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」読書感想文の例【例文】

以下に 読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。

便利な文字数カウンター

「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」を読んで①

※以下の感想文は動画の中で紹介されている縦書きの原稿を横書きにした内容です。

「見切り品、半額113円」
お母さんが買ってきたヨーグルトに、値引きのシールがはってあった。 この前スーパーに行った時、見切り品コーナーがあるのを知った。きっとそこで買ったんだ。うちは、びんぼうなのかな。

僕がこの本を読もうと思ったのは、 フードバンクが何か知りたかったからだ。この本の主人公は、ネルソンとアシュリーの兄妹で、お母さんと三人ぐらし。生活は苦しくて、食べ物が買え ないことが多い。 冷蔵庫の中は時々すっからかん。 友達にはないしょで「朝食クラブ」に通っている。 ネルソンは、クルシュとハリエットという仲良しの友だちがいるけれど、二人には朝食クラブやフードバンクに行くことをひみつにしている。かわいそうだと思われたり、びんぼうなんだなって思われたりするのがいやなんだろう。

読んでいくと、スーパーで買い物をした人がお店のカートの中に食べ物を寄付して、それがフードバンクでもらえる仕組みがわかった。 もしぼくが、ネルソンの家のように食べ物にこまって いたら、フードバンクに行けるかな… きっと、友達や近所の人から、かわいそうな目で見られるんじゃないかな。 だから、見切り品のヨーグルトをお母 さんが買ってきた時、ふくざつな気持ちになった。でも、この本を読んで、ぼくたちはめぐまれた生活ができていることがわかった。たまたま食べ物に 困ることがないだけなんだと知った。お母さんに、スーパーの見切り品コーナーで買うことについて聞いてみた。お母さんは、「そのまま捨てられるの はもったいないと思う。少しぐらい日にちが過ぎても食べられるし。」と言った。

テレビで、節分の時に作られた恵方 巻きが大量に捨てられているのを見たことがある。 僕は、身の回りで食べ物に困っている人を見かけたことがないし、もし困っていても口にしない人も多いんじゃないかな。 困っている人が困っていると言えるといいし、その人たちをかわいそうな目で見てしまう自分も変えたほうがいい。 食べ物が足りていない人に届くようになれば、みんながもっと幸せになるし、捨てることもなくなると思う。

最近、学校で「子ども食堂」のチラシをもらうことがあった。 気づかないだけで、食べ物の問題は身近にもある んだと思った。 今、食品の値段が上 がっている。これは食べることについて考えるチャンスだと思う。僕にできることは、必要な分だけ買うようにして、食べ物があまることをなくすこと だ。みんなが食べ物に対してもっと考えるようになると、日本でもフードバンクが広がって、みんなが笑顔になれるんじゃないかな。美味しいものは人を幸せにするから。この本を読んで、食べ物がみんなに行き渡って、笑顔がふえるといいなと思った。
 

「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」を読んで②
 
この夏休み、僕が読んだ本は「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」です。この本を選んだ理由は、タイトルが面白そうだったからです。でも、読んでみると、ただの冒険物語じゃなくて、食べ物に困っている子供たちの話だったんです。

本の主人公たちはネルソンとアシュリーという子供たちで、ふたりは食べ物に困っています。でも、それを友達には知られたくないと思っています。これを読んで、僕は自分の友達の中にも、そんな子がいるかもしれないと思いました。それって、すごくつらいことだと思います。

この本で、僕が一番印象的だったのは、どろぼうを捕まえるエピソードです。フードバンクから食べ物を盗むなんて、僕は許せないと思いました。でも、そのエピソードを通して、協力して力を合わせれば難しいことでも可能になるというメッセージを感じました。

この本の内容をお父さんに話すと、お父さんは「どんなに美味しい食べ物でも、一瞬で残飯に変える “魔法の呪文” があるけどそれはなに?」と僕にクイズをだしました。それは「ごちそうさま」という言葉だよと聞かされショックを受けました。なぜなら、いままで僕はごちそうさまを何も考えず気楽に言っていたからです。そのため食べ物に対する感謝の気持ちをもっと大切にしなければと思いました。

この本を読む前は、好き嫌いがあって当たり前だと思っていました。でも、読んだ後では、食べ物に困っている子がいると知って、そんなことを言っていいのかと反省しました。これからは、ごちそうさまをもっと心を込めて言うようにしたいです。

そして、この本をきっかけにして、もっと世の中の問題について勉強したいと思いました。僕が今できることは何かを考えてできることから行動に移してみたいです。
 

「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」を読んで③

僕が選んだ本は「フードバンクどろぼうをつかまえろ!」です。この本を選んだのは、子供たちがどろぼうに立ち向かっていく内容ということで面白そうだったからです。

この本は、貧しい境遇の子供たちが食べ物に困る日々を生き抜く話です。僕は日本に住んでいますが、この本を読んで、日本にも同じように食べ物に困っている子供がたくさんいることを知りました。

僕がこの本で一番ショックを受けたのは、ネルソンとアシュリーが食べ物がある“つもりゲーム”をする場面です。その場面を読んで、僕は食べ物があることを当たり前のように思っていた自分を反省しました。

そして、この本をお父さんに教えたとき、お父さんは「周りの友達の中にもネルソンやアシュリーと同じように、食べ物に困っていることを知られないようにしながら友達と遊んでいる子もいるんだよ」といいました。その話を聞いて僕はそこでもショックを受けました。これからは、そういう友達もいることを忘れずにいたいと思います。

この本を読んで、食べ物のありがたさを改めて感じました。そして、僕自身、食べ物に困っている子供たちのために何かできることはないかと考えました。学校で学んだことも、それをどう活かせるかを考えるようにしようと思いました。

この本の面白さは、子供でも社会の問題に向き合い、自分に何ができるかを考えるきっかけを作ってくれるところです。ネルソンとアシュリーがどんなに困難な状況でも、絶望しないで前に進もうとする姿勢には、本当に感動しました。

これからは、食事の時間に、「ごちそうさま」を心から言うことから始めてみようと思います。それだけでも、食べ物に感謝する気持ちが生まれるはずだからです。

もし、あなたがこの本を手に取る機会があれば、ぜひ読んでみてください。それから、あなたができることを考えてみてください。僕たちは小さいけど、きっと何かできるはずです。
 


 

・知ることの大切さ
・つらい気持ちを理解してあげることの大切さ
・「今」自分にできることを考え実行することの大切さ

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2023年の小学校中学年(3、4年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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