「捨てないパン屋の挑戦」読書感想文の書き方【例文つき】

2022年の課題図書対策!

こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『捨てないパン屋の挑戦』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。

「捨てないパン屋の挑戦」
井出留美 (著)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「捨てないパン屋の挑戦」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「捨てないパン屋の挑戦」あらすじ

著者 井出留美さんからのメッセージ

あらすじ

おじいさんの代から続くパン屋で生まれた、主人公の田村さんは、長男であったため、将来お店をつぐものだとみんなから思われていた。しかし田村さんは、はやりに合わせて菓子パンばかりをつくっているパン屋は「にせもの」のような感じがして、好きになれなず、パン屋にはなりたくなかった。

昆虫が好きだった田村さんは、遊び場だった裏山が無くなると知って心を痛める。そこから環境問題に興味を持つが、実はこの問題は食べ物に原因があると知った。

そのため、環境問題に関連する職業に就職したかった田村さんだったが、なかなか良い仕事先が見つけられず、結局パン屋で働くことにする。

田村さんが働き始めた東京のパン屋「ルヴァン」では、国産小麦粉と天然の酵母を使う「ほんもの」のお店だと気づく。そして「この世界には、人のこころを動かすパンもある」と知った田村さんは、パン職人を目指すことにした。

しかし、父のすすめで修行に行った金沢のパン屋で、フワフワしたパンを作るために、食用油脂の一種である「ショートニング」を使っているのが我慢できず、店を辞め、大自然のなかで仕事をするガイドの仕事にいったん就く。

このときモンゴルに行った経験などが、その後の田村さんの人生にも大きくかかわっていく。

日本へ戻った田村さんだが、父がお店を閉める気でいることを知る。田村さんは「ほんもの」のパンづくりを始める決断をし、新たなお店「ドリアン」を開くことにした。

「ほんもの」のパン作りにこだわった田村さんのお店はオープン初日から話題になり、多くのお客さんでにぎわう。しかしオープンしてしばらくするとだんだん客足が減り始める。

お客さんが少ないと、パンが売れ残ってしまう。それでもお客さんから満足してもらえるように、焼き立てのパンは作り続けないといけない。田村さんはそうして売れ残りのパンを捨ててしまわなければいけないことを問題視していた。

「どんな理由があったとしても、食べものを捨てるなんて間違っている。だって、食べるとは “いのち” をいただくことなのですから」

それは田村さんがモンゴルで学んだ、一番大切なことだったのです。

田村さんはパンが売れ残らないようにするためには、もっとおいしい「ほんもの」のパンを作ることだと思った。そこでフランスへ修行に行き、「ほんもの」のパン作りを学ぶ。

日本に帰国した田村さんは、まき窯パンだけを作るお店「ブーランジェリー・ドリアン」をオープンさせた。新店舗をオープンさせたことで、環境問題に意識の高い新しいお客さんが増えた。しかし田村さんはずっと働きづめで、このまま長く続けられるか不安に思った。

通常のパン屋の仕事でも朝早く起きて始めなければならないのですが、こだわりのあるパン作りのため、さらに時間がかかってしまっていたのです。

そこで働き方について学ぶため、フランスのお店へ二度目の修行に行くことにした。田村さんはそこで、パンは本物の材料を使っていれば、もっとおおざっぱに作っても十分においしいのだと気づく。

・本物の材料を使っていれば、少ない人数で時間をかけなくても、おいしいパンを作れる
・少ない人数でできるので人件費をおさえられる分、国産の有機小麦を使える
・その結果、お客さんも、パン屋の職人も、どちらも幸せになれる

こうして、幸せのレシピが生まれ、田村さんのお店「ブーランジェリー・ドリアン」はついに「捨てないパン屋」になったのです。

最高の材料を使い、手をかけずにおいしいパンを作ることこそ、パンの値段も安くなり、お客さんも幸せなら、パン職人も幸せで農家も幸せになる。田村さんの考えはまさに「しあわせのレシピ」になったのです。
 
 

「捨てないパン屋の挑戦」着眼点の例


 
以下のような着眼点切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。

課題図書4冊の中から、なぜこの本を選んだのかを説明する書き出しもよいでしょう。
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

環境問題の一つである「フードロスの問題」の改善と「働き方改革」の両方を、本物のパン作りによって実現した田村さんでしたが、そのアイデアを生んだ「そもそもの原因」や「原動力」はどこにあったか、自分の考えを述べる感想文もよいでしょう。

田村さんは、もともとパン屋になることは嫌だと思っていましたが、嫌いな仕事を好きになった理由はどんなところにあったのか、自分の考えを述べる感想文もよいでしょう。(田村さんは自分の興味がある環境問題と絡めることにより嫌いを好きに変えました)

田村さんはパン作りのヒントを得るために、モンゴルやフランスに積極的に学びに出かけましたが、田村さんのこの「積極的な行動姿勢」や「アクションに移すことの価値」について考えさせられたことを述べる感想文もよいでしょう。この点に注目すれば、この本は「成功方法」を事例をもって紹介した本と捉えることもできます。

通常のパンは、食感をよくするために、食用油脂のショートニングやバターなどを混ぜて作りますが、その点に注目して人間の「食」と「味」への欲求などについて、感じたことや考えさせられたことを述べる感想文もよいでしょう。例えば、他の動物にはない人間特有の「味」へのこだわりが食料危機の原因の一つになっているのではないか・・など。

自分にも、何か「もったいないな」と思ったことはないかを考え、それについて、どのようにしたらよいかを考え、その考えを発表する感想文もよいでしょう。

この物語を読んだことをキッカケに、世の中にある環境問題や食料の問題について、調べて発見したことを発表する感想文もよいでしょう。

「私の父はよく・・・」や「本を読んで内容を父に話すと、父は・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、本の内容を超えた高度な感想文に発展させることができます

例)私は田村さんの「どんな理由があったとしても、食べ物を捨てるなんてまちがっているのです。だって、食べるとは “いのち” をいただくことなのですから」という言葉に、ハッとさせられました。そして、食べ残すことは食べ物を捨てることであり、命をむだにすることだと、改めて理解できるようになりました。

そのことを父に話すと、父は「食事の終わりに言う、ごちそうさまは食べ物を一瞬で残飯に変えてしまう魔法の言葉なんだぞ、だから、ごちそうさまを言うときは、それをしっかり理解して言わなくちゃいけないんだぞ」と食べ物についての考え方を教えてくれました・・・など。

私は田村さんのその言葉に触れ、生き物を殺さずに食料を得ることはできないかと思うようになりました。そのため私は将来そういった研究をする仕事をしてみたいと思うようになりました・・・という感想文も素晴らしいです。

犬食関連動画⇒ 閲覧注意
(ぜひ知っていただきたい今世紀の人類の課題「食」の問題の一例です)

田村さんの「捨てないパンのレシピ」は、みんなが喜ぶ「幸せのレシピ」でもあったのです・・・というような「対句」を利用し「感想文のまとめ」あたりで披露するのもよいでしょう。「対句」の利用は、文章に説得力を与えると同時に文才を感じさせるテクニックの一つです。

例)田村さんのパンづくりへの情熱は、まさに、幸せづくりへの情熱だったといえるでしょう。・・・など。

「もし、この本に続きがあるなら・・」という切り口で、著者にどのような話を書いてもらいたいかを感想文の内容に書くのも面白いでしょう。

「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の思い出」「主人公との共通点」などを紹介しつつ感想文にまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関主催の感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・・の意味だからです。
 
直接的な書き方の例としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れると出題意図に合致した感想文になります。

また、小学生の場合「優しさ」「思いやり」「正直さ」「公平性」「努力」「勇気」・・といった人間にとって大切なことについて、その大切さを理解できた様子が読み取れる内容にするとよいでしょう。
 

「捨てないパン屋の挑戦」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。
 

「捨てないパン屋の挑戦」を読んで①

ロシアとウクライナの戦争がはじまり、最近のニュースでは、さまざまな食べ物が値上がりしていることが連日のように紹介されています。そのため、読書感想文の課題が出た際、私は真っ先に食べ物の問題を扱ったこの『捨てないパン屋の挑戦』を読んでみることにしました。

※参考⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

本の内容は、もともとパン作りには積極的ではなかった、実家がパン屋である田村さんが、環境問題やフードロスの問題を考える中で、みんなが喜ぶ「ほんもののパン」づくりを志し、成功させたというものでした。

パンは出来立てが好まれるため、その日に売れ残ったパンは処分することになります。田村さんはその点にも問題意識をもっていたのですが、そればかりでなく、パンを作る際の素材のありかたにも問題意識をもち、モンゴルやフランスにまで勉強に出かけ、自分の納得のいくパンを完成させることに成功したのです。

私は田村さんの「どんな理由があったとしても、食べ物を捨てるなんてまちがっているのです。だって、食べるとは “いのち” をいただくことなのですから」という言葉に、ハッとさせられました。そして、食べ残すことは食べ物を捨てることであり、命をむだにすることだと改めて理解できるようになりました。

本を読み終え、そのことを父に話すと、父は「食事の終わりに言う、ごちそうさまは食べ物を一瞬で残飯に変えてしまう魔法の言葉なんだぞ、だから、ごちそうさまを言うときは、それをしっかり理解して言わなくちゃいけないんだぞ」と食べ物についての考え方を教えてくれました。

私はその言葉に大変なショックを受け、これまで気軽に「ごちそうさま」を言い、残した食べ物を残飯に変えていた自分を、ものすごく反省させられました。

フランスに学びに行った際、田村さんはあることに気づいたといいます。それは「パンは本物の材料を使っていれば、もっとおおざっぱに作っても十分においしい」という事実です。つまり、本物の材料を使っていれば、少ない人数で時間をかけなくても、おいしいパンを作れるし、少ない人数でできるので人件費をおさえられる分、国産の有機小麦を使える。その結果、お客さんもパン屋の職人もどちらも幸せになれると気づいたのです。

私の想像では、田村さんがこの発見をした時、ときめくような嬉しさがこみ上げたと思います。遠くのフランスにまで勉強をしに行ったかいがあったというものです。

この本から私は、食べ物を大切にしなければいけないということのほかに、田村さんから二つの大きな学びを得ることができました。それは「成功するためには具体的なアクションを起こすことが何よりも大切だ」ということ、そして「自分のための努力ではなく、社会のための努力を志すことの大切さ」の二つです。

田村さんの成功は、結果として、お客様もパン屋の職人も、そして自然さえも喜ぶ成功につながったからです。田村さんの「パンづくりへの情熱」は、まさに、みんなが喜ぶ「幸せづくりへの情熱」だったと思いました。

下の感想文は、この動画の後半で紹介している「モデル文」を横書きにしたものです。短い文章ですが、書き方の参考になるでしょう。
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「捨てないパン屋の挑戦」を読んで②

もしあなたの家が商売をしていたら、あなたはその仕事を継ぎますか?しかも、朝早くて休憩時間も少ない。自分のやりたいことではない。それでもやりますか?

この本の主人公は、自分の嫌いなことを好きなことに変えてしまった田村陽至さん。田村さんの家はパン屋さんですが、幼い頃からパン職人になりたくありませんでした。

田村さんは、環境問題に興味がありましたが、上手く就職ができず、パン屋さんで働きます。しかし、毎日パンを廃棄する現実に直面し、環境問題を悪化させていることに気づきます。自分なりの方法で「捨てないパン屋」を目指していく話です。

私が一番心に残った場面は、田村さんが考えて、嫌いなパン屋の仕事と、興味のある環境問題をつなげていく場面です。嫌いなパン職人の仕事をどうして続けられるのだろう。私は考えてみました。すると、田村さんはすごいアイデアマンだということに気づいたんです。

私は、パン作りと環境問題は全然つながらないと思っていました。でも、田村さんは、パン作りを入り口にして、環境問題の解決に取り組んだのです。

「環境問題を何とかしたい」いう大きな目的が合って、今置かれているパン職人の立場からできることを考えました。そのために、お店を閉めてフランスに修行に行ったり、作るパンの種類を変えたり、目標を達成するために行動していきます。

田村さんが嫌いなことに取り組めたのは、大きな目標があったからだと思います。今の私は夢や目標が見つかっていません。だから、嫌なことはしたくない。

文章を書くのは好きだけれど、短くまとめたり要約したりは苦手です。嫌なことを乗り超える目標がないからだと思います。だから、この本を読んで、大きな夢や目標が見つかれば、嫌なことも楽しく取り組めると思いました。

夢や目標は簡単には見つかりません。見つけるには、何でもチャレンジすることが大事だと思います。
  


 


・食べるとは「命をいただく」こと
・嫌いな対象を好きになるためには「好きの中に嫌いを取り込む」
・成功のためには「積極的にアクションを起こすこと」が重要

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2022年の小学校低学年(5,6年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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