「飛ぶための百歩」読書感想文の書き方【例文3作】

2020年の課題図書対策!
こちらでは「第66回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『飛ぶための百歩』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、子供が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。


『飛ぶための百歩』
ジュゼッペ・フェスタ (著), 杉本 あり (翻訳)
出版社:岩崎書店(2019/08/31)
160ページ
1,400円+税

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「飛ぶための百歩」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
書きやすい読書感想文の構成の例
「飛ぶための百歩」読書感想文の例【3作品】
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「飛ぶための百歩」あらすじ

【登場人物】

ルーチョ:5歳で失明した主人公

ベア:ルーチョの叔母(おば)

エットレ:山小屋の主人

キアーラ:エットレの孫娘(友達付合いが苦手な悩みを持つ)

ティツィアーノ:山岳ガイド
 

中学を卒業したルーチョは叔母ベアと3年前から登山をはじめた。5歳で失明したルーチョを引きこもらせないためであったが、そのおかげで自然や野鳥が好きな少年になった。

ルーチョは見えていた当時の記憶や聴力や歩数や重さ、運動好きもあり見えているかのように状況判断できる。だが「ぼくは目が見えない。でももう子供じゃない」と視覚障碍者用の杖じゃなく登山用ストックを使うし善意の手助けを怒りで拒む性格。叔母のベアはそんなルーチョに「いつかしっぺ返しが来るのでは?」と限界を認め「素直」になって欲しいと望んでいた。

登山の際、世話になる山小屋には主人のエットレとその孫娘キアーラがいる。ルーチョは女好きな友達をまねて果敢にキアーラに話しかけるも、本来の無口の彼女と会話もはずまず沈黙になる。翌日、山岳ガイドのティツィアーノと“悪魔の頂”にワシの巣のヒナを見に行くので、二人も便乗すれば?とエットレに提案され山岳ガイドのティツィアーノはうろたえた。

ルーチョは、ティツィアーノやキアーラの態度は気に入らないし出発するとき「いつもは2時間で着く」の「いつも」にもイラついた。

ティツィアーノも言葉選びに慎重になったが、ベアに指示される事にもイラつき「だいたい見えないのに、なぜ行くのだろう?」と疑問に思った。それでも自然が好きなルーチョは休憩中も早く到着したくてうずうずした。キアーラも疲れで警戒心が解け、ルーチョが嗅覚で食べ物の種類がわかる能力に感心し2人は仲良くなる。

その様子にベアはティツィアーノに「目の見えない人は寂しく暗い世界で暮らしているものだと考えてる人は多い」「あの子は生き方や考え方を見つめ直さなくちゃ。人と共有する体験こそ必要」と語った。

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“悪魔の頂”が見えるポイントに着いたが、ティツィアーノは、すぐにヒナが密猟された事に気づく。すぐに山岳警備隊に電話し検問所が設けられることになった

目の見えないルーチョは激しく鳴く2羽のワシの声の方向に気づき、その助言に「犯人は検問所を通らない」とティツィアーノが判断し、再度通報したことで密猟犯は山岳警備隊に捕まった。

犯人は証拠隠滅のため、まだ飛べないヒナを森に捨てていた。ヒナを巣に戻しに行く役目は、ガイドのティツィアーノに依頼された。ベア、ルーチョ、キアーラ3人はその様子を遠くから見守りに行く事にした。

翌朝“悪魔の頂”を目指す途中、ベアは足の痛みで進めないと2人で行くことになる。だが途中、断崖の淵を行かなければならないのに、ルーチョはまた強がり、登山用のストックを頼りに無理に進み、ケガをしても助けを求めない。その頑固さに「もういい加減にして」キアーラはキレた。

「誰だって人に頼って生きてるの。できない事は誰にでもある」
「ルーチョの『できないこと』には理由がある。
でも私はどうしてできないのか理由さえわからない」

ルーチョは目の見えない事への悩み、アキーラはコミュニケーション下手の悩みと、それぞれが抱えた苦しみに頑固に耳をふさいでいた。だがキアーラがそれに対して声を上げたのだ。彼女が泣き終わるとルーチョは「キャラメルなめる?」と笑わせ、ストックをしまいキアーラの手を取り歩いた。

2人が到着した時、ティツィアーノがヒナを戻すところだった。キアーナがその様子を実況中継し、無事ヒナは戻したが巣から降りる途中に親鳥たちが攻撃し始めた。ルーチョは岸壁のへりに立たせてもらい深呼吸してワシの天敵ワタリガラスの鳴き声をまねて鳴り響かせ、2羽のワシはカラスへの警戒態勢に入りティツィアーノは降りることができた。

————————–

一年後
また山小屋にやってきた2人。だがルーチョのハーネスの先には盲導犬アストロがいた。キアーラが痛いところをついてくれたおかげで心の奥深くになったなにかを動かしたからだ。高校生になってはっきりしたのは頑固なままでは今の高校生活はなかったこと。アストロのおかげで友達がたくさんできたのだ。

キアーラも「自分を変えるいいチャンス」という。2人は山小屋で落ち合う約束をしている。ルーチョはアストロに連れられ岸壁に立ち、大人になったヒナと空を飛ぶ妄想をした。
 
 

     
    以下のような着眼点を参考に自身の考え方を述べてみるのはいかがでしょうか?

    ルーチョは身体的な不自由、キアーラは対人関係の不自由という互いに不自由についての悩みを持っていましたが、他人が見てわかる不自由と、見ただけでは分からない不自由に注目し、自分の経験や過去の出来事などを絡めて考えをまとめるのもよいでしょう。

    現実社会では、目の見えない人間の数より、コミュニケーション下手に悩む人の数の方が、圧倒的に多い事実を述べ、この本は分かりやすい盲目という状態の主人公と、コミュニケーション下手に悩むキアーラを置くことで、コミュニケーション下手の若者に向けて、一歩踏み出す勇気を与えるために書かれた本だったのではないか、という推論を述べ、話を広げるのもよいでしょう。

    キアーラの言葉「誰だって人に頼って生きてるの。できない事は誰にでもある」「ルーチョの『できないこと』には理由がある。でも私はどうしてできないのか理由さえわからない」を取り上げ、対象のはっきり分からない「特定されていない悩み」について、向き合い方や解決案など考えをまとめるのもよいでしょう。

    この作品を通し、著者が一番訴えたかったメッセージは何かを推論し、自分の意見を本文の中の文章を引き合いに出しながら、まとめてみるのも良いでしょう。(本の帯には「誰だって、人に頼っていきている」とあります)

    ルーチョは初め、視覚障碍者用の杖じゃなく登山用ストックを使うし善意の手助けを怒りで拒む性格でしたが、キアーラの忠告により、その頑固さが周囲を困らせていることに気づきました。そして、他人の善意を受け入れる姿勢や、高校に通う際は盲導犬のアストロの助けを借りることにしました。結果、高校生活は上手くいっていることが書かれていましたが、この点に注目し考えをまとめてみるのも良いでしょう。

    ルーチョは、山に登る際「いつもは2時間で着く」の「いつも」にもイラついたようでした。障碍者のいる場面では周囲の人は言葉選びに慎重になってしまうものですが、その点に関し今までの自分と、本書を読んだこれからの自分の考えの変化を述べるのもよいでしょう。

    本書のタイトルは原文のイタリア語のタイトルと同じ「飛ぶための百歩」ですが、著者はこのタイトルにどのような意味を込めたかを推論し、考えを述べるのもよいでしょう。

    本書には「ワシのヒナ」と「盲導犬アストロ」が登場しますが、著者はどのような意味合いや効果を狙ってこの2種類の動物を作品に登場させたのでしょうか。(作品に登場させる人や動物、物は、何らかの意味の象徴・シンボルであることがほとんどです。何か気になったものがある場合それを取り上げ、深堀するのも感想文を書くテクニックの一つです)

    ・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の考え」や「過去の思い出」などとからめて解説してみるとよいでしょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

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書きやすい感想文の構成の例(書き方の順序)

最後に、書きやすくまとめやすい読書感想文の構成例をご紹介いたします。

感想文は、自分の思いや考えを順序だてて「説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。「なぜこの本を選んだのかの説明」「なぜ、そこでそう感じたのかの説明」「この本を読んで自分の考えにどのような変化があったのかの説明」・・・このように各パートごとに理由やエピソードをまじえて「説明していくもの」と考えれば、それほど抵抗なく原稿が書けるはずです。

①なぜこの本を選んだのかの説明
②大まかな内容を手短かに説明
③特に気になった箇所やフレーズを紹介(1)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
④特に気になった箇所やフレーズを紹介(2)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑤特に気になった箇所やフレーズを紹介(3)
 なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑥著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し考えを書く
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑦この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
 この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中学生・高校生向けですが、小学生を指導する方にも参考にしていただける内容です。

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

 

「飛ぶための百歩」読書感想文の例文

以下に3作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「飛ぶための百歩」を読んで①

以下、完成次第、掲載いたします。


 

「飛ぶための百歩」を読んで②

「飛ぶための百歩」を読んで③
 
 
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自分の弱さを認めることも社会を意識することの一つである

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