「ヒロシマ消えたかぞく」読書感想文の書き方【例文3作品】
2020年の課題図書対策!
こちらでは「第66回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『ヒロシマ消えたかぞく』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。
※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。
『ヒロシマ 消えたかぞく』
著/指田和
写真/鈴木六郎
41ページ
出版社: ポプラ社 (2019/7/5)
1,815円(税込み)
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「ヒロシマ消えたかぞく」について
「ヒロシマ消えたかぞく」あらすじ
「ヒロシマ消えたかぞく」読書感想文の例
【2例文&入選作品の紹介】
書きやすい読書感想文の構成の例
用紙・字数のルール その他
2020年課題図書(小学校高学年)全4冊紹介
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「ヒロシマ消えたかぞく」について・・・
内容紹介
原爆投下前、戦争中であっても、広島の町には笑顔にあふれた家族の日々の暮らしがありました。散髪屋さんである鈴木六郎さん一家の6人家族も、少しの不安はあったかもしれませんが、毎日笑顔で楽しくくらしていました。お父さんの鈴木六郎さんは、カメラが趣味。たくさんの家族写真を撮りためていました。
あの日。1945年8月6日。
一発の原子爆弾がヒロシマのまちに落ちました。
六郎さん一家は全滅しました。
長男の英昭くん(12歳)と長女公子ちゃん(9歳)は、通っていた小学校で被爆。英昭くんは公子ちゃんをおんぶして、治療所があった御幸橋まで逃げました。衰弱した公子ちゃんを「あとで迎えに来るからね」と治療所にあずけ、英昭くんは親戚の家へ避難しましたが、高熱を出し、数日後に亡くなります。公子ちゃんの行方はわからなくなりました。次男まもるくん(3歳)と次女昭子ちゃん(1歳)は、六郎さんの散髪屋さんの焼け跡から白骨で見つかりました。お父さんの六郎さん(43歳)は、救護所でなくなりました。救護所の名簿には「重傷後死亡」と記録されていました。家族がみんな亡くなってしまったことを知ったお母さんのフジエさん(33歳)は、井戸に身を投げて亡くなりました。
たった1発の原爆が、六郎さん一家を消し去ってしまいました。
この本を開くことで、原爆の残酷さ、戦争のむごさを、読む人の身に引き寄せて考えるきっかけとなったら、という願いを込めてつくりました。また、愛情あふれるすばらしい家族写真の数々から、幸せにくらす人間の何気ない日常こそが大事であることに気づかされます。それは、幸せな平和を作っていくのは、私たち自身であると訴えかけているようにも思えます。
家族で平和を考えるために、最適の写真絵本です。
「ヒロシマ消えたかぞく」読書感想文の例文
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。
以下に3作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直して文字数の調整を行ってください。
「ヒロシマ消えた家族」を読んで①
「百聞は一見に如かず」という言葉がある。それは、他人からいろいろ話を聞くより、自分で一度見た方がはるかに速く理解できるという内容である。戦争の悲惨さを伝えた本はたくさんあるし、私も何冊か読んだことがある。しかし、この本のように、当時亡くなられた実際の家族の写真を通して、戦争や原爆について考えさせてくれた本を手にしたのは初めてだった。
そのためこの本は「百聞は一見に如かず」の言葉通り、私がこれまで理解できていなかった戦争や原爆による被害を、写真という映像を通じて感覚的に訴える形で教えてくれるものとなった。
この本は、第二次世界大戦の際、広島に落とされた原爆によって亡くなられた、鈴木六郎さん一家の生前の姿を映した写真に解説を添えて紹介したものだった。そのため、読み終えて感じたものや、伝わった内容が、これまで読んだ本からのそれらとはまるで違っていた。
これまで読んだ本との決定的な違いとはなにか・・・。それは「心への刺さり具合の深さ」といってよいだろう。
紹介されていた写真は、時代を感じさせる白黒写真であったが、そこに写っている家族は、どれも現代人と変わらぬ楽し気な表情を生き生きと映し出しているものだった。
特に私が「ハッ」とさせられたのは、飼っていたペットの犬や猫と遊ぶ幼い子供達の様子が映った写真を目にしたときだった。私はこの写真を見た時「あッ、この仔犬や仔猫たちも原爆で一瞬で死んでしまったのか」と、衝撃的な思いにかられたのだ。
これまで読んだ戦争に関する本は「昔の国に住む昔の人達の話」という印象で、私はそれらの物語を読み終えたのだが、それに対し、この本の場合、写真を通してそこに映る「この」子供達やペットの犬や猫までもが犠牲になってしまったのかと、戦争のむごさを「心に刺さるレベルで」伝えてくれたのだ。
私は、この本を読み終えた後、次の二つの大きな「問い」を抱くこととなった。それは「人間はなぜ戦争をやめられないのか」であり、また「どうすれば戦争を防げるのか」の二つである。つまり「戦争をする理由」と「戦争を防ぐ方法」を私に考えさせたのだ。
恥ずかしいことに、普段の私は、いつも自分のことばかりを考えている。何か疑問に思う場合、それは、ほとんどの場合「自分のための疑問」ばかりなのだ。しかし、この本を読み終え、戦争の原因や戦争を防ぐ方法という、自分を超えた「社会性のある疑問」について考えを巡らせることになったのだ。
この疑問に対し、自分なりの解答が出せたかというと、まったくお手上げの状態である。人類の大テーマに対し、そう簡単に結論をだせるはずはない。しかし、それについて「考える」という方向に進んだだけでも私としては大進歩だと思う。何らかの判断をくだすためには、判断のもととなる判断材料が必要であるため、私はこの本を読み、歴史的知識をもっと増やさなければならないと痛感させられた。(1191文字)
「ヒロシマ消えたかぞく」を読んで②
「人が消える」といのは比喩ではない。しかも、意識しなければ、これからの自分の生活の中で「現実にありうること」なのだと痛感することになりました。
この本は著者の指田和さんが、広島平和記念資料館で、原爆被害者の方の遺品の一つとして見た写真をまとめた本です。資料館でこれらの写真を見た指田さんは、ひどくショックを受け「多くの人に見てほしい」と何年もかけて出版にたどり着いたということです。
どうして何年もかけてまでこの本を出版させたのでしょうか。私は、この本の最後に書かれている指田さんのあとがきを読み、指田さんの思いと、伝えたいと思う情熱を理解することができました。
この本で紹介されている写真は、広島で暮らす一家族の楽しげな風景でした。この本の素晴らしいところは、一家族の様子を通じ、原爆投下前と原爆投下後の様子が比較できる点です。
多くの場合、原爆の悲惨さを伝える本では広島全体についての資料を紹介することが多いのですが、この本では 一つの家族にスポットを当てたことで、読み手に「自分の生活にも起こりうる現実的な災難」として伝わる内容なのです。少なくとも私には、そのようなリアル感のあるものとして受け取ることができました。
作者の指田さんの思いは日本人にだけ伝えたいというものではなく、また、日本人に被害者意識を植え付けるためのものでもないことも分かります。それは日本語で書かれた言葉の下に英語でもその言葉の意味を翻訳して書いてあったからです。
指田さんの思いは、世界中の人に、核兵器を使うことの悲惨さや愚かさ、罪深さを伝えたい一心からのものだと伝わる内容だったからです。
また、本のあとがきで「戦争によるじん大な被害は日本だけではなかった」と書かれていましたが、私はこの一文を読むまで、意識が広島のことだけで一杯だったことを反省させられました。戦争の被害は原爆によるものだけではありません。原爆で殺された人の数以上に多くの人が戦争によって亡くなっていることに気づかせてくれたからです。
悲しいことですが人間は生まれながらに重要なことを記憶して生まれてくるわけではありません。生きていく上で大切なことは伝え残さなければ記憶に入らないのです。
人間が決してやってはいけないことこれについて書き残すことは、ものすごく貢献度の高いことであるということもわかりました。人間には指田さんのように本当に大切なことを伝え残したいという本能があるのかもしれません。しかし、実際に形に残るようアクションを起こすためには、強い意思が必要なのだと思います。そのため指田さんの行ったこの出版への情熱は極めて人間的で立派なことだったと言えるでしょう。
この本を読み、私も指田さんのように「生きていく上で大切なこと」や「生活を便利にする情報」などに気づいた時は、文章や写真にして積極的に伝え残そうと思うようになりました。
現代はインターネットを通じ、自分の考えを世界中の人に伝えることができる時代です。しかし、伝え残すためには、指田さんのように、まず「伝え残そうとする意思」がなければ始まらないという重大な事実にも気づくことができました。インターネットを「宝の持ち腐れ」にしないよう、これからは意識して、この「文明の利器」を活用していきたいと思いました。(文字数1352)
入選作品の紹介
内閣総理大臣賞受賞作品
「例文」のある関連サイトの紹介・・・
【ヒロシマ消えたかぞく】あらすじ・ネタバレ読書感想文の書き方と例文
書きやすい感想文の構成の例(書き方の順序)
最後に、書きやすくまとめやすい標準的な読書感想文の構成例をご紹介いたします。感想文は構成を考え、順序だてて「説明するもの」だと思えば比較的楽に書けるものです。
「なぜこの本を選んだのかの説明」「なぜ、そう感じたのかの説明」「この本を読んで自分の考えにどのような変化があったのかの説明」・・・このように、各パートごとに理由やエピソードをまじえて「説明していくもの」と考えれば、それほど抵抗なく原稿が書けるはずです。
①なぜこの本を選んだのかの説明
②大まかな内容を手短かに説明
③特に気になった箇所やフレーズを紹介(1)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
④特に気になった箇所やフレーズを紹介(2)
なぜ気になったのか最近の出来事や自身の思い出とからませて説明
⑤著者がこの本を通じ伝えたかったことを想像し説明
(伝記の場合はその人のどの点が立派だったのか)
⑥この本を読む前と読んだ後とでどのような考え方の変化があったか
この本によって発見したことや反省させられた点など「本からの学び」を説明
読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
66回の応募のルールについての詳細はこちらページで発表されます。
⇒ 「公募ガイド 青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
遺伝以外の方法で情報を伝え残せるのは人間だけである
2020年課題図書(小学校高学年)全4冊紹介
2020年の「小学校高学年」課題図書全4冊の紹介ページ
読書感想文 課題図書2020(小学校 高学年)4冊