『アーニャは、きっと来る』読書感想文の書き方【例文つき】

2021年の課題図書対策!

こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部
『アーニャは、きっと来る』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、中学生2000字で読書感想文を書くための参考用です。

「アーニャは、きっと来る」
発売日:2020年03月30日頃
著者/編集:マイケル・モーパーゴ, 佐藤見果夢
出版社:評論社
ページ数:212p
価格:1,540円(税込)


 

DVDも2021年06月02日発売されました!(ジャンレノ主演です)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「アーニャは、きっと来る」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「アーニャは、きっと来る」あらすじ

あらすじとポイントが分かる解説動画です。(1.5倍速ぐらいで見るとよいでしょう)

舞台は、第二次世界大戦中のフランス山間部。

ほとんどの村民が顔見知りで羊飼いという平和な村に住む主人公の12歳の少年ジョーは、熊狩りでいなくなった牧羊犬を探しに行った際、偶然ユダヤ人の男ベンジャミンに出会う。ベンジャミンは、村のオルカーダ婆さんの娘婿だった。(つまり嫁の実家がオルカーダ家)

彼はドイツ軍からの迫害を逃れるために逃げてきたのだが、その際はぐれた娘アーニャを待ちつつ、ドイツ軍から逃げてきたユダヤ人の子供たちを救うため、村近くの国境を越え中立国のスペインに逃げようと計画をたてていた。

村は、ジョーの父親も含め、男は年寄りと子供、知恵遅れの大男ユベール以外、戦争にいっているという状態だった。

やがて、ドイツ軍はスペインへの逃亡を防ぐため守備隊を置き、国境は24時間監視されるようになった。村は緊張もあるが日常は穏やかに過ぎていた。ジョーらは、敵ではあるが村に駐留しているドイツ軍伍長と友情を築く関係になる。

そんな中、ユダヤ人の子供たちを羊飼いに化けさせて、涼しい山の高地へ羊たちを一斉に移動させる“移牧”を使った作戦を思いつく。

それには村人全員の協力が必要で、村長中心にドイツ兵も招待したコンサートを開き、その最中に子供たちをかくまう家に移動させ、翌日亡命させようということに。

移牧当日。ベンジャミンと子供たちも混ざって、羊の群れを伴いながら村を歩く。しかし、故郷がこの村と似ていて、放牧を知っているドイツ軍の伍長は大人の男だけの仕事に子供がいる違和感に気づく。しかし他のドイツ兵にも知らせず見逃してくれたとジョーは分かった。

ベンジャミンは子供たちを送ったあと、アーニャを待つため戻る予定だった。しかし、ユダヤ人少女リアと2人、ドイツ兵につかまって収容所送りになってしまう。

数か月後、戦争は終わり捕虜だった村人も帰って来た。ところが、ベンジャミンとリアが送られたのはアウシュビッツ強制収容所であったと知り、二度と帰らないであろうことが分かった。

ジョーは学校を卒業し、一人前の羊飼いになり、喪失感の癒えないまま仕事に励み山小屋で一人過ごすようになる。家族にも気を遣うようになっていたある日、おじいさんと結婚したオルカーダさんもふくめた家族全員がお客さんを連れてくる。それはベンジャミンのヒゲと同じ赤い髪をしたアーニャだった。

 

「アーニャは、きっと来る」着眼点の例

     
    以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。

    課題図書の中から、なぜこの本を選んだのか。

    ※書き出しとしては「この本を選んだ理由」や「本のあらすじ(や概要)の紹介」から入るスタイルが書きやすい定番の方法です。書き出しについては「入賞しやすい21パターン」が存在します。
    読書感想文の書き出し例【中学生・高校生】入賞21パターン
        (大人気のページです)

    自分のせいで熊を死なせてしまったことや、牧羊犬のロウフを置いてけぼりにしたことに罪悪感を感じていたジョーの話や、敵軍でありながら人間的に受け入れられた伍長の人間性が垣間見れる部分を読み、戦時下でもなくならない人間の良心を感じてしまった・・という着眼を述べたうえで、そのような良心さえ飲み込んでしまう戦争に対し思うこと。

    戦争では大勢の命が失われますが、これは死んだ人間の数だけ殺人事件が発生したことと同じことなのです。この点に気づいたことや、それについて思うことを深堀し、話を広げる感想文もよいでしょう。

    戦争をやめることの難しさは、双方が「自分たちが正義」と信じて戦い合っているためです。つまり、戦争は「正義と悪との戦い」ではなく、「正義ともう一つの正義との戦い」なのです。負けた側が「悪」というレッテルを貼られるだけなのです。格言の「勝てば官軍」という言葉を紹介したうえで、その話を広げた感想文もよいでしょう。

    物語の中で、ジョーは戦争が現実味を帯びたと感じ、おじいさんに「ドイツ人はなぜユダヤ人をつかまえたいの?」と聞く、すると「難しい…嫌いなものは殺す。欲しい物は手に入れる、必要なら都合のいい理屈を作り上げる」と答えたシーンがありますが、この「必要なら都合のいい理屈を作り上げる」という言葉に触れた際、私は「人間は理由づけさえできれば、殺人でさえ正当化してしまう」という事実に、ハッとさせられた。・・・という切り口もよいでしょう。そして、人間の「理由付けと自制心の関係」「理由付けとメンタルブロックの解放」などについて思ったことを感想として述べてみましょう。

    cf.人間が殺人を犯しても罪に問われない例として・・「医療行為の失敗」「死刑執行」「正当防衛」「緊急避難」「戦争」などを挙げ、人間の「理由付け(理由の存在)」と「メンタルブロックの解放(心の抵抗からの解放)」の関係について感じたことを述べるのも良いでしょう。人間は「死刑の執行だからしょうがない」「○○だから」といった、もっともらしい「理由付け」ができた場合、殺人すらさほど抵抗なく実行してしまうものなのです。この人間の心理を深堀してみましょう。

    戦時中の敵味方の関係とはいえ、人間らしいところが垣間見れる以下のような場面を紹介し、それを題材に話をひろげるのもよいでしょう。

    ・・ドイツ兵は表立った敵意もなく、気さくで控えめで、家宅捜索もドイツ国旗を旗めかせることもなく、日曜礼拝するドイツ兵もいて、しかもカフェで第一次大戦のヴェルダンの戦いで村人と仇敵同士だとわかると、逆に戦時中の苦しみを分かち合う様子もあったり、おじいちゃんまでフランス語を話せる伍長と話し込み、彼は子供に菓子をくれたり、ユベールにも優しいので村人はドイツ兵を受け入れていく。・・

    ・・母さんもおじいさんも伍長の娘の訃報に胸を痛め、伍長がユベールに古い双眼鏡をくれたと話題になったこともあり、村人も伍長に好意的なので彼の喪失感も和らいだように見えた。だがジョーと山でならんで羊をながめる様子は落ち込んでいたし、そんな伍長にユベールは手作りのミニチュア細工をプレゼントする。・・

    ・・伍長は大人の男だけの仕事に子供がいる違和感に気づく。しかし他のドイツ兵にも知らせず見逃してくれたとジョーはわかった。・・

    ジョーの父親が結核になったので4年の労働収容所の捕虜から解放され帰国しましたが、次のような「その後の様子」を取り上げ、戦争が精神に与えるものについて考える感想文もよいでしょう。「戦争は終わっても心の戦争(傷)は終わらない・・」など。

    ・・父さんは別人のように怒りっぽくなり、学校でもまだ多くの子の父親が終了所にいて、全員が祝福してくれるわけではなかったが村では父さんともう一人の帰郷祝典をしたが、2人はむしろ耐え忍んでいるようだった。そしてジョーが伍長と親しい様子に父さんは激怒し、ドイツ兵に挑発的な態度を取り酒浸りになった。「あいつの身にもなってごらん。死人が地獄から蘇ったようなものだろう。帰ってきたら状況が変わっている。今のあいつの身体の中は、恨みと怒りで毒されている。もう少し時間をやろう」とおじいさんは母さんを励ましたが、父の状況は悪くなる一方でジョーを「裏切者」と殴りつけます。

    身内の戦争経験の話が残っている場合、その話を盛り込むとよいでしょう。

    人間は、太古の昔から、科学技術の進歩した今日にいたるまで、戦争をやめられません。その点に注目し「人間には戦争をするよう、遺伝子に組み込まれているのではないかと、ふと思った。」・・という展開で、人間が戦争をやめられない理由を述べる感想もよいでしょう。

    「敵と味方に分かれて、武器を使い戦い合うこと」は人間しかしないことです。つまり、戦争をすることとは「人間らしさ」の負の一面です。「私は、そのような本能の存在を肯定したうえで戦争をなくすための方法を考えることの方が、現実的に戦争をなくすための知恵の発見につながるのではないかと考えたのだ・・・」という結論につなげるのはどうでしょう。戦争は、他民族との種の交配を活発にすることで「遺伝的多様性」を生む理由になっているというのも事実です。

    ベンジャミンらの計画を察知した伍長でしたが、逃亡する子供たちを見逃しました。この点について感じた立派さや人間らしさ、勇気などについて。ユダヤ人を救うため、勝手にたくさんのビザを発給した日本の「杉原千畝」の話を引き合いにだすのもよいでしょう。

    YouTube動画「杉原千畝」

    ジョーは羊飼いの少年ですが、この羊飼いという仕事は、キリスト教的に「迷える者を導く」ということの象徴でもあります。この点に触れ感想文に生かすのもよいでしょう。「本書を読み、私も専門分野を極め、その分野で迷える人々を導けるような人間になりたいと思った。」・・など。

    タイトルについて考察する感想文もよいでしょう。タイトルの考察は、読書感想文のネタとして取り入れる定番の方法です。本書のタイトルは「アーニャは、きっと来る」ですが、この物語においてアーニャの出番はほとんどありません。ではこの物語において、アーニャとはどのような意味を持ったキャラクターだったのでしょうか? (希望の象徴だと私はおもった・・など)

    「この本の内容を母に教えると、母は・・・」のように、家族とあなたとの会話の内容を紹介し、話を広げるのもよいでしょう。

    本文に「ドイツに統制されてウソだらけの新聞やラジオに落ち込む村の様子」が描かれていますが、今日のメディアや情報との付き合い方について話を広げるのも良いでしょう。

    ※民間企業であるTwitterが、アメリカ大統領選挙の際、大統領自身のアカウントを削除したという大ニュースもありました。これは民間企業がいわば政治的情報操作に手をかしている例といえる。・・・という内容などを盛り込み「政治的無関心」や「情弱」「プロパガンダ(政治的情報操作)」の危険性について思うことを述べる。

    終盤の泣かせる場面で感じたこと。

    ベンジャミンは子供たちを送ったらアーニャを待つため戻る予定だったのに、リアと2人、ドイツ兵につかまって収容所送りになってしまいますが、その流れは、国境を超えるときにリアはベンジャミンから離れず、仕方なく山小屋に父さんと3人で戻る途中、ベンジャミンが助けた子グマに出会いパニックになったリアが泣き出し、ドイツ兵にみつかったのです。

    隠れていた父さんは自分を臆病者と泣きましたが、ジョーはベンジャミンが連行される時お互い知らないふりをしながらも「ありがとう」と言われたと父さんに伝えました。それ以来、村人とドイツ兵は触れ合わなくなり、ジョーも伍長は善良で親切だけど敵なのだと自覚します。が、雨宿りをしたところで2人になり、伍長からユベールが双眼鏡を返してきた事、自分にもユダヤ人をどうして捕まえるのかわからないと、ゆっくり吐き出しました。

    知恵遅れの大男ユベールの存在意義について。著者がユベールをストーリーに登場させた理由は何でしょう?存在意義や教訓、著者の伝えたかったメッセージを推論し感想にしてみましょう。

    「ナチスは敗戦しドイツ兵は村を出ていくことになり、興奮したユベールは、おじいさんが墓石に隠したライフルを持ってドイツ兵に向けたため、射殺されてしまいました。」・・という役回りでした。

    ストーリーの結末は、アーニャは戻りましたが、その代わりベンジャミンとリアは収容所に送られ帰らぬままという内容でした。この点について作者がそのような結末にした理由や、読者へなにを教訓づけしようとしたのかを推論し、考えを述べるのもよいでしょう。

    「もしこの本に続きがあるなら・・」で、自分の考える「その後」の展開を紹介するのも面白い作戦です。

    戦争などの参事を発生させないための最良の対策は、つぎのような言葉を大切にすることだと思います。それは「予防に勝る対策なし」という言葉です。この言葉を引き合いに出し、この言葉の説明を広げた感想文もよいでしょう。「国民の我々一人ひとりが政治や外交に関心を持ち、国の舵取りを監視する目をもつことが重要である事を、私は痛感させられた」「政治的無関心であってはダメだ」・・という内容につなげれば感想文らしくなります。

    戦争終結後は「戦時中の敵国をどう捉えるべきか」について考えたこと

    戦争終結後は「自国」と「敵国」という捉え方はやめ「当時の人たち」と「現代に生きる我々」という捉え方が必要です。つまり、いつまでも「自国は自国」「昔の敵国は敵国」という捉え方では、世代を超えて憎み合った関係のままになりがちなため、「当時の人たち」と「現代に生きる我々」というくくりで、これからの世界のありかたを共に考えることが大切。過去の戦争はすべて、敵味方に関係なく「人類の歴史上の教訓」として未来のために生かすべき。自国民をまとめるために過去の戦争を都合よく政治利用することはあってはならない。・・といった考えを感想の中でのべるのも良いでしょう。これが本来的な未来志向ではないか?など。

    本書を読んで、改めて現在の日本を取り巻く近隣諸国との関係について感じたこと。国防や外交のありかたについて考えさせられたこと。

    この本によって気づいた「課題」を解決するために、今の自分にできる「現実的」で「具体的」なアクションを考え、感想文の中で紹介するのもよいでしょう。(単なる感想や反省にとどまらず、自分がやろうと決意した具体的アクションを発表することは、それだけこの本の影響力が強かったことを印象付けるものです)

    ・・・これらの中からいくつかを取り上げ「本文の内容」と「過去の思い出」「最近の出来事」などをからめ感想をまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

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「アーニャは、きっと来る」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の例をご紹介いたします。「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「アーニャは、きっと来る」を読んで
 
舞台は、第二次世界大戦中のフランス山間部。羊飼いの主人公、12歳の少年ジョーは、はぐれた牧羊犬を探している際に、偶然出会ったユダヤ人の男ベンジャミンとともに、ドイツ軍から逃げてきたユダヤの子供たちを、村近くの国境を越えさせ、中立国のスペインに逃す物語である。

ベンジャミンは、ドイツ軍から逃げてくる際にはぐれた娘のアーニャを待ちつつ、村人総出で、子供たちを逃がすことになるのだが、大勢で逃げる際、熊に遭遇しパニック状態になった少女リアが泣き出したため、リアとベンジャミンはドイツ軍に捕まり、アウシュビッツ収容所へ送られてしまう。物語の最後は、終戦後、ベンジャミンの娘アーニャが無事にこの村にたどり着き、ジョーはベンジャミンの面影のあるアーニャと対面するという結末であった。

作品は、戦時中の人間心理の描写にたけたもので、収容施設から病気のために戻されたジョーの父親の心がすさんでしまった様子や、敵味方の関係にありながら、ドイツ軍兵士と村人との間には、一種の友情のようなものが芽生え、ところどころに「いい話」も描かれている。中でも、子供たちが逃げる際、ドイツ軍の伍長は大人の男だけの仕事に子供がいる違和感に気づいたものの、他のドイツ兵にも知らせず見逃してくれたという部分は、逃亡計画の成功になくてはならない重大な部分だったといえる。

私はこの作品を読み、次のような大きな問いを得ることとなった。それは「戦争を望む人間はいない。しかし太古の昔から科学が発達した今日にいたるまで戦争はなくなってはいない、それはなぜか」という問いである。

ストーリーの中で、ドイツ軍の伍長が「自分にもユダヤ人をどうして捕まえるのかわからない」と、ゆっくり吐き出すエピソードが描かれていた。つまり、一度戦争が始まってしまった場合、戦い合っている兵士同士でも「なぜ自分たちが戦っているのか分からないまま、軍の指示に従わざるを得ない状態になってしまう」ということだ。この場面を読んだ際、私は「予防に勝る対策なし」という格言を思い出した。これこそ、戦争を防ぐためにも、最も大切な考え方だと思う。

そのためには、どのようなことが大切だろうか。私が思うに、結論としては「国民の我々一人ひとりが政治や外交に関心を持ち、国の舵取りを監視すること」これこそが政府の暴走を防ぐためにすべき国民の役目であろう。「政治的無関心」であっては断じて駄目なのだ。

また、物語の中で、ジョーは戦争が現実味を帯びたと感じ、おじいさんに「ドイツ人はなぜユダヤ人をつかまえたいの?」と聞く、すると「難しい…嫌いなものは殺す。欲しい物は手に入れる、必要なら都合のいい理屈を作り上げる」と答えたシーンがあったのだが、この「必要なら都合のいい理屈を作り上げる」という言葉に触れた際、私は「人間は理由づけさえできれば、殺人でさえ正当化してしまう」という事実に、ハッとさせられた。

考えてみれば、人間は「死刑の執行だからしょうがない」とか「戦争だから」といった、もっともらしい「理由付け」ができた場合、殺人すらさほど抵抗なく実行してしまう存在なのだと、このシーンに触れた時、考えさせられてしまったのだ。

心理学では、人間が、法律や倫理など「心の抵抗」が存在する場合、ある種の行動を抑制することになるのだが、そのような心の抵抗のことを「メンタルブロック」と総称するらしい。しかし「理由付け」によって、そのブロックは、いとも簡単に取り除かれてしまうものなのだという。私は、この心理の存在について、戦争を避けるためにも学校で教育すべきたと痛感した。そして、そのような教育がされていない現状に憤りさえ感じてしまった。「心がすべてだ」という誰かの名言があるが、にも関わらず、学校教育はこの「人間心理」についての教育を軽視しているように思えてならないのだ。

私は本書から、著者が本来的にこの本によって伝えようとしていたであろう「戦争の悲惨さ」や「希望をもつことの大切さ」以上に、本書のような良書により「人が知っておくべき事柄を伝え残す価値」を発見できたことが嬉しくてたまらない。

それは、人が何らかの「判断」をするためには「判断材料」が必要だが、その判断材料を自己の経験だけに頼っていては材料が少なすぎると痛感させられたからだ。それに伴い、個人の経験を補ってくれるものが「本」であり、ゆえに「読書」が大切なのだと本書は私に気づかせてくれた。

そのため、これからは判断材料の分母を増やす意味での読書をもっと多くしなければならないと考えさせられた。また読書により情報を大量にインプットするほか、SNSなどを通じ、みずからも情報を積極的に伝え残すようにすべきだとも思うようになった。私にこのような「意識変革のきっかけ」を与えてくれた本書の著者、マイケル・モーパーゴ氏には、最大限の敬意と感謝の気持ちをささげたい、そう思わせる一冊であった。(2013文字)
 

【追記】YouTubeで感想を紹介しているものも発見できました。
(1.5倍速ぐらいで聞くとよいでしょう)


 

「読書メーター」のレビューも参考になります。
読書メーター「アーニャは、きっと来る」レビュー
 


 

歴史は教訓の宝庫。
 判断するための「判断材料」の多くは歴史の中にある
  ゆえに歴史は正しく事実を伝え残そう。


 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2021年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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