『アップステージ』読書感想文の書き方【例文つき】
2023年の課題図書対策!
こちらでは「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部
『アップステージ』の「あらすじ」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。
※おもに、中学生が2000字で読書感想文を書くための内容になります。
ダイアナ・ハーモン・アシャー 作 武富博子 訳 評論社 1,760円 (税込み)
376ページ
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「アップステージ」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品
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「アップステージ」あらすじ
シーラは恥ずかしがりやで、いつも人前では目立つことを避けていました。しかし、その彼女がハリブルック中学校で開催されるミュージカル「ザ・ミュージック・マン」に参加することになると、学校中がその話題で持ちきりに。実は、シーラは隠れた歌の才能を持っていました。
オーディションを受けることを強くすすめられ、シーラは緊張の中、自分の歌声を披露します。その結果、彼女は四人組の合唱団の一人に選ばれる。練習を重ねる中で、シーラは次第にこのミュージカルを心から愛し、自分の役に深く取り組むようになります。
しかし、練習の途中でシーラの前に立ちはだかるのは、さまざまなトラブルと恋の問題。ヒロイン役のモニカからの嫌がらせや、主役ハロルド役のポールと大道具スタッフのドルーとの三角関係の悩みなど、シーラを待ち受けていたのは困難な道のりでした。
しかし、彼女は困難を乗り越え、とうとうミュージカルの幕開けの日を迎えます。しかし、舞台の途中で予期せぬアクシデントが起こり、モニカがヒロインの役を降りることとなります。そこで主役の座に立つこととなったのは、シーラ。予期せぬ展開にもかかわらず、彼女はヒロイン・マリアン役を見事に演じきり、舞台上で輝いたのでした。
この物語は、隠れた才能を持つシャイな人々へのエールであり、自己開示の勇気を称え、絶対音感のような特殊な才能だけでなく、誰もが持つ可能性を信じることの大切さを教えてくれます。シーラは、挑戦の連続の中で成長し、輝かしいステージでその才能を開花させるのです。その過程で、シーラは友情、妬み、そして初めての恋についても学びます。
全てが彼女を形成し、最終的には自分自身を理解し、自己受容することができるようになるのです。これは一人の少女が、自分の恐怖を乗り越えて真の自分を見つけことになります。
「アップステージ」着眼点の例
数ある本の中から、どうしてこの本を選んだのかを説明するところから書き出すのも良いでしょう。
⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
著者がこの作品を通じ伝えたかったメッセージを考え、そのテーマに関する最近のニュースや自分の経験を紹介し「共通点」や「相違点」を伝えつつ、考えさせられた点を感想文の中に表してみましょう。
この物語は、恥ずかしがり屋のシーラがその役割を超えて大きく成長し、最終的には舞台で主役以上の輝きを放つことになりますが、この物語の核心部分を題材として話を広げる感想文もよいでしょう。
例)本書を読み終え、おそらく著者は自分の適性や潜在的な才能を知るためにも「さまざまなことを躊躇せず大胆にやってみることが大切だ」ということを伝えようと、あえて「舞台」という逃げられない環境に主人公を置いたのではないかと思いました。・・・など。
例)人間が緊張する「人前」の典型的ともいえる「舞台」において、主役以上の活躍をしたシーラの様子を通じ「逃げられない環境に身を置く」ことが人間的な成長には必要だいうことを伝えたかったのだと思いました。「人は人前に立ってこそ成長する」これこそが私がこの本から学んだ一文です。・・など。
例)格言に「背水の陣をひけ」という言葉がありますが、シーラは舞台という逃げられない環境に身を置くことで、大きく成長したわけですが、まさに背水の陣によって人生を切り開いた典型ともいえる主人公だったのだと思います。・・など。
物語を一言であらわせば「シーラがシャイな自分を克服し成長する話」となりますが、この「成長」に似た言葉に「成功」がありますが、この物語を読んで「成長と成功の違い」や、どちらを目指すべきかなど「成長」と「成功」についての自分の考えを述べる感想文もよいでしょう。「この本は私に、成長と成功の違いについて考えるきっかけをくれた。」・・とする切り口もよいでしょう。そして「成功は一瞬の出来事の場合もあるが、成長は無限だ。」などのまとめ方もいいでしょう。
「アップステージ」というタイトルについて考察してみましょう。
例)おそらく「アップステージ」というタイトルは、読者に「ステージアップ」して欲しいという願いから、ステージアップとアップステージを掛けた言葉遊びでつけたタイトルだったのではないかと感じました。・・など。
※本来「アップステージ」は、文字通りには「舞台上」という意味ですが、ここでは「主役を超える活躍をする」という意味合いも含まれています。この物語は、恥ずかしがり屋のシーラがその役割を超えて大きく成長し、最終的には舞台で主役以上の輝きを放つ物語です。
「私の父はよく・・」や「本を読み終え、本の内容を父に話すと、父は・・」というように、家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、感想文をユニークな展開にできたり、本の内容を超えた個性的な展開にすることができます。
例)本を読み終え、この本の内容を父に話すと、父は「他人の目なんて気にするな、人間は自分のことばかり意識しているものなんだから、他人のことなんて見てやしない。失敗したとしてもそんなことはすぐに忘れるものだ。」とアドバイスをしてくれました。・・・など。
例)本を読み終え、この本の内容を父に話すと、父は「お前が死んだら葬式に何人来てくれるか考えてみろ。その人の人生で一番の出来事である “死” に対してでさえ興味を示して足を運んでくれる人なんて一握りしかいないんだ。人間はいつも自分に関係したことばかり考えているものなんだ。だから他人の目なんて気にするな。」と言っていたことも思い出されたのですが、この本を読み、父の言っていたその言葉が、改めてまったく真理だと感心させられました。
本書のどこかの部分を読んで頭に浮かんだ「ことわざ」や「名言」「誰かの言葉」などを書き出し、その言葉の意味を本書によって、あらためて大切なものだと考えるようになった・・というような感想文もよいでしょう。
例)あるときAKB48・チームKから「緊張しないコツ」を聞かれたタモリさんは「コツなんかない」と即答。そして「緊張できることをやらせてもらっていることを、幸せだと思いなさい。」と応えたそうです。(まさに名言!)
この本を読む前と、読んだ後では自分の才能や、他人の目を気にする人間の性質に対してどのような考え方変化があったか。ひいては人生を成功させる秘訣のようなもので何か学んだことは何かを発表する感想文もよいでしょう。
この本をきっかけに、私はもっとたくさんの本を読んで人生の疑似体験をすべきだと思うようになった。物語は人生の予行練習のように役立つものだと本書を読んで発見したからだ。・・・という方向で感想文を書くのもでしょう。「読書の大切さ」に気づいたとする感想は「教育的効果の表れを感じさせる感想文」であり、また どの本の感想文にも使える感想文の広げ方 です。
この本を読んで、知識や経験などを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたとする感想も どの本にも使える感想文の広げ方 の一例です。そして「自分も大人になったら物語や経験を本に書き残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
※どんな本にも使える「感想文の広げ方」については、下記のリンク先にまとめてあります。
⇒「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」
・・・これらの中からいくつかを取り上げ「思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
「アップステージ」読書感想文の例【例文】
以下に、読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。
「アップステージ」を読んで①
※以下の感想文はこの動画の「モデル文」を横書きにしたものです。
テレビを見ていた時だった。メジャーリーグで活躍する選手がインタビューを受けている。アナウンサーが、「あの大舞台で活躍できるって、すごいですよね。緊張しないんですか?」と尋ねた。僕は、一流選手はなれているから緊張しないと思っていた。すると、意外な答えが返ってくる。「いやいや、すごく緊張しますよ。」どうして緊張するのに、すごいパフォーマンスができるんだろう。
読んでわかったことは、シーラと僕は少し違うということだ。シーラはすごい力を持っていることに気づいて、仲間と力をあわせながら自信を付け、本番で力を発揮した。僕にはそんな力はない。というのも…
僕は中学校からバスケ部に入った。家族と一緒に見た映画をきっかけに、中学からはバスケがやりたいと思った。周りには、多くのバスケ経験者がいる。実力では及ばない。だけど、うまくなりたくて、試合に出たくて、僕は暑い中でも練習を頑張った。予想よりも早く、僕は試合に出るチャンスを掴むことができた。
と言っても、練習試合の最後に組まれた1年生同士のゲームだ。全員が出られる試合だったけれど、めちゃくちゃ緊張した。自分の体が震えているのがわかった。初めて試合に出た僕は、結局何もできないまま時間だけが過ぎていった。シーラみたいに実力があるわけでもない。僕の場合は、どうしたら緊張を乗り越えられるか、これが優先課題だ。
練習試合の日の晩ごはん、「今日の練習試合はどうだった?」と父に聞かれ、「全然ダメ。何もできなかった」と正直に伝えた。「まだデビュー戦だし、仕方ない。またチャンスは回ってくるよ」と励ましてくれたものの、僕の心は晴れなかった。「ねえ、どうしたら緊張しなくなるかな」と聞くと、父が、緊張について2つのことを教えてくれた。
1つ目は、緊張するということは、それだけ本気になっているということ。真剣に取り組みたい、いい結果を残して、チームのために貢献したいと思っているから緊張するんだって教えてもらった。確かに、これまでも緊張する場面では、失敗したくないとか、これまでの練習を無駄にしたくないとか思っていた。緊張することは悪いことじゃないということがわかった。
2つ目は、父が中学生の時に、部活の顧問の先生がしつこく言っていた言葉だ。「練習は本番のように。本番はいつものように」僕の父もバスケ部だった。「いつも先生が口酸っぱく繰り返して言ってた言葉だ。練習のための練習はするなって。練習は本番のためにするもの。だから、毎日の練習は、試合本番のつもりでやらないと意味がない。本番で特別な力が出せるのは、練習を本番のつもりでやったご褒美みたいなものだ」
—–以下のつづきは管理人の作成例です——————————
なるほどと思った、シーラは本番直前まで真剣に練習していた。僕はどうだったか。シーラほどの緊張感をもって練習に臨んでいただろうか。僕はこの本を読んで、本の内容以上に、父からのこの二つの考え方を聞けたことのほうが、正直言ってためになった。さらに、この言葉を聞き、僕は、緊張できるようなことをさせてもらっていることに感謝できるようにもなった。
「緊張する、緊張する」と焦ってばかりで、これまでの僕は緊張できるようなことをさせていただいていることに感謝の気持ちなど、まったく持っていなかった。ところがどうだろう「緊張するような重大なことを今させていただいているんだ」と思ったとたん、感謝の気持ちと前向きな姿勢が一気に湧き上がることに気づけたのだ。
本のタイトルは「アップステージ」だが、著者はおそらく、この本の読者の人生を「ステージアップ」させるためにこの本を書いたのではないだろうか。少なくとも今の僕にはそのように感じさせた、感謝すべき一冊となった。
「アップステージ」を読んで②
みなさんは一人で何か大きなことを達成したことはありますか? 実は私にはそのような誇れる経験は一つもありません。
⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
感動的な成功体験をするためには多くの要素や周囲の人との関係が大事なのだと私にもなんとなく分かります。それぞれの役割に徹し、そして裏方として活動する人々の協力が絶対不可欠です。これは、”大きな舞台”から日常の生活に至るまで共通する事実でしょう。
私はこの本「アップステージ」を読み、まるで自身の人生を客観的に見つめ直すための疑似体験ができました。私はこの本を読んで、人間は心構えや意識を変えること、また実際に一度経験してみることで未来の自分を変えることができることを発見しました。
私は、父の田舎の郷土芸能クラブで、和楽器の演奏の発表に参加した経験を思い出されました。本の中のキャラクター、モニカのように、稽古の最中に無理な要求をしてくる大人がいました。その結果、グループ全体の雰囲気が緊張してしまいました。しかし、高齢の師匠の励ましと指導の結果、私達は再び集中して練習に打ち込むことができました。
そして、最終的に発表会の直前に、師匠が「あなたたち全員が精いっぱい頑張ってきたのだから大丈夫」と励ましてくれました。それは本の中のフーバー先生が全員に声を掛けていた様子と酷似していました。一人ひとりの努力を見て、必ずや達成できると信じてくれるその言葉は、私たちにとって心からの喜びでした。
私自身、演劇の経験はありませんが、部活での経験から、何かを成し遂げるためには今の自分を超えることが必要だと感じました。そしてその時に役立つのが、「なりきる」というスキルです。その結果、困難を乗り越えることができ、自信を得ることができました。
この本を読み進める中で、その「なりきる意識」が何よりも価値のあるものであると感じました。役になりきるというのは、実は日常生活にも非常に役立つものです。自分が勇敢な戦士だと思えば、その勇気が湧き上がるようなものです。私は、シーラがマリアンの代役を引き受け、練習を通じて彼女になりきろうと努力するシーンに特に感激しました。それにより、シーラはマリアンが話しかけられたいという深層心理を見つけ出し、自身の内面を探るきっかけをつかみました。
さらに、本の最後で、シーラがシャイな性格を克服し、大勢の観客から喝采を浴びる役を演じ切ったのは、自分自身の内面を表現し、他人に影響を与える大切さを教えてくれます。
表現することの大切さは、シャイな人々にとって特に重要なのだと思います。多くの場合、気が弱くシャイな人は他人の目を極度に気にします。しかし、そういった考え方や反応をやめ、本来の自分の中身を大切に思い「評価してくれる人がいる」と信じることが重要なのだと思います。これができれば、他人に影響を与え、感動を与える存在になることができるでしょう。
シャイな主人公の設定を読み進めるうち、私は父が以前語った言葉を思い出しました。それは「他人の目なんて気にするな、人間は自分のことばかり意識しているものなんだから、他人のことなんて見てやしない。失敗したとしてもそんなことはすぐに忘れるものだ。」という言葉です。
また父は「お前が死んだら葬式に何人来てくれるか考えてみろ。その人の人生で一番の出来事である “死” に対してでさえ興味を示して足を運んでくれる人なんて一握りしかいないんだ。人間はいつも自分に関係したことばかり考えているもんなんだ。だから他人の目なんて気にするな。」と言っていたことも思い出されたのですが、この本を読み、父の言っていたそれらの言葉が、改めてまったく真理だと感心させられました。
さらに、私の家の近くにある教会の牧師さんの言葉も思い出されました。牧師さんは言います。「みなさんは神に祝福されて生まれてきたのです。神はあなたがたが成功するための段取りを考えながら、あなたが行動することを今か今かと首を伸ばしてまっているのです。だから行動しなさい。神をイライラさせてはいけません。」と。
私たち人間は「見てもいない他人」を恐怖し、行動に制限を加えているのでしょう。心理学ではこのような制限を「メンタルブロック」というのだそうですが、メンタルブロックをはずすためにも、また自分の才能に気づくためにも、まずは「やってみる」というスタンスが大切なのだと、この本を読んで理解できました。
また、本書の「アップステージ」というタイトルは、読者のステージをアップさせるための「ステージアップのための本」であることを、暗に言葉遊びのようにしてつけたタイトルだったのではないでしょうか。
つまり、シャイで臆病なために行動に移せないでいる人に向けて、著者がエールを送るような気持ちで書いた本なのではないかと感じました。
まとめれば、私はこの本を読み「自分が得意なことや好きなことを素直に表現して頑張ることの重要性」そして「まずはやってみるという姿勢の重要性」を再確認できました。
※書くことが思いつかない場合に「話を広げるヒント」はこちら!
⇒「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」
以下、完成次第、追加掲載いたします。
緊張しない秘訣は・・
「緊張できることをさせていただいていることに感謝すること」
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
他の課題図書&過去の入賞作品
2023年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
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過去の課題図書の紹介
過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。
また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。