「111本の木」読書感想文の書き方【例文つき】

2022年の課題図書対策!

こちらでは「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「中学年」の部(3、4年生用)
『111本の木』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。

「111本の木」
リナ・シン(著)こだまともこ(翻訳)
マリアンヌ・フェラー(イラスト)

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「111本の木」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「111本の木」あらすじ

少し前まで、インドのある村では家のあとつぎになる男の子が生まれると働き手になるのでお祝いしますが、女の子が生まれるとお嫁に出すとき、たくさんのお金(持参金)がかかるので暗く静まりかえるという状況でした。

ある所に、お母さんと水汲みに行くのが大好きな少年がいました。水汲みはとても辛い仕事だけど、そのときだけお母さんをひとりじめできたからです。でも夜になると、おかあさんは11人家族で、貧しくひもじく、せまい家に住んでいることを泣いていました。

ところが、ある日、お母さんは毒蛇にかまれて死んでしまいました。その日から、少年は水をくみに行く女の人を見ると木にかけよって、お母さんを思い出し抱きつきました。

その男の子こそが、このお話の主人公、シャム・スンダル・パリワルです。

大人になり、子供も3人生まれたスンダルは、大理石工場で働いていましたが、どんどん荒れ地が広がっていくことが不安になりました。

社長に「荒れ地に、木を、植えてください」と頼んでも、社長は聞いてくれないので、スンダルさんは怒り、工場をやめてしまいました。

スンダルさんは、荒れ地を緑豊な土地にもどしたい。まずしい村の人たちにひもじい思いをさせたくない。男の子も女の子も学校に行かせたい。
水汲みだけの暮しをさせたくない。

そう思い、選挙に出て、村の村長になりました。

1年後、スンダルさんの上の娘が、病気で亡くなってしまいました。12日間、部屋に閉じこもって泣き続けたスンダルさんは、13日目に木を植えます。自分の悲しみを土にうめ、木と共に、娘の思い出とともに生き続けるようにと・・・。

このとき、スンダルさんは、自分がすべきことが分かりました。この村に、女子が 生まれるたびに、111本の木を植えてお祝いしようと。

村人たちは、「村長さんは頭がおかしくなった」とウワサされて、考えがわかってもらえませんでした。

スンダルさんは諦めませんでした。大理石工場が 自然破壊していること。女の子と男の子が 平等に扱われること。水と電気がたっぷりある月に行けるくらいの富と知識がある国がほかにあること。

「わたしが娘さんのために木を植えるので、娘さんを学校に行かせ、18歳まで結婚させないでください。」

少しずつ、村人に理解はされましたが「木を育てる、水はどうする?」スンダルさんは、水道をひく技術者を呼びました。

堀をつくり、雨水をためてその水は飲み水にもなるので水くみに行かなくてよくなりました。植えた木にシロアリよけに 木の間にアロエベラを植えました。アロエベラを使って、商売もはじめたので暮らしに困らなくなりました。村のお母さんと娘たちは 木のせわをして神聖な糸を木に結んで自分と木との絆を確かめました。

村にはいろんな木が植えられて 緑の木におおわれた美しい村になりました。
みんなにゆきわたる綺麗な水がたっぷりある村になりました。

女の子たちは現在学校で勉強しています。
そして今、女の子が生まれるたび111本の木を植えられています。
 
 
 

「111本の木」着眼点の例


 
以下のような着眼点切り口を参考に話を広げてみるとよいでしょう。

この本の内容が作り話ではなく「現実」のしかも「最近」の話であることの理解

悲惨な現実を改善するために主人公が「行動」を起こしたことの立派さについて

そして、この本を読んだ自分が感じたことのほか「今の自分にできること」について考えたこと。「感じたこと」だけでなく、この「具体的なアクション」について考えたことを述べることが高評価につながります。

日本がどれだけ恵まれてるか、日本で生活していることの有難さについて

・「知ること」「学べること」の有難さ・・・学ぶことにより「比較」できるようになり、比較できれば「疑問」が生まれ「行動」するようになる。
・悪しき伝統も、ほかの文化を「知り」「比較」することでその不自然さ、不公平さに気づけ「改善」につながる
・インドと日本の違いやその理由を考えてみる・・・学べる環境と学べない環境が与える結果の違い。
・客観視⇒比較すること⇒科学的

スンダルさんの立派だった点について感想を述べる

・スンダルさんは亡くなった娘の思い出のために木を植えましたが、そのとき、ふっと「なぜ、自分の娘おためだけなのだろう?すべての娘たちのためでなければいけないのでは?」と思い、村で女の子が生まれた際、111本の木を植えてお祝いすることを思いつきましたが、これは「自分の悲しみを社会全体の改善のために活かそうとした発想」です。この「自分と同じ悲しい思いをみんなにさせたくない」との考え方は褒められるべき考え方です。

また、スンダルさんが・・
・荒れ地を緑ゆたかな土地にもどしたい
・男の子も女の子も学校に行かせたい
・女の人に水くみだけの暮らしをさせたくない。
・18歳未満の女の子が結婚させられる習慣をやめさせたい
・まずしい村の人たちにひもじい思いをさせたくない
・村の女の人に収入を得る手段を持たせたい
といった具体的な目標をかかげましたが「目標をかかげること」の価値について思ったことを述べるのもよいでしょう。

スンダルさんが、エコフェミニストになった理由の一つに、父親からの教えが影響しました。この点に注目し「スンダルさんは偉かったが、スンダルさんに影響を与えた父親も偉かったこと」に気づいたことを感想文で述べるのもよいでしょう。

スンダルさんが子供のころ、お母さんが亡くなったとき、お父さんに「すべての命あるものを尊ぶこと」を教わりました。そして自分の娘が亡くなった時、女の子も男の子も同じように尊くて、大切な存在であることを分かってもらおうと、この活動をはじめたのです。・・この点を紹介してみましょう。

貧しさの原因としての「悪しき伝統」について注目する

インドでは男の子は、「農業の働き手」として喜ばれますが、女の子は「結婚するので持参金が用意が大変」で、女の子の教育にかけるお金の余裕がない。女の子は生まれた時点で負担になる文化なので、産まれてもすぐ亡くなったり、中絶されることもある。・・このようなインドの現状を知り「伝統や文化には良いものもあれば悪いものもあることを知った」という感想を述べ、改善するために何が必要か、自分の考えを述べてみましょう。

「本を読んで内容をお父さんに話すと、お父さんは・・」というように家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介することで、本の内容を超えた高度な感想文に発展させることができます

例)本を読んで内容をお父さんに話すと、お父さんは「伝統や習慣の中には差別や不幸がなくならない原因となっているものも多い」ということを教えてくれました。僕はこの本を読んで確かにそうだと思いました。また、お父さんは「伝統とか宗教が関係している場合、外国から指摘されないとその不自然さに気づけない場合が多い」ということも教えてくれました。僕はこの話を聞いて、ものすごく納得してしまいました。

例)本の内容をお母さんに話すと、お母さんは「インドだけでなく昔はどこの国でも差別や不公平な伝統があって、みんな苦労していた」ということを教えてくれました。そして「自分たちのやっていることのおかしさに気づくためには、そのおかしさについて “知ること” や “知らせること” が何よりも大切なんだ」と教えてくれました。僕はお母さんのその話を聞いて、自分もこの本を読むまでインドの差別の現状を知らなかったわけなので、お母さんのいう「知ること」や「知らせること」が何よりも大切なことだということを理解できました・・など。

「もし、この本に続きがあるなら、私ならきっと・・」という切り口で、どのような展開になっていったか、また、なって欲しいかなどを発表する感想文も面白いでしょう。

「この本を読み、もっとたくさんの本を読んでみたくなりました。なぜなら・・」というように「読書の価値を発見できた」という内容の感想を書くのも良いでしょう。

この本によって「学ぶことの価値」「学べることの有難さ」に気づけた点を挙げ「この本のおかげでもっとたくさんの本を読んでみたくなった」という内容の感想文にするのもよいでしょう。

本書で知れたことの例・・・

・差別のない社会の尊さ
・差別を生む原因に貧困があること
・改善のための第一歩は知ること知らせること
・知った自分に何ができるかを考えることの大切さ
・志をもつことの大切さ・・など。
 

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「自分の思い出」「最近の出来事」などと絡めながら感想文にまとめてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関主催の読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関主催の感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・・の意味だからです。
 
直接的な書き方の例としては「この本を読んで、これからは、もっと○○○○○を○○○○○しようと思うようになりました。」といった「心の変化を伝える一文」を入れると出題意図に合致した感想文になります。

また、小学生の場合「優しさ」「思いやり」「正直さ」「公平性」「努力」「勇気」・・といった人間にとって大切なことについて、その大切さを理解できた様子が読み取れる内容にするとよいでしょう。
 

「111本の木」読書感想文の例【例文】

以下に感想文の例文をご紹介いたします。文字数に関係なく書きましたので「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。

小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内(空欄込み)

「111本の木」を読んで

読書感想文の宿題が出た時、僕が初めに思ったことは「できるだけ簡単に読める本がいいな」ということでした。なぜなら僕は本を読むことがとても苦手だったからです。そのため僕は字の少ないこの本を選びました。

でも、この本を読んだことがきっかけで、本を読むことは大切なんだと気が付きました。

この本の内容は、インドに住む主人公が、貧しいこの地方で女の人がいろいろな差別を受けていることを悲しみ、大人になってから村長になり、村で女の子が生まれるたびに111本の木を植えてお祝いすることを通じて、貧しい村を改善することに成功したお話です。

その村は、大理石が取れる場所だったため、木が崩されだんだん緑が少なくなっていました。そのため女の人の毎日の仕事といえば、遠くまで水を汲みに行くことだけになっていました。水を汲んで一日が終わるため、女の人は学校にも行かせてもらえませんでした。

そこで主人公は、木を植えれば緑が豊かになるため、女の人が遠くまで水を汲む仕事をしなくても済むし、また、アロエなどの植物も植えられるようになるため、それを売れば生活が豊かになると考え、女の子が生まれるたびに111本の木を植える計画を考え、現在でもつづく村の習慣となったという内容です。

この本を読んで、僕が一番驚いたことは、このお話が最近までインドであった本当の話だということです。

僕の住む日本では、男も女も一緒に勉強するし、大人になれば同じように働いけるわけですが、インドでは女の子が生まれると、結婚する時にお金がかかるため、喜んでもらえないということを知り、ものすごくショックでした。

僕がもしインドで女の子として生まれたら、とても嫌だったと思います。自分自身が女の子だということも嫌だと思うだろうし、周りのみんなが自分が生まれたことを喜んでくれないということが、なによりもショックでした。

僕はこの本を読んで、内容をお母さんに話したのですが、お母さんは「本を読むといろいろ気が付くことがあったでじょう。この本を読まなかったらインドのことも分からなかったし、日本に生まれた良さにも気づかなかったでしょう」といいました。

僕はお母さんの言葉に、ハッとさせられました。そして、日本に生まれて、毎日ゲームもできるし、水や食べ物もなんでも食べられることがあたりまえだと思っていることに「ものすごく、ありがたいんだなあ」と思いました。

この本は、主人公が、自分の娘が死んだことをきっかけに、村の貧しさや差別を改善することを決意して、それを成功させたことが立派だというお話でしたが、僕にとっては、そのことより、この本がキッカケで、本を読むことが大切だと分かったことがなにより嬉しいことでした。

僕はこの本を読み、これからはもう少し文字の多い本にもチャレンジして、いろいろなことを比較したり発見できるようにしたいと思いました。
 


 


・差別のない社会の尊さ
・差別を生む原因に貧困があること
・改善のための第一歩は知ること
・知った自分に何ができるかを考えることの大切さ
・志をもつことの大切さ

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2022年の小学校低学年(3,4年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書と入賞作品の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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