「ふたりのえびす」読書感想文の書き方【例文つき】

2023年の課題図書対策!

こちらでは「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「高学年」の部(5、6年生用)
『ふたりのえびす』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。


髙森美由紀 作 フレーベル館 1,540円 (税込み)
237ページ

 

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「ふたりのえびす」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「ふたりのえびす」あらすじ

偽りのキャラを捨て自分らしさを取り戻す二人の少年の物語・・・

内村太一は学校でお調子者のキャラクターを演じ、新たに転校してきた大路優希とともに、青森県八戸市の伝統芸能「えんぶり」のえびす舞のおどり手になった。彼らのキャラクターとは裏腹に、この踊りはいわゆる格好良さとは程遠いものだったが、特に優希は自らこのダンスに挑戦したいと言っていた。

練習が始まると、リズム感が全くない優希の王子キャラが揺らぎ始める。だが、優希は自分のキャラを壊したいと考えており、太一は彼のこの願いを受け入れ、彼のことを本名の「優希」と呼ぶことにした。ある日、釣り中に優希と太一は大ゲンカを起こし、その結果、止めようとした親方を海に突き落としてしまう。親方は無事だったが入院生活を余儀なくされた。

この出来事を通じて太一と優希は互いの本心を話し合い、再び「えんぶり」の練習に励むことを決めた。太一は自分のキャラクターを捨て、真実の自分を見つけることを選んだ。また、親方から東日本大震災で友人が亡くなったという事実を知り、彼の分まで練習を頑張ると決意した。

太一は、親方と父親から受けた教え、「みんなが主役だよ」という言葉を胸に刻み、人生で自分がいつも脇役だったという思いを改めることにした。本番を迎えたとき、彼は親方の指揮のもとで、踊り手としての役割を全うした。本物の自分、内村太一としてステージに立ち、練習の成果を披露することができた。彼と優希は、本物の笑顔で踊り、自分たちの気持ちを高く空に向けて放った。まるで春を迎えるような、新たな自分を表現する瞬間だった。
 

「ふたりのえびす」着眼点の例


 
太一も優希も「本当の自分」「自分らしい自分」を表現せずに生活していることに違和感を抱えていました。昨今LGBTの考え方が取り上げられるようになりましたが、これも「自分らしさ」や「本来のその人の性質」を認めることをよしとする社会の流れといえるものです。協調性をもって社会生活を送ることも大切ですが、お互いが個人の特性や性質を認めることもまた大切であり、これは「自分自身」について認めることの大切さにも通じるものです。

「自分らしさ」や「個性の活かし方」、「協調性の大切さ」と「個性の尊重」。このようなテーマで本書のエピソードを引き合いにだしながら、自分の考えを述べてみましょう。「えびす」という役目を与えられた際はその「役割」に徹することも大切・・・という着眼で感想文をまとめるのもよいでしょう。

本書を読むと「自分らしさ」を大切にすることの価値に気づけると思いますが、それを悪く解釈してしまうと「わがまま」を肯定してしまう勘違いに陥ることもあるはずです。その点にスポットを当て「個性や自分らしさを大切にするあまり、それが周囲の迷惑になってしまうようではやはりそれはよくない」・・・という一文を加え「個性や自分らしさ」は「社会性や協調性」の理解とともに認められるべき性質のものだと思いました。・・・とする感想文もよいでしょう。

「本当の友情」とは、本来の自分や良い部分も悪い部分もをさらけ出した関係の中に芽生えるものだと思います。・・・という考えを中心に感想文をまとめるのもよいでしょう。

この本を読む前と、読んだ後で「個性」や「役割」に対して考え方の変化があったことを中心に感想文をまとめるのもよいでしょう。。

個性の尊重や多様性の価値を、日本の「オタク文化」と絡めて感想文をまとめるのもよいでしょう。

「オタク」とは日本語における「二人称」の一つであり、「あなた様は~」や「そちら様は~」と同様に、他人を尊重し遠慮しながら呼ぶ際に用いるのが「オタク様」や「オタク」という二人称なのです。いわゆる「オタク」の人がお互いを「オタクは~」と呼びあうことが多かったためにオタクの人を「オタク」と呼ぶようになったわけです。
つまり「オタク文化」とは「他人を気遣いながら互いの趣味を認めあう文化」なのです。「オタク文化」こそ「個性の尊重」と「他人への配慮」を伴った世界に誇るべき日本のすばらしい文化なのです。

「この本の内容をお父さんに話すと、お父さんは・・・」というように、家族に本の内容を伝えた際のエピソードを加える感想文もよいでしょう。家族の意見を加えることで、意外性のある感想文に進展させることができます。

例)本の内容を父に教えると、父は「世の中がすべて自分と同じ考えの人間ばかりだったら世の中はどうなるか?」と私に質問をしました。そして「人にはそれぞれの個性があって、違う考えや価値観のたくさんあるから、いろんな発想がうまれて世の中の進歩に繋がっているのだ」と教えてくれました。・・・など。

例)本の内容を父に教えると、父は「理想の自分と現実の自分との隔たりが大きいと “現実の自分を周囲に見せられない” とか “恥ずかしい” と思う心理が働くので、気楽な自分ではいられなくなる心理が働くのだ」と言いました。そして「人間はいつも自分の事ばかり考えていて他人の事なんて関心がないから “自分の思う理想の自分” なんて他人にはどうでもいいことだ」ともいいました。

「二人の人間がいて、常に意見が同じなら、そのうち一人はいなくてもいい人間である」という格言がありますが、これは「他人と違う点にこそ、その人の存在価値がある」という内容です。いわば「個性のあることの価値」です。このような「自分らしさや個性の価値を表した格言を引き合いに出し、話を広げるのもよいでしょう。また「この本がきっかけとなり、心に響く名言に出会えた」という展開で、探し出した格言や名言を紹介し、感想を広げるのもよいでしょう。

「この本をきっかけにして、いろいろなことを本を読んでもっと勉強したいと思えるようになりました。」・・・という締めくくり方もよいでしょう。読書の習慣を身に着けるキッカケになったとする感想文は「教育的効果の表れを感じさせる感想文」です。

この本を読んで、物語や経験などを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたことを発表する感想文も素晴らしい着眼です。そして「自分も大人になったら物語や経験を本に書き残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
 
「感想文の広げ方」については、下記のリンク先にまとめてあります。
「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
 

「ふたりのえびす」読書感想文の例【例文】

以下に、読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。

便利な文字数カウンター

「ふたりのえびす」を読んで


※以下の感想文は、動画の「モデル文」を横書きにしたものです。

書き出し
この本の舞台は、青森県八戸市。寒い冬に、春を迎える『八戸えんぶり』と呼ばれる祭が開催される。その祭りで笑いと福を招く「えびす舞」を踊ることになった二人の男の子が主役だ。二人とも、時期は違うけれど八戸に引っ越してきた転校生で、時にぶつかり、それでも一緒にえびす舞を成功させようと猛練習する。「自分らしさとは何か」を考えながら。

主役の紹介
主人公の二人は、一見対称的な人物だ。二年前に引っ越してきた内村太一は、見た目はずんぐりむっくり。おもしろいことを言ってみんなを笑わせるムードメーカー。もう一人の大路優希は、名字をもじって「王子」と呼ばれるほどルックスがよく、女子からモテモテの人気者だ。この二人に共通しているのが、偽りの自分を演じていること”。「本当はこんな自分じゃないんだ」と思いながら、殻を破ろうと祭りの中で笑いを生む「えびす舞」を演じることになる。偽りのムードメーカーを演じていた太一は、不本意ながら取り組むことになり、クールな優希が自分の殻を破ろうと、前向きに取り組んでいく。

印象的な場面と考えたこと
この二人は、時には本気でケンカをして、相手を傷つける。でも、本当に言いたいことが言える相手に巡り会えた。我慢せずに自分を出せる相手を見つけた。僕は、本当に自分のやりたいように振る舞っているだろうか。「親にやれと言われたから」「友だちがやっているから」という理由で、なんとなく周りに合わせていないかを考えた。「みんなに迷惑をかけてもいいから、人の迷惑も受け入れてあげる」という国もあると聞いた。自分を隠している太一と優希は、自分を軸にして生きてないことに不満があったんだと思う。

まとめこれからの自分
僕はもう少し、自分の気持ちをストレートに、時にはわがままに生きてもいいと思った。きっと、「僕らしさ」に共感してくれる人が、これからの人生で大事な存在になっていくと思うし、出会いの幅を広げていけばいい。きっと僕も、ありのままの自分で振る舞っても、受け入れてくれる人と出会えるはずだ。太一や優希が出会ったように。もっと自分を大事にして生きていこう。そう強く感じた一冊だった。
 

キャラと本音「ふたりのえびす」を読んで

※以下の感想文は、動画の感想文を横書きにしたものです。

友情はお互いの性格を受け入れるから強いきずなが出来るのだと思いました。でも受け入れられるのは本当の性格だと思います。キャラで作った性格だと本当の気持ちが見えないので素の部分を知って理解し合えることで強い友情になって、親友と呼べる存在になるのだと私は思っていました。

この本は面白いキャラにしがみつく太一とイケメンだけどイケメンキャラをあえてしない優希。少年二人が郷土芸能八戸えんぶという春をよぶ祭りの中の「えびす舞」という踊りをすることになって二人で必死練習しながら、気持ちをぶつけあい本当の自分を打ち明けて最後には強い友情が生まれる感動する本でした。

東北の青森県の踊りで、動画で調べたら、本当にありました。踊りというと、かっこいいステップをふんでポーズを決めるものだと思っていましたが、えびす舞は少し違います。

派手な格好をしたおじさんが変な踊りながら魚釣りをして、会場の人を笑わせていました。これを演じればお笑いキャラになれると思います。でもイケメンキャラがやったらキャラが崩壊してしまいそうです。だから優希はクラスの女子に止められていたのだと分かりました。ですがイケメンで笑いまで取れたら無敵だと思います。運動神経が良くて頭が良いに匹敵する能力だと思います。はやりの二刀流です。

踊りの親方が「何もやらねで死んじまうよつかずっとい」と言っていました。友人が震災で死んでしまって、やりたいことを聞いていたのに、させてあげられなかったことを後悔していました。自分が死ぬ前にやりたいことって何だろうと考えさせられる言葉です。いつ死んでもいいように後悔しない生き方をするという気持ちは中々受け入れることが出来ない気がします。

だったら逆に死を受け入れないように対策をしたいです。事故に合わないように交通ルールを守ったり、災害に備えて避難場所や数日間の食べ物を取って置いたり家族や友人に災害時になった時の話しをして生きることにしがみ付いていこうと思います。

これからの人生は楽しいことの方が多いはずだと希望を持って、やりたいことやなりたいことを見つけていければいいなと思いました。

本音で分かり合える友達がいることは楽しいことだと思います。私も何か面白いことや、大変なことがあったら、友達に自分にあったことを学校で話したいといつも思います。

友達から色々な話しを聞くことも楽しいです。それが、キャラを演じているかどうかを見抜くのは難しいですが、キャラでも本音でもどっちでも友達を受け入れる気持ちで、きっと、話してくれる友達は受け入れて欲しいと思っているからです。
 

キャラと友達の笑顔

※以下の感想文は、動画の感想文を横書きにしたものです。

自分のキャラを作って生活するなんて、とても大変なことだと思います。自分が思い描いたキャラになりきって自分の性格を作らなければならないのだから、いつも考えながら動かなければならないので、疲れてしまいそうです。だから、僕はいつも通りに生活をしたいです。

いつもの僕は道を歩けば小鳥が肩に止まってさえずりながら歌を歌ってくれます。後ろには可愛い子猫やウサギがついてきて遊んでいます。

そんな訳の分からないキャラどころか、想像上の生き物になってしまいます。生き物というより神に近い存在とでも言いましょうか。意味を間違えてしまいそうです。

この本は無理をして自分に似合わないキャラを演じ続ける太一と素の自分を押し通す優希の友情物語です。

ふたりでお祭りの「えびす舞」を練習してお互いを理解し合ってぶつかり合いながらも素の自分を認め合って友情を深めていく物語です。

友情を深めるには本音を言い合ってこそなんだと感じました。僕も友達に本音で今政治について話し合いたいと思いました。社会問題や思いもよらない話題についても話してみたいです。

この本を読んで 面白いキャラになるには 自分で考えた言葉や 面白い動きをすること で、クラスの人気者になれることが分かりました。
どうやら 僕は面白さについて かん 違いをしていたような気がします。面白い言葉とは、う〇こ、おなら、時々お尻だとぼか 思っていました。これだけ言っておけば間違えない鉄板ネタだと信じていました。

だけど この言葉でウケるのは小学校低学年 までなのではないのかと思ってしまいました。だからみんなは笑顔ではあるけど、昔のように心から笑っていなかったのかと思い知りました。

恥ずかしすぎて逃げ出して、うんこを踏んで滑って転んだらおしりからオナラが出そうです。低学年の子は喜ぶはずです。

踊りの親方との会話で「何もしないで死ぬよりずっといい」と言っていました。津波でやりたいこともできずに死んでしまった人がいたのです。

僕は自分で考えたこと無かったですが、突然の大地震や大雨で町が被災する映像をテレビや動画で見たことがあります。

これが自分にも起こることだと思ったら、変なことばかり言っている場合じゃないと分かりました。

死ぬ前に親を喜ばせたいので、学校から帰ったら直ぐに勉強をしようと思っただけで、本当は一日中ゲームを見てゴロゴロしたいです。

あとは友達と自車でどこまで行けるかチャレンジとかもいいと思いました。
 


髙森美由紀 作 フレーベル館 1,540円 (税込み)
237ページ


 

・自分を認めることは他人を認めることにも通じる
・「二人の人間がいて常に意見が同じならそのうち一人はいなくてもいい人間である」
・他人と違うこと(個性の存在)こそがその人の存在意義である

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2023年の小学校高学年(5,6年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2022課題図書

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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