「ラブカは静かに弓を持つ」読書感想文の書き方【例文つき】

2023年の課題図書対策!

こちらでは「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」高校の部
『ラブカは静かに弓を持つ』の「あらすじ」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、高校生が2000字で読書感想文を書くための内容になります。


安壇美緒 著 集英社 1,760円 (税込み)
312ページ

 

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「ラブカは静かに弓を持つ」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「ラブカは静かに弓を持つ」あらすじ

【2023年本屋大賞ノミネート】【第25回大藪春彦賞受賞】【第6回未来屋小説大賞第1位】【第44回吉川英治文学新人賞ノミネート】

この物語は、2017年、ヤマハらがJASRAC(日本音楽著作権協会)を相手取り、音楽教室での演奏については著作権料を徴収する権利がないとして訴訟を起こした出来事をモチーフにしている。審理中の2019年に、一般客を装って覆面ふくめん調査を行ったJASRAC職員が裁判で証言したことも話題となった。

 

(ネタばれ注意)

主人公の橘は音楽著作権連盟に務めている25歳の青年です。ある日、音楽教室で著作権が切れていない50年以内に作成された曲を練習している様子をこっそりペン型録音機に保存して裁判で有利になるように備えるというスパイ行為のミッションを与えられます。

音楽教室で演奏される曲にも著作権料金を支払うべきなので、実際に音楽教室で著作権が発生する音楽を教材として使用されていないかを確認するために、生徒として2年間の潜入調査を任命され、音楽教室へ週に一回通い始めることになったのです。

橘は5歳から13歳までチェロを習っていた経験があり、音楽教室の上級コースを受講します。そこの講師が2歳年上の浅葉桜太郎です。

橘は、中学1年生のチェロ教室の帰りに誘拐未遂にあい、チェロを辞めていた経緯があります。その時のトラウマが原因で人間不信になり、社交性に乏しい性格になっています。睡眠もなかなかできなく、病院で睡眠薬を処方してもらっている程です。

音楽教室の浅葉先生と仲良くなった橘は、飲み会に誘われます。その飲み会の参加者は、浅葉先生の生徒が先生を慕って集まっていました。橘は、同じ楽器と、同じ先生で教わっているという共通の環境にいる年齢も性別も異なる人達と打ち解けて、素直な自分を出すことできるのです。ここで、橘は芸能人に間違えられるほどのイケメンであることが分かります。

音楽教室のコミュニティを得た橘は、昔のトラウマも薄れ、精神状態もよくなります。音楽を奏でる趣味と、良い人間関係から橘の体調も改善されるのです。

橘は結局2年間のスパイ活動をやり抜きます。しかし、浅葉先生が人生を賭けた大事なコンクールに挑む時期と裁判をする時期が重なることが分かった橘は、2年間貯めた情報を会社の記録媒体の全てを消去するのです。ここはパスワードの解析などあり、スリルを感じる場面です。

しかし、橘の会社は他にもスパイを送り込んでいたため、他の人の集めた証拠から著作権を訴える裁判をされます。

バレないように教室を辞める橘は、こともあろうにお別れの挨拶の際に社章を落としてしまい、身元がバレて、今まで録音していたことも白状してしまいます。

有名チェロリストの小野瀬晃のコンサートに行った橘は、自分から絶縁した教室仲間と偶然に会い、そこで、皆が「勝手に絶縁するな」と言っていることを知ります。勇気をふり絞って、またいつも皆が集まるお店に行き浅葉先生にも謝ることが叶います。

音楽著作権連盟を辞めた橘は、また浅葉先生の教室に通うことを決める・・・。

——どんなに深くて暗い深海にあっても、希望という名のかすかな光は確かに存在している。著者は、スパイものを軸にチェロの美しい音色、トラウマを抱える青年の心理描写、信頼と希望などといったさまざまな要素を緻密に織り込み、極上のエンターテインメント作品へと昇華させた。読了後、深い感動と余韻が心に響き渡る名作!
 

「ラブカは静かに弓を持つ」着眼点の例


 
数ある本の中から、どうしてこの本を選んだのかを説明するところから書き出すのも良いでしょう。
読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)

「信頼とはどういうものか」本書を読みこの点について考えさせられたことをまとめるのが直球的な感想文になります。橘は浅葉や生徒たちを騙している立場であり、些細なきっかけでそのことがいつバレてもおかしくはない状況にいます。橘は次第に、じわじわと罪悪感に苛まれていきます。

「正義」と「信頼」「立場」について感じたことを感想文の中心にするのもよいでしょう。

ある日、橘は他の生徒たちと、メンバーの一人が経営するレストランで小さな演奏会を行う企画に加わる。みんなで集まって演奏曲を決めている時、橘はふと、全著連への楽曲の申請が必要になると発言する。料理や飲み物を有料で提供するレストランで演奏する場合、営利目的の楽曲使用になるため、著作権管理団体への申請が必要なのだ。しかし、他の生徒たちは「この規模のイベントじゃ必要ないでしょ」「そんな申請なんてみんなやってるのかしら」などと疑問を呈する。それを聞いた橘は、なぜ楽曲の申請と著作権使用料の支払いが必要かという熱弁を奮ってしまう。・・・この場面を紹介しながら「正義」と「信頼」「立場」について考えを述べるのもよいでしょう。

本来的には、辛いはずの「スパイ行為」ですが、それを可能にしているのが「立場」といった「理由」の存在です。その点にスポットを当て「理由を与えられた人間は何でもできてしまう恐ろしい一面がある」という発見をした・・とする感想文もよいでしょう。戦争という「理由付け」があると殺人でもできてしまうのが人間です。「〇〇だから」を与えることで脳はメンタルブロックを外してしまう性質があるのです。そして「信頼」を長続きさせるためには「行動と理由とを客観視できるようにすることが大切なのではないか」と思うようになった。・・・というまとめ方もよいでしょう。

そのような橘も、過去の「トラウマ」に苦しめられています。つまり過去にとらわれ道が開かない状態の人間でもあるわけです。その点に注目し、人間のメンタルブロックを開放する「理由づけ」と、行動にメンタルブロックをかけてしまう「トラウマ」について考えたことを述べる感想文もよいでしょう。

「……よく話してくれましたね。信用してくれてありがとうございます」・・過去のトラウマから、他人を信頼できないでいた主人公でしたが、自分のことを医師に打ち明けた際、医師から返ってきたこの言葉を聞いたその瞬間「ぱっと視界が大きく開けて、目に映るすべてのものが手前にせり出してきたかのような、稀有な感覚に包まれた。それは覚えのない感覚で、世界に劇的な広がりを与えた。」・・・と心境がつづられています。この医師の言葉がトラウマから解放される切っ掛けになったといえるでしょう。この点に注目し「言葉には人を変える力があるという発見をした」とつなげる感想文もよいでしょう。また、人とのつながりを得るためには「こちらが心を開く必要がある」ことをこの場面は伝えていたのではないか、とする感想文もよいでしょう。

大人にとっての習い事とは何か、何のために学んでいるのかについての考えを中心に感想文を書くのもよいでしょう。

この点に関し著者は「大人の習い事って、私はもっと身近なものになってもいいと思ってるんです。社会人が仕事に忙殺されて、それを繰り返しているうちに人生が終わってもいいのか。それは私たち個人が悪いのではなく、社会が悪いと思うんです。人生と労働が直結されすぎているけど、もっと生活以外の大事なものに目を向けられるような社会であってほしい。全然上達しなくてもいい、やりたいからやっている、楽しいからやる、といったことだけでいい、そういうのがあるかないかで充実感とか満足度も変わってくると思うんですよね」・・と語っています。(引用元book.asahi.com

 
登場人物の立場やキャラクター設定について、感じたことやそのような設定にした理由について、自分の考えを述べる感想文もよいでしょう。また「もし、主人公の橘がトラウマを抱えていなかったら・・」など、その設定を変えた場合、物語はどうなっていたかなど「本来のキャラクターと自分の設定したキャラクターとの比較」をする感想文もユニークです。

タイトルについて触れる感想文もよいでしょう。「もし自分がこの本のタイトルをつけるなら・・」や「もしサブタイトルをつけるなら・・」など。

タイトルに使われている「ラブカ」とは、深海ザメの一種。妊娠期間が3年半という特徴を持ち、潜伏先で息を潜めて過ごすスパイのイメージに重なったという。実はこれも、担当編集者と物語の構想について電話でやりとりしているときに、手元にお菓子の「おっとっと」があり、それがたまたま期間限定「深海生物AR」シリーズで、ラブカもその中にいたという。「音楽、スパイ、ラブカなど、いろんな要素が5日以内に次々と出てきて、うまくまとまりました。たまたまいい風が吹いていたのかもしれません」・・と著者は語っています。(引用元book.asahi.com

 
「私の父はよく・・」や「本を読み終え、本の内容を父に話すと、父は・・」というように、家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、感想文をユニークな展開にできたり、本の内容を超えた個性的な展開にすることができます。

例)私の父はよく「本の価値はその本の内容自体より、むしろ何かを調べるためのキッカケを得られることにある」と言っているのだが、この本は私に、著作権の切れた作品を二次利用する方法を研究するキッカケをくれた。その意味で本書は、父の基準でいう「価値のある本」だったというわけだ。・・・など。

例)本を読み終え、この本の内容を父に話すと、父は「法律は小事に関与せず」という金言があることを聞かせてくれたのだが、私はその話を聞き、音楽教室の練習において著作権主張するのは行き過ぎではないかと感じた・・・など。

・・・これらの中からいくつかを取り上げ「過去の思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。
 

—–文字数を増やすために———

本書を通じ、著者はおそらく本来的には「信頼とは何か」をテーマにこの本を書いたのだと思う。しかし、どういうわけか私の場合、むしろ・・・という展開にすることで、多くの人とは異なる視点から「意外性のある感想文」にすることができます。

この本をきっかけに、私はもっと物語を読んで人生の疑似体験をしなければならないと思うようになった。・・・というまとめ方もよいでしょう。読書の大切さに気づいたとする感想は「教育的効果の表れを感じさせる感想文」であり、また どの本の感想文にも使える話の広げ方 です。

この本を読んで、物語や知識などを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたとする感想は どの本の感想文にも使える話の広げ方 の一例です。そして「自分も大人になったら物語や経験を本に書き残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
 

このようにどの本の感想文にも使える「話の広げ方」については、下記のリンク先にまとめてあります。
「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」

 

学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
 

「ラブカは静かに弓を持つ」読書感想文の例【例文】

以下に、読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。

便利な文字数カウンター

「ラブカは静かに弓を持つ」を読んで①

※以下の感想文は動画の感想文を横書きにしたものです。

主人公の橘はスパイです。スパイ小説ですが、カーチェイスも、銃撃戦も、肉弾戦のバトルもありません。心温まる物語です。

橘は音楽著作権連盟に務めている25歳の青年です。音楽教室で演奏される曲にも著作権料金を支払うべきなので、実際に音楽教室で著作権が発生する音楽を教材として使用されていないかを確認するために、生徒として2年間の潜入調査を会社から極秘に任命され、音楽教室へ週に一回通い始めます。

橘は5歳から13歳までチェロを習っていた経験があり、音楽教室の上級コースを受講します。そこの講師が2歳年上の浅葉桜太郎です。

スパイと言えば、凶悪犯罪組織や、国家を揺るがす闇の団体などが、映画やアニメなどでは世の常だと感じていました。しかし、この本は音楽教室で、著作権が切れていない50年以内に作成された曲を練習している様子をこっそりペン型録音機に保存して裁判で有利になるように備える。というミッションです。もちろん、世界を救いません。むしろ、そこで演奏する曲に、お金を払わなければいけないということが驚きです。自転車に乗りながら熱唱している人を時々遭遇しますが、その場に橘がいたら、猛ダッシュして金払えと言って、追いかけてくるのではないかと、おののいてしまいます。

橘は、中学1年生のチェロ教室の帰りに誘拐未遂にあい、チェロを辞めていた経緯があります。その時のトラウマが原因で人間不信になり、社交性に乏しい性格になっています。睡眠もなかなかできなく、病院で睡眠薬を処方してもらっている程です。

私は、いつも眠りたがりです。特にお昼ご飯を食べた後は制御不能な程眠くなります。闇の組織が私のご飯に強力な睡眠薬を入れているのではないかと錯覚するくらい眠くなります。しかし、橘は睡眠薬を飲まなければ、寝れないとは、そんな大変な精神状態の気持ちが分かりません。眠りたくても寝れないのは凄いく辛いことなのだと感じます。私の睡魔を分けてあげたいです。

音楽教室の浅葉先生と仲良くなった橘は、飲み会に誘われます。その飲み会の参加者は、浅葉先生の生徒が先生を慕って集まっていました。橘は、同じ楽器と、同じ先生で教わっているという共通の環境にいる年齢も性別も異なる人達と打ち解けて、素直な自分を出すこともできるのです。ここで、橘は芸能人に間違えられるほどのイケメンであることが分かります。楽器が上手なイケメンとは無敵ではないか。イケメンに一つの特技を与えれば無敵の方程式が分かりました。ここではイケメン×チェロ×スパイです。その他には、イケメン×あやとり×射撃精度もありますが、この場合、イケメンを外すとのび太になります。

音楽教室のコミュニティを得た橘は、昔のトラウマも薄れ、精神状態もよくなります。音楽を奏でる趣味と、良い人間関係から橘の体調も改善されるのです。

私はスパイ活動を辞めて欲しいと願いながら読みましたが、橘はスパイをやり抜こうとします。結局2年間のスパイ活動をやり抜きます。しかし、浅葉先生が人生を賭けた大事なコンクールに挑む時期と裁判をする時期が重なることが分かった橘は、2年間貯めた情報を会社の記録媒体全てを消去するのです。ここはパスワードの解析などあり、ドキドキしました。これで、裁判になることは無く、この人間関係を保てると安心しました。

しかし、橘の会社は他にもスパイを送り込んでいて、他の人の証拠で著作権を訴える裁判をおこすのです。ただ、他の人なので橘と浅葉先生は直接関係なくなります。バレないように教室を辞める橘は、こともあろうにお別れの挨拶の際に社章を落としてしまい、身元がバレて、今まで録音していたことも白状してしまいます。ドジ過ぎます。凄くいい関係だったのに、ケンカ別れしてしまうのだからショックが大きかったです。

有名チェロリストの小野瀬晃のコンサートに行った橘は、自分から絶縁した教室仲間と偶然に会い、そこで、皆が勝手に絶縁するなと言っていることを知ります。勇気をふり絞って、またいつも皆が集まるお店に行き浅葉先生にも謝ることができるのです。

会社を辞めた橘は、また浅葉先生の教室に通うことができ、二人の絆が深くなったように感じました。

小野瀬晃の曲を聴きたくなって、小説にでる映画や、主題歌の曲を検索しましたが、架空の人だったので驚きました。本の説明だと誰もが聴いたことあるような、坂本龍一の曲のようなイメージでした。

師弟愛が分かりました。最後まで橘が浅葉先生の裁判用データを消したことを言わないところの性格もイケメンだと感じました。
 

 
 
「ラブカは静かに弓を持つ」を読んで②
 
みなさんは、物語や音楽に感動した経験はありますか?また、それらによって、自分の心がどのように揺さぶられ、コントロールされているかを考えたことはありますか?正直に言うと、私は「ラブカは静かに弓を持つ」を読むまで、そのような高度な問いが浮かんだことはありませんでした。しかし、この作品を読み、私にとっては珍しいそのような問いが頭に浮かぶこととなりました。

この物語は、25歳の男性・橘が音楽著作権連盟に所属し、音楽教室で著作権違反がないかを調査するためにスパイとして潜入するという話で、潜入先の音楽教室での先生との信頼が徐々に深まるなか、任務としてのスパイ行為をしなければならないという葛藤に苦しむ様子や、信頼していた先生への裏切りやその後の仲直りする様子などが、巧みな心理描写などとともに描かれた物語でした。

私はこの物語を読み、スパイとしての橘の心理状態の描写や、物語の展開に感動しました。しかし、それ以上に「物語」と、この作品のテーマの一つである「音楽」との共通点に気づき、さらに、そこから派生して気づいた二つの大発見が、私にとっての最大の収穫となりました。私は物語を読むことも音楽を聴くことも好きなので、たまたまこの発見ができたのかもしれません。

物語と音楽は、一見、全く異なるもののように思えますが、実は「特定の感情を作るための創作物」という点では共通しています。また、効果的に特定の感情を作り出すためには、順序立て、つまり並べ方や構成が重要なところも共通している部分です。物語は「知識の提供順序」、音楽は「音の配列」で、この構成の違いにより私たちの感情の変化も変わるわけです。

ここで注意すべきは、物語や音楽がしばしばマインドコントロールの道具として悪用されるということです。例えば、悪徳宗教団体などが「作り話」や「宗教的な音楽」を利用して信者を操ることはよく知られたことです。よって、それと同じような状態にならないように、読書や音楽に触れて「感動した」という場合も、ただ「感動した」と喜ぶだけでなく、「感動させられた」という捉え方も必要だということです。作品という「作り話」や「曲」によって、私たちは意図的に「心をコントロールされた状態」になっているからです。

この本を読み、私は感動しました。しかし、それは著者に「感動させられた」という状態でもあったのです。この発見を通じて、私はこれからは物語を読んだり音楽を聴く際は「作品によって心をコントロールされない自分」を作るトレーニングを兼ねた読書をすることを決めました。

そして、この作品から得たもう一つの発見は「人間の行動と理由の関係」についてです。橘のスパイとしての生活は、本来的には辛いはずです。しかし、彼がそれを可能にしているのは、音楽著作権連盟の職員であるという「立場」の存在、言い換えれば「理由」の存在です。つまり「理由を与えられた人間は何でもできてしまう恐ろしい一面がある」ということです。

考えてみてください。戦争という「理由付け」があると、人間は人殺しですらやれてしまうのです。「〇〇だから」という理由があれば、私たちの脳はメンタルブロックをいとも簡単に外してしまえる性質があるのです。

「手術のためだから」といって外科医は他人の体にメスを刺せるようになります。「ボクシングの練習だから」という理由があれば、人は当たり前に他人の顔をなぐれるようになります。「銭湯だから」という理由があれば日本人はその瞬間から人前で裸になれます。また、これからの日本はおそらく「食糧難だから」という理由づけで昆虫を平気で食器の上に置けるようになるでしょう。

そういう例を意識できるようになったために、私は、人間の行動とそれにゴーサインを出させる「理由づけ」を冷静に客観視することが大切だと分かったのです。

著者はおそらく、この「ラブカは静かに弓を持つ」という作品を通じ、本来的には読者に「信頼とは何か」や「法律やルールと人間関係のありかた」などをテーマにこの作品を書いたのだと思います。しかし、私にとって本作は「物語や音楽の持つ感情操作の力」や、「人間のメンタルブロックを開放する理由づけの恐ろしさ」に気づかせる切っ掛けをくれた記念すべき本という位置づけになりました。

現代に生きる私たちは、常に外からの情報にさらされ、心を動かされ、行動をコントロールされる環境にいます。しかし、それらの背後にある真実に気付き、防御できる考え方を身に着けることで、自分自身を保つようにしなければなりません。

この作品を読んだことで、私は感動とともに自分自身と他者、そして情報の溢れる現代社会での生き方を見つめ直すことができました。また「信頼」とは「コントロールされる、されない」といった心配や駆け引きのない人間関係のことではないかとも思うようになりました。このような大きな気づきを私に与えてくれた本書の著者には最大限の敬意と感謝の気持ちを送りたいと思います。
  


 

・法は小事に関与せず(格言)
・時代の変化とともに正義は変わる
・信頼は証拠不要、信用は実績による
・信頼されるに値する人であれ

 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2023年の高校生用の課題図書は次の3冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2022課題図書

2021課題図書

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 

また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。(気になる審査基準も掲載!)

読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

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