「ゆりの木荘の子どもたち」読書感想文の書き方【例文3作品】

2021年の課題図書対策!

こちらでは「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校「中学年」の部(3、4年生用)
『ゆりの木荘の子どもたち』の「あらすじ(内容)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。

※おもに、小学生が1200字で読書感想文を書くための「書き方を教える大人むけの内容」になります。

「ゆりの木荘の子どもたち」
発売日:2020年04月15日頃
著者/編集:富安 陽子, 佐竹 美保
出版社:講談社
ページ数:130p
価格: 1,155円

~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆりの木荘の子どもたち」あらすじ
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【3作品】
他の課題図書&過去の入賞作品

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「ゆりの木荘の子どもたち」あらすじ

ネタバレ注意

物語の舞台は、100年以上も前に建てられた洋館の「ゆりの木荘」。今は改装されて「有料老人ホームゆりの木荘」になっている。

玄関ホールにある大きな振り子時計だけが昔のまま残されて動いていた。

この老人ホームの住人であるサクラさんが「手まり歌」を思い出しながら最後まで歌い終えた時、振り子時計の針が逆回りしはじめ、七十七年前に戻ってしまう。

そこには、姿は子供に戻ってしまった四人のお婆さんと二人のお爺さんが、昭和十六年八月三日の午後五時で時間が止まった世界にいることに気づく。

どうやって今の時代に戻ればいいか・・・

七十七年前に戻ってしまったのは、ゆりの木荘に閉じ込められていた「座敷童」との約束。その座敷童がみんなを呼び寄せたのでした。

実は、この家を建てたカズミちゃんのひいおじいさんが「幸運がずっと続くように」と風水や魔法で座敷童が出ていけないように閉じ込めていていたものを、サクラさんとカズミちゃんは「逃がしてあげよう」と約束していたのです。

座敷童を逃がすには、ある条件があったのですが、その条件とは座敷童の名前を呼ぶこと。

座敷童の名前のヒントは、わらべ歌とカレンダーの毎月の5日につけられた丸印にありました。

そんな時、ふと、スギタさんは「ヤマフジミヨコさんはまだ76歳!」と気づき、モリノさんも「ヤマフジさんはここにいるはずない!」と。ヤマフジさんだと思っていた一番小さな女の子は座敷童だったのです。

(本の表紙にも女の子は3人しか描かれていませんね)

謎解きをに成功したみんなは、座敷童を自由にしてあげることができました。

その結果、みんなも無事に今の世界に戻ることができました。めでたしめでたし・・・
 

「ゆりの木荘の子どもたち」着眼点の例

     
    以下のような着眼点を参考に感想をまとめてみるとよいでしょう。

    作者はこの本を通じて、読者にどのようなメッセージを伝えたかったのでしょうか?自分の考えを感想文の中で発表してみましょう。

    このお話が、よくあるタイムスリップの話と異なる点は、歳が若くなっている点です。また、歳は若くなっていますが、記憶は元のままというところも面白い点です。それらについて感じたことを感想文の中に書いてみるのも良いでしょう。

    もし、自分のお爺ちゃんや、お婆ちゃんが、この本のサクラさんたちのように、時間を超えて子供に戻ったとしたら・・・と想像し、どんな話をしたいか考えてみた、という内容で書き進めるのもよいでしょう。

    大人やお年寄りを見た場合、なんとなく子供の時代があったことを想像するのは難しいですが、この本を読んで大人やお年寄りも、自分たちと同じような「子供時代」があったことを感じれるようになり、今まで以上に大人やお年寄りにいろいろ尋ねてみたくなった・・・という内容から話を広げてみるのも良いでしょう。

    スギノさんやモリノさんが、77年前にはヤマフジさんはまだ生まれていないことに気づいたことを知って、表紙のイラストに女の子が3人しか描いていない理由が分かった、という内容を感想文に入れるのも良いでしょう。

    この本から何を学んだか?教訓になった部分を抜き出し、どうしてその部分が勉強になったかを伝える感想文にするのもよいでしょう。

    無事に元の時代に戻れた後、サクラさんは「また戻りたい気もする…あのまま止まった時間の中にいるのも悪くないかも?」というとモリノさんはきっぱりと「いくつになっても、年をとっても、人間は前に進まなくちゃいけないのよ。ひとところにじっとしてるなんて、たいくつなだけよ」と言いましたが、モリノさんのこの考え方についてどう感じたか、またその理由を考え、感想文の中で述べてみましょう。

    現実の世界では過去に戻ることはできません。そのためモリノさんのこの言葉こそ著者の伝えたかったメッセージが込められているのではないでしょうか?

    ※死ぬ前に後悔する人生とは「やって失敗した人生」ではなく「何かをやらずに終えてしまった人生」です。「失敗する自分」以上に「チャレンジせずに終える自分」を心配しましょう・・というような発見があったことを子供の言葉で書くのもよいでしょう。モリノさんの「前に進まなくちゃいけないのよ」の力強い言葉は、そのような意味を含んでいるような気がしましたという感想もよいでしょう。

    モリノさんのこの「いくつになっても、年をとっても、人間は前に進まなくちゃいけないのよ」のメッセージは『鬼滅の刃 無限列車編』で、煉獄杏寿郎が炭治郎へ送った最後のメッセージとほぼ同じ内容です。その点に気づいたことを感想文の中で発表するのもよいでしょう。そして「過去に戻れない現実世界では、過去にとらわれずに、しっかり前を向いて生きることが大切なのだ」という煉獄さんと同じメッセージを著者は伝えようとしていたのではないか・・という感想にするのもよいでしょう。

    cf.煉獄さんの言葉:「胸を張って生きろ 己の弱さや不甲斐なさに どれだけ打ちのめされようと 心を燃やせ 歯を喰いしばって 前を向け 君が足を止めて 踞(うずくま)っても 時間の流れは止まってくれない 共に寄り添って悲しんではくれない」・・・このメッセージは、人生の構成要素の一つである「時間」についての大きな学びになるものです。

    もし魔法の言葉が見つからなかったら六人はどうなっていたでしょう?また、もしこの話に続きがあるなら・・・と空想した話を感想文の中で紹介するのもよいでしょう。

    「時間」「年齢」「約束」「時計」「座敷童」「魔法の言葉」「戦争」など、この物語にでてくる言葉に注目し「この本を読んでいる途中で、ふと○○という言葉が気になりました。そのため○○についてちょっと考えてみました。すると・・・」というように、自分が興味をそそられた「単語」に注目し、深堀して感想を広げるのもよいでしょう。

    「この本の内容を○○に話してみると・・」という展開で、「家族の反応や助言などを紹介する」感想文もよいでしょう。自分の知識以上の内容に感想文の内容を高めるテクニックの一つです。

    ※例えば「お父さんにこの本の話を教えてあげると、お父さんは『人生は、時間・記憶・体の三大要素から成り立っているから、この本はその要素の全部が入っているため面白かったんだよ』と教えてくれました。そのため、私はこの本がきっかけで「時間」や「記憶」や「体」という人生の構成要素ついて今までより意識しながら生活するようにしたいと思うようになりました。」・・・というような展開にすれば、子供目線からだけでは語れない高度な内容の感想に発展させることができます。(笑)

    ・・・とまあ、以上が管理人の私からの感想ポイントの例でした。

 
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。

つまり、教育機関からの課題としての感想文は・・

感想文を書きなさい=どのような学びが得られたかを書きなさい

 
・・の意味だからです。そのような方向性(どのようなことが勉強になったか)を意識して、伝える内容や構成を考えてみましょう。

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「ゆりの木荘の子どもたち」読書感想文の例文【3作品】

以下に3作品をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」「着眼点」の参考にしていただければと思います。小学生ではまだ習っていない漢字も含まれているため、その部分も平仮名に直したあとの文字数で、規定の文字数に合わせてください。(小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内)

便利な文字数カウンター

「ゆりの木荘の子どもたち」を読んで①

感想文の宿題が出たとき、私は課題図書の中から、お婆さんたちが子供のころに戻る、この『ゆりの木荘の子どもたち』を読んでみることにしました。

なぜこの本を選んだかというと、私はタイムスリップの物語が大好きだからです。そのため、おそらく『ゆりの木荘の子どもたち』も面白いだろうと思い、この本に決めました。読み終えると、やはり予想は正しく、これまでにない不思議な気持ちになりました。

なぜなら、これまでのタイムスリップの話と違い、登場人物の体まで子供になるストーリーだったからです。

物語の内容は、老人ホームに閉じ込められている座敷童との七十七年前の約束を果たすために、老人ホームの住人である、お婆さんやお爺さんが、昔の世界に戻り、約束を果たして戻ってくるというものでしたが、私は物語の内容より、子供のころに今の気持ちの状態で戻ったなら、自分の場合、どんな風になるだろうと、いろいろ想像するきっかけになったことが読んで嬉しく感じた点です。

もし、今の知識で何年か前に戻れたなら、きっとその年齢にしては勉強ができる子と思われるに違いとか、これから起こることを当てることもできそうだとか、いろいろ考えられたのが面白かったです。

しかし、何度か読み返しているうちに、とても重要なことに気が付き、喜んではいられなくなりました。

それは、物語の最後の方で、みんなが今の時代に戻れた後、登場人物の一人であるサクラさんが「また戻りたい気もする…あのまま止まった時間の中にいるのも悪くないかも?」と話した際、それに対して、別のモリノさんというお婆さんが、「いくつになっても、年をとっても、人間は前に進まなくちゃいけないのよ。ひとところにじっとしてるなんて、たいくつなだけよ」と言い返した部分を深く考えたためです。

なぜ、この部分をよく読んだら、喜べなくなったかというと、モリノさんは私やサクラさんと違い、とても現実的な考え方をしていたからです。モリノさんの考え方は初め、厳しくて、しかも、つまらない考え方のように思えたのですが、よく考えてみると、昔に戻るということ自体、現実では無理なことであり、あくまで、この「作り話」の中の話だと気が付いたからです。

つまり、モリノさんのような現実的な考え方ができないでいると、いつまでたっても空想で遊んでばかりで「時間の無駄」のような考え方を続けてしまう大人に、自分がなってしまうかもしれないと気づいたため、急に喜べなくなったのです。

私が、タイムスリップの物語が好きなのは、時間の自由が効かない「現実」から逃げようとする気持ちが原因だったのかもしれません。そのためこれからは、モリノさんのように、現実の中で強く前に進んでいくための考え方のできる人間にならなければと反省させられました。
 

「ゆりの木荘の子どもたち」を読んで②
 
4人のお婆さんと、2人のお爺さんで合計6人。なのに表紙には子供に戻った5人の姿しか描かれていない・・・。僕はこの本を途中まで読んでそのことを不思議に思いました。しかし、最後まで読むと、それが「わざと」5人の姿しか描かなかったのだと分かりました。

この本は、名探偵コナンのように推理が書かれている本だったので、とても面白く読むことができました。また、座敷童という妖怪も登場するし、タイムスリップもするし、体も77年も若くなるという面白要素が満載の内容でした。

僕が特に印象に残った部分は「ゆりの木荘」に住んでいる4人のお婆さんのうち、77年前には生まれていないはずのヤマフジさんだと思っていた女の子の正体に気づいた場面です。「77年前にはヤマフジさんはうまれていない」と分かった場面のことを想像すると、とても恐怖のような気持ちになるに違いないと思ったからです。

また、登場するお年寄りが、子供に戻っている場面を読んだとき、僕のお爺ちゃんやお婆ちゃんが、もし子供に戻ったなら、どんな感じだったろうと想像してしまったことも、この本を読んだから思えた空想で、うれしかったです。

僕は、この面白要素満載の本を読んで、作者の先生は、どのような目的でこの本を書いたのかを考えてみました。

僕が思ったことは「今子供でいても、だれもがこの本のお爺ちゃんやお婆ちゃんのように歳をとってしまうのだから、やりたいことはやれるうちにしておきなさい」というようなことを伝えたくて、この本を書いたのだと思いました。

なぜなら、この本のように、子供のころの姿と、歳をとってからの姿の両方を見せなければ、人間が歳をとることを理解させにくいため、タイムトラベルのできるこの本のような内容にして、同じ人間の子供時代と、老人時代を比較できるようにしたのだと思ったからです。

僕は子供のころ、病気にかかり、2カ月近くベットから出られずにいたことがあるのですが、その時「体が元気なら、あれもできたし、これもできたし、そんなことも、あんなこともできたし・・」と思いました。その経験をした際、発見したことは「健康なら何でもできる」であり、また「なんでもできるなら、それは神様と同じじゃないか」というものでした。

そのため、この本の作者の先生も、僕たちに、体の動く若いうちの時間をありがたく思うように、お年寄り時代と、子供時代を比較させる、この作品を書いたのだと思ったのです。

僕はこの本を読んで、病気でベットから移動できなかったころのことを思い出すことができ、改めて体の動くことのありがたさを感じることができました。
 

「ゆりの木荘の子どもたち」を読んで③

読書感想文の宿題が出たことをお父さんに教えると、お父さんは課題図書の4冊すべてを買ってくれました。そして「一番印象に残った本の感想文をかいてみなさい」といいました。そのため私は一番印象に残った、この『ゆりの木荘の子どもたち』で感想文を書くことに決めました。

この本は、有料老人ホーム「ゆりの木荘」に住むお年寄りたちが、その家に閉じ込められた座敷童を救うために、77年前にタイムスリップするお話です。

私がなぜ、この本が印象に残ったかというと、本を読み終えたあと、物語の内容をお父さんに話したのですが、その時、お父さんから大切なことを教えてもらえたからです。お父さんは、私が読んだ4冊全部の本で、いろいろな話を聞かせてくれたのですが、特にこの本の感想を話した時に聞かせてもらえた話が印象に残ったのです。

私にとっては、この本の内容より、お父さんに教えてもらった話の方がスゴイと思ったのですが、その話を聞けたのも、この本を読んだためなので、切っ掛けをくれた、この本には感謝したいと思いました。

この本は、お年寄りたちが昔に戻る話であり、それだけでもSFのジャンルと分かるのですが、それに加えて、風水や魔法で座敷童が出ていけないように閉じ込めている設定や、知識は今のままで体だけ77年前に戻っていること、また、座敷童を自由にするためには「謎解き」が必要となるなど、さまざまな面白設定がちりばめられていて、私を物語にグイグイ引き込んでくれました。

そのため、私はお父さんに「この物語は、面白い設定がたくさんちりばめられているから良かったんだよね」といったのですが、その際、お父さんは「おそらく人生の構成要素の時間・記憶・体の三要素の全部を刺激する内容だったから面白かったんだと思うよ」と答えてくれました。

私はその時、人生の構成要素なんて難しいことを考えたことがなかったので、お父さんにいろいろ尋ねてみると、お父さんは「時間と記憶それと体の3つについて注意して良いものを取り入れて、良い習慣を身に着けることが、この本が良かったように人生を良くするためには重要なんだ」とも教えてくれました。

その時、私はまるで「人生の成功の秘訣」を聞けたようで、ものすごいショックを受けました。そして、なんだかとても賢くなったような気になったのです。もちろんすぐに賢くなるわけはありませんし、たくさん勉強をして、生活の中でそれらを意識することを続けなければならないことも分かっていますが、なんだかとても大切なことを教えてもらったようで、嬉しくなったのです。

物語はハッピーエンドを迎えられ、無事に全員もとの世界にもどれて良かったのですが、この本を読んだ私は、今までより明るい世界の扉を開かせてもらえたような、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
 


 

現実の世界では過去に戻ることはできません。前に進むことを意識しましょう。死ぬ前に後悔する人生とは「やって失敗した人生」ではなく「何かをやらずに終えた人生」です。「失敗する自分」以上に「チャレンジせずに終える自分」を心配しましょう。
 

用紙・字数のルール その他

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
 

他の課題図書&過去の入賞作品

2021年の小学校中学年(3、4年生)用の課題図書は次の4冊です。
クリックすると解説ページが開きます。

過去の課題図書の紹介

過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。

2020課題図書
 
2019課題図書

2018課題図書

2017課題図書

2016課題図書
 
 
また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
 

【最重要ページ】感想文を書くにあたっての「コツ」「構成」「話の広げ方」などの詳細は下記のページに掲載しています。中高生向けですが、小学生に書き方を教えるご家族にも参考になる内容ですので、ぜひ一読ください。(気になる審査基準も掲載!)


読書感想文の書き方のコツ
(テンプレートつき)

書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。

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