「人がつくった川・荒川」読書感想文の書き方【例文つき】
2023年の課題図書対策!
こちらでは「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部
『人がつくった川・荒川』の「あらすじ(概要)」や「着眼点のポイント」、そして「感想文の書き方の例文」などをご紹介いたします。
※おもに、中学生が2000字で読書感想文を書くための内容になります。
長谷川敦 著 旬報社 1,760円 (税込み)
200ページ
~~目次~~~~~~~~~~~~~~~
「人がつくった川・荒川」あらすじ(概要)
ここがポイント!着眼点の例
読書感想文の例【例文】
他の課題図書&過去の入賞作品
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「人がつくった川・荒川」あらすじ(概要)
東京都心を流れ、流域に約1000万人が暮らす荒川の歴史と、その変遷を詳しく探求する一冊です。多くの人々が知らないかもしれませんが、荒川は人間の手によって形成された川です。
荒川の変化がもたらした影響は大きく、かつて「荒ぶる川=荒川」の流れを人の手で変えたことで、江戸(現在の東京)の繁栄が生まれたことに驚くでしょう。
本書は、荒川が地域の利益と経済の発展にどのように寄与してきたか(利水)、そして洪水などの災害を防ぐために何が必要なのか(治水)を深く掘り下げています。
また、荒川の流れと流域の生活の変化を丁寧に追いかけることで、我々が川とどのように共存し、特に地球温暖化による近年の大規模な水害から自身を守るためにどのような行動を取るべきかという視点も提供しています。
川の水がもたらす豊かさと、その一方で引き起こす災害、その両面を明らかにし、治水という対策がいかに重要であるかが理解できます。
本書を読むことで、荒川の過去・現在・未来を旅しながら、我々が川とその周辺の環境にどのように対応すべきか、災害にどのように備えるべきかという意識をもつようになるでしょう。川と人間の共生、地域の経済発展、そして災害対策についての理解が深まる一冊です。
「人がつくった川・荒川」着眼点の例
数ある本の中から、どうしてこの本を選んだのかを説明するところから書き出すのも良いでしょう。
⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
「利水」と「治水」について知ったことや考えさせられたことについて。また、この本によって、一つのことがらについて二つの角度から捉える思考法を知った・・・とする感想文もよいでしょう。
「水の流れ」の量や方向を意識した川の設計の緻密さや、都市の屎尿の問題を川を利用して解決した点について思ったこと。
豪雨や台風への備えについて考えさせられたことや、今の自分にできそうなこと。
「災害の多い日本だからこそ考えだせる知恵もある」という着眼で、不幸や災難に見舞われた際は、悲しむのではなく「改善すべきテーマを与えられたのだ」と思うようにして、その不幸や災難を予防するための「知恵を出す機会」なのだと考えるようになった・・・という方向で感想文をまとめるのもよいでしょう。
「私の父はよく・・」や「本を読み終え、本の内容を父に話すと、父は・・」というように、家族の言葉を紹介する感想文にしてみるのもよいでしょう。家族の言葉を紹介する形にすることで、感想文をユニークな展開にできたり、本の内容を超えた個性的な展開にすることができます。
例)私の父はよく「本の価値はその本の内容自体より、むしろ何かを調べるためのキッカケを得られることにある」と言っているのだが、この本は私に、○○を探究するキッカケをくれた。その意味で本書は、父の基準でいう「価値のある本」だったというわけだ。・・・など。
例)本を読み終え、この本の内容を父に話すと、父は「・・・・・・」という話を聞かせてくれたのだが、私はその話を聞き・・・
この本を読む前と、読んだ後では自然や災害との向き合い方に対してどのような変化があったか。
「予防に勝る対策なし」など、本書から連想される「ことわざ」や「名言」を書き出し、その言葉の意味を本書によって、あらためて大切なものだと思うようになった・・というような展開もよいでしょう。
この本をきっかけに、私はもっとたくさんの本を読んで勉強しなければならないと痛感させられた。・・・という締め方もよいでしょう。「知ることの大切さ」や「読書の大切さ」に気づいたとする感想は「教育的効果の表れを感じさせる感想文」であり、また どの本の感想文にも使える感想文の広げ方 です。
この本を読んで、知識や経験などを「伝えることの価値」「書き残すことの価値」について気づけたとする感想も どの本にも使える感想文の広げ方 の一例です。そして「自分も大人になったら知識や経験を本に書き残せるような大人になりたいなと思いました。」とするまとめ方も良いでしょう。
「感想文の広げ方」については、下記のリンク先にまとめてあります。
⇒「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」
・・・これらの中からいくつかを取り上げ「思い出」や「最近の出来事」などと絡めて感想文を書いてみましょう。
学校などの教育機関が与える課題は「教育的成果」を期待してのものです。そのため、教育機関からの課題としての読書感想文を書くにあたっては「どのような学びを得ることができたか」を感じ取れる感想文にすることが大切です。
「人がつくった川・荒川」読書感想文の例【例文】
以下に、読書感想文の例文をご紹介いたします。文字数はまちまちですが「書き方」や「着眼点」の参考にしていただければと思います。
「人がつくった川・荒川」を読んで①
※以下の感想文は動画で紹介された「モデル文」を横書きにしたものです。
書き出し
⇒読書感想文の書き出し例(入賞21パターン)
今からちょうど一年前。僕が住んでいる○○県は、水害におそわれた。僕の家の周りは、強い雨程度で済んだが、友人の家は被災した。線状降水帯が、自然が豊かでのどかな地域を一瞬にして泥の海に変えた。わずか10分で家の中にはあっという間に泥水があふれたそうだ。テレビのニュースでは、あふれた水で車が横転する映像が流れる。まさにその場所が、友人の住んでいる地区だった。
本を選んだ理由
この本を手にした理由は、身近な場所で水害が起こった経験があるからだ。日本には、大小合わせたくさんの川があり、他の国と比べるとその流れるスピードが速いと、社会の授業で聞いたことがあった。近くの川も、堤防が作られ、人の手で流れを変える作業が行われてきたのだろう。でも、その現場を僕は見たことがない。川は、昔から今の姿のままだったと、錯覚を起こしていた。この本とこれまでの水害経験がリンクして、川に対する見方が変わっていくのがわかった。
印象に残った言葉
「利水」と「治水」この2つの言葉が、この本の内容を象徴している。まず、利水について。僕たちは生活の中で、川の恩恵をたくさん受けている。たとえば、米作りにはたくさんの水が必要であり、パインプラインを引いて川から水を取り入れているし、河川の近くには井戸をほって、伏流水を飲料水に変えて生活に利用している。僕たちの周りには、水が豊富にあって、食べ物や生活に困ることはほとんどないけれど、当たり前のようにある水が手に入らない地域だって世界中にはたくさんある。つまり、僕たちが川から受けている恩恵は、計り知れないものだ。
経験と本の内容をつなげる
濁流や泥水が流れ込んだ水害の現場は、そこだけ戦後にタイムスリップしたようだった。泥だらけの家財が運び出され、臨時に作られた廃棄場所にソファーや家電が山積みになる。昨日まで使っていたものが、いきなりゴミに変わっていく。やりきれない思いで、泥をかき出す人。友人の家は、泥をかきだしきれいにしたものの、やむなく建て替えることになった。その土地を離れる人もいた。やりきれない思いが、水害の現場には残る。
まとめは自分の思いを
自然の力も驚異的だけど、人の知恵もそれを克服してきた。人と自然の共存。この本から僕が学んだことだ。ニュースで雨の情報が報道されると、気になる自分がいる。今の僕に、知らん顔はできないし、無関心ではいられない。災害にあったことによって自分事として捉えられる。そして、この本を手に取り、自然への付き合い方を考える機会を得た。きっと僕にもできることはある。僕たちは、自然とともに、今よりもっと快適に過ごせるはずだ。やまない雨はないし、超えられない壁もない。この本を読んで、人と自然の力強さを再確認した。
※2000字程度に話を広げるヒントはこちら!
⇒「文字数が足らない場合の対策」と「話の広げ方」
「人がつくった川・荒川」を読んで②
※以下の感想文は動画の感想文を横書きにしたものです。
荒川という名前の川が、日本にはたくさん存在することを知り、驚きました。川の名前の由来は、「荒れる川」だと言われているそうです。荒れる川に悩まされた住民が「荒川」と名付け、世に警告するために伝えていたのだと感じました。
ネットで全国の「荒川」を検索してみると、なんと28本もの荒川が見つかりました。
普通に考えれば、被害に遭遇する可能性が高い川のそばで生活しなければいいと思うのですが、それ以上に川からの恩恵が大きいため、人々は川との共存を選んだと感じました。荒川が命名されたのは、荒れる川と人との暮らしが密接だったからなのです。
今回取り上げる「荒川」は、関東の埼玉から東京にかけて流れる荒川の歴史と役割について語られる本となります。
もう一つ驚いたことは、川の流れが自然に形成され、その流れに沿って人々が生活していると思っていたのですが、その考えが間違いだったことを知りました。なんと、川の流れは人の手によって変えられていたのです。自然にも勝る人間の凄さを感じました。
それを読んだ時の私の想像は、何気なく村を訪れた黒のローブをまとった青年が、洪水に落胆する住民の話を聞き、高台に上がって大地と水と風の精霊たちに話すように詠唱した後、指をクイっと振った途端、ゴゴゴーと、もの凄い地響きと共に川の形が変わり、立派な堤防まででき上がったところで、その青年が頭をかきながら振り向き、村人たちに「あちゃ~ ちょっとやりすぎちゃったかな?」なんて無双ファンタジーを想像しました。
しかし、現実は全然違います。昔の人々が大勢集まってひたすら掘り、ひたすら埋め、何年もかけて川の流れを変えたのです。それは海戦術と時間をかけた、まさに大河ドラマのような労力を使っていたのです。
では、なぜ川の流れを変えなければならなかったのでしょうか。その理由が、江戸時代では船で荷物を運ぶ手段として川が利用されていたため、水量を安定させるために流れを緩やかにさせていたからです。つまり、川は真っすぐではなく、曲がった流れになっていました。
しかし、大雨が続いた日は曲がった地域では川が氾濫しました。氾濫した時のために家の作りを変え、船を用意するなどの対策もしていました。つまり、経済発展や生活向上のために一定の被害は仕方がないと諦める政策だったのです。
現代では考えられないかもしれませんが、もしかしたら今もどこかで同じことが繰り返されているのかもしれません。
そして、その被害とは何でしょう。経済発展や生活向上のために何を犠牲にするのかを考えた時に、ニュースで何気なく見ていた映像を思い出します。基地建設のための自然環境破壊や、発電所の開発・稼働によるニュース、リニアモーターカーや高速道路などの交通網によるトラブルなどを見たり聞いたりしたことがあります。それが良いことなのか悪いことなのか、私には判断ができません。
ただ、昔の荒川は生活のために自然を変え、田舎も都会も潤って現在に繋がっていることは分かりました。
近年では、荒川で荷物を運ぶことはありません。鉄道や道路の整備が整っているので、そちらを使った方が速くて安全です。その結果、川の流れは真っすぐになり、工場や生活排水を流すようになり、川の汚染が進み被害が起こったそうです。
段々と、川が哀れに感じてきました。人の都合により様々にいじられ、毒を流し込まれ、荒川は苦しんでしまいました。これは人間が川にやったことです。しかし、汚れに気付いた政府が川を汚さないように対策をして、今では荒川は再び美しい川に戻っています。
荒川には大きな水門があります。これは荒川と繋がっている隅田川を氾濫させないために作られました。この水門のおかげで大きな台風が来ても水害にならずに済んでいます。近年は異常気象が増えていますが、首都が水害になると大変なので、水害対策や災害時の対策も行っています。
私の住んでいる地域も危険があるので、何かあった時のための対策を考えなければならないと感じました。自分だけでなく、家族や親せき、友達とも話し合っていきます。
今の荒川の河川敷には遊歩道や憩いのスペースなどがあり、地域住民が集まって運動をしたり、リラックスしたりできるようになっています。大雨で水量が増えると、このスペースにも水が溜まるようになっています。
荒川は私たちと共に成長してきた川です。今後も私たちの生活を守るために成長を続けるでしょう。昔のように川を交通インフラとして活用したり、川の上に透明な道が出来て歩けるような未来もあるかもしれません。人間を含めた生物を育む川を、人間が守り、共存し、共栄していく社会を作ることに気持ちが向きました。
長谷川敦 著 旬報社 1,760円 (税込み)
200ページ
・自然の活用と調和
・予防に勝る対策なし
・「利水」と「治水」の考えの応用
・不幸や災難を知恵につなげる
用紙・字数のルール その他
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細は主催者ページで発表されます。
⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
他の課題図書&過去の入賞作品
2023年の中学生用の課題図書は次の3冊です。
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過去の課題図書の紹介
過去の課題図書も「自由読書」のジャンルとして感想文を提出することができます。そのため、どの本を読もうか迷っている場合「書き方のアドバイス」や「例文」が存在する過去の課題図書の中から本を探してみるのも得策です。
また、長年読み継がれている「名作」の中から感想文を書く本を選ぶのもよいでしょう。こちらも書き方のアドバイスや例文つきです。
名作おすすめ本一覧
書き方の参考用に、過去の入賞作品の紹介ページも作りましたのでご活用ください。